2014/08/25

食物アレルギー 『エピペン』 迷った時にはうって

ブログをはじめた時には「誰が読むのかな」と思ったけれど、今一番嬉しいのは当事者の方からいただく声。


私は食物アレルギー死亡事故起きた時に思った。この問題はどうしてもっとはやく社会に認識されなかったんだろう?


重度の食物アレルギーに対応できる専門医は、手間がかかるわりに、お金にならないから、なり手がいなかったそうだ。町には病院がたくさんあって「アレルギーが専門です」という医師も多いけれど、専門医は少ないそうだ。だから、正しい知識が社会になかなか広まらなかったそうだ。


考えてみると超低出生体重児も似たようなものだ。社会の理解がないために、不登校になるなど、孤立してしまうお子さんが多いからだ。


日本では医療が高度化し、重い病気や障害を抱えた子どもが自宅で生活できるようになる一方で、支える社会の理解と支援が十分とはいえない。


そのために悲劇がおきている。


私が新婚生活を送ったカナダでは、障害や病気を抱えた方々が、いきいきと暮らしていた。カナダで生活して感じた。高度医療というものは、受け入れる社会の温かさがあってはじめて成り立るものじゃないかと。


日本と海外の小児医療をわかりやすく説明すると、こんな感じになるだろう。


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『小児がん 新たなリスク』 NHKクローズアップ現代

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晩期合併症に苦しみ自ら命を絶った上野政人さん
「僕は夢を追ったら必ず病気が襲ってくる」
お父さんの言葉
「産まれてきてよかったと思ったことが
なかったんじゃないのかな」


推計10万人といわれる小児がん経験者。厚生労働省が行った初の調査で、およそ半数が晩期合併症に苦しんでいる事が分かった。しかし、日本には、そうした患者を、医療的にフォローしていく態勢はない。


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『幼い命を守れ~小児在宅ケア・地域の挑戦~』 NHKクローズアップ現代


新生児医療が進歩すればするほどNICUのベッドは必要とされすぐに埋まってしまう状況が続いています。妊婦と赤ちゃんの命を守るには、NICUに常に空きを保つ必要があります。そのため症状が改善し、自宅での生活が可能になった赤ちゃんは、退院して家族とくらしていくことを目指すことになります。


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しかし、こうした子どもが自宅で医療を受けながら暮らしていく取り組みは地域にまだ十分あるとはいえません。


NICUを出る時に感じたアンケート調査によると、「家族が一緒に暮らせる」など良かったことをあげた回答より、「不安だらけで孤独でした。これで退院してよいのか」などの声が二倍以上にのぼっています。



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『続発するアレルギー事故 学校給食で何が?』 NHK クローズアップ現代


アレルギーによるショック症状だと判断して、エピペンを右の太ももに注射しました。異変に気付いてから15分ほどあとのことです。救急車が到着したのは1時40分。


その場で心肺停止が告げられました。


気分が悪いと訴えてからおよそ20分後。お代わりで食べたチヂミに入っていたチーズは、1グラムにも満たなかったと見られています。



女の子の両親からの手紙

“娘の死をきっかけに、食物アレルギー対策の重要性が再認識され、多くの人たちが改めて動き始めるのであれば、娘は「うん、それならいいや」と言うような気がしています。彼女の未来に向けた思いに応えてほしいと思います。”


事故を受けて、学校給食の関係者の間には動揺が広がっています。国からアレルギーに対応した給食を求められる一方で、安全を確保する適切な方法を見いだすのが難しいためです。



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小児がん 新たなリスク クローズアップ現代


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ロンドンに住む、アレクサンドラさん

「私は小児がんの晩期合併症がありますが、
上手く付き合っていけていると思います。
やりたいことができて、自分の人生を生きています。幸せです」



日本の小児がんの専門家が注目しているのが、イギリスです。10年以上前だから晩期合併症への対策が取られてきました。小児がん治療の拠点、バーミンガム小児病院です。


イギリス中部の小児がんの子ども達は、すべてこの病院で専門チームの治療を受けています。治療が終わるとすぐに定期的な検診を行う長期フォローアップがはじまります。医師は家族に、これまでの治療と、晩期合併症のリスクを詳しく説明します。


イギリスで長期フォローアップが可能なのは、がんの登録制度があるからです。子どもはもちろん、がん治療を行った患者1770万人ものデータが蓄積されています。データを分析することで、晩期合併症のリスクを予測し、それぞれの患者にあった長期的なケアが行われています。


晩期合併症の問題は子どもの問題から、大人の患者が増えるにつれ、社会の問題になってきます。小児がんの治療は彼らの未来の扉を開くものです。ですから彼らが社会に貢献しながら、自分らしく生きられるよう国が支えていくべきなのです



※    ※    ※



「エピペンは迷ったらうつものじゃないの?」とブログに書いたら、食物アレルギーのお子さんのお母様から「その通りです」とメールをいただいた。


驚いたことに、お家ではエピペンを複数本用意してあるそうだ。


一般的にエピペンの効果は「15分」とされているそうだ。もしもアナフィラキシーがおきたら、その間に救急搬送し、アレルギーを抑える薬を病院で投与する必要があるのだそうだ。


アナフィラキシー補助治療剤 - アドレナリン自己注射薬エピペン エピペンとは ファイザー

エピペンは、アナフィラキシーがあらわれたときに使用し、医師の治療を受けるまでの間、症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐための補助治療剤(アドレナリン自己注射薬)です。あくまでも補助治療剤なので、アナフィラキシーを根本的に治療するものではありません。エピペン注射後は直ちに医師による診療を受ける必要があります。


校医の先生が「エピペンが万能じゃない」といったのは確かに正しいかもしれない。でも、万が一の時には限られた時間で、救急搬送しないといけないのだ。


専門医の「迷ったらうつ」と、校医の先生の「万能じゃない」という温度差は、結局は友人の小児科医のいう「どれくらい、実際にアナフィラキシーの患者に対応してきたか」にかかっているんだろう。


私の思い違いじゃない。友人は私に「なんだ、エピペンはインフルエンザワクチンと同じように、万能じゃないから、うたなくてもいいのか」といっていた。


どうして日本は、当事者が意見をなかなかいえないのだろう。


私がききたいのは重度の食物アレルギーのお子さんのお母さんのお話だ。その場におられたのだから、どのように専門医の先生に指導されているのか、私達は何をしたらいいのか、直接話してもらえばよかったのだ。


友人の小児科医が嘆いていた意味がようやく理解できた。


メールを下さったお母様はお子さんに「自分でエピペンをうてるようにしなさい」といつも言い聞かせておられるそうだ。なぜだかわかりますか?


周りの大人が違うといっても自分がそうだと思ったら打て。なぜなら、正しく理解している人は、まだほんの一握りだからです。


そうはいっても、どんなに気をつけていても自分でできることには限りがある。そのために私達大人がいるんだよ。


私はもう、嫌われるのは慣れてしまった。だから今年のアンケートが配られたらしっかり書こうと思う。先生が集まって相談しても迷ってしまったら間に合わないかもしれない。「迷ったらとにかくうつ」そう決めたんだから、シンプルにそれでいいと思います。そうして下さい。




2014/08/19

『熊よけスプレー』と『エピペン』

最近、市の対策がすすんでアレルギーについて書くことがないけれど、どうしても気になることが一つだけあった。3月に小学校で行われた校医の先生に言われた「エピペンは万能ではない」という一言だった。


学校の給食アレルギー対策



熊撃退スプレー 230g 強烈な唐辛子エキスで熊を撃退熊撃退スプレー 230g 強烈な唐辛子エキスで熊を撃退
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商品の説明

製品特徴

◆熊や犬などの動物から攻撃を受けた時に使う、アメリカ製の画期的なペパー・スプレーです。
◆強力噴射(4~9m)されるトウガラシエキスでクマ及び他の哺乳類を撃退します。
◆カプサイシンの強力な刺激と痛みで動物を追い払います。
◆カプサイシンには毒性がなく、所持に特別な許可は必要ありません。


校医の先生の一言で私の友人なんか「なんだ、『エピペン』はインフルエンザワクチンみたいなもので、効かないかもしれないから、打たなくてもいいのか」なんて言っていた。


『エピペン』てインフルエンザワクチンと同じようなものなの?確かに校医の先生の説明だと、そういう風に思えてしまうのだ‥‥。


家に遊びにきた第三次救急で働く医師の友人にその話をしたら驚いていた。「迷った時にはうつものだよ」。


「万能じゃない」などとはじめに言ってしまうと、判断に迷ってしまってしまうかもしれない。そもそも、打つか打たないかの判断を正確に、というよりも、医療の専門家じゃない先生に、どうやって打ってもらうかを指導していたんじゃなかったの?


死亡事故が起きる前、気分が悪くなった女の子を心配した担任の先生は「エピペンを打つか」とたずねたそうだ。でも、女の子は先生に「打たないで」と言ったそうだ。そう言われてしまったら、医療の専門家ではない学校の先生には打つのは難しい選択だと思う。


続発するアレルギー事故 学校給食で何が? NHK クローズアップ現代 から一部引用


お代わりからおよそ30分後、担任は女の子の異変に気付きます。
持病のぜんそくの吸引器を使いながら、「気持ちが悪い」と訴えてきたのです。

担任はランドセルから、エピペンと呼ばれるアレルギーのショック症状を改善する注射器を取り出し「これ、打つのか」と尋ねました。

女の子は、「違う、打たないで」と答えたといいます。

ぜんそくの症状が出たと思っていたと見られます。
担任は、アレルギーのショック症状かもしれないと思いながらも、この時点でエピペンを注射しませんでした。



友人は北米で働いていたからアナフィラキシーの恐ろしさをみてきたのだろう。


だから私に、「その校医の先生に『先生は今まで、どのくらいのアレルギーの患者さんを実際に診察してきて、その中で、どれくらいのアナフィラキシーの患者さんに対応した経験がありますか?』と質問するといいよ」と言う。第三次救急で働く医師だから、学校現場で、そういう指導をされてしまうことに危機感をもったのだ。


でも、そんなことは私でも言えない‥‥。


夫は、「(学校の先生は医療の専門家じゃないから)そんなに深く考えないで、『それしかない』と考えればいいじゃないのか。エピペンは『熊よけスプレー』のようなものじゃないのか」と言っていた。


私達は登山をする時に、『熊よけスプレー』を持って登る。過去何度か山の中で熊に遭遇したことがあるからだ。鈴だけじゃやっぱり不安だ。昨年ヨセミテに行く前には、野生動物と接触してもいいように、家族三人、狂犬病の予防接種もしている。


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ヨセミテで二回、熊に遭遇



このスプレーはトウガラシエキスが入っていて、熊に向けて噴射すると強烈な刺激で一時的に動けないようにする。


『熊よけスプレー』は保険適用になる前の「エピペン」と同じような値段で、やはり使い方が少し難しい。もしも熊がいる方向から風がふいている場合、慌てふためいて噴射してしまうと、トウガラシエキスが熊ではなく自分に降り掛かってしまうからだ。


食物アレルギー対策のガイドラインには「エピペンを●分以内にうつように」と書いてあるだろう。もしも事故が起きた場合、「ガイドラインに定められた時間内に打たなかった」と裁判になるかもしれない。


だからもっとシンプルに「迷ったらうつ」でいいんじゃないのかしら?



2014/06/04

りんママさんへ メールありがとうございます!

アレルギー事故が起きた後、一年間ずっと考えてブログをはじめた。重い食物アレルギーのお子さんは、超低出生体重児と同様に、奇跡的な存在だと思うからだ。そういうお子さんが亡くなってしまったことが、私にはショックだったのだ。


ちょっと ちがう(こねこ ななこ)

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給食と食物アレルギーを考える(上) 東京・死亡事故の母語る 「理解深め見守りを」2013年10月09日 西日本新聞 から一部引用

学校の先生や教育委員会の関係者の方々が責任を感じて対策に乗り出しています。ただ、「この問題は学校がしっかりやります」と背負い込まないでほしい。保護者との情報共有や地域のお医者さんが協力することがあってよいのではないでしょうか。

私は娘に「あなたが気をつけなさい」と言っていました。アレルギーの子どもがいるお母さんたちだってミスするし、学校の先生や栄養士の方に要求するばかりでは何の解決にもならない。分厚いマニュアルをつくる必要もない。アレルギーは特別なものではない。自分たちの身の回りに存在する普通の問題だということに社会全体が理解を深め、あらゆる大人が子どもを見守るようになってほしい。




昨日、アレルギーのお子さんを一生懸命育てている「りんママ」さんにメールをいただいた。メールを読んだら、私も同じように辛いことが沢山あったなぁ、といろいろ思い出してしまった。


私も自分の腕の中で、息子の呼吸が止まった時にはどうしていいかわからず、パニックになった。同じように小さなパンダの赤ちゃんが病気になったり亡くなったらニュースになるのに、息子が同じような病気になっても、ニュースにはならない。パンダが羨ましく思えた。


メールをいただき、嬉しくなってお返事を書いた。でも、送信したのになぜか返ってきてしまう。一時間ぐらい格闘したけれど届かないから、お返事のつもりでブログを書いてみようと思う。


「りんママ」さん、メールありがとうございます!


私はこれまであまり「ありがとう」なんて言われたことがないから、びっくりしてしまいました。それも、アレルギーのお子さんを育てているお母さんに共感していただけるなんて。ブログをつくって本当に良かったな、と思いました。


いただいたメールを読んだら、私も一番大変だった時、テレビで行楽地に出かける人を見るのが辛かったことを思い出しました。


超低出生体重児(未熟児)の虐待事件があるたびに思いました。悲しい事件が起きたのだから、今度こそ少しは良くなっていくんじゃないか。


あの頃私は淡い期待を抱いていました。


でもそのうちわかるようになったんです。この国では、自分で行動しないと、なかなか改善していきません。待っていたらダメなんですね。その上、声を出してもすぐには届かないようになっているようです。


もしかしたら、本当に助けを必要としている人のところには、永遠に救いの手が届かない国じゃないかと、思う気持ちもあるんです。


一度は諦めかけたんですが、事故が起きた時、私は思いました。私だけががんばっているわけじゃなかった、大変なわけじゃなかった。重いアレルギーのお子さんのお母さんは、もっと大変だったんじゃないかって。


事故のあと、市のアレルギー対策が改善されたのは、つなげようとする人達が大勢いるからだと思います。女の子は亡くなってしまったのですが、その一方で現場は着実に改善されています。


友達があわせてくれた、重い食物アレルギーのお子さんのお母さんが私に言っていました。「『皆と同じものが食べられて幸せ』と子どもが言っています」。それを聞いた時私は、胸が一杯になりました。亡くなった女の子のお母さんがおっしゃっていた「娘は世の中の役に立ちたいと言っていました」という言葉を思い出したからです。


亡くなった女の子がつくった「こねこのななこ」ちゃんの詩が、歌になりました。とても良い歌で私も息子も、大好きです。よかったら、お子さんに聞かせてあげて下さい。


同じような悲しい事故が再び起きないよう、私にできることをしていこうと思います。



私なんて、子どもが産まれた時の話をするとたいてい驚かれて、「まあ、がんばってきたのね」なんて褒めてくれる人が大勢いる。それだけでも有り難い。


重い食物アレルギーのお子さんの場合、ご家族の苦悩が社会になかなか見えないことが問題だ。しかも、同じ食物アレルギーのお子さんを育てているお母さんが集まっても、重い食物アレルギーのお子さんのお母さんは、軽度の食物アレルギーのお子さんのお母さんとはなかなかわかりあえないそうだ。


今日も虐待を防ぐには母親を孤立させないように、という報道があった。


でも、いつも思うのだ。母親を追いつめるには原因があるのだ。報道される時、たいてい支援者側の意見ばかりが掲載されているように思うのは私だけだろうか?


超低出生体重児(未熟児)の母親が追いつめられいくのも、重度の食物アレルギーのお子さんのお母さんが追いつめられるのも、その苦悩が社会に見えないということもあるんだよ。そういう当事者の気持ちに、本当に寄り添ってきましたか、と私は問いかけたい。アンケートなどをとって、私達を理解した気持ちになっていませんでしたか?と思ってしまう気持ちが私にはあるのだ。


ニュースで事故を知った時、ショックを受けたのは、そういう苦労を少しは知っていたからだ。だから、もっと私にもできることがあったかもしれないのに、と思ったのだ。


最近、ブログにアレルギーのことが少なくなったのは、市をはじめ学校が一生懸命やっているからだ。当事者でない私はニュースを伝えるくらいしかなくなったのだ。


今、私ができることは、天国にいってしまった女の子のことを「忘れていないよ」と伝えることじゃないかと思っている。


たまに思い出す。お母さんや担任の先生はどんな毎日を過ごしておられるのだろうか。


今後は、落語家の叔父さんに大学にきてもらって「いのちの授業」ができればいいなぁと考えている。「忘れていないよ」という気持ちを伝えるために。


天国にいる女の子が喜んでくれるといいなぁ。


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虐待死の防止 お母さんを孤立させず 2014年6月4日 中日新聞


 虐待で子が命をなくす事件が後を絶たない。その最大の犠牲者は生後間もないゼロ歳児だ。孤立し、妊娠時に健診も受けず、生活に多くの困難を抱えた母親。そんな彼女たちを、まず救い出さないと。


 神奈川県厚木市の五歳児の放置死亡がニュースになっているが、子どもの虐待死はゼロ歳児が一番多い。厚生労働省の専門委員会が二〇〇三年から一二年まで九次にわたって検証した。


 その間の虐待死は、全国で四百九十五人(心中を除く)。年齢別ではゼロ歳児が二百十八人(44%)にも上った。そのうちでも、幼い方が多い。


 原因は身体的暴力、育児放棄、生んだまま放置などである。「子どもへの拒否感」や「泣きやまないことへのいらだち」などが動機として見られた。


 これらは、いわゆる「望まない妊娠・出産」といっていい。70~80%前後の母親が妊婦健診をほとんど受けず、母子健康手帳も受け取っていなかった。


 ゼロ歳児の虐待死の加害者になるのは実母が圧倒的だ。


 そうした中、児童虐待防止推進月間(全国は十一月)を独自に五月にも定めている名古屋市では、これまで以上に市医師会との連携を強め「妊娠期からの切れ目のない支援」に取り組んでいる。


 鍵を握るのは、未受診妊婦への対策である。具体的には六月から始める電話やメールによる助産師の相談窓口「妊娠SOS」の設置だ。先進例は大阪府にもある。


 貧困や夫のDV、ひとり親、未成年、精神疾患など、それぞれが困難を抱えた妊産婦たち…。居場所もわからぬ彼女たちを医療機関に結びつけなければ、解決の糸口はつかめないからだ。


 たとえ細くとも、パイプがつながったら産科医、助産師、看護師ら産科のスタッフが働きかける仕組みだ。


 医療の手で当面の危機を乗り越えても、その後の行政(保健、福祉)との連携、支援に生かされないと、いつか、つまずく。助産施設、里親や養子縁組などの対応も必要になってこよう。


 児童虐待防止法によって住民の通報も義務づけられ、関心も高まっている。「切れ目のない支援」には、難しいことだが、孤立した妊産婦への周りの気づきが救いにもなる。


 ゼロ歳児に限らず、子どもを死なせぬためには、行政、医療機関、さらには地域の関わりが不可欠になっている。


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2014/03/13

当事者の声が世の中を動かす

学校での食物アレルギーへの対応について、報告書がまとまったようだ。


アレルギー対策について報道される時、私のまちで起きた事故が紹介される。そのたびに何ともいえない悲しい気持ちになる。一人のいのちが失われた、その事実は変わらないからだ。でも、事故を繰り返さないように改善することで、多くの同じ病を抱えている子ども達が前向きに生きていけるようになるかもしれない。


給食と食物アレルギーを考える(上) 東京・死亡事故の母語る 「理解深め見守りを」2013年10月09日 一部引用

「この問題は学校がしっかりやります」と背負い込まないでほしい。保護者との情報共有や地域のお医者さんが協力することがあってよいのではないでしょうか。
 
私は娘に「あなたが気をつけなさい」と言っていました。アレルギーの子どもがいるお母さんたちだってミスするし、学校の先生や栄養士の方に要求するばかりでは何の解決にもならない。分厚いマニュアルをつくる必要もない。アレルギーは特別なものではない。自分たちの身の回りに存在する普通の問題だということに社会全体が理解を深め、あらゆる大人が子どもを見守るようになってほしい。

娘には科学者になる夢がありました。人体の構造、地震が起きるメカニズムなどに興味を持っていました。食物アレルギーの仕組みも理解して恐れてはいませんでした。「世の中の役に立つ研究をしたい」と話していました。



私達は「人の役に立ちたい」という女の子の願いが叶うようにがんばらないといけない。亡くなった女の子のお母さんの気持ちを新聞報道で知った時、そうしないといけないと思った。先生も市の職員の方も同じだと思う。お母さんの気持ちは、事故が起きた日におこなわれた「いのちと心の授業」で子ども達に紹介されたそうだ。当事者の声ほどこころに響くものはないのだ。


これは昨年12月20日、アレルギー死亡事故がおきた日、学校で行われた「いのちと心の授業」を紹介する手紙。授業の当日、息子は「子猫のななこちゃんもあったよ」と私に教えてくれた。


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もうすぐ卒業式だけど、こねこのなな子ちゃんの歌を皆で歌ったのかな。


ちょっと ちがう(こねこ ななこ)

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東京新聞に掲載されたお母さんの言葉

「クラスのみんなも娘の急死がショックだったと思う。歌で心が癒やされるなら、うれしい」と母親は友だちのことをおもんぱかる。そのクラスメートたちも来春には小学校を卒業する。「それまでに、にしむらさんと一緒に歌える機会ができたら、親としてもうれしいですけど」と話している。


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食物アレルギー医師書類必須に 3月10日 17時42分 NHKニュース


学校での食物アレルギーへの対応について検討してきた文部科学省の有識者会議は10日、報告書をまとめ、医師の診断に基づいた対応を進めるため、症状や学校での注意点が書かれた書類を必ず提出するよう保護者に求めていくことを決めました。


文部科学省の有識者会議は、おととし12月、東京・調布市で食物アレルギーのある女子児童が給食を食べたあとに死亡した事故を受けて、再発防止策を検討してきました。


10日まとめられた報告書では、食物アレルギーがあるとして保護者が学校に届け出ている子どもは45万人余りに上っているものの、医師の診断書などが提出されているのは20%余りで、症状を正確に把握できていない可能性があると指摘しています。


このため、今後は医師が診断し、症状や学校での注意点などを書いた「学校生活管理指導表」という書類を必ず提出するよう保護者に求めていくことを決めました。


また、文部科学省がアレルギー対応の新たなガイドラインを定めたり、教職員の研修に使う教材を整備したりするほか、各地の教育委員会ごとに指針を作ることも盛り込まれました。


報告書の内容は、教育委員会を通じて各学校に伝えられ、来年度からこの方針に基づいた対応を進めるということです。


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食物アレルギー 申告書提出徹底 文科省、教委に通知へ 2014.3.11 10:11 MSN産経ニュース


文部科学省は10日、給食の際に、卵や乳製品などの食物にアレルギーのある児童・生徒の事故を防ぐため、学校側に児童らの疾患の種類や程度を正確に把握するよう求める方針を決めた。


 重篤な症状の経験がある児童らのうち、医師の診断に基づく申告書を保護者が提出している割合は4割弱にとどまっており、近く都道府県教育委員会に提出の徹底を通知する。


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「全教職員、注射薬研修を」 食物アレルギー対策 2014年3月11日05時46分 朝日新聞 岡雄一郎


学校での食物アレルギー対策を考える文部科学省の有識者会議が10日、給食時のチェックや教職員向け研修の強化などを求める報告書を大筋まとめた。4月に全国の学校向けに通知する一方、教職員がより使いやすい簡易版ガイドラインの作成を始める。


 報告書では、行政や学校が取り組むべき対策を挙げた。文科省には、給食での留意事項をまとめた指針や、教職員研修で使うDVD教材の作成などを指摘。学校や調理場には、症状を抑える注射薬「エピペン」を全教職員が扱えることをめざした研修の拡充や、保護者への情報提供などを求めた。


 また、給食などで特別な対応が必要な子どもに関しては、医師の診断に基づく「学校生活管理指導表」の提出を原則、義務化した。症状の有無が不明なまま保護者の求めで特別対応をする学校もあるが、必要な子どもに対応を絞る狙いだ。子どもへの食物アレルギーに関する指導も増やす。


 医師や教師らでつくる有識者会議は、2012年末に東京都調布市で小5女児が学校給食後に死亡した事故を受けて、昨年5月から新たな対策を検討した。文科省の昨夏の全国調査では、公立小中高校が把握する食物アレルギーのある子どもが全体の4・5%だったことも明らかになった。(岡雄一郎)


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こちらは東京新聞に掲載された「母はあなたを誇りに思います」。震災で亡くなった息子さんへの想い。私達は同じ母親。お母さんの言葉に目頭があつくなった。いつの日か、避難道路にハナミズキが満開に咲くことを願っている。



ハナミズキのみちハナミズキのみち
(2013/05/31)
淺沼 ミキ子

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内容紹介

わすれない3.11
いのちの道をつなげたい

NHKニュースウォッチ9紹介で話題に
東日本大震災の津波でわが子を亡くした母の切なる思いが一冊の絵本に

どこまでも続く ハナミズキの花
いのちをまもる ハナミズキのみち……

津波で息子を失ったあと、ねむれない日がつづき、胸が苦しくなり、呼吸困難になることが何度かありました。
どうしても会いたくて、会いたくて、泣いてばかりいた日々。
そんなある日、息子の声が、わたしの耳にはっきりときこえてきたのです。
そうだ、わたしには後世につたえていく大きな役割があるんだ……。
「いのちを守る木を植えたい」
亡き息子の声におしえられて、わたしは今日も生かされていることに感謝しました。

淺沼ミキ子


東日本大震災3年 追悼式 母はあなたを誇りに思います 2014年3月12日 07時01分 東京新聞


東日本大震災から三年の十一日、犠牲者を追悼する式典が全国各地で開かれた。東京都千代田区の国立劇場で開かれた政府主催の式典には、天皇・皇后両陛下や安倍晋三首相、国会議員、遺族ら約千二百人が参列。地震発生時刻の午後二時四十六分、全員で一分間の黙とうをささげ、冥福を祈った。


 舞台にしつらえられた祭壇に向かい、岩手県陸前高田市の浅沼ミキ子さん(50)、宮城県東松島市の和泉勝夫さん(69)、福島県双葉町で被災した田中友香理さん(27)がそれぞれ遺族代表として、癒えぬ悲しみや生きていく決意の言葉を述べた。


◆思い継ぐハナミズキの避難道


 「大好きだった陸前高田の人たちを、守りたかったでしょう」。岩手県の遺族代表浅沼ミキ子さんは、津波で亡くなった長男健(たける)さん=当時(25)=に向けて言葉を紡いだ。普段から「地元が好き」と言い、当時は陸前高田市の臨時職員。四月の本採用が決まっていた。住民を避難場所に誘導した後に、津波にのまれた。


 震災から三カ月がたったころ、浅沼さんは夢枕に健さんの声を聞いた。「海から高台に向かう避難道路にハナミズキを植えて」。ハナミズキの花言葉は「私の思いを受けてください」。「避難する時に道が一目でわかるように」という、健さんの故郷への祈りだと受け止めた。


 息子の「願い」を実現しようと昨年五月、仲間と「ハナミズキのみちの会」を立ち上げた。絵本「ハナミズキのみち」(金の星社)も出版した。「おかあさん、おねがい。ハナミズキの木を、たくさんたくさんうえてね。町の人たちがもう二度と津波でかなしむことがないように、ぼくは木になったり花になってみんなをまもっていきたいんだ」(絵本から)
 

 現在、市が整備する予定の避難道路の街路樹をハナミズキにするよう求める署名は、五千筆を超えた。共に活動する会事務局の荒木奏子(そうこ)さん(42)は「三年頑張っても街の復興は見えず、精神的にきついと感じている人も多い。時間をかけて進めたい」と話す。絵本は、読者からの反響も多く、すでに四刷を重ねている。


 追悼式で浅沼さんは「あなたが大好きだったこの街を、安心して暮らしていける街になるように、復興へと歩んでいきます」と、誓った。「母は、あなたを誇りに思います。私たちのもとに生まれてきてくれたこと、ありがとう」と語りかけたときには、涙声になった。 


(杉戸祐子)


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2014/02/20

学校の給食アレルギー対策

今日は学校で保健に関する保護者向けの説明会が開かれたので参加した。給食アレルギーへの対応について説明があると手紙に書いてあったからだ。


第一印象は、考えている以上に少ない予算でアレルギーに対応しているんだなあ、ということだった。除去食を作るスペースなんて私の家とあまりかわない。使っている調理道具の種類と数も・・・。これで毎日がんばっているんだと思うと、何ともいえない気持ちになってしまった。


「死亡事故が起きてから、一番改善された点はどこですか」と質問してみた。先生をはじめ校医の先生はちょっとびっくりしたかもしれない。かなり改善されていると思うのだが、私のように関心がなければ、どこがどんな風に改善されたかがわからないだろうと思ったからだ。


校医の先生は私と校長先生のやり取りを聞いておっしゃっておられた。「基本的に子供には自分の身は自分で守るように親が教育したほうがいい」と。私もそうだと思っている。しかし、校長先生に以前伺ったらお子さんに、「食物アレルギーだと伝えたくない」という親御さんがおられるそうだ。そういうお子さんにはどう対応したらいいんだろう?


校医の先生は「エピペンは万能ではない」ともおっしゃっておられた。たぶんそうなんだろうと思う。ただ市の報告書にあるように、研修を受けていたにもかかわらず、早い段階で投与できなかったのだから、教員や学校は責められても言い訳が出来ないのも事実だ。「教員は子供を無事に家に帰すのが仕事なんだからそれが宿命だ」と夫が言っていた。


では、事故を起こさないよう、「エピペンは万能ではない」という前提にたって重度のお子さんは、お弁当にした方がいいんだろうか。


友人が重度のアレルギーのお子さんがいるお母さんを紹介してくれたのでお話を伺った。お母さんは私がお弁当のほうがいいのか聞いたら教えてくれた。お子さんは皆と同じ給食が食べられた時「本当に幸せ」と言ったそうだ。こういうお子さんのために文科省は通達を出してくれたんだろう。私まで嬉しくなった。子育てで苦労したことがなければ、他の子供の病気に関心などいかないかもしれない。


ただその一方で、先生の仕事と責任が確実に重くなっている。私はとても気になってしまう。重くなったということが知られていないからだ。教員の妻でもない限り、教員の労働環境にあまり関心がないかもしれない。私は、命を守るためには、教員がここまでするのが当たり前、となっていくのがいいのかよくわからないのだ。


お母さんに聞いたら、軽度の親御さんと重度の親御さんとでは温度差があるから、声をかけても一つにまとまれないそうだ。


プラント・エンジニアリングの世界には、想定されるリスク要因を徹底的に排除してもなお起こる「ビヨンド・コントロール」(制御不能な事態)という概念があるそうだ。アルジェリア人質事件の時、多くの方が献花に来てくださったのはこれまで行ってきた「ビヨンド・コントロール」について、正しい報道がなされたからだろうと思っている。


学校の給食アレルギー対策を考える時、「ビヨンド・コントロール」とはどうすべきなんだろうか。マスメディアは再び救急搬送があれば「また事故」と報道するだろう。


深く考えてしまうのだ。


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増える子どもの食物アレルギー  アナフィラキシー発生が9年で5倍増!2014/02/20 12:00


2012(平成24)年12月に、東京都調布市立の小学校で学校給食を食べた女児が、急性アレルギー反応の「アナフィラキシーショック」で死亡した事件を覚えているかたも多いだろう。何らかのアレルギーがある子どもを持つ保護者にとっては、決して他人事ではない。実際に、食物アレルギーがある子どもはどれくらいいるのだろうか。最新の調査結果をもとに、教育ジャーナリストの斎藤剛史氏が解説する。

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文部科学省は、小学校から高校までのすべての公立学校を対象に、食物アレルギーなどの実態について調査をしました。2013(平成25)年8月現在で、乳製品やソバなど何らかの食物アレルギーがある子どもの割合は、小学校が4.5%、中学校が4.8%、高校が4.0%となっています。

2004(同16)年に実施された同様の調査の結果と比較すると、食物アレルギーのある子どもの子ども全体に占める割合は、2.6%から4.5%へと1.7倍も跳ね上がっています。さらに、調査対象となった子どもの全体数を同一と仮定して計算をし直すと、9年の間に食物アレルギーがある子どもの数は37.8%も増えた計算になります。

アレルギー反応による呼吸困難など、「アナフィラキシー」症状を引き起こしたことがある子どもは全体の0.5%。2004(同16)年の調査では0.14%でしたから、約5倍も増えています。より重篤な「アナフィラキシーショック」に進行すれば死に至ることもあるのは、調布市の事件が示しており、アナフィラキシー発生の割合が増加している事実は見過ごせません。

アナフィラキシーの際に使用する、自己注射薬「エピペン(R)」を保持している子どもは全体の0.3%。保護者から医師の診断書などの提出が学校にあった割合は、食物アレルギーのある子どもの21.4%で、これはアナフィラキシーを起こした子どもの37.1%、「エピペン(R)」保持者の子どもの30.8%に過ぎません。アレルギーについては、学校関係者と同時に保護者などの意識の向上も望まれます。

出典:食物アレルギーの子どもの割合が9年間で約2倍に‐斎藤剛史‐―ベネッセ教育情報サイト


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