2015/02/27

下村博文文部科学大臣の「違法献金」報道を読んで

2015年2月25日、リテラというサイトに、翌日26日に発売される「週刊文春」に下村博文文部科学大臣の疑惑について、決定的な情報がのる、という情報が流れていた。


西川農水相に続き下村博文文科相にも脱法献金疑惑が!? 暴力団系企業との関係も リテラ 本と雑誌の知を再発見 2015.02.25

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「永田町では、『週刊文春』の今週発売号で決定的な記事が出るらしい、という噂が流れています。下村大臣といえばずっと教育族として政治活動をしてきた人物ですが、今回、教育産業からのあやしい献金がいろいろ出てきているらしい。中には斡旋収賄の疑いもあるのでは、といわれています」(自民党関係者)


 実際、下村文科相には以前から、教育産業との癒着が指摘されてきた。2013年には、進学塾や予備校などの関連企業から7年間で1300万円近い献金を受け取っていたことを「赤旗」で報じられた。これら献金企業の中には、小泉政権時代、下村が教育特区担当者として推し進めた規制緩和の恩恵にあずかっていた教育系企業が多数含まれていた。


 また、見逃せないのは総合教育サービス企業「成基コミュニティグループ」から多額の献金を受けていることだ。同グループの代表・佐々木喜一氏は安倍政権下で下村文科相の担当する教育再生実行会議の委員に抜擢されている。これは明らかに、利害関係企業からの献金といえるだろう。



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ちょうど川崎で中学生が殺されるという痛ましい事件がおきたばかり。離婚も原因の一つではないか、と噂されていた。親が離婚した子供達へのケアってできないものなのかな、と考えていた私は興味があった。家にいたくないなら、せめて安全な居場所だけでもあればいいのに・・・。


ブログに綴ってきたように、本当に支援が必要な人のところに、なかなか手がさしのべられないからだ。


早速文春を買って読んだら・・・。いつもと同じような構図がそこにあった。こうやって、教育とか医療とか、お友達同士で決めてしまうんだ。本当に才能があったり、支援が必要な人のところには、やっぱり光が当たらないようになっているんだな、と悲しくなった。献金が違法か違法じゃない、というよりも、教育に携わる政治家が特定の方達のほうを向いていることがいいことなのか。そして私はなんでも民間がいいとも思わない。株式会社というものは、どうしても株主のほうを向くものだと思うからだ。


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文春の記事をまとめてみた。


まず下村博文氏について。


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下村博文 wikipedia より引用

日本の政治家。自由民主党所属の衆議院議員(7期)、文部科学大臣(第18・19代)。群馬県高崎市(旧倉渕村)出身。内閣官房副長官、文部科学大臣政務官、法務大臣政務官などを歴任。自由民主党では副幹事長、国会対策副委員長、広報局次長、新聞局次長、議院運営委員会理事などを歴任。あしなが育英会の元副会長。

【生い立ち】

1963年、小学3年生の時に父親が飲酒運転違反の単独事故で死去。その後、母がパートをして3人の子供を育てる。交通遺児育英会の交通遺児奨学生第1期生となり、群馬県立高崎高校に進む。早稲田大学教育学部に入学後、早稲田大学雄弁会に所属した。4年生の時、友人らと共に小学生対象の学習塾「博文館」を開設。

【地方政界にて】

1985年東京都議会議員選挙・板橋区に新自由クラブから出馬、落選。4年後の1989年東京都議会議員選挙に民社党・社民連・進歩党推薦の無所属候補として初当選。1993年東京都議会議員選挙に自民党から出馬、当選(2期目)。

【国政にて】

1996年、第41回衆議院議員総選挙に自民党から出馬し、初当選。以降7期連続当選。

文部科学政務官、自民党教育再生実行本部長など文教族として重きをなしていく。塾経営で得た人脈が、その後の政治活動の礎になる。




学習塾の経営者などを中心とした後援会が組織化されていった。学習塾には教育業界の中で日陰の存在だった。下村氏は、塾業界人の期待を背負った、業界はじめての国会議員だった。


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次は、政治団体としての届け出がされていないという『博友会』について。


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【『博友会』は政治団体ではないのか?】

  • 1992年から事務局長を務めるのは田島教育グループ代表田島秀恭氏

  • (東京)博友会の代表は設立当初から楽天球団オーナー代行井上智治氏。所在地は形式上田島氏の会社

  • 主な活動は、年に6回ほど講演会を開き、秋に一度資金集めのパーティーをする


【現役古参幹部の証言】

  • 東京を含め、各博友会は同根の組織で、これらをまとめる組織として『全国博友会』がある。

  • 『全国博友会』の会長は、『近畿博友会』の会長も務める、元学習塾経営者のM 氏。

  • 当初年会費は一律4万8 千円だったが、M 氏の提案で、各会がそれぞれ自由に年会費を納められるようになった

  • M 氏は、下村氏が講演会をする時には、最低でも30万円渡すよう各地の幹部に指示。(下村氏の報告書には、記載されていない年もある)

  • M 氏の『近畿博友会』は、年会費とは別に30万円の会費を集めて別格扱い




  • M 氏に反発した若手が、『博友政経教育研究会』を組織した。中部にも若手を中心に新たな組織ができたが、下村氏を講師に招いた際の講演料が少なかったせいでそれ以降、下村氏は参加せず

  • 選挙で当選する度に十数万円を納めなければならず、各博友会は頭を悩ませていた



【M 氏について】

  • 塾経営に失敗したため、下村氏が頼みの綱だった

  • 第一次安倍内閣の発足前、安倍政権になれば下村氏が文科大臣になるはずと、塾経営者を中心に『次期文科大臣とツーショットがとれる』と、講演会に誘っていた




参加する塾経営者にとって、写真があれば、地域での信用力や認知度を高めることができるため、数万円なら安いものだった



(資金集めのために)いつしか暴力団関係者とのつながりができていく


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中部博友会の会長を務めた方については「・・・」。新聞報道があったのは事実みたいですね。


教育企画


最後に塾業界関係者の証言が記載されている。


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【下村氏の考え方について】

『学校が全部解決できるという発想は捨てた方がいい。学校は最低限のことだけをやればいい。それ以外は塾が引き受ければいい』と語っており、学習塾やNPO法人に学校法人化の道を開き、株式会社化の道を開き、株式会社が学校法人を設立できるよう「教育特区」の実現に尽力。

大臣になってからも、公立学校の運営を民間に委託する『公設民営学校』制度に前向きな姿勢を示している。自治体所有の校舎などが利用でき、少ない元手で塾経営者が参入できることから、塾業界にとっても利益がある。


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検索してみたら、その他にも「サイバー大学」に関するこんな噂(?)もあるようだ。「『(下村大臣がソフトバンクの孫正義氏に留学支援の寄付をお願いしに行ったところ)わずか10分間で会社から10億円、孫氏個人から10億円の合計20億円の寄付を申し出た』とおっしゃった」と書いてあってびっくり。


サイバー大学と孫正義氏と下村博文文科省大臣 タンポポ日記


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下村文科相「違法性なく今後も説明尽す」 NHKニュース 2月26日 20時55分


下村文部科学大臣は記者団に対し、みずからを講演に呼んでいる任意団体が、政治団体として届け出ておらず、不透明な資金の流れがあるなどと一部で報道されたことについて、「単なる誹謗中傷で強い憤りを感じる」と述べたうえで、違法性はないとして今後も説明していく考えを示しました。


この中で下村文部科学大臣は、みずからを講演に呼んでいる任意団体が、政治団体として届け出ておらず、不透明な資金の流れがあるなどと一部で報道されたことについて、「事実確認をしっかりとしないまま違法献金だと報じており、単なる誹謗中傷で強い憤りを感じる」と述べました。


そのうえで下村大臣は「きょうの衆議院予算委員会で質問され、説明できる機会だったので非常によかったと思う。何ら法的に問題がないことなので、これからもそういう話があれば、詳しく説明したい。直接、政治資金を出してもらったり、パーティー券を買ってもらったりはない。講演料とかいわゆる車代は一切もらっていない」と述べ、違法性はないとして今後も説明していく考えを示しました。


また、下村大臣は「任意団体ということで、私も秘書も内容には一切タッチしていない。独自にやっている。ちょっと誤解があったのは、『博友会』という名前を使ったことだ。東京の『博友会』は、政治資金規正法にのっとって届け出ている団体で、同じ名前だと誤解が生じるということは反省点としてある。政治団体として届け出たほうがいいのではないかという議論が、任意団体の中でされているということなので、そういうことであれば、ぜひそうしてもらったほうがいいかもしれない」と述べました。


さらに、下村大臣は、任意団体への年会費が、下村大臣が代表を務める自民党の支部への寄付として処理されていたという報道について、「領収書の但し書きに、年会費と書かれた領収書があるということだが、事務所に確認したところ、過去にそのような但し書きをした領収書があったことは事実だということが分かった。相手のご要望で、但し書きには年会費と書いてくれというようなことがあって書いたという記憶があるというのが事務方から上がってきているが、やはり適切ではないので、そのような但し書きは現在ではしていない」と述べました。


菅官房長官「違法性なく問題ない」

菅官房長官は午前の記者会見で、「具体的な事実関係については承知していないが、けさ、下村文部科学大臣から報道されている内容について、『違法なものは一切なく、国会の場でしっかりと説明を果たしていきたい』と報告があった。予算委員会での審議で説明されており、説明責任は十分、果たされたと思うし、違法性について全く問題ないと考えている」と述べました。


そのうえで、菅官房長官は、記者団が政権運営に与える影響について質問したのに対し、「そこは全くない。違法性はなく、しっかりと説明責任を果たしたと思う」と述べました。


民主「説明責任問われる」

民主党の高木国会対策委員長は、記者会見で、「大切な文部科学行政、しかも教育再生や、東京オリンピック・パラリンピックの担当大臣が、疑惑をしっかりと説明する責任は当然、問われていると思う。この問題は、あすを担う子どもたちのためにも大切なテーマなので、今後の質疑の中で取り上げていく」と述べました。


公明「説明責任果たすべき」

公明党の漆原中央幹事会会長は、記者会見で、「政治とカネの問題は、国民が、一番、政権を判断しやすい材料だ。疑惑を持たれた閣僚は、みずから積極的に説明して、疑惑の解消に努め、国民に分かるように説明責任を果たすべきだ」と述べました。


維新「首相が直接説明を」

維新の党の江田代表は、記者会見で、「法律違反の疑惑が指摘されているのであれば、それに対する説明責任を果たすのが基本だ。清廉潔白であれば、国民は納得すると思うので、つまびらかにしていただきたい。当然、安倍総理大臣の任命責任もあり、危機管理は、どうなっているのかという疑念を招いていることは事実だ。そうではないとおっしゃるなら、安倍総理大臣から直接、説明をしてもらわないといけない」と述べました。


共産「国会で対応する」

共産党の志位委員長は、記者会見で、「下村大臣は、提起されている疑惑に対し、国民への説明責任をきちんと果たすべきだ。『博友会』という名前のついた組織が、政治団体としての実態があるのか無いのか、また、お金の力で文部科学行政がゆがめられている事実があるのか、納得のいく説明が必要だ。下村大臣の政治とカネにまつわる問題はかねてから取り上げてきたので、国会で対応していく」と述べました。


社民「総辞職に値する」

社民党の又市幹事長は、記者会見で、「真っ黒ではないかという印象で、下村大臣は、みずから説明責任を果たすべきだ。自民党の金権腐敗体質は、何も変わっていないということであり、その体質の改革さえできない人が、総理大臣として、『戦後以来の大改革』などと叫ぶ資格はない。政治不信をまき散らす内閣は、総辞職に値すると思わざるをえない」と述べました。


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塾・予備校業界との癒着…下村文科相がむさぼる「教育利権」 日刊ゲンダイ 2015年3月1日


下村博文文科相の「違法献金疑惑」は拡大の一途だ。完全否定していた後援会組織「博友会」からの宿泊費や車代の受領も発覚。言い訳するほどボロが出てくるが、ナゾなのは一介の塾経営者だった下村大臣の後援組織が全国各地につくられたことだ。背景にはドス黒い癒着構造が横たわっている。


■後援組織を全国に拡大


「政治団体として届け出ている東京の『博友会』の会合はもともと、東京プリンスホテルの小宴会場で年に数回、こぢんまりと開かれていました。十数年前の当選2期目の頃まで、出席者は確か20~30人ほどでしたね」


 当時の出席者のひとりはそう振り返る。下村大臣にとって政治活動を拡大する転機は03年。小泉政権下の構造改革特区で塾や株式会社による学校経営が可能になったことだ。


 下村大臣は早速、04年1月の衆院予算委で「特区学校法人の問題等々について積極的に取り組んでいただきたい」と要請。その後、文部科学政務官に就き、「教育特区」の旗振り役を担う立場に。第1次安倍政権で官房副長官に就任すると、塾や予備校経営者との関係を急速に深めていった。


「下村さんは05年に全国の塾や予備校経営者でつくる『学校設置会社連盟』(現・新しい学校の会)の顧問に就きました。この年、連盟加盟の5社が、下村さんが代表を務める自民党支部に計69万円を献金しています。少子化で塾や予備校の将来はジリ貧になり始め、業界は塾や企業による『公設民営』学校に活路を見いだそうとしていたのだと思います」(文科省担当記者)



 下村大臣の政党支部は昨年、文科省から補助金を交付された学校法人から寄付を受けたとする収支報告書(13年分)を訂正。当該の学校法人の代表者は「新しい学校の会」の理事で、13年には他の理事や副理事長も、個人名や経営する学校法人名で政党支部に3万~6万円を献金している。


 つまり、下村大臣はジリ貧の塾・予備校の「族議員」として力をつけ、「博友会」も全国規模に拡大。12年には東プリで「全国博友会」の初会合を開催するまでに至ったのだ。


■教育行政を食い物に


 さらに第2次安倍政権で文科相に就いた下村大臣は、13年9月の戦略特区をめぐる会議でも、学校の公設民営について「認める前提で、対応を検討する」と意欲マンマンだった。東海地方初の塾立経営の「名進研小学校」を設立した「教育企画」の豊川正弘代表が、下村大臣の支部に4万8000円の献金をしたのもこの年。豊川氏は、指定暴力団山口組弘道会の資金源とされる風俗業者に6億円を融資していたことが判明している。


 国会で一連の問題を追及している民主党の柚木道義議員はこう言う。


「献金の原資は、塾や予備校に通う子どものために保護者が懸命に働いて捻出したお金です。下村大臣は教育行政を食い物にしているとしか思えません」


 国会では今、超党派の「フリースクール等議連」による議員立法に向けた動きも始まっている。会合には下村大臣も出席し、法案成立に前向きな姿勢を見せているが、これも「怪しい利権」と結びつかないか心配だ。


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2015/02/26

日本経済新聞 『私の履歴書』を読んで その1 利益相反について

重久吉弘さんの『私の履歴書』をかかさず毎日読んでいる。「魑魅魍魎」などと書かれていたけれど、それだけスケールの大きい立派な仕事をしてきた方だな、と思う。私の最大の不幸とは、(幸運かもしれないけれど)こういう人、考え方が当たり前だと思って生きてきたことにあるのかもしれない。


遺族のためのケアを考え時、私が一番大切にしていきたのは「裁判はいけない」などの考えを持たず、無心で接することだった。「ありがとう」などという言葉など、求めたこともない。泣いている人がいたら、どうすれば笑顔になるのか、はじめはそこから考えた。


そのためには、お渡しするお金には政治的なメッセージ、利益相反はできるだけないほうがいいと思う。なぜなら、遺族にとってのちのち心の負担になるかもしれないからだ。


お金を受け取ったことで言いたいことが言えなくなる、ということはできだけ避けたいものだ。利益相反の中には、なかなか社会に見えないものがある。お金を渡す側は熟考すべきだ。


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●第五章 癒着をひきはがす処方箋

◆その1 “見えざる利益相反”との闘い  神経内科医/TIP正しい治療と薬の情報代表 別府 宏圀 より引用


たとえば、同じ学閥、同じ医局の出身者が他の医師・研究者を排除するような行為。学会の権威筋が他の学説を力で押さえ込むような圧力。医療過誤訴訟の原告や薬害被害者に対する感情的な誹謗・中傷なども心情的利益相反にあたるでしょう。


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『私の履歴書』の中で、特に印象に残ったエピソードや言葉を書き出して、記録していこうと思う。


一番はじめは、連載8回目。「事故対応で通じた誠意」。1967年10月、韓国の大韓石油公社(現SKエネルギー)蔚山製油所で、常圧蒸留装置の建設中に起きた事故について触れた部分だった。


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日本経済新聞 『私の履歴書』 重久吉弘 「事故対応で通じた誠意」 韓国赴任 納期遅れ最小限 取引先驚く より一部引用


蒸留塔の事故で私は三つのことを学んだ。


ひとつ目は、誠心誠意。


事故処理や遺族との補償交渉は、反日感情の強い時代だけに罵倒されたり、ネクタイをつかまれたりと激しかった。私はただただ忍耐し、誠意を尽くし続けるしかなかった。実は事件直後、私は現地責任者として警察の取り調べも受け、留置場で数夜を過ごした。「なんで自分がこんな目に遭うんだ」と恨む気持ちがなかったといえばウソになる。事故の処理が済むのに1年半かかった。遺族の方は最後には私の手を握って感謝してくれた。


2つ目は、組織の力量だ。


倒れた蒸留塔はつくり直さざるを得なかったが、社内と協力会社が不眠不休で働いてくれ、納期遅れは1カ月未満ですんだ。これには先方が驚いた。米欧の会社なら遅れは当然だったのだ。仕上がりも評価された。組織は緊急時にこそ力量が試される。事故後も韓国で受注が続いたのは「禍を転じて、ブランド力となす」ことができたからだろう。


3つ目は、事故原因だった。


蒸留塔の最上部にはクレーンをかけるための金具が用意されており、本来なら十分な強度があった。ところが現地に運び込んで、クレーンと合わせてみるとサイズが合わない。仕方なく現場判断で金具を削って穴を広げた。これで強度が低下したのだった。「安易な対応は致命的な失敗につながる」。エンジニアリング業界では常に肝に銘じなければならないことだ。



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思い起こせば、今から10年ほど前。


世間を騒がせたある事件があり、私は一年間、自宅に帰らなかった。手錠姿で連行される男性社員の姿がどうしても許せなかったからだ。その男性の歳から察するに、彼には小学生ぐらいのお子さんがいるだろうと想像した。奥さんと子供は、どんな思いでテレビ画面を見つめているのだろうか。私はたまらなくなり「利益を確保するためにこんな仕事をさせているのか」と父をなじったのだ。


こういう事件を経験してきたから『利益相反』を重く考えてきた。極端にいえば、「利害関係者から、お金を受け取ったら最後」という気持ちが私にはある。


事件からちょうど一年ぐらいした頃、横浜のみなとみらいに家族で出かけた。車を止めた駐車場が、たまたま日揮のビルのあるクイーンズスクエアだった。


クイーンズスクエアの目の前には遊園地があり、家族三人で大きな観覧車に乗った。窓から外を見ると、父の会社が目の前の大きく見える。あの頃は、アルジェリア人質事件もなかったから、何をしている会社なのかよくわからず、きっと悪いことをしてお金儲けをしていると思い込んでいた。


でも。


窓の外に広がる大きなビルを見た時に、丸の内にあった古いビルが、いつのまにかこんな大きなビルになっている。すごいな、と思う気持ちが私の中に出てきた。あの時、私も文句ばっかり言っていないでがんばってみようと、と思った。同じようなビルを建てるのは難しくても、心の中に建てることはできるはず、と。



2015/02/23

なぜ今、神奈川県が注目されるのか  〜『医療』とは政治や経済と深く結びついて動くもの〜

●今の日本の医療は、20年前のアメリカにそっくり これから様々な問題が噴出し社会問題化するはず

もう少しお休みしようと思っていたら・・・なぜかアクセス数が急増している?


2月19日にご遺族が記者会見をしておられた東京女子医大のプロポフォール大量投与のニュースに心が痛んだ。東京女子医大のニュースと、このブログへのアクセス数の増加とはきっと関連があるのだろう。


昨年友人の医師が私に言っていた「日本の医療の現状は、20年前のアメリカにそっくり。これから様々な問題が噴出し、社会問題化するはず。僕達は勉強しない医師まで守る必要があるのか?そんなことをしていたら、日本は世界からどんどんおいていかれるよ」という問いかけを思い出す。


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東京女子医大病院医療事故 父親「息子は実験で殺された...」(フジテレビ系(FNN)) 2月19日(木)18時32分配信
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東京女子医大病院で2歳の男の子が死亡した医療事故で、両親が警視庁に告訴状を提出した。亡くなった男の子の母親は「わたしたちの息子は、実験台として使われて亡くなったのかと思いました」と語り、父親は「(息子は)病院の実験で殺されたと思います」と語った。
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●医療を産業にという動きが加速している


アクセス数が増えるもう一つの理由は、「医療を産業に」という政治の動きがあるから。このブログが追い続けてきたことに、注目が集まっているのだと思う。


『集中』というサイトがある。主に、医療とその周辺に関する情報が発信されている。リアルタイムで政治の動きがわかるから面白い。


●私が医療情報誌『集中』の記事に注目する理由


病院経営者のための月刊医療情報誌『集中』&『MediCon』/ 集中出版社

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最近私の周りには「私は『集中』の記者さんを知っているよ」とか「編集長が、こんなことを言っていた」などと教えてくれる人がいる。どんな方が記事を書いているのかしら・・・。


つい先日、その『集中』にこんな報道があったばかり。なるほど、だから訪問者が増え、雲の上の方々も関心を持っておられるのね。

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厚労族の頭越しに医療政策を決める首相官邸 ー集中 2015年2月16日 21:45 より一部引用

厚労省と自民党の関係は「官高党低」

 「予算だけでなく制度改正の扱いでも、党側の意見が反映されにくくなった」と語るのは、別の厚労族議員だ。
 「厚労省が持ってきた医療保険制度改革の骨子案には、協会けんぽの国庫補助率や入院時食事療養費といった項目について大きく『調整中』と書かれていた。いずれも自民党内で異論の強かったところである。そうしたら、厚労省は平然と『実際には決着済みです』と言い放つではないか。これには、こちらも『どういうことか』と怒りを覚えたが、厚労省からはっきりとした答えはなかった」と続ける。

 「厚労省と財務省が結託しているというより、首相官邸の鶴の一声があったのだろう。それにしても、党の頭越しに決められていくという今のやり方はいかがなものか」と憤慨しているのだ。

 こうした自民党議員たちのいら立ちに、厚労省中堅幹部は困惑気味だ。「昨年11月に我々が出そうとした医療保険制度改革案は、後期高齢者医療制度の保険料軽減の特例措置廃止をめぐって自民党の強い反発に遭い、提出断念に追い込まれた。今回、自民党との間でもめそうなところを『調整中』としたのは、二の舞を避けるためだった」との釈明である。

 一方で、別の厚労省幹部は「改革案に全てを書き込み、与党に了承を求めてもうまくいかなかっただろう。『調整中』としておけば、自民党の先生たちも『我々は認めたわけではない。政府に強引に決められてしまった』と言い訳ができるだろう。今回の予算編成は昨年末の衆院選によって時間的余裕がなかった。お互いが傷つかず、スムーズにまとめ上げるための知恵だ」とそっぽを向いた。明らかな「官高党低」である。

 なぜ、こうも政治力学が変わってしまったのか。
 その理由について、厚労省幹部は「医療保険改革についても、介護報酬改定についても首相官邸の偉い人から突如として強い指示が下りてくる」と明かした。

 「首相官邸から指示があれば、厚労省の役人としては従わざるを得ない。安倍(晋三)政権の誕生以降、官邸のパワーが相対的に強まり、自民党の影響力が弱まったと感じていたが、いよいよ自民党の偉い先生方にお伺いを立てて決めるというやり方では通用しなくなったということだ」と言うのだ。

 事情に詳しい永田町関係者の指摘はさらに明快だ。「首相官邸の力が強まったのは、多くのメディアが書いたように衆議院選に大勝したことが大きいが、理由はそれだけではない。むしろ、要因は内閣人事局だ。今回は内閣人事局が発足して初となる予算編成だ。人事権を首相や官房長官に完全に握られた官僚たちが、意向に逆らえるわけがない」との分析である。

 これについて、厚労省OBが「どこの省庁にも官邸から次々と指示が飛んでいると聞く。現役の官僚諸君は、実質的に霞が関全体の人事権を握った菅(義偉)官房長官を極度に恐れている」と解説を加える。
 
ある経済官庁の幹部が重い口を開いた。
 「みんな、『余計なことを言って菅長官の耳にでも入ったら大変』と思っている。真相を直接確かめたわけではないが、昨年、政府方針に異論を唱えた某省の局長が、菅長官から『辞めてもらっても構わない』とすごまれたとうわさが流れた。『物言えば唇寒し』だ」


菅官房長官の威光かさにする財務省

 冒頭の自民党の厚労族中堅議員は心当たりがあるようだ。
 「最近、厚労省の局長たちは守りに入った発言を繰り返すことが多くなった。自ら社会保障費の抑制を言いだす始末だ。自分の出世のためというより、首筋が寒く感じているのだろう。官僚が出過ぎたことをするのは論外だが、だからといって何も言えないような雰囲気も良いものではない」と語った。

 安倍官邸に権力が集中している状況について、前出の政界関係者は「これこそ財務省の思うつぼだ」と指摘する。「菅長官も、圧倒的な情報収集能力を誇るスーパー官庁の財務省だけは特別扱いのようだ。財務省にとって社会保障費の抑制は最大の懸案である。菅氏の威光をうまく使いながら、自分たちの査定シナリオを厚労省に押し付けていこうということだろう。しかし、その財務省ですら、統一地方選向けのバラマキ予算を確保するよう官邸から無理難題を押し付けられて弱ったと聞く」とも付け加えた。

 しかし、安倍政権と距離を置く自民党議員たちは「これだけ選挙に大勝した政権に、正面を切って文句を言うやつなどいない」と腰砕けの様子である。「外遊に夢中の安倍首相は留守がちだ。まるで『菅内閣』である」(閣僚経験者)と皮肉を言うのが精いっぱいだ。

 とはいえ、自民党内には「菅さんは国家戦略特区における医学部新設などにも意欲的に取り組んでいるようだが、強引さが目に余るようならば、我々としても黙ってはいられない」(厚労族議員)といった不満も渦巻いている。「内閣人事局をつくる時『政治主導をはき違えることがあってはならない』との懸念があったが、議席を多く取ったときほど、政権は謙虚であるべきだ。いつまでも自分たちのペースで政権運営ができると思ったら大間違いである」(中堅議員)といった批判も聞こえる。

 安倍首相は1月5日の年頭会見で「今年は、あらゆる改革を大きく前進させる一年にしたい」と意気込みを示したが、多くの族議員が警戒感を持って安倍内閣の政権運営を見詰めている。
 〝仕事師〟として鳴らしてきた菅長官がその政治手腕にますます磨きをかけるのか、族議員や官僚の巻き返しはあるのか。しばらく、水面下での駆け引きが続きそうだ

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●私が神奈川県の動きに注目する理由 菅官房長官は黒岩祐治神奈川県知事と仲がよいから

もう少し説明を加えると、菅官房長官といえば黒岩祐治神奈川県知事と仲がよいことで知られる。その、黒岩神奈川県知事といえば知事がメンバーを選んだとされる『神奈川県予防接種研究会』が注目を集めている。


懇話会・協議会等の概要(神奈川県予防接種研究会) 神奈川県ホームページ


●元NHKの津田正夫氏の著書『テレビジャーナリズムの現在―市民との共生は可能か』の言葉  医療が政治や経済と深い結びつきで動いていることもおさえなければならない


ブログにコメントを寄せてくださった津田正夫さんのご著書『テレビジャーナリズムの現在―市民との共生は可能か』の一節が蘇る。「医療が政治や経済と深い結びつきで動いていることもおさえなければならない」という意味がよくわかるからだ。まさに、今の神奈川での動きのようなことなのだろ。


このブログが問い続けてきたのは、人の命や健康を産業にすることで、本当に私達に幸せがもたらされるのか。またそれらを、一部の人達や政治主導で決めてしまっていいのか、ということだ。

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『テレビジャーナリズムの現在―市民との共生は可能か』 第三章生活情報番組から見たテレビ 3 求められる医療ジャーナリズム より一部引用


医療問題に取り組むには専門知識は必須である。しかしそれだけでは足りない。患者となる市民の側にたって医療を見ていく視点と人権意識が不可欠である。そして医療が政治や経済と深い結びつきで動いていることもおさえなければならない。


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がん研・土屋理事が地元神奈川で挑む「独法改革」ー集中 2014年1月20日 19:36 より一部引用

土屋了介・がん研究会理事が昨年11月に神奈川県顧問に就任して2カ月半が経過した。横浜市出身の土屋氏にとっては、いわば地元での仕事。県庁職員のブリーフィングや勉強会を精力的にこなし、スタートダッシュは万全の様子。

 具体的な使命は独立行政法人神奈川県立病院機構(大崎逸朗理事長)に対する経営面での助言になりそうだ。機構は足柄上病院、こども医療センター、精神医療センター芹香病院、精神医療センターせりがや病院、がんセンター、循環器呼吸器病センターの6病院を擁する組織である。

 黒岩祐治・神奈川県知事は当選以前から菅義偉・官房長官(神奈川2区選出)との距離の近さで知られている。中央政府のキーパーソンと地方政府の長という間柄ながら、あうんの呼吸で打開を図る「連携」はこれまでにも随所で見られた。ことに医療政策分野では指折りの「実現力」を誇る。


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医学部新設で注目集まる横浜・川崎特区の「地力」ー集中 2012年5月16日 21:30 より一部引用
黒岩氏も手は打っている。舛添要一氏や足立信也氏を支え、医療イノベ推進室にも出向した経験のある医系技官・首藤健治氏を厚生労働省から採用。保健福祉局医療政策担当参事監と政策局特区担当参事監を兼任させる人事を3月28日に発表。

 保健福祉局長には大阪府総務局財政課長を務めた菊池善信氏を充てた。
 いずれも「灘校色の強い人事」(前出教授)
とみられている。黒岩氏の人脈はさらに鈴木寛・文部科学前副大臣や濱田純一・東京大学総長、野依良治・理化学研究所理事長へと連なっていく。だが、結局のところ、教育政策でものをいうのは前述した地のプレーヤーの存在だ。

 「横浜市にある理研は重要。ほかにも箱根温泉や慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスといった神奈川県がはぐくんできた既存の資源をどう活用するかが大事でしょう」(同前)
 
特区にベンチャーを誘致しても、大きな雇用には結び付かない。

 東北地区の医学部新設の動きの中で気を吐く東北福祉大学は曹洞宗永平寺派の学校。一方、神奈川には総持寺派の鶴見大学があり、歯学部を抱えている。歯学部を医学部に転換するアイデアは鈴木氏や足立氏ら、民主党の医系議員がたびたび口にしていたものでもある。東北福祉大周辺に劣らない人材が地場から顔を出してくることに注目が集まる。

 「今後、黒岩氏の下にはこの前まで中村氏詣でをしていたのと同じ顔ぶれが回遊魚のように群れてくる。補助金目当ての連中です」(同前)

 「川崎市の特区への施策は大家が店子を集める発想に近い。いかに区画を埋めるかが関心事。国立医薬品食品衛生研究所の移転を核といいたいようですが、これでは国際的な競争力は持ち得ない」(前出教授)
 神奈川県庁筋では黒岩氏の「長期政権」を見込んで動き始めている。幹部は人事で干し上げられる。主だった抵抗はできないだろう。

 厚労省が面従腹背の嵐となっているのとは対照的。長妻昭氏が1年で去ったことで官僚は学習した。どんなリーダーであれ、我慢すればいなくなる。実際、政権が1年そこそこで変わっていく状態が続いている。
 
神奈川には政治主導の芽がある。
二兎を追う知事の実力は見もの
 『銀の匙』熟読で一躍時の人となった灘校元教師・橋本武氏。彼を世に出した一連の動きは黒岩氏の手によるものと見られている。

「黒岩氏のバックグラウンドは灘校とフジテレビ。知事選で支持した自民党衆議院議員・菅義偉氏のような人もいますが、しがらみなく信頼できるのはやはり灘とフジ。後は実行できる人材が必要です」(同前)
 黒岩氏の医療政策を支える有力なブレーンは内田健夫氏。デファクトで物事を進められる稀有な人物だ。

 5月にナビタスクリニック川崎がJR川崎駅のエキナカにオープンすることの意味も大きい。久住英二院長は立川市での実績もあり、ワクチン施策には一家言を持っている。

 医学部新設という点でいえば、やはり運営できる医療法人の動向が気になるところだ。黒岩氏がかつて教授を務めた国際医療福祉大学。みんなの党・渡辺喜美代表との「距離」は知られるところだ。

 ほかには溝口病院を持つ帝京大学やアクアラインで川崎とつながる地の利から亀田総合病院などが有力。
 オンコセラピーを引き付けながら、医学部新設を現実のものにする。特区と神奈川の将来は二兎を追うことでしか開けない。黒岩氏のお手並み拝見というところだろう。


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集中(archive) 中長期型支援が促進するポスト3・11地域医療の変容 24 2013年10月28日 22:30 より一部引用

一方、神奈川県の動きも急だ。同県関係者の解説。

「黒岩祐治・神奈川県知事は『先端医療開発特区の中の医学部』を打ち出した。この特区は本来、東京と大阪の出来レースと見られていた。黒岩氏はここに割って入ろうとしている。黒岩氏―菅義偉・内閣官房長官(神奈川2区選出)ラインは今、医療政策で最も手腕を示しています。『神奈川県予防接種研究会』の委員の顔ぶれは壮観です」

 その顔ぶれを見ておこう。横田俊一郎(県小児科医会会長)▽片岡正(かたおか小児科クリニック院長)▽久住英二(ナビタスクリニック川崎内科医師)▽岩田眞美(横浜市健康福祉局健康安全部医務担当部長〔健康安全課長〕)▽小山万里子(ポリオの会代表)▽高畑紀一(+Actionfor Children代表)▽東恵子(特定非営利活動法人シャーロックホームズ理事長)▽川口恭(ロハス・メディカル発行人)【以上敬称略】

「これだけのメンバーをそろえて、旧来の風土・文化と全面的に対峙するのは画期的。脚本・演出=菅氏、主演=黒岩氏と役割分担も明確です。発信力の桁が違う」(同前)


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2015/02/16

空に飛行機雲がくっきり見えた日!

先週、空をふと見上げると青く晴れ渡った空に、くっきりと飛行機雲が!!私は飛行機雲をみると「良いことがある」と思うことに決めている。


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そう思うと、本当に良いことがありそうでしょう?


でもこの日は、本当にびっくりする出来事が!!


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一つの時代が終わり、新しい時代にかわっていくのかも。


新春ワイド時代劇「大江戸捜査網2015~隠密同心、悪を斬る!」:テレビ東京


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今年のお正月、『大江戸捜査網』という時代劇を夫と息子が喜んでみていた。藤原紀香さんの着物姿が素敵だった。


(ストーリーを知らない方はこちらをクリックしてみて下さい↓↓↓)


隠密同心 心得の条

『地蔵に赤いハチマキ。
それは隠密同心の集合の合図である』




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『大江戸捜査網』といえば


『隠密同心心得之條 

我が命我がものと思わず 

武門之儀あくまで陰にて 

己の器量伏し

御下命如何にても果す可し

尚死して屍ひろう者なし

死して屍ひろう者なし』



というナレーションがとっても有名。


こういう人達はドラマの世界にしかいないのかと思っていたけれど・・・現実の世界にもいるみたい・・・。


似たようなストーリーで緒形拳さんや藤田まことさんが主役を演じた『必殺仕掛人』『必殺仕事人』という時代劇もあったなぁ、と調べてみると、「松平氏が極秘につくった組織」という設定の『大江戸捜査網』に近いのかも。


『大江戸捜査網』wikipedia より引用


概要

秘密捜査員・隠密同心たちが、変装、潜入、囮など様々な手段を駆使しながら探索、事件の裏にはびこる江戸の悪を斬り捨てていく痛快時代劇。隠密同心とは松平定信が極秘に作った組織で、彼の命を受けた幕臣が隠密支配となって統括している。メンバーは、普段は町人として生活しており、江戸町内の地蔵の鉢巻きの合図を元に集結して、指令を受ける。メンバーは皆、隠密支配から承った証の懐剣を所持しており、ここぞというときに、悪人に見せつける場合もある




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内容

三田村邦彦演じる“簪の秀”が初登場してブームを巻き起こし、「仕事人」シリーズの原点となった「必殺」シリーズ第15弾のBOX第4弾。同心の中村主水を中心に、浪人の啜左門、飾り職人の秀らが悪と戦う。



これまで駆け抜けてきた数年間が頭に思い浮かんだ。本当にいろいろなことがあったなぁ。


ほんの少しお休みをしようと思います。






2015/02/13

旧海軍の脚気の撲滅に尽力した海軍軍医総監『実吉安純』氏の功績

現在日経新聞の朝刊で連載中の『私の履歴書』は、日揮グループ代表の重久吉弘氏だ。


実吉安純 wikipedia より引用

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アルジェリア人質事件の時に、「ドン」あるいは「フィクサー」などと書いてある記事を目にして、びっくりして父に聞いたことがあった。


家には直筆の年賀状が届き、「妻と温泉に行きました」などと書いてあるけれど、と笑っていた。連載がはじまったら、本当に奥様のことばかり出てきて微笑ましく思った。


先週の終わりに、いよいよ日揮の前身「日本揮発油」にさしかかった。このような連載でもない限り、娘の私でも仕事の内容を教えてもらえない。私は朝、新聞を開くのがやっぱり楽しみだ。


書かれているように、私が幼い頃は、本社は丸の内にある古いビルで、一部上場ではなかった。


当時の記憶、懐かしい光景が頭に浮かんでくる。


久重氏が入社した昭和61年当時、創業者である実吉雅郎氏の考えが興味深い。いずれ日本だけでは限界が出てくることを見抜いておられ「海外の仕事をどんどんやって欲しい」とおっしゃったそうだ。


ところで、創業者の実吉雅郎氏のお父様は華族で海軍軍医総監だった実吉安純氏だ。今の慈恵医大の前身である「東京慈恵会医院専門学校」の校長だったそうだ。


日本の華族一覧 wikipedia より引用


国立公文書館でみた2008年の特別展「病と医療」の最後は、旧日本軍と脚気について展示してあった。実吉安純氏は、海軍の脚気の撲滅に尽力されたそうなので感慨深い。


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なぜ、軍で脚気が深刻な問題だったのかといえば、軍事行動全体に影響するから。今、夫が専門にしている「運動生理学」という学問が、軍とのつながりが深いのはこのような理由からだ。大規模な疫学調査を行ってきたのがどこの国でも『軍』であることが多いからだ。


このような疫学調査の積み重ねが、現在の『久山町研究』などに受け継がれてるそうだ。ちなみに夫の大学院時代の指導教官のお一人も、東京大学医学部出身でその後自衛隊で研究をしておられたし、夫が留学先でお世話になったのも軍の関係施設だった。シンポジウムなどに寄付をして下る方の中には、軍の関係者もいらっしゃるのだそうだ。


以外と知られていないが、『軍』には、大規模な疫学調査を発展させてきた、というプラスの側面もある。


国立公文書館で展示してあったのは、脚気の原因がまだ特定されていない時代の論争についてだ。当時の医学界は、古いしきたりも多く、エビデンス重視ではなかったようだ。大規模な疫学調査という考え方は、当時の日本の医学の主流だったドイツ医学でなく、イギリス医学の考え方なのだろうか。そういえば、小児がんの晩期合併症の対策が充実していたのは、イギリスだった。当時からイギリスではこのような考え方が浸透していたのだろうか。


『龍驤艦脚気病調査書』 国立公文書館 デジタルアーカイブ


明治10年代、海軍では毎年兵員の3割前後が脚気を病み、軍事行動全体に支障をきたすことが危惧されました。


なかでも明治15年(1882)12月に出航し、ニュージーランド、南米チリ、ハワイなどを経て翌年9月に戻った練習船「龍驤」で多くの脚気患者が出た事実は(271日間の航海で乗組員376人中169人が脚気になり、うち25人が死亡)海軍首脳幹部に衝撃を与え、海軍軍医大監の高木兼寬らが、「龍驤」脚気病調査委員に任命されます。


脚気の原因が兵員の食物にあると確信した高木は、明治17年2月に遠洋航海に出る軍艦「筑波」の兵食を改良した上で、龍驤艦と同じコースをたどらせ、脚気の食物原因説を証明しようとしました。結果は高木らの予想通りで(乗組員333人中、脚気発症者は16人)、これを機に海軍の兵食改良(麦飯の支給や副食の改善)はようやく軌道に乗り、海軍兵員の脚気は劇的に減少しました。


海軍と対照的だったのが、ベルツらが主張する脚気伝染病説をとっていた陸軍。白米至上主義が根強く、副食の改善や麦飯支給には消極的で、脚気問題は容易に改善されませんでした。その背景にはイギリス医学を範としていた海軍に対して、ドイツ医学を採用していた陸軍および医学界の対抗意識があったと指摘されています。



そこで、wikipediaの『日本の脚気史』を読んでみる。


高木兼寛氏は、日本の疫学の父と呼ばれているそうだ。イギリス医学の特徴は臨床が主体と書いてある。だから退院後の支援が充実しているし、患者さんのほうを向いているのかも。私が疫学調査が好きなことや社会問題を掘り下げて考える理由も、もしかしたらここまで遡るのかな、と興味深く考えた。(もちろん冗談です)


『日本の脚気史』wikipediaより引用


ビタミンの先覚的な業績を挙げたのが海軍軍医の高木兼寛であった。臨床主体のイギリス医学に学んだ高木は、軍艦によって脚気の発生に差があること、また患者が下士官以下の兵員や囚人に多く、士官に少ないことに気づいた。さらに調べた結果、患者数の多少は食物の違いによること、具体的にはたんぱく質と炭水化物の割合の違いによることを発見した。その時点で脚気の原因は、たんぱく質の不足にあり、洋食によってたんぱく質を多くすれば脚気を予防できると判断したという。




2015/02/12

春から動き出すこと 

私が亡くなった方のために、何をすればいいか考えていた時、ある一冊の本に出会った。


島田妙子幸縁(講演)会  くるくるミラクル 幸せくるくる 

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その本は、精神科のユーザーの間ではとても有名だった。


中でも人気を集めたのが、巻頭の座談会。著名な精神科医数名が、PTSDのケアについて語っている。「PTSDにとって一番の薬は時間です」「薬だけで解決するものではありません」「病識を持たせることが必ずしも良いことではない」「人と人とのつながりも大切です」「PTSDには、政治的な意味も込められている」など、当たり前のことが書かれていた。


その当時、精神科医であっても、当たり前のことが言えないような風潮があったのだ。


私も、医療者のケアでは・・・いろいろな思いをたくさんしてきたからよくわかる。


一対一の関係だけになっていくと、かえって泥沼にはまっていくような怖さもあるからだ。この人だけしか私をわかってくれない、などと思わせてしまうと、些細な言動が、かえって心に響いてしまう。


それに、例えば、しっくりいっていない嫁、姑がいたとして、いつも嫁の味方だけをする人が間に入ったらどうなる?家族に亀裂が入ってしまうことは容易に想像できる。カウンセリングの被害もまた多い・・・


医師の友人に「カウンセリングって、空気に相談しているみたいで好きになれない。私は科学的に間違っているなら、意見やアドバイスを言って欲しい。でも、誰でもいいというわけじゃない」と言ったら、「そうですよね。僕たちも患者さんのことで迷ったら、たいてい友人の医師に相談してますから」と頷いていた。


命が助からない患者さんの場合、残されるお子さんや奥さんの歳、子どもが何人いるかなども考えなくてはいけない。延命しないとしたら、どのタイミングで決めるのか。やっぱり一人では迷うそうだ。重い重い決断だ。


「あなたは地道な現場に興味がない」と言われてしまったけれど、そもそも私は医療者ではないから、私の現場は社会だと思う。それに、私なりに考えて行動してきたつもり。自死遺族にも会って話したこともある。でも、私ではかける言葉がみつからない気がした。


「大きなものを変えていった方が誰にでも確実に、届くものがある」と思ったのは、自分自身の苦い経験を振り返り、いろいろな方に会って考えたから。そして精神科医がおっしゃっていることに共感したからだ。


ご遺族は、精神科や心療内科にお世話になることも多い。日本では、海外では考えられないような多剤大量処方が漫然と行われているし、社会的支援がそもそも足りない。ならば、学会レベルで改善してもらうことを考えたほうがいいと思ったのだ。


そう考え、新聞報道で知ったご遺族の中川聡さんに連絡をとった。


もう少ししたら、その本を監修した先生のインタビューが掲載された本が出版されるそうだ。それも被害者よりの本だそうだ。


いつか、私と一緒に報道特集に出演して下さった先生だ。あの時は「よくテレビで薬の批判をして下さったな」と思ったけれど、とうとう本になるんだ。


その先生は精神科医からだけでなく、精神科ユーザー、遺族や被害者、そして支援者からも皆に好かれている。ここからまた大きく変わっていくはず。


日本の医療もいずれ開国をしないといけないかもしれない。「でも、もしもそうなった時に、どれほどの医師が海外に通用するんだ」と友人の医師が私に言っていた。


そもそも、北米の医大生は、医学部に進学する前に、社会貢献をいくつもしないと医学部にすすめない。「社会貢献の証明だけでも、すごい束の書類を提出するんだ。あれを見せてもらった時に、日本の医学部教育は遅れているなと思ったよ。差別的な表現を使わないなんて、そもそも北米の医学部では教えることじゃない」と彼は言った。


その先生が覚悟して、被害者の側を向こうとしておられるのは、このままでは日本の医療が置いていかれると考えておられるからだろう。


私は、「お医者さんを守ろう」ではなく、その先生のように、市民の側を向いて努力しておられる医師を応援していこうと思う。


その他にも、島田妙子さんという虐待された経験を持つ支援活動家の方が、大阪で一緒に活動して下さっているそうだ。島田さんが女性週刊誌で取りあげられたところ人気に火がつき、講演会のお知らせをすると、あっという間に300人から400人の席が埋まってしまうという。


「とにかく、島田さんと、一緒に活動しておられる方々の動きは、すごいパワーがある」と教えてもらった。


「島田さんが人気があるということは、それだけ虐待されている子どもが多いということですか?」と尋ねたら「今の世の中では、虐待なんて普通にあるんだよ」と言われてびっくりした。


島田さん御自身に虐待された経験があることと、若くきれいだから、女子学生に人気があるそうだ。確かに虐待とまでいかなくても、家族との関係で悩んでいる女の子達は多いからいいかもね。


新しく支援を考える会では、借金で困っている人には、借金を清算する方法も教えるそうだ。そして、ある人が抱えている問題を、皆で意見を出しながら、解決していく、という試みも行っていくそうだ。


様々なことが一気に動き出す春になりそう。中川さんや島田さんのように、辛い経験をしたご遺族や被害者に、たくさんの暖かい手が届けばいい。そういう社会に変わって欲しい。


もちろん私にできることがあれば、お手伝いさせてもらおう。運動とか登山とかもっと大きなつながりができるかも♪



2015/02/10

ライフ・イズ・ビューティフル 『私もあの汽車に乗ります』

フランスは、新たなテロ予告に揺れているというニュースをみた。イスラム系の移民への排斥がますます強まりそうだ。


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何が差別にあたるのかは人や文化によって違う。しかし、誰にでもわかるような、差別や偏見を助長するような表現を、できるだけ使わないようにする。これは、コミュニケーションにおいて、一番大切なことだと思う。そう強く思うようになったのは、「ライフ・イズ・ビューティフル」という映画をみたから。


これは1930年代イタリアの小さな田舎町の物語。ユダヤ系イタリア人への迫害を描いた作品だ。カンヌ国際映画祭で審査員グランプリを受賞をはじめ、第71回アカデミー賞で主演男優賞、作曲賞、外国語映画賞を受賞。





ライフ・イズ・ビューティフル wikipedia より一部引用


第二次世界大戦前夜の1939年、ユダヤ系イタリア人のグイドは、叔父を頼りに友人とともに北イタリアの田舎町にやってきた。陽気な性格の彼は、小学校の教師ドーラと駆落ち同然で結婚して、愛息ジョズエをもうける。


やがて戦時色は次第に濃くなり、ユダヤ人に対する迫害行為が行われる。北イタリアに駐留してきたナチス・ドイツによって、3人は強制収容所に送られてしまう。


母と引き離され不安がるジョズエに対しグイドは嘘をつく。「これはゲームなんだ。泣いたり、ママに会いたがったりしたら減点。いい子にしていれば点数がもらえて、1000点たまったら勝ち。勝ったら、本物の戦車に乗っておうちに帰れるんだ」。絶望的な収容所の生活も、グイドの弁術にかかれば楽しいゲームに様変わりし、ジョズエは希望を失うことなく生き延びることができた。


ナチスの撤退後、ゲームの「シナリオ」通り収容所に連合軍の戦車が現われ、ジョズエたちを解放する。ジョズエは母と再会することができたが、そこに最後まで息子を守りぬいたグイドの姿はなかった。



我が家は、映画に出てくる家族と同じ3人家族で、男の子が一人。夫はイタリア系ではないけれど、同じように子どもと私を大切にする。どこか似ていている。


主人公のグイドは、美しい教師ドーラという女性が好きになる。しかし時代はムッソリーニによるファシズム政権下。彼はユダヤ系で、ドーラの家族は猛反対。ドーラは家族を捨てグイドと結婚する。


一人息子が生まれ、幸せな生活が続く。しかし、しだいに迫害がひどくなり、やがて小さな田舎街のあちこちにも、張り紙が溢れるように。家にも「帰れ」「出ていけ」など、ユダヤ系住民に対する侮蔑的表現がかかれた張り紙が貼られるようになる。


そんな中で、ドーラの留守中に叔父が夫と息子を強制収容所に送ってしまう。


ドーラは、必死になって強制収容所行きの汽車をみつけ、駆け寄る。見張りの兵隊が、ドーラがユダヤ系ではないことを知り引き留めようとする。しかしドーラは兵士にこう言うのだ。


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『私もあの汽車に乗ります』


この映画でよく覚えているのは、街中に溢れる張り紙とドーラが汽車に飛び乗るシーン。そして強制収容所の死体の山。コメディタッチの映画で悲壮感はあまりない。でも、だからこそ、差別や偏見の恐ろしさ、愚かさが余計際立つのだ。


いつも思う。私はこういう性格だから、ドーラと同じように、きっと汽車に飛び乗るだろうな。


私は政府専用機を出して下さった総理や、官房長官に今でもとても感謝している。でもこの微妙な空気の時に、「ありがとうございます」と言い過ぎることも違う。権力につながるんじゃないか、とずっと考えてきた。政治的なものに巻き込まれていくかもしれないし、私が前に出ることで、沈黙せざるをえない方が出てくるかもしれないからだ。


フランスのイスラム系住民の苦悩をみていたら、やっぱりそう思った。民主主義というけれど、彼らがどんなにがんばったところで圧倒的に人数が少ないからだ。すぐに声はかき消されてしまう。


この前の特集では、日本に住むイスラムの方々にも影響が出ていることを、伝えていた。私には、イスラム系の友人はいない。でも、もし私でよければ、何か出来るかもしれないと思う。


隣にいる夫にそう伝えたら、「そうだな」と頷いていた。


と、ブログに書いておいたら、『ひつじ』さんのような親切な人がどこかでみていて、声をかけて下さるかも。落ち込むこともあるけれど、やっぱりブログはいいなぁ、と思う。



2015/02/07

『私はシャルリではない』 テロと真の友情

これまでのことを駆け足で書いてきた。最後になぜ今、こうしてブログを書くことになったのか書いておこうと思う。


2008年、私は県立福島大野病院事件の後にはじまった『周産期医療の崩壊をくい止める会』の募金活動に参加した。


私は当初から一環して「医療が崩壊するから、萎縮するから、訴えてはいけない」などと思ったことはなかった。なぜなら、裁判に訴えないと救済されない被害者がいることを知っていたからだ。


募金活動とは、残されたご遺族とお子さんのための活動だ。無罪が確定した後は、医療者の側でなく、ご遺族とお子さんの方を向き、その方々のために何かしていくのだと思っていた。


でも私が思い描いていたような活動は、社会に見える形で行われていただろうか?ワクチンのキャンペーンなどは、あんなに熱心に行われたというのにーーーーー


あるとき、ご遺族がネットに書き込まれた医療者からの心ない書き込みに、精神的なショックを受けていることを知った。


私はたまらくなって言ったことがある。「こういうことをやめようと医療者に呼びかける活動もしましょうよ」。けれど、その話は全くすすまなかった。


「裁判は医療崩壊を加速させる」「裁判では真実が明らかにされない」というのなら、裁判をしなくていい方法を考えなくてはいけないはずだ。それをせずして、救済の道を閉ざしてしまうのなら、人権を侵害する行為だ。


「もしもお金を渡すだけなら、それこそ水俣病の見舞金契約みたいです」と訴えたこともあった。


私がわざわざ書かなくても、募金活動が、社会に知られていないことが何よりの証だ。社会を変えるとか、広めるとかいうのなら、まずは小さなことでも、歩み寄るなり、変わらないといけないんじゃないの?


私は今でも、苦悩に満ちたあるご遺族の姿が忘れられない。お金を受け取ったことで、かえって心に負担になったんじゃないかと思っている。だから、せめてもの償いに、こうしてブログを書き始めた。


先日、石原先生のブログに、私が思ってきたような記述を見つけた。こういう批判は、当時から医師の友人達にはよく言われていたけれど、時代の空気に流されず、ここまできっちり書いておられるのは、やはり石原先生だからだと思う。


石原先生は決して極端な意見を述べておられるわけではない。


私は友人の医師からも批判されたこともあったし、「大野病院事件を医療崩壊のプロパガンダに利用しただけじゃないか」と怒られたこともあったからだ。


何も言い返せず、その度に私は頭を下げていた。


今はあの当時の熱気が嘘のように、冷めている。大野病院事件を知らない人の方が圧倒的に多い。


それでも時々思う。もしも何か形になることが少しでもできていれば、状況はまた違っていたはずだ。石原先生の「権力のある側が被害者意識を振りかざしたらそれは一種の脅迫になるんですよ」「医療者は患者さんに対しては権力者でもあるんですから」という言葉はその通りだと思う。


先週NHKクローズアップ現代『“分断”の危機は避けられるか ~仏テロ 広がる波紋~』をみた。フランスのテロ後の様子を取材した特集だ。


番組の中で、少数派のアルジェリア系移民の男性の苦悩が取り上げられていた。フランス人の友人に信仰するイスラム教について語れば語るほど彼は孤立するのだ。彼がいくら言葉を尽くして友人達に語りかけたところで、「でもここはフランスだから、表現の自由がある」でお終い。

※    ※    ※



NHKクローズアップ現代『“分断”の危機は避けられるか ~仏テロ 広がる波紋~』


フランス全土で370万人が参加して大規模なデモが行われました。
参加者たちが掲げた「私はシャルリ」。表現の自由への支持の表明です。

女性
「表現の自由を守りたいからここに来ました。」

テロ事件からまもなく1か月。今も街の至る所で私はシャルリのスローガンが掲げられています。

「私はシャルリではない。」

一方で、割り切れない思いを抱えている人たちもいます。イスラム系移民たちです。300人が集まり、イスラム教徒は尊重されていないと声を上げました。

シャルリ・エブドは、イスラムの教えで描くことが禁じられている預言者ムハンマドの風刺画をたびたび掲載。告発しても、司法当局は「表現の自由」の範囲内だとして退けてきました。事件をきっかけにイスラム教徒の不満が噴出したのです。

「反イスラム主義と私は闘う。政府は我々を救わない。」

この表現の自由を巡る価値観の違いが、フランス社会に大きな溝を作っています。アルジェリア出身のイスラム教徒、ユネス・シャウイさんです。友人との会話ではシャルリ・エブドがいつも話題に上ります。

ユネス・シャウイさん
「預言者ムハンマドが裸の姿で描かれたら、それはとんでもない侮辱です。」

「でもそれを止めさせることはできない、表現の自由があるんだから。」
イスラム教徒ではない友人とは、いつも議論は平行線となります。

ユネス・シャウイさん
「そんなに過剰な“表現の自由”は必要ですか。」

「イスラム教を知らないフランス人には侮辱ではないのよ。」

ユネス・シャウイさん
「侮辱は侮辱です。」

「生っ粋のフランス人にとっては違うのよ。」



※    ※    ※



父の会社が、テロに巻き込まれたというのに、私には、彼の気持ちもよくわかる。


テロを生み出す構図は、『反ワクチン』『反医療』と呼ばれる人達を生み出す社会の構図にそっくりだと思ったからだ。


ワクチンや薬に不信を抱くには、様々な要因が重なる。10人いれば、10人違う場合だってある。御自身や家族が、薬やワクチンの被害にあって、ワクチンが嫌いになった人もいるだろうし、医療機関で嫌な思いをした経験がある人だっている。単に些細な、ボタンの掛け違いで不信を抱く場合だってあるだろう。


それらを一切考慮せず、一方的に「カルト」などと決めつけ、強い口調で非難する医療者は、 石原先生のいう「正義を振りかざす」という表現がぴったりだと思った。


なにより私は不思議でならない。


2010年6月6日の日経新聞朝刊に掲載された記事には、このように記されている。「医療者、患者側の双方の声を公平に聞き、対話を促す。そのプロセスにこそ、真の救済があると信じるからだ。人として、どちらからも信頼されること。それがもつれた糸を解くカギとなる。」ならば、「侮蔑的表現をやめよう」と、なぜ誰もおっしゃらないのだろうか。


私が訴えた募金活動の精神とは、言葉や文化の壁を越え、手を結ぶ真の友情。まさにこのようなこと。


※    ※    ※



内戦状態でも撤退しなかった日揮「アルジェリアの真の友人」 ニュースポストセブン

アルジェリアでは1969年にアルズー製油所プロジェクトを受注・成功させた。それを機にアルジェリアで信頼を得て、以来40年あまり、関係を深めてきた。

アフリカ北部に位置するアルジェリアは、1989年に民主化されたが、1990年代からイスラム過激派によるテロが深刻化し、軍との間で内戦に近い状態に陥った。1999年以降、内戦は徐々に収束していったが、混乱の中でも日揮は撤退せず、工期を守ってきた。それゆえ「アルジェリアの真の友人で、いかなる困難に遭遇しても必ずやり抜く会社」とさえ評されているほどだ。



※    ※    ※



あれほど、私はワクチンを有り難いと思い、啓発だって熱心にやってきた。しかしその私から『心』が消えたのだ。


その事実をどうか重く受け止めて欲しい。


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福島県立大野病院事件についての私見 六号通り診療所所長のブログより一部抜粋

(略)

福島県の大野病院の事件がありましたね。

29歳の女性が、
帝王切開の手術中に、
大量出血を起こして亡くなったのです。

その2年後に、執刀した産科の医師が、
警察に逮捕され、裁判になりました。

産婦人科医の学会を初めとして、
医者の団体が全国的な抗議行動を展開。
錚々たる専門医達が被告医師の証人として出廷。
被告医師の医療行為の正当性を証言しました。
一方で検察側の証人として証言をする医師は、
殆どいなかったのです。

先週に地方裁判所の判決が出て、
被告医師は無罪となり、
学会の偉い先生は、
「これで医師が不当に萎縮し、
あるべき医療が行なわれないような状況が回避された」
と、勝利宣言のようなコメントをされました。

この事件のために、医療崩壊が進み、
産科医不足が深刻になった、
みたいな発言をされる方も複数いて、
そうした記事も出ています。

何よりも、診療中に逮捕されたのが不当だとして、
「医者の聖域が土足で汚された」、
みたいなことを言われる先生もありました。

僕は医者ですから、
本当はそうした意見に賛成するべきなのかも知れません。
でも、何かこうした発言には違和感を覚えます。

そんな大層なものですかね、医者の診察というのは。
それが本当なら、患者さんは皆、
ひれ伏して医者の診察を受けなければなりません。

(中略)

この事件に関してだけ言えば、
結果的に死を招いたこの医療行為の必然性については、
難しい問題ですよね。
治療方針を切り換える時期が少し早かったとしても、
違う結果が出たかどうかは、
何とも言えないでしょう。
でも、何度か決断を変えるタイミングがあったことは事実だし、
その結果として別のより良い経過のありえたことも、
また事実ではありますよね。
判決でも、
「判断が全て正当だった」、
とは言ってはいないのです。

それを、
「絶対に正しい」、と言わんばかりの偉い先生方の発言は、
ちょっと乱暴過ぎやしないでしょうか。
「専門の俺様の言うことにケチをつけるな。
医療にはリスクがつき物なんだよ。
そのくらいのことは覚えときな」、
みたいなニュアンスを感じますね。

「これで有罪になったら、医療は萎縮して、
誰も危険な手術なんてやらなくなるぞ」、
というのは、確かに意味は分かりますけど、
一種の脅迫ですよね。
そんなことを言われたら、
誰も医者に文句なんて言えなくなるじゃないですか。

「この事件で医療崩壊が進んだ」、
なんて言うのは、いくらなんでも言い過ぎですよ。
そんな大層なことを言う根拠が、
一体何処にあるんですか?
確かに医者叩きのマスコミの報道は酷いと思いますよ。
でも、医療者は患者さんに対しては権力者でもあるんですから、
そのことを忘れてはいけません。

権力のある側が被害者意識を振りかざしたら、
それは一種の脅迫になるんですよ。
「そんなにぐちゃぐちゃ文句を言うなら、
もう診てやらないよ」、
と言うのと同じ意味になるんですから。

違いますか?

この問題はね、
本来はもっとパーソナルな1人の医者と1人の患者の問題として、
処理されるべきものだったのだ、
と僕は思います。

それが、検察や警察の側が行き過ぎた権力を振りかざし、
それに対して今度は医療者の側が、
医療者の権力を振りかざして、
応戦した訳です。
一種の権力闘争ですね。
戦争と同じ醜い理屈です。

それで誰が犠牲になったんでしょうか?

亡くなった患者さんのご家族と、
被告の医者本人じゃないんでしょうか。
双方とも、こんな大事になることを望んでいたでしょうか。
そんなことはなかった、と僕は思います。

亡くなった患者さんのお父様が、
会見をされていましたね。
初めて実名を明かして会見された、というところに、
お父様の覚悟のようなものを感じます。
今1番辛いのは誰ですか?
このご遺族じゃないんでしょうか。
そのお気持ちを考えたら、
「医療の正当性が守られた」、なんて、
口が裂けても僕には言えません。

何かボタンの掛け違いのようなものが、
あったのだと思うんです。
人間同士のことですからね。
すぐにきちんとした説明がなかった、とか、
誰かが心無い一言を口にした、とか、
情報を隠されたと感じた、とか、
ひょっとしたらもっと些細なことかも知れません。
でも、医療行為そのものとは違って、
確実に回避出来た種類のことです。
被告の医師も、その点については反省されている何かが、
きっとある筈です。

医療崩壊を防ぐためには、
その反省されている何か、の方が、
今回の無罪判決や専門医の声よりも、
ずっと大切なことだと思うんですが、
皆さんはどうお考えになりますか?


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神奈川県に在住の被害者のお母様のブログ


マグロちゃんの入院でわかったこと  2015-02-06


マグロちゃんはちょうどステロイドパルスの治療開始から1年が経過しました。


4回のパルス治療を受け、現在は点滴治療を定期的に続けながら過ごしています。


症状は改善してきて、以前のようなひどい脱力や、不随意運動が24時間何日も続くことはなくなりました。


症状には波がありますが、毎日学校に通い、高校3年生のマグロちゃんは1月末の学年テストも無事終え、2月からは自由登校となり、後は卒業式を待つだけとなりました。


去年の今頃は卒業ができることなんて考えられませんでしたが、様々な方々に支えられここまできました。


感謝です。


ちょうど1年目ということもあり、脳の血流異常が起こっていないかということと、障害者申請のための測定が必要となり今回入院し検査、測定をしていただきました。


以前の時と同じに血流が悪い側頭葉部分はあまり変わらずでしたが、全体的に見れば昨年7月測定時と変わらない安定した状態で、悪化は見られませんでした。


ホッと一安心でした。


障害者申請の計測では瞬間的筋力はあってもそれを維持するだけの筋力がないことがわかりました。物を持っていても徐々に脱力し震えが出てしまいます。


認定はきっと難しいのかもしれませんが、HPVワクチン接種後にこういった被害(症状)が出るんだということを多くの方に知っていただきたい、接種した自治体や国に知ってもらうことも大切だと思うので申請することにしました。横浜市では話し合いがされ、さらなる調査と計測をして欲しいと連絡が来ました。


そうやって話し合われていくことで症状に対する理解も増えてくるといいなと思います。


しかし、瞬発的な筋力があってもそれを持続させる筋力がなければ、やはり普通の生活をするのはなかなか困難であるとおもいますが…


横浜市の判断はどうなるでしょうか?そして突然現れる大きな不随意運動や瞬間的全身の脱力症状の判断は…


難しいでしょうね。


入院して病院の先生と話してわかったことは、マグロちゃんの遺伝子は免疫機能の暴走を止めるのが弱い遺伝子であるということ。そしてその遺伝子は、日本人の40%が持っているということ。


HPVワクチンは海外での治験結果によって導入され、日本での治験結果は不十分なままでした。マグロちゃんのような遺伝子を持つ日本人が40%もいるのに海外のデーターによって日本で接種されたことはリスクが高くなると思います。そして10代で接種することでより抗体反応が高く出る。


また多くの被害を訴えている方たちは、2011年の震災後に接種した方たちではないだろうかという話も聞きました。


このHPVワクチンは温度管理が重要であった。震災後にその温度管理はしっかり行えていなかったのではないかという疑問が出てきた。計画停電もあり、一定の温度を保ちながらの製造、保管、移送はできていたのだろうか?薬液が変化していたという可能性もあるのかもしれない。


さまざまな角度から調査、検討して欲しい。


いろいろなことに気づき感慨深い入院となった。


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2015/02/06

『がん対策基本法』から『医療志民の会』そして『公費助成運動』へ

※2017.3.16
森友学園の疑惑が追求されているため、『医療志民の会』が注目されているようです。多数のお問い合わせをいただきましたので、新しい情報を付け加え再掲載しました↓


『医療志民の会』について 『がん対策基本法』から『医療志民の会』そして『公費助成運動』『医学部新設推進』へ


【2006年6月】

  • がん対策基本法が議員立法で成立する
  • 創薬を目指したNPO法人が設立される




【2008年2月21日】

『医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟』設立。

(肩書きは当時のもの)

  • 会長 尾辻秀久参議院議員(自民党)
  • 会長代理  仙谷由人衆議院議員(民主党)
  • 副会長 坂口力衆議院議員(公明党)
  •     塩崎恭久衆議院議員(自民党)
  • 幹事長 鈴木寛参議院議員(民主党)
  • 幹事長代理兼事務局長 世耕弘成参議院議員(自民党)
  • 副幹事長 西田実仁参議院議員(公明党)
  • 事務局次長 萩生田光一衆議院議員(自民党)
  •      足立信也参議院議員(民主党)




【2009年4月】

麻生太郎政権でまとめた「日本経済再生への戦略プログラム」の中に、(主にがん医療において)未承認薬などの審査を迅速にするよう提言が盛り込まれた。


日本経済再生への戦略プログラム (中間報告案) 2009年3月30日 自由民主党政務調査会 日本経済再生戦略会議

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  • 海外では承認されているが国内では未承認となっている医薬品ががん等の分野で存在。(約14の未承認薬、他に600件程度のいわゆる適用除外)

  • がん・小児等の未承認薬などの集中治験(臨床研究)審査体制を早急に確立(上記600件程度の中から選定して実地)スーパーファストトラックの創設 : 優先審査

  • 未承認薬などの治験を3年以内に終了。

  • スーパーファストトラックの対象となる未承認薬等については審査期間を6ヶ月までに短縮(従来の審査期間 : 12ヶ月)。

  • その他の医薬品についても承認までの期間を2.5年、医療機器についても1.5年以内に整備





【2009年4月15日】

自民・経済再生会議  未承認薬支援などの最終報告了承





【2009年7月21日】

長妻昭厚生労働大臣へ以下の23団体が、子宮頸がんワクチンへの公費助成を求め、要望書を提出。子宮頸がんワクチンの公費助成運動の共同代表、女優の仁科亜季子氏癌研究会顧問の土屋了介氏も同席。


●医療構想・千葉
●医療法人社団 ゆうあい会 ゆうあいクリニック
●財団法人日本対がん協会
●子宮頸がんから女性を守るクリック募金
●子宮頸がん征圧をめざす専門家会議(子宮頸がんゼロプロジェクト)
●子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成推進実行委員会
●市民のためのがん治療の会
●社団法人ティール&ホワイトリボンプロジェクト
●社団法人日本産科婦人科学会
●社団法人 日本病院会
●全国医学部長病院長会議
●全国骨髄バンク推進連絡協議会
●特定非営利活動法人 子宮頸がん啓発協会 Think Pearl
●特定非営利活動法人 子宮頸がんを考える市民の会
●特定非営利活動法人 日本婦人科腫瘍学会
●日本癌治療学会
●日本臨床腫瘍学会
●八王子内科クリニック
●らんきゅう 子宮がん・卵巣がん患者による患者のためのサポートグループ
●卵巣がん体験者の会スマイリー
●リボンムーブメント
●リレー・フォー・ライフin福岡実行委員会
●『I know』プロジェクト。



集英社で連載しているジャーナリストの斉藤貴男さんは「医療機関や学会をさて置けば、草の根的な市民グループが目立っていたのが大きな特徴」と感想を述べておられる。


私はこのメンバーには見覚えがあった。


こちらは、県立福島大野病院事件の後の2009年4月11日に設立された『医療志民の会』という会だ。私も設立シンポジウムに参加したからよく覚えている。医療崩壊をくい止めたいと願う医療者、患者、市民が参加した草の根の運動だった。


医療志民の会ニュースblog

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前の年(2008年)に民主党から出馬宣言した、元薬害肝炎原告団の福田衣里子氏が参加していたのが印象に残っている。その他にも政治家が参加していたが、当時民主党に所属しておられた鈴木寬議員梅村聡議員、薬害エイズで有名な川田龍平議員などいずれも民主党に関係のある政治家が多かったように記憶している。シンポジウムの司会をしておられたのは、現神奈川県知事の黒岩祐治氏


(当日の様子を伝える報道。今と違って、医療者と市民とが同じ方向を向いていたことが伝わると思います。↓)


「医療崩壊食い止めたい」 患者や医師が立ち上がる 2009/4/13 j-cast 


興味深いのは、この『医療志民の会』と子宮頸がんワクチンの公費助成運動とは、深い関わりがある、ということだ。





【2009年8月】

厚労省「薬事・食品衛生審議会」の「医薬品第二部会」で、グラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」を優先審査に回すことを了解。




【2009年10月】

グラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」4ヶ月のスピード審査で承認される

2015/02/05

あるNPO法人の設立と『がん対策基本法』

薬害の定義にはいくつかある。今回の騒動が『薬害』という範疇に入るのではないかと思う理由は、被害が救済されず社会に混乱を招いているからだ。


もしも『戦後最大の薬害裁判』がはじまったら、それは、日本のがん医療の改革のために生み出されたものだと考えている。


あの国会議員を、覚えていますか

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2006年5月22日 故山本孝史(たかし)参議院議員

がん患者はがんの進行や再発の不安、先のことが考えられない辛さなどと向き合いながら、新たな治療法の開発に期待をよせつつ、一日、一日を大切に生きています。



あるNPO法人の動向に注目した。興味深いことに、活動が本格的にはじまったのは、ちょうど新日本パブリックアフェアーズが、グラクソ・スミスクライン社とロビイング委託契約を結んだといわれている2006年頃。


その法人の活動目的は、がん医療において、新たな治療法の確立や、『創薬』を目指すことが明記されている。シンポジウムの演題や登壇者をざっとみていくと、キーワードは『遺伝子』なのだろうか。


さらに、この法人が設立された経緯を遡っていくと、「がん対策基本法」の制定と関係があるようだ。


がん対策基本法 wikipedia より引用

(平成18年6月20日法律第98号)は、がん対策について定めた日本の法律。第164回通常国会において提出された議員立法で、この国会中に成立した。

基本的施策

  • がんの予防及び早期発見の推進

がんの予防の推進
がん検診の質の向上等

  • がん医療の均てん化の促進等

専門的な知識及び技能を有する医師その他の医療従事者の育成
医療機関の整備等
がん患者の療養生活の質の維持向上

  • 研究の推進等


「がん対策基本法」といえば、私は民主党の故山本孝史(たかし)参議院議員を思い出す。山本議員は、自らががんにおかされている「がん患者」であることを公表し、この法案の早期成立を訴えたからだ。


こちらが山本議員の『憲政の歴史に残る』といわれる名演説だ。





がん患者はがんの進行や再発の不安、先のことが考えられない辛さなどと向き合いながら、新たな治療法の開発に期待をよせつつ、一日、一日を大切に生きています。


私があえてみずからがん患者だと申し上げたのは、がん対策基本法の与党案と民主党案を一本化し、今国会で成立させることが日本の本格的ながん対策の第一歩になると確信するからです。


また、本院厚生労働委員会では自殺対策の推進について全会一致で決議を行いました。そして自殺対策に取り組む多くの団体の要望に基づいて自殺対策推進基本法の、今国会で成立に向けて各党での取り組みがすすんでいます。


私は大学生の時に、交通遺児の支援と交通事故ゼロを目指してのボランティア活動に関わって以来、「いのち」を守るのが政治家の仕事だと思ってきました。


がんも自殺も、共に救える「いのち」が一杯あるのに次々と失われているのは政治や行政、社会の対応が遅れているからです。


年間30万人のがん死亡者、3万人を越える自殺者。自殺者のいのちが一人でも多く救われるように、がん対策基本法と自殺対策推進基本法の今国会での成立に向けて何とぞ、議場の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。総理にも国会議員のお一人としてこの二つの法案の今国会での成立にお力添えをいただけないか御答弁をお願いして私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございます。



こちらは元厚生労働大臣、自由民主党の尾辻秀久議員が2007年12月22日に参議院本会議場で行った哀悼演説。尾辻議員の演説もまた『憲政の歴史に残る』名演説だ。





あなたは参議院の誇りであります。社会保障の良心でした


山本議員は幼少期にお兄様が交通事故で亡くなったそうだ。その時の様子を鮮明に覚えておられ、財団法人交通遺児育英会に就職したそうだ。尾辻議員のお話の中で、山本議員が医療や福祉に関心があり、尽力されてきたことをはじめて知った。立派な政治家だと心から思った。


印象に残ったエピソードは、薬害エイズ問題にも取り組まれたということだ。


特に薬害エイズ事件の真相解明では、隠されたファイルの存在や、加熱製剤 承認後も非加熱製剤が使用され続けていた事実を明らかにされました


山本議員は「日本のがん医療、ひいては日本の医療全体が向上し、本当に患者のための医療が提供されること」を願っておられたそうだ。山本議員は天国できっと今頃、「被害者にも温かな眼差しを向けて欲しい」と思っておられるのではないだろうか。


(こちらのサイトでは、尾辻議員の演説をもじおこしてあります↓)


【追悼演説】「あなたは最も手強い敵だった」 がんで早逝した”年金政策の第一人者”に贈られた、国会中の感動劇 ログミー


その後2008年、尾辻議員は超党派でつくる『医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟』の会長に就任する。崩壊の危機にひんする医療現場の立て直しを図る目的でこの年の2月に発足。4月には、設立シンポジウムが開催された。


尾辻氏がシンポジウムで訴えたのは、医師不足や訴訟訴追リスクの高まりに伴う医療現場の委縮問題など。民主党の仙石由人衆院議員大野病院事件について、訴えておられる。昭和大病院副院長の有賀徹氏も、同様に救急医療の危機的状況について、警鐘を鳴らしておられる。


どこかで見たようなお名前があって、個人的にはドキッとする。自然と当時の記憶が甦る。今の社会は、あの当時とくらべ、危機的な状況は変わらないのに、国民の関心は驚くほど低い。医療崩壊に対する国民の関心は、薄れてしまったんだなぁと思わずにはいられない。


国民の関心が薄れた大きな要因は、「医療崩壊」とあれほど騒いだわりに、改善したのは医療側に対する支援がほとんど。お金やマンパワーがあってもすべては解決できない。例えば、超低出生体重児(息子のように発達の遅れが軽度の場合)の退院後の支援に不足しているのは、医療的支援じゃなく社会的支援だ。


同様に今、近藤誠氏の本が売れるのは、がん医療に対する患者さんの不満が大きいから、ということもある。私はそもそも心をみないで、エビデンスだけでは対話はできないと思う。


元ジャーナリストの近藤彰さんの末期がんの闘病記『どーもの休日』と、山本議員の演説はどこか重なってみえる。末期のがんというものは、たとえ治療法が確立されても治癒は難しい。だからこそ、私には治療法の確立だけでは、解決できない問題があると思うのだ。近藤さんに出版をすすめたら、涙を流しておられたということが、いつまでも心にひっかかる。


近藤氏の本を批判しておられる方々をみていると、まるで『ニセ科学ハンター』のようだ。そうではなく、なぜ近藤氏の主張に惹きつけられるかを分析し、不満や不安を和らげる社会的支援を考えないとこの問題は解決できないと思う。


やはり、リードしてきた医療者と政治家が、国民のほうをあまり向いていなかったということじゃないのかな。


(こちらが近藤さんのブログです↓)

どーもの休日~しかしなんだね。ガンだって~