2015/05/25

富士市の自殺防止キャンペーン『パパ、ちゃんと寝てる?』 天国のお父さん達へ届け

超低出生体重児(未熟児)の育児支援や教育問題は「特別な人の問題で私には関係ない」と思っておられる方が多いと思う。そして、静岡県富士市の自殺防止対策、『富士モデル』が、なぜ、ここまで法律の専門家にも批判されるのかわからない方もおられると思う。


静岡県富士市『パパ、ちゃんと寝てる?』のポスター (野田正彰著 『うつに非ず』より引用)

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ガンバッてるお父さん
二週間以上の不眠は『うつ病』かも



野田正彰先生の『うつに非ず うつ病の真実と精神医療の罪』を一部引用させていただき、わかりやすく説明しようと思う。


まず、『疾病化』について。『お医者さんに行こう」という啓発や、お医者さんが出演するバラエティー番組、そして『余命一ヶ月の花嫁』『ツレがうつになりまして』などの映画やドラマ、ドキュメンタリーは疑ったほうがよさそうだ。


野田正彰著 『うつに非ず うつ病の真実と精神医療の罪』 第4章 : 疾病化 社会問題を個人の病気にすりかえる より 一部引用



●『疾病化』とは


「疾病化」は論理展開も、社会的な動きも共通する。


まず適当なアンケート調査が行われる。これをマスコミで流布させていく時には、病名を曖昧にして、「ある精神疾患が何%」と論点をずらしながら置き換える。続いて「これほど多いのに見過ごされている」と啓蒙する。その結論を装った主張は、「早期発見、早期治療」である。


この言説を信じ、脅された市民や政治家は法律や対策を求める。不調を感じた人が “ 専門家 ” のところに診察に行くと、そこでは適当な調査の数字を精神疾患と呼び替えてきた人々が待ち構えている。そして有効性が乏しく副作用のある薬が投与される。うつ病はじめあらゆる精神疾患作りに共通する手口である。この手法は病名を変えれば何度でも使用かのうである。



次に企業がこの『疾病化』を上手く利用し、精神科受診をすすめ、退職へと追い込む手口が紹介されている。


●リストラから薬中毒に


労働問題が精神科医療の対象にすり替えられていることに私が気づいたきっかけは、東京管理職ユニオンの相談だからであった。退職勧奨された相談者の多数が精神科に通院していることを知り、相談日を設けた。飲んでいる薬を持ってきたもらうと、皆が3剤、4剤と飲み、頭がぼうっとすると訴えていた。



ちなみにこれは1999年に放送されたフジテレビのドラマ『彼女達の時代』の一場面。リストラされるエリート会社員役の椎名桔平さんの演技が今みても泣けてくる。現在は企業のリストラに追い込む手口がさらに進化し、個人の心の問題にすり替えられているのだ・・・。


1999年代と最近のリストラの手口を比べてみれば、その差が歴然だ。


※    ※    ※



●1999年代のリストラ


90年代 隠れた名作ドラマ!「彼女たちの時代」深津絵里主演 NAVERまとめ より一部引用


26歳の女性3人の友情と恋を軸に、日々悩み、葛藤し、未来に向かって歩いていく人々の姿をリアルに描いた作品。


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一流大学の法学部を卒業後、大手不動産会社にて重大プロジェクトを任され成功した経験をもつエリートだったが、特に理由も無く関連の不動産販売会社に出向させられ、畑違いの電話による売り込みの仕事や、上司のしごきに困惑する毎日を過ごす。プライドが邪魔して妻にはこのことを話さない


※    ※    ※



こちらは『うつに非ず うつ病の真実と精神医療の罪』に書いてある最近のリストラの手口。読んでいくと、背筋がぞっーーーとする。皆、気づかないだろうな・・・。


●現在のリストラ リストラ対象者が巧みに『精神科』につなげられる


日本では採用年数から短いものから解雇するといったリストラのルールがない。経営側の一方的判断のうえに、私的な判断も加わる。給料が高い中年が対象になりがちであるが、さらに「日頃から従順でないものを辞めさせてやろうと」という人間関係も影響する。


そして肩たたきに入る。


「会社は希望退職を募っている。辞めるなら今だ。特別退職金も積まれる」という勧奨の一方で、「会社にいてもあなたの仕事はもうない。粘っても通勤できない工場の転勤か、今までやってきたことと職種に回されて嫌な思いをするだけだ」と脅す。さらに近年は、「解雇」という言葉は人事部は決して使わず、「別の生き方を見つけた方が良い」と言いながら収入を減らしてくる。



当然、リストラの対象となった人は憤る。裏切られたという怒りと、養わなければならない妻子や、家のローンなどが頭に浮かび、不安も押し寄せる。一体この先どうしたらいいのか。しだいに眠れず食欲もなくなり、何をやっても集中できなくなっていくーーーーーーーー


そんな時に「精神科を受診してみては」と声をかけられる。


職場からはじかれた人は、精神科クリニックに行ってすべてが解決するとは思えないが、少しでも楽になれるなら、と受診する。そこから泥沼がはじまる。



もちろん、医師は労働環境の改善を会社に働きかけたり、今後の人生設計などの相談にはのってくれない。そもそも、聴き取れるだけの見識があるわけではないから、不安は解消されない。すると、あっという間に薬だけが増えていく。


東京ユニオンに相談にきた人の処方例が紹介されている。向精神薬の怖さは、心理的依存と薬理的依存が同時進行していくことにあるとかいてあるけれどーーーーーーー


ある人の服用薬は、抗うつ剤であるパキシル(SSRI)、サインバルタ(SNRI)、精神安定剤であるデパス、ソラナックス、アモキサピン、睡眠導入剤であるハルシオン、ユーロジン、元はてんかんの薬で今は感情調整剤としても用いられるようになったデパケン、めまいの薬であるメリスロン、セファドール。


その他にもコレステロールを下げるリピトール、胃腸薬であるビオスリー、便秘薬のプルゼニド、胃酸を抑制するオメプロトンであった。これらの胃腸薬は多量の向精神薬で食欲がなくなり胃が荒れ、便秘になるため、処方されているのであろう。これだけの薬を飲んでいれば頭がぼーっとするのも当然である。


(略)


会社の経営から進められるリストラの問題が、個人の疾病にすり替えられ、そして本人は、自分は病気だからと納得させられて身を引いていく。労働組合はこの実態についてよく勉強しなければならない。このようなことが進行していけば、労働問題が疾病化を通して「こころの健康」というまがい物の精神医療に解体されてしまう。社会問題も社会病理も疾病化してしまえばいいとなる。



しかしこれは、どこかでみたことがあるな、とある文書が頭に浮かんだ。私がナショナルセンターに送った一通目の要望書にそっくりなのだ・・・。


最近「サクラさん、この問題を訴えてみませんか?」というお誘いをうけた。野田先生の本を読んで、どうして私なのかわかった気がした!


一通目の要望書の一部を公開しようと思う。「育児の相談」がなぜ「精神科医による投薬治療」になるのか、センターから説明は未だに一切ない。しかし私が力を振り絞って書いた『要望書』は、たぶんこれから様々な形で注目されていくだろう。


野田先生がおっしゃるように、絶対にこのままでは終わらせない。天国のお父さん達に強く誓う!


●センター総長

要望書

周産期医療における心のケアの改善を 


(中略)


3. 育児心理科 ▲医師への不信
 


とくに精神科であったということにはショックを受けました。同時に投薬に対する不信感が大きくなりました。副作用を知らされることもなく、いつの間にか投薬量が多くなっていったり、薬が変わったりしたことがあったからです。実際、薬の副作用でぼんやりすることが多くありました。そのために育児に支障が出ていました。ある時には階段から落ち、またある時には頭を強打し、別の大学病院で検査をしていただいたこともありました。その中でも、エリミンという薬は、服用すると色が変わって見え、とても恐ろしく感じました。


 それでも、私は▲医師を信頼しようとしてきました。通院し続けることで、誰かのために役立てるかもしれないと、治療方針や投薬に対する不安を打ち消してきたのです。たわいもない会話から投薬するのですから、誤投薬があったとしても当たり前だと思うようにしていました。


意見書を提出してからも、お互いに歩み寄ることはできるかもしれないとも考えていました。しかし、▲医師は、私の意見書の内容を「病んでいる」とあっさり否定し、落ち込む私に投薬量を増やするばかりでした。そして、8月9日、決定的なことがありました。


この日を境に、私は▲医師を全く信用できなくなりました。それは、関係が悪化するにつれ、眠れず苦しむ私に、ベゲタミンA錠を処方したことです。調べてみるとベゲタミンは、強い睡眠薬であることが分かりました。幼い子どもを育てているのを知っていて、なぜ強い薬を出すのでしょうか。▲医師は母親に寄り添う気持ちなどないのではないでしょうか。この時も薬の説明は「赤い色だからといって、怖い薬ではありません」というものでした。


 一度悪化した信頼関係ほど、もろいものはありません。診断や投薬すべてに不信が募ります。不安になり調べると、今まで処方されていた大半の向精神薬について、6月1日と7月6日に、厚生労働省が使用上の注意改訂を指示していたことがわかりました。


具体的な商品名は、アモバン、エリミン、ユーロジン、セロクエル、ベンザリン、レンドルミンです。これは、この年の3月に発表されたFDA(米国食品医薬品局)からの警告を反映したものでした。そこで、改めて▲医師に電話をし、なるべく早く時間をとり、今の正式な診断名と、薬の使用目的や副作用について教えて欲しいと訴えました。


 10月になり、私の正式な診断名は、生涯治る見込みのない精神障害だと告知されました。そして治療内容や方針に疑問を持つのは、私の障害のせいだとされました。驚いたことに、「軽度のうつ」だった病名が、意見書を提出してから「統合失調症の疑い」へと変わり、その診療日には「失調感情障害」になっていたのです。


また、薬の副作用については、注意改訂があったことさえ知らない様子でした。「処方した薬の量は少なく、副作用も、依存性もはたいしたことはない。睡眠剤なら自分も服用している。そのような被害妄想が、あなたの障害の特徴だ」と、と取り合ってくれませんでした。


このときから、▲医師のそれまで穏やかだった表情が一変し、わざと傷つけるような態度をとったり、言葉を投げかけるようになりました。また、あからさまに、転院を促すようになりました。


 ですが、私はそのようなことを到底受け入れることはできませんでした。なぜなら、軽い不眠はありましたが、意見書を提出するまで精神的には回復しはじめていたからです。そうでなければ、意見書など書いて提出する勇気はでないのではないでしょうか。むしろ、依存性のある向精神薬を、いつになったら断ち切れるようになるかで悩んでいました。▲医師には、「病んでいる」証拠とされた内容も、運動生理学と免疫学の専門家である夫が一読し、手直ししています。


夫も、超低出生体重児の育児は、親だけの努力では解決困難な問題もあるので、当事者が社会に広く訴えていく必要があると申しております。実は、7月中旬に夫が▲医師に電話をかけたことがありました。その時に夫は、「統合失調症の疑い」があると▲医師から聞かされ、驚いたそうです。


 私は、「精神障害」と言われたことで深く傷つき、日常生活にも支障をきたすようになりました。このままでは、本当の精神障害者にされてしまうかもしれないという恐怖もありました。精神科への通院歴があることを考えるだけでも、肩身の狭い思いになりました。


カルテに書かれている内容次第では、生命保険の契約更新が不可能になるかもしれないと不安になり、次の診察日に訴えました。しかし、返ってきたのは「障害者手帳という手もありますよ」という耳を疑う言葉でした。この言葉に私の心は折れてしまいました。これが、あれほど素晴らしい理念を掲げ新規設立された、●センターで行われている心のケアなのでしょうか。


心のケアは、センターの大きな特徴でもあったはずです。私を初めとする、超低出生体重児の母親が、落ち込むのは当たり前だと思います。それは正常な心理です。そのケアがほしかっただけです。投薬や精神科医の言葉により、精神障害者にされてしまうことがあって良いのでしょうか。私は度重なる心労で、今年2月から子どもの通院ができなくなりました。


4. 最後に 


 以上のことから、今回この要望書を作成いたしました。出産に関する心の問題はあくまで正常心理の延長線上で起きることではないでしょうか。投薬中心、また、対応する医師のパーソナリティに問題があっては、こころの診療部とは言えないのではないでしょうか。どうか、母親の立場に立ち,支えてくださる診療部になるように改善をお願いいたします。


平成20年12月8日

2015/05/22

第4回 自死遺族等の権利保護シンポジウム その3 自死への差別のない社会へ

第4回 自死遺族等の権利保護シンポジウム その2  『いじめ』による自死が、個人や家庭の問題にすり替えられる! の続き


最後は、今回のシンポジウムのテーマである、自死遺族が抱えている様々な、差別や偏見について。


全国自死遺族連絡会 田中幸子代表

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●医療者や支援者の持つ、『精神科への差別や偏見』


私は亡くなった方と、遺された遺族のための支援活動、「周産期医療の崩壊をくい止める会」に参加していた。だから野田正彰先生の主張にこころから賛同する。


ちなみに、これは私がある薬害シンポジウムで発言した時に書いた原稿の一部。私も精神科に通院歴があるということで、ずいぶんと差別や偏見に苦しめられてきた。それも、日頃精神科の受診をすすめている、医療者や支援者の持つ差別や偏見にだった。


精神科の被害者がいつまでたっても救われないのは、その深刻さが社会に見えないことにあります。死に至る重大な副作用があっても、亡くなった方は訴えることができません。


また、自死遺族が訴えても、「「うつ」はもともと死に至る病だから自殺しても仕方がない」と議論になりません。


多剤大量処方で中毒死した被害者のご遺族には、「薬を欲しがる中毒患者だから死んでも仕方がない」という、聞くに堪えない言葉が投げかけられます。


例え、被害者本人が訴えたとしても、精神科の通院歴のために差別や偏見、言葉では言い尽くせぬ数々の困難が待ち受けています。


医療者と一部の患者さんからは、あなた達の行動は精神科に対する差別や偏見を助長する、あるいは医療崩壊を加速させると、行く手を阻まれます。


だからこそ、私は今日、発言する決意をしました。


元主治医は私に向かって「私も向精神薬を服用しているけれど、私はあなたと違って、精神障害者じゃない」と思わず口にしていたことがある。他にも「どうせあなたに薬は効かない」と暗に私の人格に問題があるのだというような言葉を投げかける医師もいた。


しかし、私の後ろには、もっともっと、差別や偏見に苦しむ方がおられたようだ。本当に「私には差別や偏見がない」というのなら、自死遺族の声に耳を傾け、遺族の心の負担を一緒に減らしてほしい。


当日配布された資料の中に、野田正彰先生が『中外日報』に投稿した、「社会の非情な考え」があった。私が下手な文章を書き連ねるより、読んだ人の心に響くと思うので一部引用させていただく。


平成25年(2013年)4月11日 中外日報 論壇

自死への差別 故人のみならず遺族にも 社会に非情な考え 宗教界の対応望む 精神病理学者 野田正彰  



どうして死んだのか、民事上の手続きで書き残されたものや証言等から自殺した人への精神鑑定書を作成するよう頼まれたとき、私は故人に向かって語りかける。どんなに無念な思いを残して亡くなっていったことか、私たちの社会はあなたの苦しみを聞きとる力がなかった、私は少しでも貴方の死の意味を知り伝えます、と手を合わせる。


日本社会は毎年3 万人ほどの老若男女を死に追い込んできた。ところが、故人を苦しめただけでなく、亡くなった後、遺族をさらに追い詰める社会であることを知っておられるだろうか。遺族は故人の思い出を整理しながら、遺失の悲哀に耐えていかなければならない。


同時に経済的な困難にも耐えていかなければならない。精神的にも、社会=経済的にも、二つの喪の仕事をやり遂げなければならない遺族に、私たちの社会はさらに非情な仕打ちを加えている。


(中略:家主や不動産会社からの補償要求に、自死遺族が苦しんでいる事例がいくつか紹介される)


借り主が損耗したものを回復するための費用請求は当然のことであるが、それをはるかに超え、お祓い料、過度のリフォーム費、精神的苦痛への慰謝料、近隣への慰謝料、数年にわたる家賃補償金などが請求されている。これらの法令上の裏付けとなっているのは、国土交通省による賃借契約に当たっての重要事項説明書であり、心理的瑕疵は告知しないといけないことになっている。


自殺は心理的瑕疵であり、告知しなければならず、告知すれば大きな損害が生じるというわけだ。国交省の法令は、自殺は心理的瑕疵とするという最高裁の判例によるとされている。


自殺がなぜ心理的瑕疵なのか。病死や孤独死した場合と、どのように違うのか。ここには死を差別し、自殺を穢れた死とする考えが流れている。


遺族がなぜお祓い料を支払わないといけないのか。一体、何をお祓いし、何を清めているのか。家主や不動産業者は借り手が遠のくことを理由に、過剰な補償を求めているが、それを動機づけているのは彼ら自身の差別や偏見ではないのか。


さらに自殺のあった建物を特別に忌み嫌う人々は、その理由を振り返ってみたことがあるのだろうか。病院に近づくのを恐れず、人の亡くなったベッドや病室で治療を受けることを拒んだり、入院費の減額を請求しないのは何故か。


国交省や裁判所は、自殺をなぜ重要な心理的瑕疵と主張するのか。私たちは切腹や特攻隊の自爆死のような権力の側によって強いられた死を美化しながら、私たちの社会の矛盾が強いた死を差別するのだろうか。


多くの宗教者は葬儀にたずさわっている。とりわけ僧侶は徳川時代からの宗門改め制度により、ほとんどが日本人の葬儀で読経などの重要な役割を果たしてきた。


1998年度より2011年度まで14年間、毎年3万人を超す自殺者を出してきた日本社会。自殺された葬儀で読経し、遺族と会話をもたれたお坊さまは少なくないと思われる。


これらの亡くなられた人が、なぜ死ななければならなかったのか。そして遺族はどんな社会的、経済的負荷をかけられているか、関心を持っていただきたい。亡くなられた人への悲苦を想うよりも、自殺を穢れた死とする習慣がどれだけ遺族を苦しめているか、各宗教教団で調べ、それはいけないと教えてほしい。各宗門、全日本仏教会がそれを教えるだけでも、大きな力になるだろう。


遺された遺族への重圧は、借家の場合に尽きるわけではない。自宅で死亡し医師に往診してもらっていなかった場合、検死となる。県によっては、診断書を十数万の死体検案料を即金で要求するところもある。葬儀の後、遺族が子育て支援、奨学金申請、債務整理の相談、労災申請の手続き、法的な相談などを求めても、自死遺族と告げるだけで精神保険福祉センターへ行くように言われ、結局うつ病扱いされると訴えている。


私たちの社会は亡くなった人に対してだけでなく、遺族に対してもあまりにも理不尽である。せめて遺族への負担を少しでも減らすことで、故人に「安らかに」と手を合わせられる社会に変わっていこうではないか。



●『うつ』だから死を選ぶのか?


その他に、細川弁護士と和泉弁護士から労災認定や生命保険における差別、家主からの不当な補償要求などの話が続く。


左から斎藤司法書士 大熊弁護士 細川弁護士 和泉弁護士


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自死した方の精神科受診率が高いせいだからだろうか。様々な社会問題を抱え精神的に追い詰められている人達に精神科の受診をすすめても、逆に自死のリスクが高くなるかもしれない、ということが、法律の専門家の間でも認知されているようだ。


そのため、会場からも、そして精神科医である野田先生からも、「(今さら精神科を受診しないほうがいいというけれど)『うつ病』という診断があれば、『労災認定』が受けられる、としてきたのは、あなた方法律家じゃないですか!」という批判が集中した。私もずっとその矛盾に怒りを感じてきた一人だから、その通りだと思っていた。


●『自殺防止キャンペーン』 製薬企業に責任はないのか?


静岡県富士市のキャンペーンのポスターを見ればよくわかると思う。仕事のストレスを抱え、眠れないほど悩んでいたり、疲れているお父さんは、仕事を休ませてあげないとダメなのだ。それを、薬を服用すれば仕事が続けられる、というようなキャンペーンをするなんて。ただでさえ、日本のお父さん達は、家族思いでまじめな働き者が多い・・・私はこのポスターを思い出すだけで、泣けてくる。


静岡県富士市『パパ、ちゃんと寝てる?』のポスター (野田正彰著 『うつに非ず』より引用)

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ガンバッてるお父さん
二週間以上の不眠は『うつ病』かも



でも、野田先生の追求がどんどん厳しくなり、ボランティアで発言してくださった先生達が少し気の毒になってしまう。


会場からも「先ほどから、精神科や向精神薬が問題だと話が出ているのだから、法律の専門家の先生達も、個人個人の問題で闘わないで、製薬企業を相手に闘えばいいじゃないですか!」という発言が出た。その通りだと皆賛成し、大きな拍手が。


最後に全国自死遺族連絡会代表の田中幸子さんの挨拶で終わりになった。「自死する人は一年間で3万人にもなりました。山のようなグラフがあるでしょう?3万人ていうけれど、一人一人の命でできているグラフなんですよ」という言葉がつきささる。


野田先生がおっしゃるように、自殺防止対策が間違っていたのなら、関わってきた方々はきちんと反省してほしい。そうじゃないと、亡くなった方々は報われないと思った。


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自殺遺族に突きつけられる高額請求 おはよう日本 NHK 2013年11月29日(金)


阿部

「今日(29日)から、ある電話相談が横浜で行われます。対象となっているのは、家族を自殺で亡くした遺族です。こうした人たちが直面する経済的なトラブルの相談に答えようというものです。」


鈴木

「その背景には、自殺した人の遺族が高額な賠償金を請求され、悩みを声に出せずに苦しむケースが相次いでいることがあります。」


自殺遺族を苦しめる 損害賠償請求


2年前に自殺した女性です。アパートで一人暮らしをしていました。うつ病が原因と見られています。母親は、女性と数日間連絡が取れず、心配になって部屋を訪ねましたが、すでに亡くなっていました。


母親

「つらかったです。親として、なぜ自分の命を絶たなきゃいけないんだという気持ちになって、悲しいより、悔しかったほうが多いですね。」


悲しみにくれる間もなく、遺族には思いもかけない事態がふりかかりました。遺体が見つかったその日から、アパートの家主が賠償金を支払うよう求めてきたのです。資産価値の減少は大きく、長期間にわたって借り手が見つからない恐れがあるとして、5年分の家賃と部屋の改修費。


さらに、隣接した部屋の住人にも精神的苦痛を与えたとして、200万円の慰謝料。あわせて420万円を連帯保証人である遺族が払うよう求めていました。こうした場合、遺族がどこまで責任を負うかは、明確な基準がありません。


自殺をめぐる問題に詳しい弁護士によりますと、判例では家賃の損害賠償や改修費用は認められても、隣人への慰謝料の支払いを認めた例はないということです。


母親

「(娘が)亡くなって、親としては、すごくつらくて。なにしろ、パニック状態でいたときに、そういうふうに言われて、ただ『すみません、すみません』と言うことしかできなかった。」


母親は弁護士を通して1年間にわたって交渉した結果、家主が減額を受け入れ、家賃2年分と改修費、あわせて100万円あまりを支払うことで決着しました。しかし、その後も心の傷は癒えていないと言います。


母親

「長かったです。家主との対話がどうなるか、不安になるのが先立って、子どものことを考える暇もなかったですし。すごく(負担が)大きいです。いまだに、もう2年たちますけれど、ダメージが残っています。そう簡単には、消えないかもしれないですね。」


遺族にさまざまな名目で請求がつきつけられるケースは相次いでいます。


仙台市の田中幸子(たなか・さちこ)さんです。長男を自殺で失ったことをきっかけに、5年前、全国の遺族を支える連絡会を作りました。当初は遺族の心のケアが目的でしたが、家主からの損害賠償の請求に苦しむ相談が毎年50件以上も寄せられ、驚いたと言います。


「金額は?」


全国自死遺族連絡会 田中幸子さん

「1,200万円。震えが止まりませんでしたって書いてあるけど、まさしくそうだと思いますね。」


このケースでは、外壁や屋根を改修した上で、建物と土地をすべて買い取るよう要求されました。他にも、マンションを丸ごと建て替える費用として1億円あまりを請求されたケースもあります。田中さんは、声を上げられない遺族は多いと考えています。


全国自死遺族連絡会 田中幸子さん

「恐れおののいているわけですよね、それはものすごく感じますね。怖いんだろうなと思います。何千万、何億(請求が)来るかわからない。私1人で受けて、年間40~50件。ほんの氷山の一角だと私は思っています。まだまだ、たくさん泣き寝入りして、本当に誰にも言わずに支払っている人たちも、たくさんいるんだと思います。」


一方、家主などでつくる団体は、法外な請求を行うケースは一部だとした上で、借り主の自殺による影響は極めて大きいと訴えています。


日本賃貸住宅管理協会 長井和夫さん

「事故物件に当たれば、すぐに次の方が決まるとは考えにくい。あるいは1年、2年、下手したら3年も覚悟しなければならない。請求できなければ、全部オーナーがかぶることになりますから、オーナーにとっては死活問題になりかねないです。」


阿部

「取材にあたった生活情報チームの山本記者です。こうしたトラブル見てますと、胸が痛みますよね。」


山本記者

「家族を失った遺族が高額の損害賠償に対応するのは、とてもつらいものがありますし、家主の側にとっても負担は大きいものがあります。問題は、どこまでを損害と認めるかなどの明確な基準がないことなんです。」


上野晃弁護士

「オーナーにもオーナーの事情があって、金銭的な請求を出来るだけしたいと。連帯保証人になっている遺族からすると、実際にどの程度負担すれば、自分が責任を果たしたと言えるのかが明確ではないのです。双方が不安に駆られ、過剰な争いになるのを防止するには、行政機関がガイドラインを示すといった対応が早急に求められていると思います。」



鈴木

「国は何か対応しようとしてるんでしょうか?」


山本記者

「国も問題を把握はしていますが、具体的な解決法を定める道筋は、まだ見えていません。遺族の中には、家族を自殺で失ったことを打ち明けられない人も多いため、こうした問題をこれまであまり表面化してきませんでした。


遺族を支援している田中さんの団体では、今日から弁護士などと電話相談を行い、多くの事例を集めて、不当な請求が行われないよう国に対策づくりを働きかけることにしています。」


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2015/05/21

第4回 自死遺族等の権利保護シンポジウム その2  『いじめ』による自死が、個人や家庭の問題にすり替えられる!

第4回 自死遺族等の権利保護シンポジウム その1  野田正彰先生に直談判! の続き


●青森県立八戸工業高校 男子生徒の自殺裁判


第二部は、法律の専門家による講演。それぞれの抱えている自死遺族の裁判の争点や、自殺(自死)に至った原因、自死遺族が何に悩んでいるか、などを話して下さった。


左から斎藤司法書士 大熊弁護士 細川弁護士 和泉弁護士


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斎藤司法書士は、第一部で野田正彰先生が痛烈に批判しておられた、静岡県富士市の自殺防止対策、「富士モデル」を推進する立場だったそうだ。まずはじめに謝罪の言葉からはじまった。


斎藤司法書士が関わってこられたのは、ある県の県立高校で起きたいじめ自殺事件だったそうだ。(斎藤司法書士は『ある県の県立高校』としかおっしゃっていない)ちょうど私も、息子の中学生活のことで悩んでいたこともあり、興味深くお話をきいた。


あの「大川小学校の悲劇」を取材しておられた加藤順子氏のヤフー個人ニュースに詳しいことが書いてあった。生徒が亡くなった直後に行われた、アンケートの内容を遺族に知らせないなど、ここでもまた、不都合な真実が隠蔽されている。


「先生がいじめていた」いじめの存在示唆するアンケート見つかる 07年の青森県立高生自殺で Yahoo!個人ニュース 加藤順子

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斎藤司法書士のお話では、この高校では、「絶対に部活に入らないといけない」という決まりがあったそうだ。不幸なことに、いじめがあったのは部活だったため、自死した男子生徒は、「部活から逃げられない」というようなメールを遺し命をたったそうだ。


ちなみに、亡くなった男子生徒は、高校に入学する以前は、すぐ近くにある中学の運動部に所属しており、人気者だったそうだ。そういう経緯があるにも関わらず、彼は高校に入学して一ヶ月半ほどで死んでしまう。


これでは、ご遺族でなくても「彼を死に追いやる何かが、高校にあったはず」と思うだろう。


●7年半隠蔽されたアンケート


しかし学校や教育委員会は情報を公開しようとしない。いじめがあったことも当初は否定したという。仕方がなくご遺族は県を相手に訴訟に踏み切った。


一審では、学校側の証人として教師が出廷し、「いじめはない」と訴え、ご遺族の側からは生徒が証人となり「いじめがあった」と証言したそうだ。裁判所が認めたのは、教師の「いじめがない」という証言だったため、ご遺族の請求は棄却されたそうだ。


ご遺族は諦めきれず、現在、高裁で争っているそうだ。ところが、裁判の中で県に情報開示請求したところ、なんと、今まで「ない」とされていたアンケート調査結果が急に出てきたそうだ。


この自殺(自死)問題をみていても、自殺防止対策として、「スクールカウンセラーを配置すればいい」という文科省の指導には疑問がわく。カウンセラーに話をきいてもらったり、精神科や心療内科に行ったところで彼の苦痛を取り除くことは難しいし、学校の「部活は強制」という姿勢をとめることはできないからだ。むしろ、個人の「こころの問題」にすり替えられ、学校の体質が永遠に変わらないじゃないか。


本当にいじめや、いじめによる自殺(自死)をなくしたいのなら、法務局の人権相談窓口の対応などを、もっときちんとして欲しいし、それよりも、自殺(自死)があった学校と教育委員会に、情報開示を義務づけたほうが効果があると思う。


教育者であり、スポーツの指導者として長年活動してきた夫に「部活に絶対に入らないといけないなんて、そんなおかしな決まりがあるの?」と尋ねると、絶句していた。


斎藤司法書士は、「どうして自死遺族が、いじめがあったことや、いじめと自死との因果関係を立証しないといけないんでしょうか?」と繰り返しおっしゃっていた。


私も同感だ。だって、学校には、子どもの命を守る義務がある。因果関係があろうとなかろうと、生徒が自ら命をたったのに、死について全く考えないのだろうか。それで教育といえるのだろうか。


最後に斎藤司法書士のお話に何度か出てきた大津でおきたいじめ事件について、野田正彰先生の『うつに非ず』に興味深い記述があったので引用させていただく。


加藤さんの記事によると、青森県立八戸工業高校男子生徒の裁判の次回弁論は、7月2日だそうだ。これまで学校側がいじめの存在自体を否定したいたことから、ネットでもじょじょに注目が集まっている。だから最後に、スクールカウンセラーの問題点などについて、記しておこうと思う。


●スクールカウンセラーは誰の味方なのか


先日、私の息子も、同じように家からお金を持ち出し、ミニカーや雑誌を買っていたことがわかった。しかし、私は息子を『発達障害』だと全く思わない。新しい環境に慣れようとがんばっている息子が、彼なりに発していたSOSだと理解した。


超低出生体重児(未熟児)の『いじめ』問題


私は、野田先生の講演とご著書を読んで、超低出生体重児と母親に関する調査報告書に対する違和感がどこからくるのかわかった気がした。私が求めている調査は、野田先生が紹介していた「新潟県東頸城松之山町の自殺防止対策」のような調査だと思ったからだ。今まで目にしてきた報告書には、家族の歴史や文化が抜け落ちている。


第4回 自死遺族等の権利保護シンポジウム その1  野田正彰先生に直談判!


ある新生児科医は、私にこういったことがある。「私も心理センターの診断は疑問に思いますが、お母さんの中にはとりあえず診断名がつき、『ホッとした』という方がいるんです」。


しかし『発達障害』とは、母親を安心させるためにあるわけではない。


子どもの一生を左右する、重大なことにも関わらず、子どもの自己決定権など、子どもの人権には全く触れていないことは問題だと思う。子どもの人権は一体誰が守るのだろうか。医療者をはじめ、『専門家』と呼ばれる方々には、そろそろ真剣に考えていただきたい。


野田正彰著 『うつに非ず』 第4章 疾病化 社会問題を個人の病気にすり替えるより一部引用


●子育てに自責的な親たち


なぜ発達障害のラベル張りが浸透したのか。


少なくない親たちが、「自分のこどもには問題があるのではないか、それはこどもの育て方が原因でないか」と不安を抱いている。他人から指摘される以上に、自分自身を責めている人がいる。そのため、子どもに精神医学的な疾病名がつくと、「病気なのだから仕方がない」と安心し、早期に治療するように言われて少し落ち着いた気持ちにある。


これはトリックに他ならない。日本では発達障害とは脳機能の障害と法律に書かれているのに、発達障害だからと言われて安心するのはおかしくないか。脳機能の障害は、脳の器質的、遺伝的な原因を仮定している。そんな仮説を安易に認めてよいのか。


早期の治療をすれば全ての病気がよくなるわけではない。問題の多い早期介入も少なくない。

(中略)

幸福感についての国際比較調査では、日本の子どもは他国の子どもより極めて低い。しかも、思春期を過ぎるとさらに幸せに思えなくなっている。こんな子ども時代を生きることが幸せなのか、子どもにこんな日々を強いている私たちに責任はないのか。


近年では、何もかも発達障害と片づけられる傾向にあるが、子どもが問題行動をする時には家庭、学校、地域社会に問題があることが多い。もちろん、家庭といっても親のみに責任があるのではない。親がおかれている苦しい状況、子どもの見方は、この社会と文化が作り出したものである。異なった社会なら、子どもがこのような精神状態になるのか、こんな行動をとるのか、考えてみるとわかるだろう。


●いじめを発達障害にすり替える専門家


(略)

2011年10月、滋賀県大津市で中学2年生の中学男子生徒が自殺した事件でも、疾病化が登場する。彼はいじめる生徒から何度となく家のお金を盗ってくるように脅されていた。


父親が気づいて息子に問いただすと、ゲーム機やゲームソフトを買うのに使ったと言うだけで、大半のお金の使い道は分からなかった。


困った父親が児童相談所に電話すると、「繰り返しお金を盗るのは、軽い発達障害の見方ができる」と言われた。ショックを受けた父親がそれを息子に話すと、彼は「病気扱いするのか」と激しく反発し、朝まで帰って来なかったという。


自殺から1年3ヶ月後にようやく、「いじめが要因となって自殺した」という市の第三者委員会による報告書が出された。市の報告書は、男子生徒の自殺直後に教育委員会が派遣したスクールカウンセラーが関係者のカウンセリングを行い、この生徒の家庭環境に問題があるような助言をしていたと記している。


また、市の推薦で調査委員会の委員に内定し、遺族側から個人情報を漏らしたとして批判され辞任した臨床心理士に対して、「厳密な調査もせずに家庭環境に虐待があったというストーリー作りに荷担したという疑いが沸いた」とも指摘している。


臨床心理士やスクールカウンセラー、児童相談所は、学校で行われているすさまじい虐待を、発達障害や家庭の心理的問題にすり替えて止まない。
2015/05/20

第4回 自死遺族等の権利保護シンポジウム その1  野田正彰先生に直談判!

先日、息子の問題で電話をしたら「明日議員会館でシンポジウムがあるから来ない?自死遺族が、不動産会社や家主さんに法外な請求をされてとても辛い目にあっているんだって。どう?」というので、「行きます!」と伝えた。


衆議院第1議員会館

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全国自死遺族連絡会


第4回 自死遺族等の権利保護シンポジウム~改めて自死への差別・偏見を考える~

【日時】2015年5月18日(月)12時~15時

【場所】衆議院第1議員会館 多目的ホール

【プログラム】

第1部 12時~13時 人の死をいたぶる社会 野田正彰先生

13時~13時20分 自死遺族の体験から

休憩 10分

第2部 13時30分~15時 法律家の立場から 現状と差別・偏見について

和泉弁護士  大熊弁護士  斎藤司法書士  細川弁護士

主催 自死遺族等の権利保護研究会    共催 全国自死遺族連絡会



●自死遺族の訴え 『自死遺族を苦しめる行政の対応を見直してください』


自死遺族連絡会の代表の田中幸子さんは、「こころのケア」に反対の立場で、国の審議会の構成員だ。ナショナルセンターをはじめ医療者に要望しても、なかなか声が届かない。だったら、同じ考えで活動する田中さんにお願いしたり、一緒に活動したほうが早いと考えた。


当日、入り口で配布される資料の中に、過去に配布されたチラシが入っていた。『遺された人の苦痛を和らげるという前に自死遺族を苦しめる行政の対応を見直してください』とタイトルがついている。読んで驚く。「あっ、超低出生体重児(未熟児)の育児支援と同じ!」と思ったからだ。


いくつか抜粋すると・・・


「自死遺族は精神福祉保健センターに行ってください」

子育て支援を求めても、奨学金申請がしたくても、債務整理の相談がしたくても、労災申請の手続きが知りたくても、法的な相談がしたくても、「自死遺族」というだけで、「精神福祉保健センター」へ送られてしまうのは何故でしょうか。


心理カウンセラーによる傾聴では具体的な問題解決に結びつきません。「自死遺族=精神障害者」ではありません。心のケアよりも先に、普通の行政相談をさせてください。心のケアばかりに偏った自死遺族支援を見直してください。


「自死遺族だけの集まりは危険である」

自死遺族のわかちあいの会の運営について、「専門家」を自称する方々がおっしゃっていることです。自死遺族の多くは普通に社会生活を送っている普通の市民です。


全国で活動をしている自死遺族のセルフヘルプグループは今年既に20を超えています。偏見と誤解を生む根拠のない発言をやめてください。



誰が差別や偏見を生んでいるのか。『専門家』と呼ばれる支援者の方々に考えていただきたい。


田中さんがいらしたので、ナショナルセンターに送った『要望書』を手渡した。「田中さんと同じ考えだから、田中さんを応援しています」と言った。田中さんは私を覚えてくださった。


シンポジウムがはじまる。


●野田正彰医師の基調講演


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一部は、山口県光市母子殺害事件の精神鑑定などで有名な、精神科医の野田正彰医師の基調講演とご遺族のお話。


野田先生は、自殺の原因を『うつ』だとする現在の精神医療の考え方には、否定的な立場の精神科医として知られている。先生の活動の原点は、『サラ金』による自殺問題だったそうだ。


借金に追われ、精神的に追い詰められている方は、不眠、食欲不振、憂鬱の気持ちを抱えている。野田先生はとにかく一時的に病院で休ませた。その一方で、家族には借金の整理をするよう、説得したそうだ。単に休ませ、薬を投与するだけでは借金は膨らむ一方だ。


借金の事例はわかりやすい。


一口に自死といっても、死を選ぶ人はそれぞれが深刻な問題を抱えている。抱えている問題を軽くするなり、解消しなければ、『うつ』の状態からは抜け出せない。


●自殺者を大幅に減らした、新潟県東頸城松之山町の自殺防止対策


講演の中で、野田先生が『すぐれた自殺研究』として、新潟県東頸城松之山町での取り組みを紹介してくださった。夫の友人達が続けている、お年寄りの健康調査ににている。


(野田先生のご著書「うつに非ず うつ病の真実と精神医療の罪」を参考にまとめてみる)


新潟県東頸城松之山町(現・十日町市)で行われた取り組みで、後に新潟大学医学部教授となった後藤雅博氏ら国立療養助所犀潟病院(現・国立病院機構さいがた病院)の精神科医と東洋大学の社会学者が1980年代後半から1990年代後半にかけて行った。


日本の高齢者の自殺率は一環して高いことが知られている。都市部よりも農村部、特に雪の多い東北や新潟で多いことがわかっていた。


松之山町も雪深く、お年寄りの自殺率が高く、1973年から1984年までの12年間における65歳以上の自殺率は222.7であった。1984年382.1、全国の高齢者平均の47.8の自殺率に比べて8倍も高かった。


この事実に注目した研究チームは、町の保健師とともに調査をはじめる。


当時、高齢者の自殺が多い理由は、農村部では子ども達が都市へでていき、高齢者は生きる意欲を失い亡くなっていくと考えられていた。


しかし実際は、独居世帯には一人もおらず、二世代、三世代が一緒にくらす家族に、自死が多いことがわかった。息子や孫などと一緒に住むお年寄りが、脳梗塞なで体が不自由になると「迷惑をかけたくない」と縊死をするのだ。

裏山の木にヒモをかけて縊死するため、「瓢簞病」という隠語さえあったという。


そこで研究チームが目指したのは、文化を変えることだった。


「働けないのなら死んだ方がいい」「子ども達に迷惑をかけたくない」という価値観を変えるため、集落全体に働きかけた。老人クラブをつくって連日食事会をひらき、歌って騒ぎ、温泉へのバス旅行を企画した。「楽しく生きる」という価値観に変えるためだ。


同時に、保健師がふさぎがちな人を、見つけ、集中的に働きかけるという取り組みを行った。その結果、自殺者はいっきに減少した。


この事例は精神科医によって紹介されることもある。だが、自殺について論文を書く精神科医たちは、医療の視点でしかものを見ないために、「保健師たちが訪問して自殺リスクが高い人を見つけたから」「うつ病対策がすすんだから自殺が減った」などと書くのだ


彼らが、地域の文化を変えたことは理解していない。


松之山町の事例をそのまま模倣すればいいというわけでもない。後藤医師や東洋大学社会学の研究チームは個別の地域で何が問題であるかを実証的に捉えたうえで、見いだした課題に取り組んだ結果、自殺が減ったのである。


ところがこのような取り組みを髙く評価する力が日本の社会にはなかった。



●自殺者を増やした静岡県富士市の「富士モデル」


次に、自殺対策が、逆に自殺を増やしてしまった失敗例として、有名な静岡県富士市と、大津市の取り組みが紹介された。再び、野田先生の本から引用する。


静岡県富士市は、「富士モデル」と呼ばれ、県と市、市医師会、富士労働基準監督署が共同して「パパちゃんと眠れてる?」という呼びかけを。リーフレットポスター、路線バスの広告、地場産業のトイレットペーパーで繰り広げた。薬局も加わった。睡眠薬を買いにくる客に、リーフレットを配ったのだ。

(略)

医師で労働衛生コンサルタントの櫻澤博文氏が、2011年5月の日本精神神経学会総会におけるシンポジウムで(「富士モデル」を)厳しく批判した。


櫻澤氏は自殺へ至る要因分析を経て抽出された対策ではなく、科学的な裏付けもなかったと指摘する。「不眠」を根拠に精神科医による加療をさせたことが、自殺者増につながったのではないかと批判した。


加えていかに自殺者増という不都合なデータを隠したのかも指摘している。


2008年に富士市の自殺者は前年比1.37倍増になったことが、翌09年7月の「一般医から精神科医への紹介システム」運営委員会で報告されていたにもかかわらず、そのまま富士モデルは続けられた。問題を検討するどころか代わりに同年9月の「自殺対策シンポジウムinしずおか」では富士市の自殺者は「不明」として公表せず、静岡県のホームページ上では削除されていたという。


結果を隠し、検証もしないまま、富士モデル、つまり睡眠薬キャンペーンと一般開業医(かかりつけ医)、精神科医の連携運動は、内閣府の自殺対策推進室や各字自体の自殺対策として行われ続けてきた。


富士モデルを見習って、09 年から滋賀県大津市が内閣府の地域自殺対策緊急強化基金を使い、「こころやからだの不調」なるものを精神科医につなぐ、キャンペーンを行った。しかしはじめた翌年の自殺者は前年比15人増の81人となった。

(中略)

富士モデルと共に自殺者が増えているという事実が知られてくると、富士モデルはまるでなかったかのように自殺対策のなかで言及されなくなった。


だが、施策によって引き起こされた事態には責任がある。亡くなった人への責任もある。何が問題であったのか、キャンペーンを行ってきた者たち、内閣府自殺対策推進室やライフリンクは答えなければならない。


眠れないとか不調ということから不安にさせて、それを「うつ」につなげたことをふりかえらなければならない。


自分たちの都合の悪い結果が出ると、それを検討しようとはぜず、隠す。社会の病理はこのようなことから拡大していく。



●日本の精神医療は一体、どうなってしまったんだ!


次はご遺族の講演。昨年の6月に、20代のお嬢さんを亡くしたお母様の講演。


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亡くなる前日、お母さんとメールで言い争いになったそうだ。お母さんはすぐに返信をせず、翌日メールを送ろうと考えたそうだ。しかし、なぜか翌朝、妙に胸騒ぎがして連絡をしたところ、返事がない。急いでお嬢さんのアパートに向かうと、部屋の中にはいない。


「出かけたのか」とホッとしたのも束の間。背中に視線を感じる。振り返ると、クローゼットの中で縊死したお嬢さんの姿が・・・。


やはりお母さんは、お嬢さんが通院していた精神科と薬に疑問を持っておられた。精神科に通院した途端、人格が変わったようなことをおっしゃっておらた。


不動産屋さんをはじめ、アパートのオーナーの対応や、請求される金銭について、いろいろ考えさせられた。タブーにされているから、遺族は二重三重に被害にあうようだ。


自殺防止対策というものの、自死した人への差別や偏見には、行政は目を向けようとしない。キャンペーンをさんざんしてきた製薬企業は自社の利益のためばかりでなく、遺族のためにもお金を使ってよ、と思ってしまった。


一部が終了し、野田先生のもとに行き、要望書を読んでください、と訴えた。


「私は先生がおっしゃるようなことを、訴えたのですが、全くとりあってもらえませんでした。それどころか、『精神障害者』にされ『出ていけ』と追い出されたんです」。


野田先生はびっくりして、「どうしてあなたが精神科にいかないといけないの?」とおっしゃるので「超低出生体重児(未熟児)は育てづらいために、虐待や心中する母親が多いといわれています。国の自殺対策防止法と関係があるのかもしれませんが、『虐待防止対策』もいつの間にか『精神科の受診』にすり替えられたんじゃないでしょうか。


特に私が要望書を書いたナショナルセンターには『日本トラウマティック・ストレス学会』の幹部が複数いました。予期せぬ出産や超低出生体重児を授かったことを『トラウマ』や『PTSD』にし、投薬の対象にしたかったのでしょう」。


野田先生は絶句して、「日本の精神医療は一体、どうなってしまったんだ」と叫ぶようにおっしゃった。


「私はこうやって、要望書を一生懸命書いたりしたんですが、そのたびに声がかき消され、届きませんでした、今日、ショックを受けました。こんなに多くの方が亡くなっていたことを知ったからです。亡くなった子どもや、お母さんはおおぜいいるのですが、何もいうことができません。せめて、先生に、要望書だけでも読んで欲しいです」。


私は話しているうちに、泣いていた。悔しくたまらなくなったからだ。


すると先生はある女性の診療記録のような書類を見せてくれた。「あなたのような女性が、はじめは『うつ』だとわれたのに、すぐに何十もの病名をつけられ投薬され、電気ショックを受けさせられた。今、●大学病院で意識不明になっているんだよ」。


私は、精神医療の中でも、とりわけ産後うつの被害は大きいのではないかと考えていた。なぜなら、産後うつで自殺した女性アナウンサーや、虐待や心中の事件報道は何度もされているのに、被害者として名乗りをあげる人が少ないからだ。「私は、精神医療の問題を取材をしてきたNHKのディレクターさんにも、『サクラさんはよく生きていますね』と言われたことがあったのです」と言った。


野田先生は大きく頷いて、「必ず要望書を読む」と約束してくださった。


要望書を送った時に、ナショナルセンターはあたり前のように、話し合いに応じてくれなかった。夫が「仕方がない。被害者をふやすしかない」と私に言った。


日本はこの先いつまで、不都合なことに目をつぶる国であり続けるのだろう。


久々に、たくさん泣いた。


2015/05/18

超低出生体重児(未熟児)の『いじめ』問題

先週のある朝、担任の先生から突然電話がかかってきた。





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「息子さんに何かきいていますか?」というので「わかりません」というと、教えてくれた。どうやら息子は、クラスメートの悪ふざけがエスカレートして、『いじめ』に近いことをされていたらしい。


そういえば小学校から仲の良いクラスメートのお母さんが一ヶ月ほど前私に言っていた。「うちの息子が、『●君(息子の名前)が、クラスメートにからかわれていて、見ていられない。ちょっと酷いよ。どうして●君は『やめて欲しい!と言わないんだろう』と心配していたよ」。


その男の子は、幼稚園からずっーーーと一緒で、いつも息子を心配していた。小学生の時も、「いつも一人だけ掃除をしている」と息子を心配していた。『やりたくないなら、やりたくないと言わないとダメだよ!』とお母さんに言っていたらしい。


だから私はこのように説明した。


「超低出生体重児とよばれる1000g未満で生まれた未熟児は、息子のような性格になる子どもも多いのよ。幼稚園の頃を思い出してもらうとわかるように、体が小さいし病気がちだから、何をするにも一番最後。普通に生まれた元気な子ども達の後を、ついていくようなものだったでしょうか?だから、遠慮がちというか、大人しい子どもが多いと報告書にもよく書いてあるんだよ」。


ただ、実際の報告書に記されている現実は、もっと厳しい。


平成 11 年度厚生科学研究費補助金(こども家庭総合研究事業) 分担研究報告書 周産期医療体制に関する研究 「超低出生体重児の就学に関する研究」 分担研究者 三科 潤 東京女子医科大学母子総合医療センタ より一部抜粋


1990 年生,680g,25 週:学習障害

1990 年生,980g,27 週:弱視,それによる学業の遅れ, 友人関係,通学の危険。

1983 年生,700g,24 週:現在高校 1 年生だが,同級生の言葉のいじめにより登校拒否。退学を考えている。(いじめの原因は暗い,のろま)

1984 年生,700g,26 週:中学 3 年生片側の軽度跛行あり。 性格が消極的で友人ができない。約1年間登校拒否。

1990 年生,26 週:不登校,下肢の痙性マヒ(+),サッカーをやりたいがやれない,自信をもってやれることがない。

1988 年生,645g,23 週:小学4年頃よりクラスでいじめられ,反動でもっと小さい子をいじめる。学業不振、小学4年 FIQ49, VIQ 57,PIQ50,小学1年のFIQ73。

1987年生,670g,25週:就学時のFIQ62(VIQ 67, PIQ 63) であったが普通学級へ入学。2年後の評価も同様のレベル。 8 歳以降いじめや仲間外れの問題が継続している。

1988 年,730g,25 週:未熟児網膜症による盲,最重度精神遅滞, てんかん(点頭てんかん)。盲学校に入学。入学前から盲学校 との関わりをもっていた。空腹時,体調不良時,未経験の活動 の時に落ちつきなく,あらゆる事に拒否的となり,時にパニックとなったが教育的効果で落ちつきを見せるようになっている。


私が医療者や研究者に期待しなくなったのは、このような報告書をさくさんみてきたからだ。ちなみに、この東京女子医大の報告は、平成11年(1999年)に行われており、最後に、このように書いてある。


今後、増加してくる超低出生体重児の就学および、就学後の問題に関して、広範かつ継続的な調査研究が必要である


この報告書が出てから何年もたつけれど、教育現場での理解はほとんどすすんでいない。なぜなら、極端にいえば医療者や研究者は報告書を出しても、医療的支援ばかりを重視するからだ。私は、医師のヒエラルキーの元での支援では、超低出生体重児の教育問題は解決しないと思う。


息子の話に戻る。


2,3日前のことだった。息子が「僕は、中学校が楽しくてたまらない」と言っていた。「担任の先生がとても好き」とも言っていた。その日は担任の先生が、息子のために、学校生活で困っていることがないか、話をきいてくれたそうだ。


「どうして何だろう?」と少しばかり不思議に思っていた。


実は息子の異変に気づいていた。何かがおかしいと思っていたーーーー


最近、PASMOで好きな漫画を何冊も買ったり、家のお金を持ち出してミニカーを何台も買っていた。さすがに、黙っていられない金額になっていたから、数日前に怒ってPASMOとミニカーを取りあげたばかりだった。


あれはきっと、学校で嫌なことがあったからだと思った。


そこで担任の先生に、友達が先生にやめさせて欲しいとお願いしたのか尋ねた。先生は否定しなかった。


数日前の放課後、先生が息子を呼び出し、「本当は(友だちにからかわれるのが)嫌じゃないのか」と尋ねたそうだ。すると息子は「本当は嫌だと思っている。謝まって欲しい」と言ったそうだ。先生は息子がそう言うので、二人に謝らせたそうだ。


「『息子さんには、お母さんに何があった自分で言いなさい』と言ってあります」。先生はそれだけ言うと電話を切った。朝の授業がはじまる前なので、私はそれ以上詳しく聞くことが出来なかった。


先生は「もう大丈夫です」というような言っていたけれど、なんだか不安になってしまう。そこで、息子を心配してくれていた友達のお母さんに電話をかけてみることにした。


そのお母さんが詳しく話してくれた。


やっぱりその男の子が心配して先生に伝えてくれたそうだ。その他にも、息子と同じ小学校に通っていた女の子が友達二人を引き連れて、いたずらをする二人のところに意見しに言ったそうだ。


「あの大人しい●ちゃんがそんなことをするなんて、よほど酷いことをされたんだ」と、言う。


その時、「僕はとても中学が好き」「担任の先生が好き」と言う言葉が、きっと嘘ではないのだと思った。たぶん息子は、友達がそれほど心配していたことをよく知らないか、考えていないのだろう。


息子は今でもドラえもん大好きだ。「『ドラえもん』がいたらいいな」といつも私に言っていた。


息子にとったら、担任の先生が助けてくれたのは、きっと、『ドラえもん』がポケットから機械を出して、助けてくれたようなものだったに違いない。本当は、ふがいない息子のために、何人もの友達が心配して、いろいろみえないところで、行動してくれた結果だったのに。そういう友だちの気持ちを知らなくていいんだろうか。自分から「やめて欲しい」と言えない息子にため息が出てくる。


とにかく私はそのお母さんにお礼を言った。


その日、帰宅した息子が私に言ったのは「先生から電話があったでしょう?」という一言だけ。「詳しいことは何もきいていないよ」と言っても、核心に触れるようなことは何も言わなかった。


「夫は言いたくないのだろう」と私に言った・・・。「一番練習がきつい運動部に入ったのは『強くなりたい、このままじゃないけない』と思っているのかもしれないぞ。親に何があったか言えなくても、嫌なことをされて嫌だといえなくても、努力しているんだからいいじゃないか」。


私はとりあえず、心の負担が軽くなるように、隠しておいたミニカーとPASMOを出してあげた。もしも息子に異変が起きたら、PASMOの残額から様子がわかるかもしれない。


最近、息子が私と夫に、「自分の子供が産まれたら」とか「大きな家を建てたい」と言っている。だからそのたびに私達は「その前に、女の子が自分を好きになってくれないとダメだよ」と言ってきかせる。


特に、大人になった「しずかちゃん」や「のび太」が出てくるトヨタのコマーシャルを見る度このように言う。


「勉強をがんばらない。運動もがんばらない。そんな人を、女の子が好きになると思う?しずかちゃんのようなかわいくて、勉強ができる女の子が、のび太のような男性を選ぶなんて、現実社会ではまずないんだよ!私がしずかちゃんのお母さんなら、反対する。


『ドラえもん』がいつも助けてくれたら、何もできないまま大人になっちゃうよ!自分で変わろうとしなければ、何も変わらないんだよ!」。


夫が言うように、今は見守ることが大切なのかもしれない。


ある社会活動をしている団体代表の方にも相談してみた。自死遺族の会と親しくしているから、いじめにあった子どもの達のこともよくご存じなのだ。


「本当にいじめが酷くなったら、親が乗り込んでいかないといけないよ」言われた。ただ、いじめを苦にして自殺する子ども達の場合、本当に一人なのだそうだ。助けてくれる友だちがいないから、死を選んでしまうそうだ。先生も、いじめに気づかなから相談にのってくれない場合がほとんだと言われた。


それを聞いた時に、私の頭に、『超低出生体重児(未熟児)の予後』に関する報告書が浮かんだ。


「学校生活に上手くなじめない」「友だちができない」などの子どもの相談は増えている一方で、教師も忙しく、『先生のうつも社会問題化』している。今は、先生ではなく、スクールカウンセラーなどが相談に乗る場合も多い。


しかし、私は今回のようなケースを、カウンセラーに任せることには反対だ。


超低出生体重児(未熟児)が集団生活に上手くなじめない理由は、いくつかある。その時によって、解決策は異なる。ある時には、科学的な知識が必要だし、ある時には、親の働きかけが必要。そうではなく、本人の自覚や努力が必要な時もある。ただ、成長するまで待ってあげればいいことだってある。これらを超低出生体重児を育てた経験のない、カウンセラーに相談して解決できるのだろうか。私には甚だ疑問だ。


同様に一口に「いじめによる自殺」といっても、様々な要因が複合的に重なりあって子どもは死にを選ぶ。間に入ったカウンセラーが、問題解決のために、具体的に働きかけたり、負担を取り除いてくれるなら、それでいいけれど。


ちなみに「自死遺族の会」代表の田中幸子さんの息子さんは、警察官だった。上司のパワハラにも悩んでいたそうだ。嫌なことを「嫌だ」というのは簡単に思えても、警察官でも難しい。


田中幸子のひとりごと ~自死で子供を~ またまた警察官の自死・・・パワハラか? より一部引用

人格否定の言葉
      
      繰り返し言われる罵り

  残業手当目当てか・…能力ネイやつだ

    係長のくせに・…こんなことにいつまでかかってるんだ

       こんなことも知らないのか・・・

     お前の仕事が遅いから迷惑がかかるんだみんなに・・・

     こんな言葉を毎日毎日・……・静かに耳元で…ささやく上司

       係長の仕事は手伝うな!!!!と いう上司

        「うつ」だろ「うつ」だろ「お前はうつだ」
          「うつなんだよ」「うつだ」

   毎日耳元でささやかれた・・・息子

           確信犯・…大きな声では言わないいじめ

    息子の上司は息子も含め部下が二人自死した


だから、大切なのは、普段からの人間関係の構築。ちょっとした子ども達の勇気や働きかけ、そんなことの方が、子どもの未来を大きく変えるんじゃないの?と私は思っている。


「いのちの授業」という命の大切さを教える授業が増えているけれどーーーーーー


いじめというものは、個人の問題などではなく、『人権侵害』だ。そういうことを、子どもや保護者に認識してもらうためにも、いじめから死を選んだお子さんのご遺族の講演を、全国の学校で行って欲しい。


我が国では、なぜかいじめた側の人権を尊重するような教育的指導が長きにわたり、続けられてきた。しかし、私たちには憲法において基本的人権が保障され、侵すことのできない永久の権利として認められている。


すなわち、いじめは看過してはならない『人権侵害』であり、個人のこころの問題などではないのだ。


超低出生体重児(未熟児)の成長に関する報告書をまとめている医療者や、研究者はいじめは『人権侵害』だと考えていたのだろうか。私は、いじめというのは、看過するすべての人達に責任があると思う。



2015/05/15

怪しさ100パーセント 謎の団体『HPV JAPAN』への追求がはじまる

最近、ブログの更新回数が減ったのは、いろいろな方に声をかけていただく機会が増えてきているからだ。びっくりすることがまた一つ増えた。


これは昨年、2013年5月13日に書いたもの。


見えないビジネス 『パブリックアフェアーズ戦略』は人と人とのつながりを遮断する その2  重篤な被害にも向き合って下さい!


一年後の5月13日、なんと、ここに書いたことを、共産党の高橋千鶴子議員が国会で塩崎厚労大臣に質問しておられる!今年の3月31日に『HPV JAPAN』という、正体がよくわからない団体から出された声明についての質問だ。


『HPV JAPAN』 私達は、子宮頸癌(HPV)ワクチンの正しい理解を求め、その接種を推奨します


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高橋議員の質問の内容は、私がずっと追ってきた「見えないビジネス『パブリックアフェアーズ戦略』」についてだ。


衆議院インターネット中継 2015年5月13日  厚生労働委員会  日本共産党高橋千鶴子議員


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日本共産党高橋千鶴子議員のツイートから引用

厚労委員会③副反応を訴える患者たちを、噂、思い込みだときめつけるHPVJAPAN。子宮頸がん制圧目指す専門家会議と連絡先も一緒だ。ワクチン二社から2年で7000万円寄付うけ、元GSK社でワクチンマーケティング部長に講師委託。透明性問われる製薬会社の規律違反では?局長「可能性あり」


質問に答える大臣や厚労省の方の後ろに座っておられる方々に注目して欲しい。高橋議員が質問の最後のほうで、『HPV JAPAN』について追求をはじめた途端、「えっ」という感じで資料をめくりはじめるのだ。


特に、「『HPVワクチン接種後に交通事故で亡くなったケースや、HPVワクチン接種後に成績が向上して高校・大学に合格したことを、HPVワクチンのせい(副反応)あるいはワクチンのおかげ(効果)と呼ぶでしょうか?』こんな極端なこと、誰か言ったんですか!」と怒ったように尋ねると、皆苦笑する。


ちなみに、高橋議員の質問は、2015年4月21日に、薬害オンブズパースン会議が行った『HPV JAPAN』の声明への抗議の記者会見が元になっているようだ。岩上安身さんのIWJ Independent Web Journalのオープンコンテンツにも、動画がアップされているけれど、こちらのdailymotion動画のほうが断然面白い!↓


緊急記者会見:全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会「『HPV JAPAN』声明の問題点について」2015-4-21 dailymotion動画


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当日の様子を、報道関係者に伺っている。


取材をしていた報道関係者の中には、大手テレビ局の報道の方もおられたそうだ。記者さん達の関心はかなり高かったという。


なぜなら、薬害オンブズパースン会議のメンバーで、元NHK記者の隈本邦彦氏が、「『HPV JAPAN』の声明は、まさに報道批判。報道への圧力でもあるんですよ。記者はよく知らないし調べないだろうと、いいかげんな資料を出している。バカにされているんですよ」と訴えておられたからだ。


なぜ報道に圧力をかけるのかを考えた時、やっぱり『HPV JAPAN』の後ろに、製薬企業のカゲがチラつく。記者会見からは、報道関係者のとまどいが確かに伝わってくる。これだけ怪しい点が列挙されたら、メディアが関心をよせないはずがない、と私も思っていた。


実は、『HPV JAPAN』の声明文について、知り合いの医師からも、こんな感想を教えてもらった。


「サプリの説明文のほうがよほど説得力がある。サイエンスのサの字も見えない稚拙な文章を声明として公開するとはかなりの強者ですね。その上電話番号を削除したなんて、いくらなんでも怪しすぎる」。その医師は、よく知っている医師が賛同者の一人だったから心配したのだ。「出身大学の関係で『名前だけ貸して』と頼まれたんだろう」と言っていた。彼が勤務しているのは、厚労省が指定した、被害者の相談窓口となっている大学病院だから・・・


確かに、私は最初のボールを投げたかもしれない。けれども、受け止めてくれる人が目の前に現れ、一年後、こんな風に大きく広がるとはおもわなかった。


ここに、「共産党と子宮頸がんワクチンのロビー活動」について書いた記事がある。昨年の夏のはじめ、取材を受けた時には、共産党はほとんど子宮頸がんワクチンのロビー活動に、関心を示していなかった。私が「共産党が利益相反行為を追求してくれればいいのに」とため息をつくほどだった。


共産党と子宮頸がんワクチンのロビー活動


共産党といえば、利益相反行為を追求するイメージがあるけれど、ワクチンの推進にはもともと熱心だった。だから当初はあまり深く考えていなかったのだろう。新婦人の会などとともに無料接種や定期接種化を求めてきた、という経緯がある。


『共産党と子宮頸がんワクチンのロビー活動』で紹介したように、子宮頸がんワクチンが強力に推進されていた当時の様子は、共産党に所属しておられた、蒲郡市議の柴田安彦議員のブログに記されている。柴田議員も、私と同じように、人と人とのつながりを遮断されたお一人のようだ。読むと、私も苦い記憶が蘇る。


その共産党が、一年後、これほど関心を寄せるとは・・・


メディアを本気にさせると恐ろしい。きっとそれがよくわかる出来事が起きるはずだ。誰が、何の目的で『HPV JAPAN』をつくったのか。声明文を書いたのは誰なのかは、ほぼ特定されているそうだ。


これははじまりにすぎない。


2015/05/13

超低出生体重児(未熟児)の第二次性徴期

800gで生まれた息子が中学生になった。


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入学する直前、制服を作りに行った。身長をはかったら、140ちょっと。「ずいぶん小さな中学生だなぁ〜。やっぱり超低出生体重児(未熟児)は身長が伸びるのがゆっくりなんだ」と思った。


昨年、息子は急に太りだした。調べてみると、夫の500円玉貯金箱からお金をとっては、ハイチュウを買い食いしていたようだ・・・。


孫が一人だけの私の両親は、息子がかわいくてしかたがない。休みのたびに、旅行につれていってくれる。嬉しいけれど、おいしい食事をたくさんご馳走してくれるから、いつの間にか太ってしまった・・・。


「どうしちゃったの?」と近所の顔見知りの方に声をかけられることが増え、本人も「デブかも」と、気にするように。


このままではいけないと、テレビで病気の特集があるたび、いつも言ってきかせた。「運動をせず、好きなものを好きなだけ食べたら、太るよ。今のまま大人になったら、生活習慣病になるよ!脳血管疾患とか、心臓病とか、大変な病気になるかもしれない。亡くなったおじいちゃんも糖尿病だったの。もしももっと運動していたら、今も元気だったかもしれないのよ!」。


夫は健康について教えているのに。ため息が出る。


これでは、養毛剤を売っている店の店主の頭がツルツルなのに、お客さんに「この養毛剤はききますよ」というくらい説得力がないじゃない。


ところが・・・


息子は中学に入ると、運動部の中でもケガが多い、激しいスポーツをすると言い出した。


私が幼い頃は人気があって、学園ドラマでよくこのクラブが取りあげられていた。今の時代に、中学にこのスポーツをする運動部があるのもびっくりしたが、息子が選んだのもびっくりだ。


毎月配られる練習と試合の予定表をみて驚いた。休日に試合が行われる都内のグランドまで、移動手段が『自転車』だったりすることもあるから・・・。


「もう少し練習が少ないほうがいいんじゃないの?」「毎日練習ばっかりじゃ疲れない?」などと遠回しに楽なクラブを選ぶようにすすめてみた。もちろん私が楽をしたいからだ。


ところが決心は固いようだ。なんでも、他のクラブの先輩に比べて親切でやさしいらしい。電車好きの息子はどうしちゃったのかしら?


すると、夫が「今日から肉と牛乳をもっとたくさん買ってきてくれ」と張り切りだした。毎日、毎日、重くて大変だなぁ。洗濯物も毎日だし。これが3年間も続くのか・・・と愚痴をこぼしたら、


「何言っているんだ!これからの第二次性徴期をどう過ごすかが勝負なんだぞ。男の子を大きく成長させる最後の大きなチャンスなんだぞ!あんなに小さくうまれたのに、こんなスポーツができるようになるなんて、嬉しいことじゃないか!」ととても真剣だ。


運動生理学者として、腕の見せ所なのだろう。


気づけば5月も半ば。ゴールデンウィークもほとんどお休みがなかった。急に暑い日が増え、厳しい練習に息子は少しバテ気味に。


夫は「脱水しているんだ。土曜日の練習は、脱水するかもしれないからスポーツドリンクを持たせよう」とスポーツドリンクを持たせることを提案した。


するとやっぱり疲れ方が明らかに違うようだ。「きつい練習は体が慣れるまで10日ぐらいかかる。逆にいえば、10日すぎると楽になるんだよ」と夫が私に教えてくれた。


つい最近気づいた。


140ちょっとだった身長が、ほんの一ヶ月ぐらいで、5㎝ぐらいのびていた。私とほとんどかわらなくなる日も近いかも。


私は夫を見直した。


「運動・栄養・休養」この三つは、とても重要だ、と私が学生の頃から言っていた。薬害被害者の方が「運動生理学は、とても誠実な学問だ」と私に言っていたことがある。今それを実感している。


成長を促す時には、科学的な知識がないとダメだと思う。少々キツいトレーニングをする時には、「なぜ、これをしないといけないのか」ということを頭で理解させないと子供が辛く思うだけだと思うからだ。バテそうな時には励ましたり、背中を押したり。メンタルケアというか教育的指導、教育者の温かな眼差しも必要だ。


なぜ、今日、第二次性徴期について書いたかというと理由がある。


私のブログは、「超低出生体重児(未熟児)・運動」「超低出生体重児(未熟児)・成長」という検索ワードで来てくださる方が、相変わらず多い。


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超低出生体重児(未熟児)はどうして運動が苦手なの?

超低出生体重児と虐待


ずっと気になっていた。


医師の友人のお友達には、有名な大学病院の新生児科で働いている小児科医もいる。だから、退院後のフォローに「やっぱり運動生理学者のアドバイスが必要じゃないの?」と伝えてみた。ブログを読んでくれたようだけれど・・・。


ある新生児科医に「子供を成長させる方法を教えて欲しい」とお願いされたことがあった。しかし、私はなんと答えていいかわからなかった。もしも専門家でない私が簡単に教えられるなら、専門家や研究者など必要ないと思う。


「ラクに痩せる」というような本はたくさん出ているけれど、本当は奥が深い学問だと思う。


そもそも、夫は、息子がNICUにいた頃から、私よりもカンガルーケアに熱心に通っていた。だから私よりも夫を信頼している。そのようなしっかりした信頼関係があるから、多少きつく叱っても通じるのだと思う。


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夫は、「息子の身長が伸びているのは、生まれてからずっとやってきたことが花開いているのだろう」と言っていた。そのつど、そのつど、待つ時間が必要だったり、逆に今のように運動刺激とタンパク質の摂取量を大幅に増やしたりと、体が必要とするものを、的確に見極めなくてはならない。


そのために『専門家』とよばれる方々がいるのだ。


第二次性徴期はあっという間にすぎていくだろう。本当は、すべての超低出生体重児(未熟児)に的確な指導が必要なんだろうぁと思う。


2015/05/12

出版記念シンポジウム

伊藤さんの出版記念シンポジウムに出席した。私は伊藤さんにお花を贈呈をする係をお願いされた。確かに、私がきっかけをつくったかもしれないから、私も嬉しい。


『報道』と『インターネット』の力 マイナスの経験をプラスに変える





数年前に会場に来た時には、被害者が実名で体験を語ることがニュースになるぐらいだった。あれから数年たち、被害者がいることが社会に認知されるようになった。


今では、このような会を全国各地で開催すると、どこの会場もすぐに人が集まるそうだ。


そういう話をきくと私は嬉しくなる。


当日、あの、『うつ 薬 多剤大量処方 わたしの場合』をつくったakkoさんのお話もあった。


akkoさんはタブレットで絵をかいて動画をつくっている時、何度も泣いたそうだ。「もし、紙だったら破けていたはず」と笑って言っていた。


そうだろうな。


私も、はじめてみた時は泣いてしまったなぁ。薬のせいで眠れないのに、「あなたのせい」だと何度言われたことだろう。自らすすんで精神科に行ったわけでもないのに、まるで汚いものを追い払うような扱いをうけたこともある。医師から人格まで否定されるような冷たい言葉を投げられても、謝罪などなかった。


『人権』というものを、はじめて真剣に考えた。


私がこの動画に一番共感した部分は、「私は女性として花咲ける時期である三十代をほぼ棒にふった」だ。同じ女性として、ずしりと心につきささった。


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私は女性として花咲ける時期である三十代をほぼ棒にふった。

一人暮らしのアパートで考えるのは(多剤大量処方の)B先生ではなく、
(断薬をしてくれた)C先生に出会えていたら
私の人生は全く別のものになっていたんじゃないだろうか?


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帰る場所には夫と子供がいる
そんな生活があったのではないだろうか?



シンポジウムが終わって、思い切って話しかけてみた。


ある日、いつものようにフジテレビの『とくダネ!』をみていたら、精神医療の特集を放送していた。コマーシャルに入る直前「次は精神医療の特集です」とテロップが流れたそうだ。精神医療には良い思い出がないせいだろうか。いつもなら消してしまっていたかもしれないのにーーーー


その日の特集は「多剤大量処方」。気になってみた時にハッとし、動画をつくろうと決めたそうだ。


私はakkoさんにきいてびっくりした。akkoさんは、それまで趣味でアニメをつくっていたわけではなかったからだ。治療が終わる前から、社会復帰を目指してコツコツ努力したそうだ。働くことを考え、パソコン教室に通って一から学んだそうだ。


大きくわけて患者さんには二通りの方がおられると思う。


私のように、精神医療にもともと懐疑的な人と、akkoさんのように「お医者さんのいうことだから」と素直に信じている人だ。


彼女は、「精神科で投薬治療を続けていれば、いつか治癒する」と信じていたそうだ。死ぬかもしれないような危険な多剤大量処方なのに。


驚いたことに、伊藤さんの特集をみなければ、自分が危険な投薬治療を受けていたことなど、気づかなかったそうだ。


きっと素直で真面目な人なのだろう。しかし、マイナスの経験を社会に還元しようと行動するところは私と似ている。


akkoさんに私がブログで、動画を紹介していると伝えたら、「知っている」と教えてくれた。


私は、akkoさんの動画の「私は花咲ける時期である三十代をほぼ棒にふった」という部分を使わせてもらっている。一番辛いことかもしれないけれど、世の中の人達(特に医療者)に一番知って欲しいことだと思ったから、と伝えた。


夫が大学で先生をしているから、学生の前で話してみませんか?と伝えてみたら、喜んでくれた。


彼女が講演をするようになったきっかけは、がんのサバイバーの女性が、講演活動をしている姿をテレビでみたからだそうだ。「私も精神医療サバイバーとして講演してみたい!」と考えたのだそう。


友達関係や就職活動など、悩んでいる学生は多いはず。きっと彼女の動画や、話をきいて、「がんばってみよう」と思うんじゃないのかな。


懇親会が終了し、二人で駅まで歩いていたら、もう一人、女性と仲良くなった。その方はジャーナリストだった。偶然なことに、斎藤貴男さんのこともご存じだという。


丸ノ内線に揺られながら、斎藤さんの取材を受けた話をした。私が「ジャーナリストや出版社の苦労がちょっとわかった気がする」と言ったら、その方は大きく頷いておられた


斎藤さんは二年以上、伊藤さんは一年半もの時間を取材に費やしたそうだ。


そのジャーナリストの方は「減薬や断薬に関することを取りあげたい」と教えてくれた。


製薬企業のプロモーションにメスを入れ、被害者が声をあげ、被害が社会に認知された。もう、精神医療を批判するだけの段階は終わったのだろう。メディアの関心も次にうつりつつあるようだ。


私も、ぜひお手伝いさせてください!と伝えた。


この方に私を引き合わせたのは、きっと神様なのだろう。こんな調子で、良いことをしていれば、自然に次につながっていく。そう信じている。



2015/05/09

『こころのケア』に改善を  同じ志を持つ人と協力し、広く世の中に訴えていく

これは今年健康診断を受けた大学病院から送られてきた『健康成績表』。「健康に偏差値があるとしたら、私は絶対に75 以上!」と言ったら夫が「その通り」と笑っていた。実際には75ではなく、もっと高いと思う。


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元主治医は「あなたは薬をやめると生きていけない。障害者手帳を申請しないといけない」と断言した。「私の治療方針に逆らったから」と言う理由で。


私は、まさに目の前の医師を疑ったから健康になったのだ。これが今の日本の精神医療の真実だと思う。


今日は、伊藤隼也さんの新刊『うつを治したければ医者を疑え!』の出版記念シンポジウムがある。伊藤さんをバッシングする人は相変わらず多いから、私が病院に送った要望書を公開しようと思う。二度目に送った要望書だ。


私が裁判を考えなかった理由は、要望書にあるように、日本トラウマティック・ストレス学会元学会長であり PTSD治療の権威が診察室の中で起こした暴力事件が明るみになったからだ。調べてみると、元主治医はこの権威である精神科医とともに研究報告をしていることがわかった。


通院していた病院は、息子が生まれた第三次救急。我が国の小児医療を牽引する医療機関で、息子が産まれた2002年に設立されたばかり。厚労省とつながりが深いナショナルセンターだ。当時の設立趣旨には、「母子のここを診ることも、重要な役割である」というようなことが記してあった。


同じ年の2002年、日本トラウマティック・ストレス学会も設立されている。


日本トラウマティック・ストレス学会 JSTSS設立について

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2002年3月に新しく誕生しました日本トラウマティック・ストレス学会


直感で、この二つの出来事は偶然ではないはずだと感じた。「育児に悩む母親を治療の対象にする」ということが、国の方針なのだろう。


だから、裁判に訴えたところで、きっと改善されない。もっと根が深い問題だから、下手に騒ぐと個人の問題だとウヤムヤにされてしまうと思った。


伊藤さんをバッシングする方は、最後に当時の報道を掲載するので、よく考えて欲しい。精神医療の場合は特殊だ。医療者は「精神疾患や、精神障害の抱えた人に理解を」などというけれど、いざ、トラブルが起きると『通院歴』を逆手にとって、患者を追い詰めるのだ。


村上春樹さんは、『アンダーグラウンド』の中でPTSD治療の必要性を説いておられた。しかし『こころのケア』がブームになりだした2002年、日本のPTSD治療の権威と呼ばれる精神科医が、すでにこのような事件を起こしていたのだ。被害を口にする患者が増えるのは当たり前だ。


私は声を大にして問いたい!『こころのケア』の『こころ』って一体、何なんですか?医師が、人の『こころ』を診ることなど、本当にできるんですか?


精神障害者であろうと、人格障害であろうと、患者を殴るなんて絶対にしてはいけないのだ。そんなことは医師である前に人としてあたり前だ。


あたり前のことが、あたり前でないのが日本の精神医療だと思う。救いようのない人権侵害とは、まさにこの暴力事件のことだと思う。同じ女性としても、看過できない。


しかし学会のサイトを見回しても、元学会長が起こした暴力事件には一切触れていない。だから法務局の人権相談窓口に「あなた方が紹介している精神科で、こういう事件が起きているのだから、ちゃんと報告書に記載してください!」と伝えた。


患者の人権が守られない現実が放置され続けているのだから、私はこれからも、志を持つ人と協力し、広く社会に訴えていくつもりだ。


*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*


●(病院名) 総長先生


お願い


 昨年12月8日にお送りさせていただいた要望書に、12月末、お返事を頂きました。ありがとうございました。しかしながら、私の不信感はむしろ強くなりました。それは実害を訴え出たにもかかわらず、いまだ聞き取り調査や面接がないからです。●(病院名)には、専任のリスクマネージャーがいらっしゃるそうですが、機能しているのでしょうか。


第三者の評価委員会はあるのでしょうか。また、育児心理科に関する要望が確かに伝えられたのでしょうか。そして、厚生労働省へは報告をしていただけたのでしょうか。


 差出人が総長名であっても、決して私の心を打つものではありませんでした。私がどのような気持ちで要望書をお送りさせていただいたのか、少しは心情をお察し下さい。民間では当たり前のリスク管理を、ナショナルセンターに求めるのは理不尽なのでしょうか。残念でなりません。


 心のケアにおけるトラブルは、すでに深刻な社会問題になりつつあります。被害を訴えているのは、私だけではありません。「被害が社会に見えないのは、被治療者が権威構造のなかで泣き寝入りをさせられたり 、 閉鎖構造のなかで隠蔽されたりするからである」と専門家より指摘されています。


代表的な具体事例として、日本トラウマティック・ストレス学会元学会長であり PTSD治療の権威、■医師の起こした暴力事件が挙げられます。精神科医であれば、ハラスメントも許されるのでしょうか。同様に、今回の●医師の対応も、自らの言葉によって相手を傷つけたのなら、さらなる投薬やセカンドオピニオンよりも、まずは心からの謝罪をするべきでしょう。


まして、もともと精神科での治療を望まない患者が、投薬中心の治療で向精神薬を次々処方され、精神障害者とされました。それが明らかな誤りであっても、私には名誉を回復する手段がありません。「●障害」という診断や「障害者手帳を持てばいい」という指導が、今も私や家族を深く傷つけているのです。精神科医療に自浄作用が期待できない以上、センターで解決していただく他ありません。


 現在日本では、精神科医療におけるエビデンスが確立されているとは言い難く、かつ、日本の水準は先進国に比べ、明らかに低いと言われていると伺いました。ですから、患者にも、治療の内容を知り、そのうえで選択する権利を認めていただきたいのです。心のケアが、精神科医による投薬だけの治療であるならば、私は主治医の▲先生にお話をさせていただく時間を作っていただいた方が良かったと思います。


私の心を落ち着かせたのは●医師のケアでなく、むしろ▲先生であり、周囲の支えや子どもの成長だからです。私は、精神科医による心のケアを二度と受けたくありません。


 そもそも、小さく産まれた子どもを持つ母親の心のケアとは何なのでしょう。その定義があいまいでは、論ずべき問題が先送りになるばかりです。私は、本来ならば、母子を支えるのは精神科医による投薬ではなく、相談できる相手であり、福祉や教育の充実だと思います。


●医師のような専門家の介入は、「母親の感情」に対する対処療法に問題がすり替えられ、必要な援助者とのつながりを遮断してしまいます。


これでは、いつまでたっても福祉や教育の不備は放置されたままです。我が子を殺めた母親が必ず口にする、「将来への不安」はなくなりません。この問題は当事者だけでは解決が困難です。ですから、私は現状を知っていただくためにも、社会に訴えていかなくてはと考えています。

 
 育児にはもともと不安がつきものです。病気や障害のあるお子さんならば、なおさら母親は不安になるでしょう。しかし、不安を感じた時に的確なアドバイスや情報をいただければ、解消されることも多いのです。


私が欲しかった一番のケアは、投薬とおざなりのカウンセリングではなく、心を開いて話し会える関係と、正しい情報です。そして、そのような関係を作ってくださるのが、ナショナルセンターの大切な役割だと考えておりました。
 

 さらに前述に関係して、現在の育児心理科には大きな問題があります。それは、社会保障費が国民生活を圧迫していくなかで、安易に障害者手帳をすすめる●医師の姿勢です。これは、見えない損害を国に与えているのではないですか。


報道によれば、センターの借入金残高は343億円にのぼるとのこと。障害者手帳を出すことは、ますます国に負担を強いることになります。これまで育児心理科では、何人の障害者を作ったのでしょうか。


 他の科の医師やスタッフの皆様には心より感謝しております。しかし、育児心理科とセンターの対応には失望いたしました。これまで機会があれば、アンケート等にも積極的に協力させていただいたつもりです。子どもの入院中、平気で指をさすような見学者の好奇な視線にも耐えてきました。


院内感染の危険を犯してまで、病棟やNICUの見学を許可したのはなぜだったのでしょう。それは、ナショナルセンターの必要性だけでなく、日本の周産期医療や小児医療の厳しい現状を知っていただき、新たな予算を獲得するためだろうと理解して、がまんしました。


改めてセンターの設置趣旨を拝見させていただくと、今回の対応や育児心理科の治療方針はとてもそれに基づいているとは思えません。

 
 現在、子どもの通院には私の代わりに夫が付き添いをしていますが、それは私の本意ではありません。この状態を続けることに、とても不安を感じています。


最後にお願いがあります。話し合う機会を作っていただく可能性はないのでしょうか。ないのであれば、これからは、同じ志を持つ人と協力して、広く世の中に訴えてまいりたいと思います。そして、私がセンターで受けた心のケアについても、勇気を持ってお知らせしたいと考えております。


2009年4月1日



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精神科医&カウンセラーの倫理違反と被害救済を考える 精神科医やカウンセラーによる非倫理的な行為・言動・態度によって被害を受けたという訴えは後を絶たない。以上の問題に、被害者の見地から提言をしていく。 より一部引用引用


毎日新聞 2006年11月8日 20時27分
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●歌織被告鑑定医、過去にカルテ改ざん…夫バラバラ殺人 (夕刊フジ)


 セレブ妻の三橋歌織被告(33)の裁判で、鑑定を行ったPTSD(心的外傷後ストレス傷害)の権威で、国立精神・神経センター部長の■医師(49)が、患者への傷害行為をめぐる判決で、カルテの改竄(かいざん)を認定されていたことが分かった。■医師側は「今回の鑑定とは関係ない」としているが、鑑定の信頼性が問われかねないとの声もある。


 ■医師は、国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部長を務め、PTSD治療の第一人者とされる。 歌織被告の公判では検察側の鑑定医として、「短期精神病性障害を発症し、行動制御能力を喪失していた」と報告。弁護側医師も「心神喪失」との鑑定結果を出しており、三橋被告は刑事責任を問われず無罪となる可能性も指摘されている。


 カルテ改竄が認定されたのは、同センター国府台病院(千葉県市川市)に勤務していた2002年12月、女性患者が治療中に突然、■医師から平手で顔を強打され、難聴などの傷害を負ったして損害賠償を求めて東京地裁に訴えた訴訟。


 06年11月の判決で地裁は傷害の事実を認めた上で、カルテの改竄を指摘。■医師と国に153万円の支払いを命じた。


 平手打ちについて、■医師側は「境界性人格障害の治療として限界設定をするため、左ほおをタッピングする療法を用いた」と主張していた。


 だが判決は、カルテ上の「境界性人格障害」との症状や「限界設定」「タッピングにて覚醒」といった治療法が女性の訴え後に追加記載されもので、「カルテ記載という有力な証拠があったようなウソの外観を作り出した疑いが強い」と認定。「通常の人なら改竄をする人物の供述の信用性は低いと判断する」とした。


 女性側は治療とは思えないわいせつ行為もあったと訴え、医師側はこれを否定していたが、カルテには女性に関し「抱きつきへの欲望」「誘惑的」などの追加記載も行われていた。


 これに対し、判決は「追加部分は被告の主張に沿う記述が大半で、極めて不自然」と批難。■医師側の「別の医師に引き継ぐ場合を考え、不足していた情報をあえて追加した」との反論にも、「補充が必要なら別途文書を作るべき。断片的な記載が多く、むしろ改竄前と同じような記載をして改竄が発覚しないよう工作した疑いが強い」と指弾した。


 この訴訟は双方控訴せず判決が確定。「改竄」が事実として認定された形となっている。関係者は「カルテまで改竄した医師だけに、ほかの裁判の鑑定結果でも信憑性を疑わざるを得ない」と疑問を呈する。


 ■医師は本紙の取材に、「この件に関してはきちんんとお話しなければと考えていたが、私自身が答えると混乱する恐れもあり、代理人が代わってお答えする」と回答。 代理人の弁護士は「■医師は改竄の部分が納得できないと考えていたが、女性側にこれ以上負担をかけるのは忍びないと考え、控訴しなかった」とした上で「(三橋被告の)鑑定とはあくまで関係ない」と語った。


厚労省国立病院課は「改竄ではなく治療経緯を追記したもの」と判決で否定されたはずの弁明を繰り返し、問題はないとの認識を示した。


 三橋被告裁判で鑑定医に推薦した東京地検は「公判中の事件に関することであり、一切お答えできない」としている。


夕刊フジ  2008年3月15日16時47分



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2015/05/07

『裸の王様』

斎藤貴男さんの『子宮頸がんワクチン事件』は好評のようだ。売り切れてしまった書店も多いそうだ。本が売れてよかった〜。そういえば『SAPIO』の精神医療の特集も、かなり評判がよかったときいたことがある。関わってきた本が売れたり、番組の視聴率が良いときくとやっぱり嬉しい。


私が目標にしているのは私自身が目立つことではなかった。多くの人達が関心を持ち、その結果、社会が良い方向に動いていくことだ。


ブログの副題をかえようと思ったけれど、考え直した。取りあげてきたテーマ一つ、一つが、最後は一本の線でつながるはずだ。


すでに次が動き出している。


つい最近、そこに大きなニュースが飛び込んできた。伊藤さんや斎藤さんの本が世に出るまでは、苦労したけれど新幹線が加速するのと同じ。ここから先はあっという間なのかもしれない。


私は渦中の方の言動が摩訶不思議でならない。もうずいぶん長いこと、マスコミ批判を繰り返しておられるからだーーーーーーー


まさかその方が、そんなスキャンダルを抱えていたなんて思いもしなかった。


当然、そういう話はどんなに封印しても伝わっていくものだ。メディアが知らないはずがない。きっと出すタイミングを狙っているんだろうなぁ。高値をつけるためにね。


もしもスクープされたら、その時はどうするおつもりだろう。まさか、またしても「マスコミが悪い!」とおっしゃるおつもりだろうか。


実は私も、その人の書いたものを目にするたび、不思議に思っていた。


報道を細かくチェックする時間があるのも不思議だったけれど、それ以上に不思議なのは・・・。もしもご本人がおっしゃるように、大切な仕事をまかされているのなら、時間に追われて文章を書く暇があるとは思えなかった。だからその話をきいた時に驚いたけれど、「やっぱりな」と心のどこかで思ってしまったよ。


きっと「私には才能と実力があるのだから、人がついてきて当たり前」と思っておられたのだろう。下で働く人のことや、応援してきた人達の気持ちなど、本気で考えていないのだ。


ネットでは、その方の言動に賛同する人達は今でも多い。だからもし報道されたら、今度はブーメランのようにその方に突き刺さるはず。


まさに『裸の王様』という言葉がぴったりだと思う。