2015/09/30

『新型出生前診断』の問題点について その5  謎に満ちた『ジーンテック(GeneTech)株式会社』 前編

●『ジーンテック(GeneTech)株式会社』について


こちらは「国立大学法人大分大学」が公開している公共調達の適正化についての資料。実は私が『ジーンテック(GeneTech)株式会社』に興味を持ったのは、この資料をネットで偶然見つけたからだった。まず私が興味を持った理由を書いてみよう。


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ジーンテック社と随意契約する理由が、「本検査(「新型出生前診断」)に関する総合的な取り扱いが可能な業者は日本でGeneTech株式会社のみであるため」と記載されているのだ。


ちなみにこちらは今年2015年2月13日に、臨床検査受託会社の大手『株式会社エスアールエル』から出された文書。エスアールエルもシーケノム社とライセンス契約を結んだことが記載されている。これからは、ジーンテック株式会社だけが検査を行うわけではないようだ。


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エスアールエルは臨床検査室の品質と能力に関する特定要求事項に関する国際規格「ISO15189」や国際的な制度管理プログラムである「米国臨床病理医協会(CAP)の認定」を取得しています。

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しかし冒頭で紹介した文書にあるように、少なくとも、2013(平成25)年時点では、国内で『新型出生前診断』に関する業務を取り扱える会社は、「ジーンテック株式会社」1社だけだったようだ。


ここで大きな疑問に突き当たる。このジーンテック株式会社とは、いったい誰が、いつ、何を目的につくった会社なのだろう?


●なぜジーンテック社は国内独占販売契約を締結できたのか?


そこで『ジーンテック(GeneTech)株式会社』について調べてみた。


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ジーンテック(GeneTech)社の公式Webサイトの会社概要には、「平成26年 米国Sequenom社とNIPTに関するライセンス契約を締結」と記載されている。


現在日本で行われている新型出生前診断は、このアメリカのシーケノム社が確立した検査法といわれている。前回記したように、ジーンテック(GeneTech)社は、アメリカのシーケノム社の国内代理店だ。しかしジーンテック(GeneTech)社の公式Webサイトをみていくと、少々不思議に思うことがある。以下の記載だ。


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GeneTech株式会社オフィシャルサイト お知らせ

2014/12/09 Sequen社からのNIPに関する技術移転を完了し、弊社「GeneTechかずさラボラトリー」 の受託体制が整いましたため、来年1月より国内解析によるNIPTサービスを開始いたします。


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つまり、ジーンテック(GeneTech)社は設立当時、自前のラボを持っていなかったということだ。


会社概要を見る限り、私にはジーンテック(GeneTech)社が、国内独占販売契約を締結できた理由がよくわからない。大手の株式会社エスアールエルは、私でも知っているほどの実績もあるからよくわかる。文書に記されているように、国際規格「ISO15189」や国際的な制度管理プログラムである「米国臨床病理医協会(CAP)の認定」も取得している。


そもそも2010(平成22)年10月に、ジーンテック(GeneTech)社の前身である「スキャン株式会社」が設立された経緯も不明である。「資本金5億3,250万円」という現在の規模を考えると『NIPTコンソーシアム』と同様、「不思議」という表現がぴったりだ。


ここで頭をよぎるのは、先日の伊藤隼也さんの産婦人科学会が作成した倫理指針に関するコメントだ。調べると確かにコメントを裏付ける記載が見つかった。当然、この指針の作成には、『NIPTコンソーシアム』のメンバーの方々も参加しておられるだろう。と、いうことは『NIPTコンソーシアム』や『ジーンテック(GeneTech)株式会社』の情報公開が不十分なのは、何か別の理由があるのでは、と考えてしまう。


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フジテレビみんなのニュース 「『新型出生前診断』わが子の障害・・・母の選択 」 その5


伊藤隼也さん

「若い人でも検査を受けたいという方が出てきたりとか、実は、この検査を産婦人科学会が倫理指針で一般の妊婦に説明する必要はない、とまで言いきっているんです。非常に問題を多く抱える検査だということですね」







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中編に続く
2015/09/29

『新型出生前診断』の問題点について その4 『NIPTコンソーシアム』と『Gene Tech株式会社』の関係

今までかいてきたように、みんなのニュースの特集で気になったのは、「新型出生前診断」が「臨床研究」だったことだ。実は私にはもう一つ気になったことがあった。もう一度番組を振り返る。


●『Gene Tech株式会社』とは、どんな会社なのか?



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フジテレビみんなのニュース 「『新型出生前診断』わが子の障害・・・母の選択 」 その4


採血だけで手軽にできる検査。平均20万円と高額にもかかわらず順番待ちの病院も多いといいます。導入から2年半。



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およそ2万人の妊婦がこの検査を受けました。そしてダウン症と判明した妊婦のおよそ9割(144人 88.5%)が産まない選択をしています。



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(Gene Tech株式会社 検査データ結果 平成27年3月まで実施分)


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私が気になったのはこの検査データを出している『Gene Tech株式会社』だ。聞き慣れない会社だけれど、『NIPTコンソーシアム』とどんな関係があるのだろう?


●『Gene Tech株式会社』は米国Sequenom社の国内代理店


そこでもう一度、『NIPTコンソーシアム』の新型出生前診断について調べてみた。すると、獨協医科大学越谷病院の遺伝カウンセリングセンターのWebサイトで、『NIPT同意文書』と『NIPT追加説明』という文書をみつけた。新型出生前診断と『Gene Tech株式会社』についての詳しい説明がある。


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『NIPT同意文書』(作成日:2014年10月1日(第1班))より引用

< 研究組織図 >



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11. 問い合わせ先
この臨床研究全体の責任者・連絡窓口は以下の通りです。
研究責任者:左合 治彦
国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター長

施設内担当医師
(※ 左合氏の他、成育医療研究センターの産科医師4名の名前が記載されている)



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『NIPT追加説明』より引用


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3.新型出生前診断の検査方法

妊婦さんから血液(約20ml)を採取し,血液中に含まれている胎児DNAの量を調べることにより,胎児が21トリソミー(ダウン症),18トリソミー,13トリソミーであるリスクが一定の基準よりも高いか,低いかを調べます.
採血した血液は米国のSequenom社または国内代理店GENETEC社に送られて,検査されます(MaterniTPLUS検査)


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本検査は成育医療センターを中心とした(NIPTコンソーシアム),臨床研究として行われます


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やはり私の予想は当たっていたようだ。


『NIPTコンソーシアム』の公式サイトには「自主的組織」と記載されていたが、実際は国立成育医療研究センターが主体となり行われていた検査のようだ。


この文書で興味深いのは「『Gene Tech株式会社』が、米国Sequenom社の国内代理店」と明記されていることだ。同意説明文書には「この臨床研究は臨床検査会社その他民間企業からの資金援助は受けておりません」と記載されているが、文書だけで判断できない。なぜなら子宮頸がんワクチンのロビー活動では、ロビイストが患者会や自主的組織の活動をプロモーションに利用したからだ。


それでは次回『Gene Tech株式会社』を詳しくみていこう。


続く
2015/09/28

『新型出生前診断』の問題点について その3 『NIPTを臨床研究として行う背景』を検証する

●社会に混乱をもたらしているものは何か


NIPTコンソーシアムの公式Webサイトには、『NIPTを臨床研究として行う背景』について、このように記載されている。


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・ 日本では周産期の遺伝カウンセリング体制の整備が遅れている。

・ 現状で、検査が行われると、社会的な混乱の原因になる可能性がある。


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先日のフジテレビ「みんなのニュース」の特集を思い出すと、何ともいいようがない。今、私達の社会に混乱をもたらしているのは、違う理由のように思えるからだ。


私は最期の伊藤隼也さんと伊藤利尋キャスターのお話が気になった。前回書いたように、この『新型出生前診断』が「臨床研究」として行われていることなど全く知らなかったからだ。


それでは導入当時の議論を振り返ってみる。


こちらに当時の新聞記事がある。確かに伊藤隼也さんのおっしゃるように議論が尽くされたとはいえないようだ。記事をもとに、臨床研究での導入に理解を求める『NIPTコンソーシアム』研究代表の左合治彦氏の意見と、それに反対する立場の方々の意見をまとめてみる。


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学会年内に指針策定

妊婦の採血だけでダウン症などの染色体異常が高い精度でわかる新型の出生前診断が波紋を広げている。日本産科婦人科学会(日産婦)が13日に開いた公開シンポジウムでは、新型出生前診断の導入を巡って産科医や当事者団体が議論を交わした。日産婦は、これらの意見をもとに12月をめどに指針を策定する考えだが、会場からは「議論が十分尽くされず、見切り発車だ」との声も上がった。


シンポジウムでは、新型出生前診断の実施を計画している左合治彦・国立成育医療研究センター周産期センター長が「安易に検査が行われると混乱を生む」として、臨床研究での導入に改めて理解を求めた。


日本ダウン症協会の玉井邦夫理事長

出生前診断を受ければ『安心して産める』と言われるが、ダウン症は染色体異常の一部に過ぎない。どんな子にも生きていく上でのリスクはある。(ダウン症だけ排除することが)なぜ安心につながるのか。


斎藤有紀子・北里大准教授

(新型出生前診断は)胎児のふるい分けにつながる懸念がある。診断を社会としてどう使っていくか、学会は理念や向かうべき方向を示すべきだ。


会場から発言した二分脊椎症患者の鈴木信行さん(43)

学会の議論では限界がある。医学だけでなく法律や教育など幅広い視野が必要で、国が責任を持って主導的に取り組むべきだ。


聴衆として参加した遺伝性の筋疾患のある山本奈緒子さん(42)

障害は不幸の原因ではないことを知ってもらう場がほしい



記事のまとめ

一般の妊婦にとってダウン症の人たちが「当たり前に元気に生きていく」(玉井理事長)姿が十分知られているとは言い難い。欧米では自立して暮らすダウン症の人たちも増えている。今回のシンポジウムでは遺伝カウンセリングのあり方などに重点が置かれたが、本来は障害者が生きやすい社会を目指す議論に時間をかけるべきだろう。


今回の新型出生前診断以外にも、様々な疾患の研究が進み、診断の対象がさらに広がるのは必至だ。国が主導して今後も議論を続けていく必要がある。


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議論をつくされていない状況で、この検査の導入がすすめられた理由は「安易に検査が行われると混乱を生む」ということだった。この記事にも「いつ検査がはじまるのか、問い合わせが殺到している」とある。こちらは左合氏のインタビュー。



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左合治彦さん(国立成育医療研究センター周産期センター長)「批判をきっかけに、NIPTをみんなで考えていきたい」 掲載:No.4647 2013年5月18日発行 日本医事新報社


今年4月から臨床研究が始まり、国民の関心が高まっている母体血を用いた新しい出生前診断(無侵襲的出生前遺伝学的検査=NIPT)。遺伝カウンセリング体制の整備などの要件を満たし、認定・登録された全国15施設で現在は実施されている。実施施設の1つである国立成育医療研究センター周産期センター長の左合さんは、不安な気持ちで同センターを訪れる妊婦と日々向き合っている。


93年から米国に5年間滞在し、当時最先端の遺伝医療を学んだ。NIPTのスポークスマンとして、メディアに登場することも多い左合さんは、NIPT推進派として見られることも多いが、決して検査を推進したいわけではないという。採血だけで安易にできてしまうNIPTには、各方面から「マススクリーニング検査として行われてしまう」との批判がある。しかし米国では、2011年に臨床検査としてのサービスが開始されており、日本への流入を防ぐことは事実上不可能な状態でもあった。


「ならばせめて、この検査があらぬ方向に進んでしまうことのないように正確な情報を国民に提示し、十分な遺伝カウンセリング体制の下で実施する必要があると思い臨床研究として開始したのです」

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確かに、日本国内には需要がある。安易な規制は新たな悲劇をうむ可能性があり、この時点での左合氏の主張はその通りなのかもしれない。


●2年半の間に変わったこと 変わらなかったこと


それでは2年半がたち、その間、何がかわったのだろうか。議論がつくされ、カウンセリング体制も充実したのだろうか。もう一度、「NIPTを臨床研究として行う背景」と9月15日に放送されたフジテレビの特集を振り返る。





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・現状で、検査が行われると、社会的な混乱の原因になる可能性がある。

☆検査について十分な認識を持たずに安易に検査を受ける可能性がある。

☆検査結果に対し妊婦が誤解する可能性のある。

☆検査を受けて予想外の結果に悩む妊婦が増加する。

☆急速な検査の広がりによって、自律的な判断がしにくくなる。

☆日本における現状を踏まえ、適切な遺伝カウンセリングや妊婦の周産期管理・ケアが可能な施設において臨床研究として検査を実施し、検査の実態を明らかにする。




フジテレビみんなのニュース 「『新型出生前診断』わが子の障害・・・母の選択 」 その4

新型出生前診断を受けた41歳の女性

「40歳を過ぎていて高齢出産なので血液を抜くだけでお腹の赤ちゃんにもとくに危険がない状態で結果が分かるので、良い検査だなと思いました」


検査を希望した31歳の女性

「知っておきたいですね。個人的には一抹の不安がどうしても拭いきれなかったので」



採血だけで手軽にできる検査。平均20万円と高額にもかかわらず順番待ちの病院も多いといいます。導入から2年半。


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およそ2万人の妊婦がこの検査を受けました。そしてダウン症と判明した妊婦のおよそ9割(144人 88.5%)が産まない選択をしています。


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(Gene Tech株式会社 検査データ結果 平成27年3月まで実施分)


この現状に一部の医師から疑問の声があがりはじめています。


東京女子医大 仁志田博司名誉教授



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「この技術の導入のために、本当だったら恵まれて生まれるはずの命が消えちゃう可能性がある。そのことは倫理的に非常に重要な問題なんです」


国立病院機構長良医療センター 川鰭市郎産科医長



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「少なくとも一般の皆さんに十分理解されているところにはまだ到達していないのかな。魔法の検査ができたというふうな認識を持っている人がいるんじゃないのかと危惧しています」



(瀬戸病院埼玉県所沢市)新しい命と向き合うためにこの病院では遺伝専門医やカウンセラーによる詳しい説明で妊婦さんをフォローしています。



瀬戸病院 認定遺伝カウンセラー 江田肖さん



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「地方になると県内にいないとか。検査だけじゃなく遺伝カウンセリングとか、専門家のお話をきけるという状況はまだ全然整っていないですよね」



番組は新型出生前診断を導入した53 の施設にアンケートを送ったところ、回答のあった18施設に遺伝カウンセラーがいると答えたのは12件でした。


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続く
2015/09/25

『新型出生前診断』の問題点について その2 NIPTコンソーシアムは自主的組織なのか?

●臨床研究とは、何を目的に行う研究なのか?


先日のフジテレビ「みんなのニュース」をみて私が驚いたのは、『新型出生前診断』が臨床研究だということだった。全く知らなかった。


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フジテレビみんなのニュース 「『新型出生前診断』わが子の障害・・・母の選択 」 その5

医療ジャーナリスト 伊藤隼也さん

「最初はわずか11施設ではじまった検査が50箇所以上に広まって、臨床研究という研究をほとんど体をなしていないんじゃないかという批判まであるんですね。そういう中で、妊婦さん達をどうやってフォローしていくか、行くにしても引くにしても非常な負担で、それがすべて当事者に委ねられているという現実が非常に問題だと思います」


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それでははじめに『臨床研究』について。どんなことを調べるために行われる研究なのだろう?


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臨床研究とは 一般の方へ 慶應義塾大学医学部クリニカルリサーチセンター

患者さんにご協力頂き、病気の原因の解明、病気の予防・診断・治療の改善、患者さんの生活の質の向上などのために行う医学研究を指します。新しい薬が政府の承認を得て一般の診療で使えるように、客観的なデータを集める目的の臨床研究は、別に臨床試験あるいは「治験」と呼びます。


治験(臨床試験)

新しい薬や医療機器を実用化したり、あるいは従来使われている薬の新しい使い方を検討するために、厚生労働省の定めに従って行う臨床研究をいいます。治験で集めたデータは、新薬の効果と安全性を検討する資料としてまとめられ、国の審査を受けます。国の承認を得て初めて、新薬が一般の治療に利用できるようになります。


治験の第1段階では、薬がどのように人体に吸収され、効果を発揮し、代謝されて体外に排泄されるかなどを健康なボランティアの方で調べます(「第I相試験」)。第2に、少数の患者さんで、新薬の安全性、効果、最適な使用量・使用方法などを調べます(「第II相試験」)。第3段階(「第III相試験」)では、多数の患者さんで、長期間にわたる安全性や有効性などを調べます。


その他の臨床研究

治験のほかにも、よりよい診断や治療のために医学的なデータを得るさまざまな臨床試験(自主臨床試験)があります。自主臨床試験によって得られた知見は、学会や専門雑誌への発表を通じて、医学の水準向上に役立ちます。


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●NIPTコンソーシアムについて


次にこの臨床研究を主導しているのはどんな方々なのだろう。調べてみると『NIPTコンソーシアム』という団体のようだ。


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この『NIPTコンソーシアム』は不思議な団体だ。一言でいうと、子宮頸がんワクチンの普及をしてきた「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」に似ている。なぜなら公式サイトの説明では「遺伝学的出生前診断に精通した専門家(産婦人科、小児科、遺伝カウンセラー)の自主的組織」とあるからだ。ちなみに「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」はの公式Webサイトにはこのように記載されている。


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設立にあたって | 子宮頸がん征圧をめざす専門家会議

「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議(子宮頸がん予防ゼロプロジェクト)」は、専門の枠を超えて、多くの医師、専門家、団体、企業が力を合わせて、多面的な視点から、子宮頸がんについて、社会・行政に向けた提言を行ない、私たちが果たすことができる役割を考えながら活動してまいります。


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臨床試験については、 先ほどの慶應義塾大学のサイトの図がわかりやすい。もう一度引用させていただく。


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●組織代表と研究代表は国立成育医療研究センターの周産期と関係が深い


この図をぱっとみて思うのは、『NIPTコンソーシアム』の臨床試験とは医師主導型か企業主導型なのか、それとも二つが混在して行われているのか、実態がよくわからない、ということだ。


不思議なのは『自主的組織』という一方で、組織代表の北川道弘医師のかつての所属先が、研究代表の左合治彦氏と同様、国立成育医療研究センターであるということ。しかも、北川氏の当時の役職は副院長・周産期センター長で、左合氏は現在、周産期・母性診療センターセンター長だ————


果たして『自主的組織』という表現が適切なのか・・・。


本当は、国立成育医療研究センターがこの臨床研究に深く関与しているけれど、全面に出し推し進めてしまうと「なぜ国は、ダウン症だけを排除するのか」などの猛烈な反発が予想される。だから、自主的組織をつくって活動する必要があったーーーーー


●国立研究開発法人国立成育医療研究センターの中長期目標


私の疑問を裏付けるような内容がかかれた文書を見つけた。冒頭に「厚生労働大臣の指示のあった」とあり、理事長の五十嵐隆氏の名前が記載されている。


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国立成育医療研究センターは今後、以下のようなことを推進していくそうだ。


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●企業や大学などとの連携を強化し、共同研究や受託研究を推進する

●遺伝子診断センターを設置し、次世代シークエンサーを応用した個別的遺伝子診断体制を確立する

●新型出生前診断を、3000件以上実施する


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やはり研究の真の主体は国立成育医療研究センターではないだろうか。私はこの検査に「とにかく反対!」というわけではない。けれども、『NIPTコンソーシアム』の情報公開は不十分といわざるをえない。


続く
2015/09/25

『新型出生前診断』の問題点について その1 事実は小説よりも奇なり

2015年の秋は、民放もNHK も「医療ドラマ」が目白押しだそう。





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一通りドラマのあらすじをチェックしたけれど、たぶんどれもみないだろうなぁ・・・。特にNHKの『デザイナーベイビー』。若い刑事が活躍という設定にまずあり得ないだろうと思って読むのを途中でやめてしまった。


決まった時間にテレビの前にすわるのも、ネットになれてしまうとおっくうだし。


私は瀕死の状態から救命されてから、医療ドラマだけでなく、ドラマ全般にリアリティーを感じなくなってしまった。私がこの十年間で経験してきたことのほうが、ずっとドラマティックだと思うからだ。


今まで追っていた「子宮頸がんワクチン」のロビー活動、そしてこれから社会問題化するであろう、「新型出生診断」のダークな部分のほうがドラマの上を行くかもしれない。


先日、ブログに掲載したみんなのニュースで放送された、「『新型出生前診断』わが子の障害・・・母の選択 」は視聴率が高かったそうだ。確かにネットで検索しても関心の高さがうかがえる。





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「子宮頸がんワクチン」のロビー活動と、「新型出生診断」の問題とは、どちらも私の身の上に起きた出来事だから、まさに「事実は小説よりも奇なり」だ。


もっとも、製薬企業のロビー活動も、はじめは陰謀のように思えたけれど、事実を一つ一つ精査していくと、必ずしもそうではないことがわかる。最近は、陰謀よりもずっと怖いのは人々の無知・無理解・無関心だと思うようになった。被害を深刻にさせているのは、製薬企業でも推進する医療者でもなく、国民の関心のなさかもしれないからだ。


ということでより多くの方に関心をもってもらうために『新型出生前診断』の問題点についてかいていこう。

2015/09/23

2015年9月21日 日本経済新聞の社説『子宮頸がんワクチン接種の救済急げ』

2015年9月21日 日本経済新聞の朝刊に『子宮頸がんワクチン接種の救済急げ』という社説が掲載された。


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大事なのは、治療の充実だ。どんな手法が有効なのか治療実績を集め、各地で適切な診療が受けられるようにしてほしい。


生活面のサポートも必要だ。学校生活に影響が出ている人もいる。教育面の悩みを相談できる窓口を整えることが大切だ。


予防接種で健康被害が生じた場合、医療費などを支給する救済制度がある。追跡調査がまとまったことを受けて、厚労省は審査を始めた。必要な支援が早く届くよう、適切に対応してほしい。


接種の呼びかけ中断が長引くことで、将来、子宮頸がんの患者が多く出ることを懸念する医療関係者もいる。だがワクチンはそもそも、がんをすべて防ぐものではない。早期の発見点治療のために、国や自治体が定期瀧ながん検診の大切さを周知する必要もある。


私は日本経済新聞が社説で、「積極的な勧奨よりも、今は救済に力を注げ」と主張するとは考えてもみなかった。新しい医療関連産業創出しようと国は一生懸命だ。そのため、最近の日経新聞も、再生医療や創薬医療発のベンチャーを取りあげることが多い。


私はこの流れじたい、仕方がないことだと思っているし、正しいことでもあると思っている。


日本が誇ってきた国民皆保険制度すでに破綻しているからだ。高齢者はどんどん増えていく一方で、子どもが減っている。今、何もせずにいたら子ども達が大変だ。


子宮頸がん予防ワクチンの被害の救済には野党だけでなく与党の政治家も動いて下さったし、厚労省の官僚も熱心に動いてくれた。特に若い官僚の皆さんだ。それでも、被害の救済が遅れるだろうと思っていたのは、こうした産業育成の流れを妨げることになるかもしれないと考えていたからだ。


しかし、社説にバシッとでるということは「弱いものを泣かせてはいけないよ」というメッセージなのかもしれない。


社説をみて、「よかったな」と思った理由はもう一つ。


私が参加した『周産期医療の崩壊をくい止める会』の募金活動とは、高度医療で救済された者が、救われなかった命のために活動する取り組みでもある。そして裁判に頼らず、話し合いで紛争を解決する、というのが理念の一つだった。


「子宮頸がん予防ワクチン」は戦後最大の薬害ともいわれている。


しかしその一方で、裁判もせずに、はじめての救済がはじまろうとしている点は画期的だと思う。「話し合いで紛争を解決する」なんて無謀とも思えたけれど、信念や哲学を持っている人達が協力し合えば、できるのかもしれない。






2015/09/21

フジテレビ みんなのニュース『副作用に悩む姉妹・・・重篤患者186人と判明 子宮頸がんワクチン』 その4

フジテレビ みんなのニュース『副作用に悩む姉妹・・・重篤患者186人と判明 子宮頸がんワクチン』 その3 続き


実はワクチンに関しては、以前から疑問の声があがっていたのです。保健所の所長はーーーーー


現役保健所所長

「感染を防止するということが最も重要で、もし感染の機会があった場合には定期の検診を受けることが重要になります。この二つの予防が基本となるわけです。ワクチンを打たなくても、子宮頸がんが予防できる」



現在、厚労省は有識者会議を開き、引き続き子宮頸がんワクチンの積極的な接種の呼びかけを控えとともに、副作用による通院費用の負担について救済措置の拡大を図ることにしています。


ーーーーースタジオ


伊藤利尋キャスター

「スタジオには医療ジャーナリストの伊藤隼也さんです。このワクチンは、副作用なども非常に気になるところですが、どう捉えたらいいでしょうね」


医療ジャーナリスト 伊藤隼也さん

「いろいろ問題があるワクチンで、やはり2000人以上の副作用が起きていて、今186人の方が未回復なんですね。それぞれ非常に苦しんでいらっしゃって、なぜそういう病態になっているか解明されていない、治療法も確立していないんです」



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伊藤利尋キャスター

「副作用の比率はどうなんでしょう?」


伊藤隼也さん

「このワクチンそのものが、10万人に数人の人達のがんの可能性を防ぐ、というものなんですが、もうそれ以上、10万人単位で副作用が出ているという、ちょっと、バランスの悪いワクチンだな、という感じがします。それと国内にある感染症があるから、命の危機からワクチンを打ちましょうと、ちょっとそういうワクチンとは違って、10年後ぐらいに、可能性を論じるわけですね。そのため非常に議論をよんでいます」


伊藤利尋キャスター

(ゲストコメンテーターの犬山紙子さんに向かって)
「積極的な接種の呼びかけをえるという、難しい表現なんですけれど、いかがですか?」


犬山紙子さん

「やめるわけではないんですよね。打ちたい人はまだ打てるということですね。私も『怖い』という話はなんとなく聞いていたんですけれど、ここまでとは知らなかったですね」


伊藤利尋キャスター

「もう一度、しっかり議論という感じがしますね」


伊藤隼也さん

「そうですね。一度立ち止まって、なぜこういうことが起きているかを徹底検証して、さらに当事者のケアが一番重要で、被害者は非常に苦しんでいます。お子さんを抱えている人は、例えばお子さんがもう一人いれば(被害者に)つきっきりになるために、逆にいろいろな問題が起きてしまいます。ぜひ国は真剣に考えて、当事者への支援を大至急、もっとはじめるべきだと思います



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伊藤利尋キャスター

「加えて、何ともいえない不安感を抱く方がいらっしゃると思います。このワクチンをどう捉えればいいのか、改めてきっちりと説明、伝える必要があるのではないでしょうか」

2015/09/21

フジテレビ みんなのニュース『副作用に悩む姉妹・・・重篤患者186人と判明 子宮頸がんワクチン』 その3

フジテレビみんなのニュース 2015年9月17 日 放送 『副作用に悩む姉妹・・・重篤患者186人と判明 子宮頸がんワクチン』その2 の続き


秋葉杏里さん(17歳)

「まわりの子もふつうに皆打っていた」



しかしワクチンの接種後、痛みやしびれを訴える報告が全国で相次ぎました。厚労省はワクチンの積極的な接種の呼びかけを控えています。


厚労省の追跡調査で接種した338万人のうち副作用報告があったのは2584 人。最終的な原因は特定されていませんが、そのうち186人が現在も回復していないことがわかりました。


これは副作用が出た人達の映像です。





その症状は、けいれん、意識障害、視力の低下など様々です。


(被害者の女の子の泣いている様子が映し出される)
「一緒に帰ろう」
「誰だかわからない」



杏里さんは2011年にワクチンを接種。そして症状が現れたのはーーー


秋葉杏里さん(17歳)

「3年たってから。ワクチン打ったのも忘れていたし・・・」



手足のしびれ、倦怠感、全身の痛みなどから歩くことができなくなり、車いす生活となり高校をやめることになりました。


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秋葉杏里さん(17歳)

(両手を差し出して)

「この位置でキープするのがキツい」

(手が少し震えている)



治療のかいがあって、今はアルバイトの面接に出かけられるまでに回復しています。


秋葉杏里さん(17歳)

「また、足とか手に痛みが出てきたりとか、何か作業をしている時に手が震えたりとかするとヤバイな・・・『またくるかな』と思うけれど、その恐怖心は常にあります」



一方、様々な症状が出続けている姉のあすかさん。1月から入退院を繰り返し、現在も週2回の治療を続けています。


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秋葉あすかさん(18歳)

「看護師になるという夢は変わっていないです。諦めないです」



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フジテレビ みんなのニュース『副作用に悩む姉妹・・・重篤患者186人と判明 子宮頸がんワクチン』 その4へ



2015/09/21

フジテレビ みんなのニュース『副作用に悩む姉妹・・・重篤患者186人と判明 子宮頸がんワクチン』 その2

フジテレビ みんなのニュース『副作用に悩む姉妹・・・重篤患者186人と判明 子宮頸がんワクチン』 その1 の続き


フジテレビみんなのニュース 2015年9月17 日放送 


重い副作用の問題が指摘されている「子宮頸がんワクチン」。これまでに186人が副作用の症状から回復していないことがわかりました。


(鹿児島市 正午ごろ)

秋葉あすかさん(18歳)

(入院先の病院のベッドの上で両手を差し出しながら)
「わかりますか?手の震えがあったりとかで・・・」



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秋葉あすかさんは18 歳。手の震えやけいれん、意識障害などの症状が原因で入退院を繰り返す生活を余儀なくされています。


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秋葉杏里さん(17歳)


「普通の生活ができればいい」



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一歳下の妹、杏里さんも以前、同じような症状に苦しめられ、車いす生活を送っていました。今は歩けるまで回復したものの、一日十錠以上の薬を飲む日々です。
(※ ここがニュースのポイント!姉妹で被害が出ている可能性がある)


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彼女達を苦しめる原因ではないかと考えられているのが子宮頸がんワクチン。


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子宮頸がんの原因とされる「ヒトパピローマウイルスの感染を防ごう」という、そのワクチン。


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2009年に国内で販売を開始。2013年には小学6年から高校射1年までの女子は原則無料接種という定期接種をすすめました。


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フジテレビ みんなのニュース『副作用に悩む姉妹・・・重篤患者186人と判明 子宮頸がんワクチン』 その3



2015/09/21

フジテレビ みんなのニュース『重篤患者186人と判明 子宮頸がんワクチン』 その1

●『被害報道』は誰のためにあるのか?


これは2013年5月17日、フジテレビの『とくダネ!』で放送された、子宮頸がんワクチンの副作用問題についての特集の一場面。


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前日の5月16日、厚生労働省で行われた予防接種・ワクチン分科会副反応検討会の終了後、混乱する様子を紹介した。


被害連絡会が発足し副作用が社会問題化しつつある頃で、この検討会に注目が集まっており、当日と翌日、各局が報道した。その中でも『とくダネ!』の報道はインパクトがあった。なぜなら、委員の方々が逃げるように会場を後にしようとした時に、ご家族と支援者の方々が激しくつめよる姿を放送したからだ。


●混乱する様子を報道するのは、不安や不信を惹起するためなのか?


時間がたって振り返った時に、この『とくダネ!』の特集が大きな意味を持つと感じたから、私は今でもニュース映像を保存している。


ご家族の「私達の子どもは実験台なんですか!もとの身体に戻して下さい!」という言葉が重くのしかかった。


ショックを受けた私は、すぐに取材した医療ジャーナリストの伊藤隼也さんにメールを送った。被害が深刻だときいていたけれど、まさかこれほどだとは思っていなかったからだ。その時私にいった伊藤さんの言葉は今でも忘れていない。


「僕はわざと混乱した様子を放送したんだよ」


伊藤さんの狙った通りなのだろうか。放送直後、「ワクチンに対する不信を煽る」と医療者から批判が殺到した。


しかし私には伊藤さんが意図していたであろうことがわかる気がした。なぜなら当時のワクチンの安心・安全キャンペーンは異常だったからだ。


例えば、夫のように基礎研究に関わる研究者は臨床医よりも慎重だ。新しい画期的なワクチンが無料だからといって、よほど危険な感染症でもない限り、すぐに手をだすことはない。


伊藤さんの報道が不安を惹起するんじゃなくて、あの手この手でくり広げられているキャンペーンのほうがよほど不自然だと思った。なぜそういう不満を口にしてはいけないの?


それにちょうどこの頃から、日本は医療を産業にするという戦略を鮮明に打ち出していた。


私には「人の命や健康は、右肩上がりで成長するものなの?」という疑問がある。株には、『売り』『買い』という言葉があるけれど、売られるのも、買われるのも、なんだか私達の命や健康のようだと思っていた。「産業」というときこえはいいけれど、幾ばくかのお金と引き替えに、日本人としての誇りや魂を持っていかれるかもしれないーーー


少なくとも医学界の偉い先生方は、ビッグ・ファーマと呼ばれる外資系製薬企業が海外でどんなプロモーションをしてきたかご存じのはず。どなたかお一人でも、『ここは日本でございます。女性や子どもを騙すような啓発はおやめ下さい』そう、おっしゃって下ってもいいのに・・・。


2013年5月17日の『とくダネ!』の特集は、その不安が現実のものとなり、私に突きつけられた瞬間だった。


今から思えば、安心・安全神話に警鐘をうながす意味で、混乱する様子をテレビで放送することは、伊藤さんがいうように重要な意味を持っていたと思う。


あの放送から被害の救済のために、私もいろいろと走りまわった。斎藤貴男さんのようなジャーナリストにお目にかかって取材にも協力させていただいた。今年の4月、完成した本を手にした時には泣いてしまったなぁ。


昨日2015年9月19 日、やっと被害者の救済がはじまるという嬉しいニュースがあった。ここまでくるまで本当に長かった。


でも、産業になるってことは、被害が起きても看過される、利益のために置き去りにされるかもしれない、ということでもあるのだ。


被害者とご家族にとって、これから先の道のりが、少しでも平坦でありますように、と心から願う。


二度とこのようなキャンペーンをしないで欲しいという意味で、同じフジテレビのみんなのニュースの特集をブログに残しておこう。


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