2017/02/21

ボランティアをする動機 

数ヶ月前からある病院でボランティアをはじめた。


半月ほど前、ある女性と仲良くなった。ほぼ同時期にボランティアををはじめ、同世代で、同じ年頃の子どももいる。自然と話がはずんだ。


私が、ボランティアの休憩室になっている部屋に積んであった小児がんについて書かれている冊子を手に取り、パラパラめくりながら、小児がんについていろいろ話したら、彼女は熱心にきいてくれる。


私が話したのは、原純一医師牧本敦医師が、講演で触れていらしたことだ。


小児がんは大人のがんに比べて治るといわれているけれど、最近になり、晩期合併症があることがわかってきて、退院後も支援が必要、などだ。


彼女が熱心にきいてくれるから私は「やっぱりボランティアをする人は、子どもの病気にも関心があるんだなぁ」なんて思っていた。


帰りも駅まで一緒に歩いて帰った。


2人きりになった時、彼女はなぜボランティアに応募したかを話してくれた。


(小児とは違うけれど)実は同じ病気なのだそうだ。


「ここは病院だから、ウィッグをつけていても気にする人もいないし、社会復帰にはちょうどいいと思って」と教えてくれた。


春先で風が突然強く吹いたりするから、やっぱりドキドキするんだそうだ。


私は彼女の話を聞きながら、息子がNICUに入院していた頃のことを思い出していた。


あの頃いつも思っていた。


「看護師さんの中に『私も超低出生体重児だったんですよ』という人がいたらなぁ」


どんな風に成長するのか想像できないから親は不安になるのだ。いくら大丈夫ですよ、と言われても大人になった「元超低出生体重児」なんて周りには一人もいない。


だからもしも私が親だったら、彼女のように、病気を経験したボランティアさんがいたら嬉しいと思う。


その女性は、体調が悪い時もあって、まだフルタイムの仕事をする自信がないそうだ。でも、家に閉じこもっているんじゃいけないと、病院のボランティアをすることにしたそうだ。


私は「元気になって、社会復帰できたらいいね」と、心の中でお祈りした。


2016/11/27

さようなら、私の同級生

私の大学時代の同級生が亡くなった。





白血病で骨髄移植をして数年間は安定していたのに、再発してしまった。やっとドナーが見つかったばかりだった。


まだ幼いお子さんがいる。


この前、私が小児がんの拠点病院の話を医師の友人にしたら、「拠点病院といっても、ばらつきがありすぎますね」と言っていた。確かに、牧本敦医師の講演にもあった。「そもそもがんの治療はさじかげんが難しい。結局は『誰が』治療を行うか。最後は、『医師』に行き着くと思いますよ」と友人は言っていた。

◇  ◇  ◇
『牧本事件』を追う その2 牧本敦医師の講演「すべては小児がんの子ども達のために」③

お医者さんのほうも、年間100人診ているお医者さんと、年間1人しか診ていないお医者さんでは、どちらが良いかというと、それは100人診ているお医者さんの方が、なんだかんだで経験があるし、安定して治療が提供できるとは思います。ですから、情報も技術も安定していない状況で進んでいるといえると思います。
◇  ◇  ◇

白血病には、良い薬が登場し慢性疾患のようになったと友人が教えてくれた。私は「世界の中心で愛をさけぶ」はもう昔のことかと思って安心していた。


「もしも牧本敦医師だったら」と思ってしまった。


小児がんは患者さんも少なく、薬も少ない。治療法が限られる上に、副作用も強いそうだ。


だから、治療はとても繊細に行われる。牧本医師は特別な医師だった。


きっと、今でもドラマのように、牧本医師じゃないと助けられないない患者さんがいるだろう。


今日はとても悲しい。世の中は上手くいかないな。


さようなら。いつかまた。私がそっちに行ったら乾杯をしようよ。
2016/08/07

国立成育医療研究センターに誕生した子どもホスピス『もみじの家』と クローズアップ現代『幼い命を守れ 小児在宅ケア・地域の挑戦』 その6

●『もみじの家』とがん研究の接点 牧本医師はもういらっしゃらない


ワークショップがはじまるまで、時間があったので、駐車場の奥にある『もみじの家』の近くまで行ってみた。成育に置いてあったパンプレットよりもずっと素敵な建物だった。


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でも私は少し悲しくなった。小児がん専門委員会議事録に出てきた、子どものためのホスピスが目の前にあるのに・・・・牧本敦医師が、小児がんの治療の最前線には、もういらっしゃらないからだ。


『どんなことがあっても息子の主治医は牧本先生』 小児がん専門委員会議事録を読む その1


◇  ◇  ◇
2011年1月11日 第1回小児がん専門委員会議事録 厚生労働省 健康局総務課がん対策推進室
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000011x61.html


○原(純一)専門委員

檜山先生の提案で拠点化ということをイの一番にというお話なんですが、結局拠点化ということは診療医のレベル、診療の質を上げるということですよね。だから、それをすることによって今、天野委員がおっしゃったようなことも防げてきますし、それから、先ほど牧本委員もちょっとおっしゃったように、我々治療をするときにこういう治療をすれば10年後、20年後にどういう晩期障害が起きてくるか、そういうことを予想しながら治療しないといけないんですよね。残念ながら全ての診療医がそこまで想像できているかどうかというところがやはり疑問もありますし、結局拠点化をしてそういう診療医のレベルを上げることによって治癒率も上がりますし、それから後の晩期障害等のフォローアップですね。


それから精神的なサポート、その辺はやはり経験を積めば積むほどその質もよくなってくるわけです。ですから今、小俣委員だとか馬上委員がおっしゃったようなことに関しても、やはりとりあえず拠点化を進めて、そういったことのレベルを上げていくことによって、両者の問題も解決できるやっぱり近道だろうというふうに思います。


それとあと、ちょっと1点だけ気になっているのは小俣委員がちょっとおっしゃいましたが、いろんな患者さんの支援、これは非常に重要だと思うんですね。私自身も小児がんの専門ではありますけれども、その前にやはり小児科医なんですよね。そうしますと、例えば神経難病の方とかは非常に困っておられる。例えば小児ホスピスの対象というのは半分以上が神経難病の方なんですね。ですから、そういった人たちの支援も同時にやっていかないといけないんですが、ただ、問題としては非常に大きくなってしまう。ですから、そこをどう切り分けて整理していくのか、あるいはどの部分は官でやって、どの部分は民でやるか、NPOとかですね。そういったことも含めてちょっと整理をしていかないといけないのではないかなというふうに思います。

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●『喜谷メモリアルファンド』と『オキサリプラチン』


こちらは、国立成育医療研究センターに子どもホスピスの建設を、働きかけて下さった喜谷昌代さんの「もみじプロジェクト」のWebサイト。調べてみると「もみじプロジェクト」は、やはり、がんの研究と関係がある。喜谷さんの義理のお兄様は、著名な研究者だった。


◇  ◇  ◇
基金 名称:喜谷メモリアルファンド
http://momiji-uk.net/fand/fand.html

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この基金は長年、癌の研究者である喜谷喜徳氏(名古屋市立大学名誉教授。もみじの代表者である喜谷昌代の義兄)が、癌の研究中に見つけた治療薬の特許権から出来ている信託であり、その資金により癌関係の病院、研究所、研究者、その他この信託の受託者たちが認めたプロジェクトを援助している。

「もみじプロジェクト」は、2002年以降、喜谷メモリアルファンドから援助金を受けはじめる。それ以前は、募金やバザーを開いた売上収入だけが資金源だったため定期的な活動は不可能であった。

◇  ◇  ◇

上記の治療薬の特許権が気になり、さらに調べる。すると、あの、オキサリプラチンに関するもののようだ。

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オキサリプラチン
https://ja.wikipedia.org/wiki/オキサリプラチン

オキサリプラチン (oxaliplatin, L-OHP) は白金製剤に分類される抗癌剤である。名古屋市立大学薬学部名誉教授である喜谷喜徳らによって合成および抗癌性の発見がなされ、喜谷研究室で基礎的な研究開発が行われ、オキサリプラチンと命名された[2][3]。その後フランスのマッセイ (Mathé) らによって臨床上の開発がなされた[4]。名称にある「プラチン」が白金を示している。類薬にシスプラチン、カルボプラチンがある。日本ではエルプラット (ELPLAT)の商品名でヤクルト本社が製造販売し、後発品も複数発売されている。



●『牧本事件』とモニカルインスキーさんの動画を紹介した記事があっという間に上位に


7月のはじめに書いた記事が、あるキーワードでGoogle検索すると、1位に表示される。こんなに早く結果に反映されるなんて思わなかった。


「ネットいじめの撲滅」を訴えるモニカ・ルインスキーさんの言葉 「たった1人が共感するだけでも変化が起こる」を実践して


深刻化する『ネットいじめ』 どんな方法でも、どんな言葉を使ってもいいのか? その1


どうしてワークショップが、8月2日だったのか私にはわからない。


今日はブログを書いていて、胸が一杯になった。

2016/05/12

NHK クローズアップ現代 『~小児がん 新たなリスク~』 その8

●社会の問題として社会の理解を得るということが、小児がんの問題をきちんとすすめていく上でポイントになる



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ーーー今のアレクサンドラさんのように、晩期合併症と付き合いながら、希望を持って自分は幸せだと言い切れる。そんなことが当たり前になって欲しいですね


「素晴らしい話ですよね」


ーーーやっぱり子どもを育てていく、子どもを守っていく、そういう視点が大切なんですか?


「結局、子どもは国の将来を担う、大切な存在ですから我が国では、少子化とか虐待とかいろんな問題がありますけれども、小児がんも将来を担う子ども達の重要な課題です。


小児がんというのは、がんの発症のメカニズムの解明にもつながると見られています。


がんの解明とか、発がんの解明とか、そういう視点から非常に大事な病気です。それから今きちんと治療すれば必ず良く治るわけです。将来どういうことが起きるかということが、本人に対しても両親に対しても、きちんと医療従事者から知らされていることが、それに対して事前に対応していくという非常に大事なことになるだろうと思います」


ーーーイギリスの取り組みを見ていますと、すべてのがん患者が登録されて長期的なフォローアップが行われ、しかも晩期合併症外来という窓口まで専門外来まで儲けられているという。こうなってきますと、がん登録ということが最初の大きなステップではないかと思います。10年先、20年先に起きるといわれている合併症。日本でも登録ということがきちんとできていますか?


「小児がんも含めて、成人のがんも含めて必ずしも満足する状況にありません。がん登録は大変地味ですけれども、今のがんの実態を正確に把握すると、あるいは将来を予測すると。結局医療従事者にとっても行政にとっても、何よりも患者さんとご家族にとって、あるいは広く国民にとって情報提供することになりますから、がん登録というのは極めて重要な作業だと思います」


ーーーどんなことが壁になっていますか?


「個人情報保護法というものがあります。その理解が十分いっていないことがありますが、我が国では、私は、がん登録法といって、法律に根ざして個人情報は秘匿して、国は情報をまとめるという作業が必要だと考えています」


ーーーこのがん対策を話し合う協議会の会長としてこの小児がんに対する対策。これからまず何からはじめていかれますか?


「これまでがん対策推進委員会はがん対策推進協議計画を作って約5年たったわけです。24年度から後半の5年に入るわけですが、前半の5年でいろいろな問題点を今、協議会の中で検討しているわけです。特に小児がんのことも含めて基礎研究に関しても、緩和医療に関しても、専門委員会で検討しているわけですが、専門員会で出てきた結論をできるだけ後半の協議計画の中で活かして、数の少ないがんに対してもきちんと対策ができるようにしていきたいと思っています」


ーーー小児がんの病院の集約化やフォローアップ体制と、そういったことが含まれていくのでしょうか?


「大人のがんの均てん化に対して、小児がんも含めた数の少ないがんの集約化、がん登録、患者さんの精神的なケアを含めた、あるいは治らない場合の緩和医療、それから家族の支援、そういうことも大事だと思います」


ーーーいずれにしましても、先ほどの政人さんのケースを見ますと、社会の理解というものも非常に大事だと思います。


「全く同感です。がんはどなたの身に起こりうるものですから、社会の問題として社会の理解を得るということが、結局、小児がんの問題をきちんとすすめていく上でポイントになると思います






2016/05/12

NHK クローズアップ現代 『~小児がん 新たなリスク~』 その7

●晩期合併症の問題は子どもの問題から、大人の患者が増えるにつれ、社会の問題になる


「晩期合併症の問題は子どもの問題から、大人の患者が増えるにつれ、社会の問題になってきます。小児がんの治療は彼らの未来の扉を開くものです。ですから彼らが社会に貢献しながら、自分らしく生きられるよう国が支えていくべきなのです」


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●バーミンガム小児病院の『晩期合併症専門外来』


バーミンガム小児病院では晩期合併症専門の外来があります。


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治療を終えた患者に対し、毎年必ず検査を行います。


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この日検査に来た16歳の少年は4歳の時に肺がんになり、抗がん剤の治療を受けました。心臓の機能が落ちる晩期合併症が起きていないか、12年間検査を続けています。


元患者

「毎年診てもらっているから、何かあっても不安はないよ」



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●長期のフォローアップが小児がん経験者の自立を後押しする


長期のフォローアップは小児がん経験者の自立を後押ししています。ロンドンに住む、アレクサンドラさんです。幼い頃に白血病の治療を受けたアレクサンドラさんは、低身長に加えて17歳の時に脳腫瘍を発症しました。


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放射線治療が原因の晩期合併症でした。腫瘍は定期的な検診により早期発見。さらに専門医のアドバイスを受けることで学校に通いながら治療を受けることができました。アレクサンドラさんは看護学校を卒業。今月から夢だった看護師として小児病院で働きはじめています。


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「私は小児がんの晩期合併症がありますが、上手く付き合っていけていると思います。やりたいことができて、自分の人生を生きています。幸せです」


続く