2015/06/29

すべての母親が読むべき一冊!『子宮頸がんワクチン、副反応と闘う少女とその母たち 』

最近、よくいわれる。「いつもニコニコしているね」


子宮頸がんワクチン、副反応と闘う少女とその母たち | 集英社 学芸・ノンフィクション


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「えっそうなんだ」とびっくりする。もしそうだとしたら、私はやっと笑えるようになったんだ。


集英社から『子宮頸がんワクチン、副反応と闘う少女とその母たち 』という本が最近発売された。第11回開高健ノンフィクション賞を受賞された黒川祥子さんという方の受賞後はじめての作品だそうだ。


帯をかいているのはあの『石田衣良』さんだ!


「いつもニコニコ笑っているよね」と言われたけれど、あれは平成19(2007)年5月31日だった。息子の生まれた病院で女性外来を受診し、子宮筋腫の手術を受けた時、いつのまにか「精神科」を受診させられ気づいた時には「障害者手帳」を申請しないといけない「精神障害者」にされてしまった。


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あまにもショックな出来事で、記憶がところどころ飛んでしまっている。人は心に深い傷を受けた時、涙も出ないといけれど、まさにそんな感じだった。


つい最近、著名な精神科医である野田正彰先生が驚いておっしゃったぐらいだ。「どうしてあなたが精神科に行かないといけなかったの!」法務局の人権相談窓口でも言われた。「あなたは人権を侵害された被害者です」


なんでこんなことが起きてしまったのか今でもよくわからない。


ある日突然「障害者」として生きよ、と言われたのだ。それは『私』という人格を傷つけられたことと同じ。言葉にできないほどのショックだった。


呆然としたままバスに乗りこんだ。すぐには家に帰りたくなくて、新宿の地下街を歩いた。『R25』がたくさん積んであった。一冊手に取り新宿の伊勢丹のカフェでパラパラめくりながら食事をとった。その時、ふと目にとびこんできたのが石田衣良さんのエッセーだった。


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そこにかかれていたのは、まるで私を励ますためにかいたような言葉。石田さんの文書を読んだ時に、はじめて私の心の中に「悲しい」という感情がわき出てきた。店内にいる他のお客さんに見つからないようにそっと泣いた。


あれから私はいつもうつむいていた。嬉しとか、楽しいとか、慶びの感情がなくなってしまった。


もう二度と、あの日に戻りたくない。


あの石田さんが子宮頸がんワクチンの被害を訴えている方とお母さんを応援してくれているんだ。よかった、と思った。私も早速注文してみよう。


空は、今日も、青いか? 第70回 傷つきやすくなった世界で 『R25』  石田衣良  一部抜粋


この10年間で、日本語も変わった。ぼくがデビューしたころにはなくて、今では毎日のように目にする言葉がたくさんある。格差社会、勝ち組負け組、ネットカフェ難民、仮面うつ、負け犬、メタボリック、自己責任、非正規雇用、ジコチュー、学級崩壊、地球温暖化・・・。


言葉には本来、社会や人間の傷に貼付ける救急絆創膏のような働きがある。だから、勢いこの時代についた傷をえぐりだしたり、カバーしたりする新語どうしても目につくことになるのだろう。


ぼくはときどき不思議に思うことがある。格差社会という言葉ができるまで、社会にたいした格差は存在しなかったのではないか。あるいは、負け組という言葉ができるまで、ほとんどの日本人は自分を中流階級だと単純に信じられてきたのではないか。


(中略)


このコラムを読んでいるあなたは、もしかするといくつもの身もふたもない新語に当てはまる生き方をしているかもしれない。格差社会の底辺にいて、非正規の不安定な職につき、自分を負け犬だと感じていて、もしかしたら仮面うつ病にかかっており、さらに夜はネットカフェで泊まっている。そんな状態では、明日への希望など簡単にはないだろうと、ぼくだって思う。


だけど、ここでいっておきたいのだ。自分に貼られたシールに負けるな。新しい言葉になど負けてはいけない。どれほど気がきいた残酷な言葉でも、あなたという人間全体をあらわすことなどできない。一人の人間は、現在の姿だけでなく、将来の可能性までふくめた未知数の存在だ。


シールを貼ることで(貼られる)ことでわかった気になってはいけない。それは自分に対しても、周囲にいる人間に対しても同じことである。今日こうして生きているけれど、明日には目覚ましく変化しているかもしれない。その可能性は誰にだって開かれているのだ。


2015/06/26

厚労省がカルテ開示をすすめている??? 厚労省調査 カルテ開示義務浸透せず

6月23日、日経新聞を読んでいたら、目が点になるニュースを発見!!


カルテ開示義務、患者の4割「知らない」 厚労省調査


何をいっているんだろう???このブログは厚労省の方もやってくるようだけれど・・・。私はナショナルセンターとよばれる第三次救急にカルテ開示をしたんだよ。開示してくれたけれどこんな感じだったんだよ。ナショナルセンターは厚労省の管轄なんだよね?「患者の権利を守れ」というけれど、私の権利を侵害しているのは一体どこの誰なんだろう!


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※   ※   ※



総合病院の国立病院とは、どんなところ? 総合病院で働きたい 総合病院に関する様々な情報をご紹介します。


厚生労働省直轄


国立病院機構に引き継がれなかった部分は、主に研究センター的な位置づけの病院で、国立高度専門医療センター(通称ナショナルセンター)として、現在も厚生労働省が直轄しています。


国立がんセンター、国立循環器病センター、国立精神神経センター、国立国際医療センター、国立成育医療センター、国立長寿医療センターの6つがそれにあたります。がんセンターなどはよく耳にするところですね。


これらはとくに国を挙げて研究すべき分野の病気を専門的に治療、研究する病院とされています。


このように、国立病院というものの範疇は少々複雑なものとなっているのですが、一般的にただ「国立病院」とよぶときには、独立行政法人である国立病院機構のもとにある病院と、国立高度専門医療センターの医療施設をまとめて指していると考えれば間違いありません。



※   ※   ※



医療機関のカルテ開示義務、患者の4割知らず 2015年5月8日 読売新聞の医療サイト ヨミドクター


カルテ開示が医療機関の義務であることを知らない患者が4割を超えていることが、厚生労働省のハンセン病問題再発防止検討会による大規模意識調査でわかった。カルテ開示を求めたことがあるのは1割にも満たず、患者の権利が十分に認識されていない実態が浮き彫りになった。


 調査は、患者への深刻な差別があったハンセン病問題を教訓に、患者の権利を守る方策を研究する同検討会が実施。昨年12月~今年1月、何らかの病気を持つ患者5000人からインターネットで回答を得た。


 患者へのカルテ開示は、個人情報保護法で、5000件以上の個人情報を保有する医療機関に義務づけられている。調査結果によると、医療機関のカルテ開示義務を「知らない」とした患者は42・2%に上った。実際に開示を求めた経験が「ある」としたのはわずか6・2%だった。


 また、主治医の診断や治療について他の医師の意見を聞く「セカンドオピニオン」を利用したことが「ある」とした患者は22・4%にとどまっていた。


 同検討会座長の多田羅浩三・阪大名誉教授は「患者の権利を守るためには、カルテ開示を求めることやセカンドオピニオンを得ることが国民にとって常識にならなければならない。いかに普及させていくかが今後の課題だ」と話している。




※   ※   ※


2015/06/24

津田敏秀先生の『医学者は公害事件で何をしてきたのか』を読んで 『学者ウオッチ』のススメ

津田 敏秀先生の『医学者は公害事件で何をしてきたのか』が文庫化されたとネットで話題になっていたので早速購入した。


医学者は公害事件で何をしてきたのか (岩波現代文庫)
津田 敏秀
岩波書店
売り上げランキング: 69,508



がんばって読んでみたけれど私は科学者ではないから、難しくてよくわからない。でも、日本では水俣病がなぜ、あれほどの甚大な被害を起こしたかというと、津田先生この一言に尽きると思う。


原因が特定されるまでまっていたら、手遅れになる。しかし、日本ではいつものことだ。役所や利害関係者からお金をもらっている御用学者が「因果関係がない」という論文をかいたりして「調査などしなくてもいい」と邪魔をする。本当はこんなふうに、もっと簡単に考え対策を取るべきなんだろう・・・。


『医学者は公害事件で何をしてきたのか』津田 敏秀 Ⅱ 疫学から考える水俣病 ーなぜ被害は拡大したのか


水俣湾の魚介類が問題であるということは「半年後」には分かっているのだ。これは「原因物質」を究明していた当時の研究者たちが、一貫して魚介類しか分析対象にしていないことからもわかる。さて、水俣病の発症を予防するのに、「原因物質」(の名前)が分かる必要があるだろうか。


「原因物質」が何だろうと、魚の中に体にとても悪いものが入っているのである。その魚を食べている人達が今なおいるのに、なぜ食べないようにするための対策を取らないのだろうか。


また、「工場排水が原因とみて、強力な対策が取れなかったのか」と先に引用した文章では述べられている。しかしたとえ工場排水が有毒化の原因だとわかって工場排水を止めたとしても、魚介類を食べることを継続していれば、患者の新規の発生はそんなに止まらないであろう。


なぜなら魚介類はすでに有毒化してしまっているからである。排水を止めたところで、即座に魚介類が無毒化することがあり得ないことは、専門家でなくても容易に想像がつく。



それにしても津田先生はすごいなぁと感心した。なぜって、水俣病をはじめ審議会で出された学者の意見や論文にほとんど目をとしておられるからだ。


水俣病の解説は少し難しいのでこちらを読むとわかりやすい。イタイタイ病、カネミ油症事件、サリドマイド事件など、これでもか、という感じで同じことの繰り返しがえんえんと解説してあって頭が痛くなる。



『医学者は公害事件で何をしてきたのか』 タバコ事件と大気汚染問題


すでに1950年代から喫煙とがんの因果関係はさまざまな研究により示されてきたが、その後さらに喫煙による健康被害により医療費全体が増大し、またニコチンによる麻薬に匹敵する依存症についても明らかになってきた。


またタバコは正常な使い方をして人体に健康被害を及ぼす唯一の商品であるとも説明されだした。


それにも関わらず我が国では情報の公開が遅れてきた。そこで重要な役割を果たしてきたのが学者たちであり、この役割を担ってきた学者の数は膨大である。受動喫煙の問題が明らかになってきた頃、東京女子医科大学香順教授と帝京大学医学部矢野榮二教授は、米国などのタバコ会社から多額の研究資金を受け取り、受動喫煙による害を否定するための研究を行った。


これら学者たちによる一連のプロジェクトは、タバコ会社の内部文書により明らかになり、2002 年12月BMJ(『イギリス医学雑誌』に発表された。


また香川氏は、大気汚染訴訟においても、国側・企業側の証人として出廷してきた。しかしその証言内容は稚拙で、具体的方法論である疫学を知らないのに、知ったふりをしていることが発言内容から明らかになっている。またこのような疫学知識を持たない香川氏を環境庁は重用し、大気汚染に関する調査を行わない方向の報告書を作成するのに利用した。


そればかりでなく、香川氏は大気汚問題に関して環境庁調査を行えないような報告書を作成するのに協力し、結果として大気汚染対策を打たない方向へと協力している。



「タバコ会社の内部文書」とあるけれど、本当に「インサイダー」という映画もある。






難しい本だなぁ〜と諦めかけた時、最後のほうの『学者ウオッチ』に目がとまった。津田先生がすすめておられることは何かに似ている!伊藤隼也さんの『うつを治したければ医者を疑え』や斎藤貴男さんの『子宮頸がんワクチン事件』の本が出たことは、まさにここにかいてあるような感じ。


そうか、このブログは津田先生がおすすめする『学者ウオッチ』だったんだ!


『うつを治したければ医者を疑え! 』を読んで 


斎藤貴男さんの『子宮頸がんワクチン事件』が発売されました その2  対立構造を生むもの



『医学者は公害事件で何をしてきたのか』 Ⅲ 必要な制度の見直し ささやかな対策


『学者ウオッチ』


本書はそもそも、学者達の暗躍にほとほと手を焼き、人生の時間やお金(費用)を無駄遣いさせられてしまった医師、NGOメンバー、ジャーナリスト、弁護士、研究者、行政官の強い要望により実現する運びとなった。


(中略)


本書において紹介したような学者達の出現を防ぐ効率的で有効な方法は、現状では見つからない。学者を生み出し活躍させてしまう構造は相変わらずだ。本業とは異なる安易な方法で、目先の名誉も金銭も両方獲得しようとする学者がいる限り致し方ない。


また、自分の仕事の意味を理解する余裕がなく、何とか無難に本庁の課長以上になることしか念頭にない官僚たちがいる限り、あるいはそうさせてしまう閉鎖的な官僚制度がある限り、このような学者たちに対する公的研究費の支給は続けられるだろう。


「このような行為は恥ずかしいことなんですよ」というようなモラルに訴えたところで、比較的「まし」で、比較的真面目な科学者たちが自粛するのが関の山だろう。


残念ながらその結果は虚栄心を満たした上で、しかも金も欲しい学者たちの競争相手を減らし、学者たちを助けるだけにしかならない。そして残念なことに、特別に悪い学者がこのようになるわけでもなく、誰にでもこのようになってしまう可能性はあるのだ。


そこで提案するこのシステムでは、大きな社会問題に関わる学者を、研究者市民などで協力してウオッチして、できるだけの機会を利用してひろく公表していくようにする。問題にするのはいくら警告してもダメなとき、そして社会的影響が大きいときだけだ。


だから普通の研究者は無用な心配をしていただかなくてもいいだろう。


そして学者達の暗躍にほとほと手を焼き、人生の時間やお金(費用)を無駄遣いさせられてしまった医師、NGOメンバー、ジャーナリスト、弁護士、研究者、行政官らは、それぞれがほとほと手を焼いてきた学者のことを、できるだけ公にするようにする。


そのことを雑誌に書き本に書く暇がある人は新聞、テレビで発言する。あるいは裁判所でもきちんと証言する。書いた人、発言した人がそのままウオッチャー組織の一員だ。出版社やメディアの方々も、定期的に学者のウオッチに関心を持っていただき、学者ウオッチャーの発表の場を提供していただきたい。


(中略)


現在の我が国には行政のウオッチに関してはマスコミなども含めて関心が高い。しかし学者に対するウオッチは行われていない。


行政が学者のウオッチ組織を作ろうとするようなことは現状ではとても考えられないので、我々国民の中の作ったほうが良いと思う人たちが、それぞれの日常生活や仕事に支障がない程度に、個々の事情にあわせて作るしかない。この学者ウオッチの組織はそういう個々の事情に合わせられる緩やかな組織だ。


しかし目標だけはしっかりしている。学者の暴走を予防、あるいは阻止できるだけの力を持ち合わせることだ。

2015/06/22

レセプト開示請求 私が第一号 国民皆保険制度のこれから

大学の健康保険組合でレセプトを開示請求したのは、私が一番最初だったそうだ。担当の方が最後におっしゃってた言葉が印象的だった。


電通健康保険組合ーレセプト開示

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アサヒグループ健康保険組合 ーレセプト開示

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「今までレセプトの開示請求というと、医療過誤などネガティブなイメージを持っていましたが、今回の請求をきっかけにいろいろと勉強しました。どこの健康保険組合でも、今は開示請求を積極的に行っていこうと考えているようですね。それがなぜなのかがよくわかりました」。


大学の歴史は明治にさかのぼる。現在までに社会に送り出した卒業生は50万人を超えるそうだ。夫が母校で教員をしているという特殊な事情はあるけれど、母校の健康保険組合は学生も利用できる学生健康保険もあり、ひじょうに規模が大きい。だから建学以来長い歴史のなかで私が第一号というのはとても感慨深い。


「私もはじめて母校に貢献できた気がする!」と夫に報告したら驚いていたけれど、喜んでくれた。


かつて母校は、学生運動がとても盛んだった。


しかし私は学生運動があまり好きではない。学内に残り活動を続けていた活動家とよばれる方々のやっておられたことをみると、活動のための活動をしているように思えたからだ。人を暴力で傷つけたり、建物を破壊したりという非合法の活動が、本当に社会のためになっているのか疑問だった。


そういう校風にも関わらず、レセプト開示をしようとする人が私しかいなかったいうことが意外だ。


それにしても、これから、日本の国民皆保険制度はどうなるのだろう?


もう誰の目にもあきらかだと思う。だましだまし、問題を先送りしているに過ぎない状態であり、すでに崩壊している。


大手企業の健康保険組合が「レセプト」の開示請求の方法を、公式サイトなどに記載しているのは、自分の受けた治療に、もっとコスト意識を持って欲しいというあらわれなんだと思う。


家で安静にしてればそのうち治癒するような病の治療費は全額自己負担にし、がんをはじめとする重い病に手厚く支援をする。あるいは、ある一定以上の年齢の方への積極的な治療を保険では行わない、など、子ども世代につけをまわさないようにするためにどうすればいのか、議論をしないといけない時期だと思う。


私は超低出生体重児の親だから切実に思う。支援がないと生きていけない人達がいる。そいう人達を守ために、メリハリをつけないとどこの組合ももたないんじゃないかと思うから。


そして、患者も勉強しなくてはいけない。


薬害団体代表の方が私によく言っておられる。処方薬の治験で安全性が認められているのは単剤で、まれに2剤間で行われているににすぎない。それを、3剤、4剤と増やしていったら、別の薬だと考えるべきだ。安全性や有効性なんてわからないよ。


日本ならではの、漫然と行われてきた多剤大量処方は、患者が自ら学ばなかったことにも原因がある。自分の支払う医療費に対して、何にどれだけかかっているのか、コスト意識を持たなかったことにもある。だから医師や製薬企業に変われ!TPP反対!というばかりでなく、「その薬は私には必要ありません」といえるようになることも必要だと思う。


日本に変革を促すために、『外圧』に頼ってきたのは、私たち自身でもある。


今回のレセプト開示請求が問いかけたのは、そういうことだ。学生運動に疑問を抱いてきた私にとって、第一号になったことは、とても名誉なことだ。

2015/06/18

私の主治医だったB先生へ 『Just The Way You Are(素顔のままで)』をききながら




I want you just the way you are.

僕はそのままの君がいい



ビリージョエルの『Just The Way You Are(素顔のままで)』ときくたびに思う。女性ならこんな風に「流行を追わなくてもいい。髪の色もかえないでいい。そのままの君でいいんだよ」と言われてみたいだろうな。


でも、人生は歌のようには上手くいかない。自分が好きになった男性が自分を好きになるとは限らないし、恋がすぐに冷めてしまうかもしれない。


自死遺族のシンポジウムに出席し、精神科医の野田正彰先生に「要望書を読んでください」と直談判した後、夫の勤め先の大学の健康保険組合にレセプトの開示請求をした。


第4回 自死遺族等の権利保護シンポジウム その1  野田正彰先生に直談判!


私が 診療報酬明細書(レセプト)を開示請求した理由 



自死遺族のお話をきいて、何かできないか考えたからだ。壇上でお話をしてくださった自死遺族は私より少し年上のお母様だった。お嬢さんは、私の自宅からそれほど遠くない街で一人暮らしをしていたそうだ。社会人になったばかりで、これから、という時だった。


その日、ささいな行き違いからお嬢さんと口論となった。夜遅く、メールで言い合いになったという。


私にも経験がある。すれ違っていく時って確かにある。メールだとたった一つの言葉のために、二度と取り返しがつかなくなることもあるね。


お母様は、これ以上メールを送ったら傷つけあうだけだからかと、メールを送るのをやめたそうだ。その判断は親として、賢明なものだったと私も思う。そういう時に一番必要なのは心を落ち着かせる時間だと思うからだ。


でもその晩胸騒ぎがして、朝一番でお嬢さんに電話をかけたらまったくつながらない。急いで一人暮らしをしているマンションにかけつけたものの内側からチェーンがかけられていて、部屋に入れない。なんとか管理会社に連絡をし、部屋に入ったら、誰もいない。


なんだ、出かけたのかとホッとしたのも束の間、背中に視線を感じる。おかしい、と振り向くと、クローゼットの中で縊死したお嬢さんの姿を見つけたそうだ。


私はお話をうかがいながら、泣いていた。自分のこどもが縊死した姿をみるなんて想像するだけで・・・。


お母様はポツリとおっしゃった。「亡くなった娘の部屋から、クリニックの診察券が17枚も出てきたんです。自死するのは薬の影響もあるんだと思います。薬を飲んでから変わったと思います。なんとか、薬を処方するのを、少なくするとか、やめるとかできないでしょうか」。


私は元主治医のB先生を思い出していた。B先生は精神科医ではないけれど、私にベンゾジアゼピンを処方していた。「一生服用しても大丈夫。いつでも病院においでよ」と私に言っていた。親切なやさしい医師だとたまに思い出すこともある。


でもーーーーーー。


断薬の方法や副作用を知らないで処方することが、本当のやさしさや誠実さなんだろうか?


自死遺族が人前で話をする機会はなかなかないそうだ。涙ぐみながらお話するお母様の姿に、そうだろうな、と思った。あれから私はこのままでいいのか思うようになった。気軽に処方する医師を、少なくしていくことも必要じゃないかと思ったからだ。17枚の診察券を16 枚にすることはできるだろうと思った。


亡くなったお嬢さんが探していたのは、もしかしたら薬じゃなく、ビリージョエルの歌のように「あなたはそのままでいいんだ」と受けとめてくれる人だったかもしれないから・・・


レセプトの開示請求は夫に内緒で行った。


向精神薬の被害についての研究に協力すると決めた時から、研究の独立性を考えていたこともある。もう一つ理由があった。夫に相談したら、「B 先生にはお世話になったじゃないか。B 先生が嫌な思いをするからやめなさい」と反対するだろうと思った。


不安は的中した。


先週、夫がムッとした顔で私に言った。「どうしてレセプトの開示を請求したんだ」と怒って私に言う。どうやら、B先生から連絡があったようだ。


でも私が研究の協力要請書と、自死遺族のシンポジウムの話をしたら、夫は私を理解してくれた。B先生にも伝えてくれたようだ。詳しくきかなかったけれど。


ただ一つだけ私から最後にB先生に伝えて欲しいとお願いしたことがある。「自分で処方した薬には最後まで責任を持って欲しい」。


レセプトを請求すれば、開示請求を要請された医師を傷つけることになるかもしれない。それに、夫の勤め先の大学は私の母校でもある。私学の中でも大きな大学だから、ちょっとした政令都市並み何十万もの校友が全国におられる。だから開示請求するには、それなりに覚悟が必要だった。


けれども誰かが、批判を覚悟でこういう実力行使のようなことをしていかないと、何も改善されない。健康保険組合の方はとても協力的だった。夫が、「精神医療の問題は、社会に認知されていて、このままじゃないけないと皆よく知っているんだろう。だから、サクラがやってきたことも、これからやろうとしていることも良いことだと思ってくれたのだろう」と言っていた。


今日、やっとレセプトが手元に届く。これまでいろいろあったなぁ。


B先生がどういう気持ちで、応じてくれたのかわからない。けれど、ここに書いておけば読んでくれるかもしれない。もう、二度とあわないかもしれないから。


今までどうもありがとう。






2015/06/11

集英社インターナショナル 編集者の松政治仁さん

ちょうど今から一年ぐらい前だったかな?ジャーナリストの斎藤貴男さんの取材を受けた。同席したのが編集者の松政治仁さんだった。


BS朝日「鉄道・絶景の旅」番組サイト

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ブログに何度か書いたように、完成した本を読んで嬉しくなったのは私がお願いしたことを、斎藤さんと松政さんがちゃんと覚えていて守ってくれたからだ。


本を手にとっていただくとわかるように、著名な医師や政治家など、大勢の方に取材しておられる。 だから私がお願いしたことを、よく忘れず形にしてくれたな、と思うと感激する。


2010年。ちょうど同じ頃、ある本のインタビューにこたえたことがあり、その時には首が動かなくなるほどのバッシングを受けた。あの時の辛い経験が、良い思い出へと上書き保存されたようだ。


いくつか資料をつくって送ったこともある。その資料やメール、一つ一つに目を通してくれたのは編集者の松政さんに違いない。


松政さんはどんな仕事をしてきた方なんだろうとふと思い、調べてみたら、『週刊 鉄道 絶景の旅』という有名な鉄道雑誌の編集長をしておられた。集英社インターナショナルのサイトの情報を読むと、BS朝日の「鉄道・絶景の旅」という番組は、『週刊 鉄道 絶景の旅』から誕生したそうだ。


どちらかというと、ほのぼのした内容の本をつくっていたのに、「外資系製薬企業のロビー活動」に関する資料によく目をとおして考えてくれたなぁとびっくりする。それがプロの編集者なのかもしれないけれど・・・。


松政さんは若い。30代じゃないかと思う。でも、斎藤さんが本をかきたいと相談するような誠実な編集者なのだろう。これはやっぱりお礼を伝えないといけない、とメールをかいて送ってみた。


送られてきた返事には嬉しくなることがかいてあった。


ワクチンを推進してきた「推進派」とよばれる医師からも多くのメールが届き、斎藤さんに敬意を表しておられるそうだ。


斎藤さんの本が出てから、子宮頸がんワクチンの被害を訴える被害者連絡会への批判が和らいだように思うのは、私だけだろうか。いずれにしても、「片方をバッサリ切り捨てる内容じゃないものを」という私の願いは届いたようだ。


斎藤さんと松政さんに一番強くお願いしたのは実は、亡くなった方のためにはじめた募金活動への疑問だった。募金活動の精神とは、もともとは、救命されたものが、救われなかった方のために活動するものだった。だから「どうして政治家が働きかけないと、被害を訴えておられる方に会おうとしないのか。被害者のためには何もしようとしないのか。どうしてもその理由が知りたい」と伝えたのだ。


本を読んで私が感激したのは、その答えがちゃんと書いてあったからだ。募金活動そのものは上手くいかなかったけれど、こうやって対立構造を和らげることができるなら、それでいいんだと思う。




2015/06/08

骨髄移植を乗り換えた同級生 がんの啓発活動への疑問

ゼミで一緒だった同級生が、指導教官だった夫に連絡してきたのはつい最近だった。彼は、仲のいいもう一人のゼミ生でやはり私の同級生と二人で大学にやってきたそうだ。





タイの生命保険会社のコマーシャル。日本のがん保険のコマーシャルのように「お金が大切」などとストレートにいわないことろに好感が持てる。

『しゃべれない父さんでごめんな。他の父親みたいに話すことはできないけれど、お前をとても愛している。それをわかって欲しい』



彼は、私たちが結婚したばかりの頃、就職したアパレル企業のファミリーセールの招待状をいつも私に送ってくれた。ところがある時からプッツリ連絡が途絶えてしまった。「何かあったのかな?元気だといいなぁ」と思っていた。


ところが、今から5年ぐらい前だろうか。ある時から年賀状がまた届くようになった。


でも、一言添えてある文章を読むと何か大きな病気になったようだ。心配になって、夫に連絡するように言ったら、「う〜ん。でも、あまり話したくないかもしれないし」と言う。「そうかしら?話したくないなら、気になるような一言をあえて書くかしら?気づいて欲しいから、わざわざ書いているんじゃないの?」。


いつもここ数年、毎年毎年、彼のことを心配していた。何か伝えたいことがあるから、書いているんだよね?


久しぶりにやってきた彼は、やはり・・・骨髄移植をしたそうだ。今は良い薬が出たときいていたいたけれど、彼はその薬では抑えられないタイプだったそうだ。やっと治療が一段落し、落ち着いてきたから、「先生に会いたい」と訪ねてきたそうだ。もう一人の同級生と一緒に。


なぜ二人一緒かというとーーーー彼は発病する前、もう一人の同級生が代理店をやっている保険に、すすめられ、入っていたため、その保険にずいぶん助けられたという。


だから、闘病していた同級生と、保険の代理店をしている同級生が二人で訪ねてきたというわけだ。


私がブログを書いている理由の一つは心の整理をするためでもある。ずっと考えていた。もう、がんの啓発を、大学でやってもらうのはやめよう、と思っていた。なんだか私は、患者会や、がんの啓発活動がトラウマになってしまった。患者さんは100人いれば100人一人一人違うはず。それなのに声が届くのは、医師や製薬企業に気に入られた一握りの患者さんのような気がしてならない。


斎藤貴男さんが『子宮頸がんワクチン事件』の中で引用している、『ビック・ファーマ』の患者アドボカシー・グループに関する記述から


患者アドボカシー・グループへの支援も、教育を偽装したマーケティングの一つである。単に製薬企業の隠れ蓑に過ぎない患者アドボカシー・グループも多い。


患者たちは、自分の疾患に対する世間の認知を広めるための支援ねっとワークに出会ったと思い混む。しかしそれこそが、実は製薬会社が薬を売り込むための手口なのである。製薬会社がバックにいることを知らない患者アドボカシー・グループの会員もいる。製薬企業は単に教育を援助したいだけなのだと思い込んでいる人もいる。

(中略)

製薬企業はスポンサーとなっていることを概ね隠している。ヘイスティングス・センター(生命倫理シンクタンクの一つ)のトーマス・マレー所長はこれを「倫理的に問題なのは、実際には製薬企業が患者アドボカシー・グループを作っているにもかかわらず、自発的な草の根の組織であるかのように見せかけている点である。こうした欺瞞が実に腹立たしい」と批判している。



がんの患者さんは身近にたくさんいる。その人達をみていると、がんの啓発活動が、患者さんや、そのご家族をのためになっているのかもよくわからない。


だから「もう、やらない」そう決めていた。


夫にそう言ったら、私の気持ちがよくわかるようだ。「そうだな」と頷いてくれた。


でも、同級生がその病になったときいたら、途端に心がグラグラ揺れる。今は落ち着いているといっても、波があるそうだ。体調が悪い時にはやっぱり感染症も心配だという。まだお子さんが小さいのに・・・。


二人の話を聞いた夫が私に教えてくれた。


病気になった同級生は、いろいろな方に助けてもらったそうだ。転職先の社長とか、取引先の人達など。困難に陥るたびに、誰かが手をさしのべてくれたそうだ。


そういえば、夫が私に言っていた。「余命一ヶ月の花嫁」が女性の心をつかんだのは、「恋愛」や「結婚」という若い女性があこがれる、もう一つのストーリーがあるからだよーーーー


同級生の場合は、『友情』や『家族の絆』『情けは人のためならず』など、やはり若い学生の心をつかむ、もう一つのストーリーがあるように思えた。今の学生は、私たち世代と違って子どもを持つことにとても関心がある。


彼は卒業した先輩だ。「一生懸命仕事をしていると、どこかでちゃんとみている人がいて、困った時には助けてくれる。友だちは大切だとか、先輩のために、と感染症の予防にも関心を持ってくれるかもしれないね」と私は言った。私にも苦労した経験があるから少しは彼の気持ちがわかる。お子さんがまだ小さいから、やはり心配だ。


よく考えてみれば、大学には病気や障害を抱えてがんばってい学生もいるし、卒業して、病気になってそれを乗り越えてがんばっている卒業生もいる。大きく広いことをやるよりも、まずは、身近な人のためにできることをしていったほうがいいのかもしれないね。


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脳腫瘍乗り越えたオリドラ1山崎福 プロ初勝利でチーム連敗止めた  スポニチアネックス 2015.6.5


2人にとって初勝利となったウイニングボール。それを手にしたオリックスの捕手・伊藤が「どうしますか?」と2人の顔を見渡した。すると、福良監督代行は「福也に」と指さした。


 5度目の挑戦でつかんだプロ初勝利。ドラフト1位ルーキーの山崎福は照れながら「2個ももらえてうれしいです」と笑った。実は2回にプロ初安打も記録。パ・リーグの投手では珍しく2つの記念球を手に入れた。


 森脇監督が成績不振の責任を取って2日に休養。チームは6連敗中と重苦しいムードの中でマウンドに上がった。「自分自身を追い込みすぎないように、ストライク先行でいきたい」と得意のカーブを駆使して、5回までは1安打無失点。6回に大島に2ランを浴びて降板したが「やっと1勝できてうれしい」と頬を緩めた。


 父・章弘さんは巨人、日本ハムで捕手として計12年間プレーした。山崎福も父の道を目指していたが、中学3年の時に「余命7、8年かもしれない」という脳腫瘍が見つかり、大手術を受けた。手術前日には、札幌ドームで当時日本ハム・ダルビッシュの完封劇を目に焼き付けた。野球をしていること自体が奇跡に近い。日大三から明大を経て、ドラフトで指名された後には、執刀医の沢村豊医師に「プロ野球選手になれました」とすぐに感謝の電話をかけた。両親だけでなく、報告をしたい人はたくさんいた。


 同じ病気に苦しんだ静岡県御殿場市の勝又祐輔君(13)も、そうだ。日大三時代から親交があり、3月29日のデビュー戦となった西武戦(西武プリンス)に招待したが、2回1/3を3失点KO。4月13日に2軍落ちしても、立ち上がれたのは周囲の存在があったから。森脇監督は「素晴らしいアスリートは、何度失敗しても、立ち上がる人のことだ」と声を掛けてくれた。全ての人への恩返しの勝利でもあった。


 現在も1年に1度は検査を受けているという山崎福。ロッカールームではチームメートから拍手を浴びた。「長かったです。でも、これからが大事」。プロ1勝は今後の長い野球人生の始まりでもある。


 ▼山崎福の母路子さん(所沢市の自宅でテレビ観戦)福也らしいテンポがありました。おめでとうとは言いますが、6回の本塁打は失投。ああいうのをなくさないと駄目ですね。


 ◆山崎 福也(やまさき・さちや)1992年(平4)9月9日、埼玉県出身の22歳。小2から野球を始め、向陽中では所沢中央シニアに所属。日大三では3年時にセンバツ準優勝。明大では1年秋にリーグ戦デビュー。通算20勝10敗、防御率2・20。14年ドラフト1位でオリックス入り。父・章弘さんは巨人、日本ハムで捕手として計12年間プレー。1メートル87、88キロ。左投げ左打ち。



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2015/06/05

私が 診療報酬明細書(レセプト)を開示請求した理由 

今年、ある社会学者の方の、向精神薬の被害の実態についての調査研究に協力することになっている。そこで改めて「同意書」と「お願い」を読んでいたら、「レセプト」を用意して欲しいと書いてあることに気づいた・・・。私はまだレセプトの開示請求を一度もしたことがない。






①調査対象者の方への事前準備としてのお願い


・事前調査票(様式4)への記入

受診した時期やその時の年齢、各時期の処方内容やその時の体調等について、あらかじめ事前調査票にご記入をお願いします。

・処方歴がわかる資料の準備

レセプト、お薬手帳、薬局の調剤明細書、カルテ、日記等、受診期間中の処方内容がわかる資料の準備をお願いします。受診期間中の処方内容については事前調査票に記入していただきますが、調査当日にも、必要に応じて記録を確認させていただきたいので記録のご準備をお願いします。ただし、保険組合のレセプト保管期間切れ等の理由のために一部の記録が揃わない場合には、どのぐらいの記録があるかを事前にお知らせ下さい。



必要だと思っていても実際に行動に移すのは難しい。請求手続きをしてくれるのは加入している保険の種類によって異なる。私の場合は夫の勤め先の大学。


心のハードルが高い・・・。「いつかやればいいや」と先送りしているうちに、一番最初の第三次救急の保存期間は過ぎている。「もう揃えなくてもいいかな」と思っていた。


でも先日、自死遺族のシンポジウムに参加し、精神科医の野田正彰先生をはじめ弁護士の先生、そしてご遺族の話を伺い、考えが変わった。亡くなった方のためにも、このままじゃいけない。もう少しきちんと声を上げていかないと改善されないと思うようになった。


そして先週行動にうつした。


健康保険組合を訪ねたら、はじめは「医療過誤ですか?」と驚かれたから「そうじゃないんです」と一生懸命説明した。
今までいろいろな働きかけをしてきて、その結果多剤大量処方やベンゾジアゼピンの長期服用の弊害が知られるようになったことなどについて。


内心、「健康保険組合の方でも向精神薬の様々な問題をご存じないのか」とがっかりする気持ちもあった。でも、こんなことでいちいち落ち込んでいられない。


国民健康保険に加入している場合の開示方法は、ネットでも詳しく解説してある。しかし、独立した健康保険組合の場合は組合によって、対応の温度差があるようだ。例えば電通やアサヒなどのように開示請求の方法を組合員向けにサイトで説明しているところもあるけれど、私のように「今まで誰も請求したことがない」といわれる組合もあるようだ。


ただ社会保障費が国民経済を圧迫する中で、たとえ大企業であっても健康保険組合はどこも大変なのだろう。最後は「今日、この場で申請はできませんが、前向きに検討してみます」と言っていただけた。


そして昨日連絡があり、いよいよ医療機関に請求するための書類に記入することになった。


私は社会学者の方の説明同意書をプリントアウトし、もう一度詳しい説明をさせていただいた。逆に言えば、精神医療で、今、何が起きているのか知っていただけるチャンスでもある。今回私が請求していただくのはここに書いたB医師のクリニックだ。


『うつを治したければ医者を疑え! 』を読んで その2 処方した薬には最後まで責任を持つ


それまで精神科医でない内科医のB医師のレセプトまでは必要ないと考えていた。しかし数ヶ月前、ブログに書いた、処方履歴や断薬の方法への反響が大きく、いろいろな方に感想を教えてもらった。圧倒的に多かったのは「断薬や減薬をしてくれる医師などいないのかもしれない。患者が育てるような気持ちで働きかけないとダメなんですね」だった。


医師はやはり他の医師がどんな処方をしているのか興味があるようだ。ある精神科医の先生には「いろいろ試行錯誤してみたんだけれど、自分が今まで受け持ってきた患者さんじゃないと、断薬や減薬はやっぱり難しい」と言われた。


先生が申し訳なさそうに言うから「自分で処方した薬には最後まで責任を持つですね。それでいいんだと思います。他の医師が処方した患者さんの責任まで、私は先生には求めません」と言ったら笑ってくれた。


「自分で処方した薬には最後まで責任を持つ」という言葉に、医師はハッとするようだ。そんなに真剣に考えてくれている精神科医もいるんだ・・・


だから健康保険組合の方にも、精神科医でないB医師に開示を求める理由を詳しく説明した。


「精神医療について勉強し、精神科医のお話を伺っていると、薬の怖さをよく知らず処方している他科の医師にも問題があると思うようになりました。開示したら先方は嫌な気持ちになると思い、今までずっと行動しませんでした。


しかし人生の一番いい時間を薬で失った被害者も大勢います。断薬や減薬まで指導できる医師が少ないのなら、入り口を狭める努力もしていかないといけないと思うようになったんです。


この先生は、ベンゾジアゼピンを『いつまで飲んでも害はない』と私に言って処方していました。私に処方したように、学生に気軽に処方して欲しくありません。しかし思っているだけでは伝わりません。気づいてもらうためにも開示請求をしないといけないと思ったんです」と言ったら、大きく頷いてくれた。


「自分の無知とはいえ、長期にわたり健康保険組合に負担をかけたことを申し訳なく思います」と最後に頭を下げ部屋を後にした。健康保険組合の方だから精神科を受診すると、いつまでも薬を飲み続けなくなることが多い事実をご存じなのだと思う。


たった一年半で私のブログへのアクセスが急激に伸び、「ブログを読んだことがある」と言われる機会が増えたのは、裏を返せばそれだけ被害が社会に広がった、ということでもある。


はじめて要望書を断三次救急に送った時に、話し合いに応じてもらえず、失望して泣く私に夫はこういって慰めた。「仕方がない。被害者を増やすしかない」ーーーーーーー


被害が社会に認知されることはいいけれど、だからといって失った時間が戻るわけでもない。未だに断薬や減薬のために、途方にくれる被害者も多い。被害者にとって、もう少しやさしい医療に変わって欲しいと願う。

2015/06/03

自衛隊員の自殺増でパソナが儲かる“戦争法案”の利権構造

『こころのケア』の改善を訴えてきた私にとって、黙っていられないようなニュースを発見!





私がPTSDという言葉を知ったのは、大学生の時だった。テレビでベトナム戦争の帰還兵のドキュメンタリーをみたからだった。


その数年前、ベトナム戦争を描いた映画『ディア・ハンター(The Deer Hunter)』をみたことがあった。ここに動画がある。はじめは、若く未来のある若者達がはしゃぐ様子が映し出される。しかし突然戦場の場面に切り替わる。



私が最も印象に残った場面は、捕虜となったアメリカ人の若者がベトナム兵とロシアン・ルーレットに興じる姿だった。



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戦争は狂気だとよくいわれるけれど、まさにそんな表現がピッタリの映画だった。しかし本当の戦争は人の心や絆をもっとズタズタに切り裂くに違いない、と深く考えさせた。


その数年後、帰還兵がPTSDの症状で苦しんでいる姿を、NHKのドキュメンタリーでみた。すぐに『ディア・ハンター(The Deer Hunter)』が頭に浮かんだ。映画が投げかけたことは、社会問題化していたんだと思ったのだ。その男性は、「自分の母親が朝おこしにきて軽く肩に触れただけで戦争を思い出す。『殺される』と身体が反応して母親の首をものすごい力で絞めてしまうんだよ」と頭を抱え苦しんでいた。


戦場に行くということは、日常を二度と取り戻せなくなるかもしれないということなのだと思った。戦場でもしも誰かの命を奪ったなら、死に向かうスイッチが入るほどの罪悪感を抱えることになるに違いないと想像した。


これほどの壮絶な体験をするかもしれない自衛官に、電話相談?それも、なんでまたあの『パソナ』なのだろう?


夫はもともと職場のメンタルヘルスに興味を持ち、運動生理学から免疫の研究に入っていった。人の心など数値化できないことがわかり、もっと科学的な裏付け、データが欲しいと新たな道を目指したそうだ。運動生理学は軍隊のトレーニングと関係が深い学問だ。そのため一緒に仕事をする研究者の中には、軍に所属しておられる方も多いし、留学先も軍の関連施設だった。だから「戦場に行った兵士の心のケアなど、はじめからできないと考えないとダメだ」と私によくいう。


その通りだと思う。せいぜい『見守る』、そんなことしかできないと思う。中途半端なケアなど、はじめからないほうがいい。ケアを受け、もしも絶望したら、かえって心の傷が深くなるからだ。


こころの専門家のケアを受け心に深い傷を受けた人の言葉を、どうして国は真剣にきこうとしないのだろう。


父の会社がアルジェリア人質事件に巻き込まれたこともあり、自衛隊の“戦地派遣″には複雑な思いが正直ある。だからこそ、このパソナの電話相談はあんまりだと思う。


浜松にある自衛隊の広報官に行けば、自由時間に滑走路を走っている自衛官の姿がみられるはず。竹中さんは、自衛官が黙々とトレーニングする姿を見たらいいと思う。あの人達には大切な家族がいるんだよ。本当に、いつからこんなに人命が軽くなってしまったんだろうと悲しく思う。


最後に、日刊ゲンダイの記事と、野田正彰先生の『自死への差別 故人のみならず遺族にも 社会に非情な考え 宗教界の対応望む』を引用させていただく。


アフガン・イラク両戦争への派遣任務を経験し、帰国後に自殺した自衛隊員は54人に上ると報道があったばかり。遺されたご遺族は、こういう差別や偏見に苦しんでいるかもしれない、ということも報道して欲しい。


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自衛隊員の自殺増でパソナが儲かる“戦争法案”の利権構造 日刊ゲンダイ 2015年6月2日


安保関連11法案が成立すれば、自衛隊の“戦地派遣″の範囲は地球規模に拡大する。同時に自衛隊員の「心の闇」も広がるのではないか。イラクやインド洋に派遣された隊員が異常な頻度で自ら命を絶っている実態も判明したが、自殺する隊員が増えるほど、確実に儲かりそうな企業もある。竹中平蔵・慶大教授が取締役会長を務め、ASKA事件では政官との不透明な関係が露呈した人材派遣大手のパソナグループだ。


 アフガン・イラク両戦争への派遣任務を経験し、帰国後に自殺した自衛隊員は実に54人に上る――先週、衆院の安保法制の衆院特別委員会で防衛省が明かした数字はショッキングだった。


 両戦争に派遣された隊員の総数は、延べ約2万2560人。単純計算で418人に1人の割合で自ら命を絶っており、激務から自殺者が多いとされる自衛官全体(13年度)と比べても約7・1倍、国民平均(14年内閣府統計)の実に約11・9倍という高確率である。


 この異常な実態に、中谷防衛相は「(後方支援の拡大後は)さまざまな措置を講じて、隊員のメンタルヘルスケアの機関を充実させていきたい」と約束したが、防衛省はすでに自殺防止を含めた隊員の「心のケア」に取り組んでいる。


 防衛省共済組合は「あなたのさぽーとダイヤル」と称する365日24時間対応の電話相談窓口を設置。この業務を04年度から独占的に受注してきたのが、パソナグループの「セーフティネット」(本社・東京都千代田区)なる会社だ。


■海自OBと防衛省のもたれ合い


「『セーフティネット』は海自の元幹部で退官後にパソナに再就職した山崎敦社長が、同社の南部靖之代表のバックアップを受け、01年に立ち上げました。ASKAの覚醒剤事件で、今年1月に1審で有罪判決を受け、現在は控訴中の栩内香澄美被告が逮捕当時、在籍していたことでも知られています」(人材派遣業界関係者)


 防衛省共済組合との契約額は年間約5000万円程度。民間調査会社によると、この間、セ社の売上高は約3億円前後で推移しており、自衛隊員のメンタルケア事業は大きなウエートを占めている。


 従業員12人というセ社にとって、社長のかつての職場は上のつくお得意サマだろう。


 セ社は自衛隊の幹部OBの再就職の受け皿となってもいる。受注開始の04年に調達実施本部に勤務経験のある空将補を皮切りに、11年には海上幕僚監部総括副監察官だった海将補を、12年には陸自中央会計隊副隊長だった陸将補を、13年には航空教育隊の空将補を、いずれも部長職で迎え入れているのだ。


 海自OBの経営会社が古巣の業務を一手に請け負い、防衛省は幹部の再就職先を確保する。この「もたれ合い」関係が新安保法制で深まるのは必至だ。戦地派遣で“心の傷”を負う隊員が増えれば、防衛省のメンタルケア事業も増額される。積み上がった“自殺利権”をセ社が手にするのは、ほぼ約束されたようなものではないのか。


 産業競争力会議などのメンバーとして、安倍政権の成長戦略の作成に関わる竹中氏は、安保法制のウラでパソナのグループ企業が潤う構図を承知しているのだろうか。安倍政権の中枢には文字通り「死の商人」が、まるで巣くっているかのようにも見えるのだ。




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平成25年(2013年)4月11日 中外日報 論壇

自死への差別 故人のみならず遺族にも 社会に非情な考え 宗教界の対応望む 精神病理学者 野田正彰 より一部引用
 

どうして死んだのか、民事上の手続きで書き残されたものや証言等から自殺した人への精神鑑定書を作成するよう頼まれたとき、私は故人に向かって語りかける。どんなに無念な思いを残して亡くなっていったことか、私たちの社会はあなたの苦しみを聞きとる力がなかった、私は少しでも貴方の死の意味を知り伝えます、と手を合わせる。


日本社会は毎年3 万人ほどの老若男女を死に追い込んできた。ところが、故人を苦しめただけでなく、亡くなった後、遺族をさらに追い詰める社会であることを知っておられるだろうか。遺族は故人の思い出を整理しながら、遺失の悲哀に耐えていかなければならない。


同時に経済的な困難にも耐えていかなければならない。精神的にも、社会=経済的にも、二つの喪の仕事をやり遂げなければならない遺族に、私たちの社会はさらに非情な仕打ちを加えている。


(中略:家主や不動産会社からの補償要求に、自死遺族が苦しんでいる事例がいくつか紹介される)


借り主が損耗したものを回復するための費用請求は当然のことであるが、それをはるかに超え、お祓い料、過度のリフォーム費、精神的苦痛への慰謝料、近隣への慰謝料、数年にわたる家賃補償金などが請求されている。これらの法令上の裏付けとなっているのは、国土交通省による賃借契約に当たっての重要事項説明書であり、心理的瑕疵は告知しないといけないことになっている。


自殺は心理的瑕疵であり、告知しなければならず、告知すれば大きな損害が生じるというわけだ。国交省の法令は、自殺は心理的瑕疵とするという最高裁の判例によるとされている。


自殺がなぜ心理的瑕疵なのか。病死や孤独死した場合と、どのように違うのか。ここには死を差別し、自殺を穢れた死とする考えが流れている。


遺族がなぜお祓い料を支払わないといけないのか。一体、何をお祓いし、何を清めているのか。家主や不動産業者は借り手が遠のくことを理由に、過剰な補償を求めているが、それを動機づけているのは彼ら自身の差別や偏見ではないのか。


さらに自殺のあった建物を特別に忌み嫌う人々は、その理由を振り返ってみたことがあるのだろうか。病院に近づくのを恐れず、人の亡くなったベッドや病室で治療を受けることを拒んだり、入院費の減額を請求しないのは何故か。


国交省や裁判所は、自殺をなぜ重要な心理的瑕疵と主張するのか。私たちは切腹や特攻隊の自爆死のような権力の側によって強いられた死を美化しながら、私たちの社会の矛盾が強いた死を差別するのだろうか。


多くの宗教者は葬儀にたずさわっている。とりわけ僧侶は徳川時代からの宗門改め制度により、ほとんどが日本人の葬儀で読経などの重要な役割を果たしてきた。


1998年度より2011年度まで14年間、毎年3万人を超す自殺者を出してきた日本社会。自殺された葬儀で読経し、遺族と会話をもたれたお坊さまは少なくないと思われる。


これらの亡くなられた人が、なぜ死ななければならなかったのか。そして遺族はどんな社会的、経済的負荷をかけられているか、関心を持っていただきたい。亡くなられた人への悲苦を想うよりも、自殺を穢れた死とする習慣がどれだけ遺族を苦しめているか、各宗教教団で調べ、それはいけないと教えてほしい。各宗門、全日本仏教会がそれを教えるだけでも、大きな力になるだろう。


遺された遺族への重圧は、借家の場合に尽きるわけではない。自宅で死亡し医師に往診してもらっていなかった場合、検死となる。県によっては、診断書を十数万の死体検案料を即金で要求するところもある。葬儀の後、遺族が子育て支援、奨学金申請、債務整理の相談、労災申請の手続き、法的な相談などを求めても、自死遺族と告げるだけで精神保険福祉センターへ行くように言われ、結局うつ病扱いされると訴えている。


私たちの社会は亡くなった人に対してだけでなく、遺族に対してもあまりにも理不尽である。せめて遺族への負担を少しでも減らすことで、故人に「安らかに」と手を合わせられる社会に変わっていこうではないか。






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2015/06/01

ふまれても倒れない

超低出生体重児を育ててきた経験について、お話させていだくかもしれない。いつも断ることが多かったけれど、私的な集まりではないことで心が動いた。


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それに、最近、「ブログを読んでいるよ」と声をかけていただくことも増えてきた。ネットの世界は現実社会とは違うけれど、いよいよ現実社会とつながりだしたようだ。そろそろ話をしてもいいのかもしれないと思うようになった。


でも、どんなことを話したらいいんだろう?ずっと考えている。


息子が中学に入学して気づいたことがある。一人で買い物に出かけるとよく言われる。「僕ちゃんは、最近忙しいの?もしかしてもう中学生になっちゃった?寂しいわ」。


近所のお肉屋さんにコーヒー屋さんそれからクリーニング屋さん。お蕎麦やさんには息子と二人で歩いていたら「あら、この人がママなのね」と言われたことがあったなぁ。甘い物を売っているお店のご主人には、お店の前を通るたびに、いろいろお土産をいただいちゃって・・・。


一体どうやって仲良くなるのか知らないけれど皆と仲良しなのでびっくりする。顔なじみのバスの運転手さんまでいて、運転手さんが息子をみかけると挨拶してくれるんだよ。


中学に入ると確かに忙しい。


それにもうすぐ期末テストがある。中学校に入学したお子さんのお母さん達が「中学はテストが急に難しくなる」といつも言っている。私のほうが不安になっちゃうなぁ。今日も息子を怒ったけれど、部屋を掃除していたら、こんなプリントを発見。


よーーくみたら汚い字だけれど・・・タンポポのどこが好きかきかれて「ふまれてもたおれないところ」と書いてあった。


いつも叱ってしまうけれど、超低出生体重児はいくつもの難関を突破して大きくなる。本当はタンポポよりもずっと強いし、ずっとがんばっていたんだなぁ。


もう、発達検診医やこころの専門家はちっともわかっていないと思う。育児というものは、もともと現実と理想の狭間で揺れるものなのだ。揺れたり、悩まない母親なんて逆に母親失格なんじゃない?なんであんなに、「このままではいじめられる。登校拒否になる」みたいに私と息子を脅したのだろう?早期介入・早期支援というけれど「障害かもしれない」と不安にさせることが、支援だと思っているのだろうか?


もし本当に話をするのなら、このプリントをみせて話そうかな、と思う。