2016/01/31

私がブログをはじめた本当の理由 クローズアップ現代『“副作用”がわからない? ~信頼できるワクチン行政とは~』をみて その2

●ワクチンの緊急輸入とNHKへの匿名の情報提供


私は緊急輸入という考え方もあっていいと思っていた。


ある不条理な出来事が私の身に起きるまでは・・・


2013年の夏の終わりだった。


NHKの番組にも出演し「輸入した方が良い」とインタビューに答えておられたある医師が、私の夫にメールを送ってきた。なんでもNHKに匿名の情報提供があったということで、酷く慌てているそうだ。「NHKに匿名の情報提供があり、NHKから真実かどうか問い合わせが私にきている。私には心当たりはないから、その情報は嘘じゃないか。このままでは、自分の行ってきた活動が継続できなくなる。情報を送ったのが、奥さんなら止めさせて欲しい」


そういう内容だときいている。正直、ショックでその瞬間をはっきり覚えていない。けれど前回紹介した松岡記者の取材した「おはよう日本」にあったような、輸入ワクチンの安全性に関する内容だったのは確かだ・・・


●「ワクチンには副作用がつきものだから」といって、本質をみようとしないNHKの方々に失望する


私は黙っていることに耐えられなくなった。こんな大切なことを、誰にも知らせなくていいんだろうと怖くなって、知りあいのNHKの女性ディレクターに相談した。


ところが、この方がちっとも頼りにならなかった。なぜって、製薬企業のロビー活動のことを知らないから。いや、知ろうと思わないという言葉の方が適切だ。


彼女が相談したという科学部の先輩記者という人がまた、、、、思い出すのも辛いというか、嫌になる・・・。


「一般論として」と、前置きがあったけれど、彼女は電話口で私にこういった。彼女が相談したという文化科学部の先輩の男性記者は「ワクチンに副反応はつきものだから」そう言ったそうだ。


ワクチンに副反応はつきものでも、先日の特集にあることがすべてだ。我が国には、未知の副作用を吸い上げるシステムがない。これが一番の問題だったんじゃないの?


松岡記者は、ワクチンを緊急輸入すればいいと単純に考えておられたのだろうか。


なぜなら、副作用を広くすくい上げるシステムや疫学調査の不備、そしてアメリカの予防接種専門委員会(ACIP)の構成員には、利益相反が厳格に求められていることなどには、ほとんど触れなかったから。



もちろん、先日、NHK には意見を書いて送った。でも、文字数が限られているから、ブログにもっと詳しく書いておこうと思った。


今でも私の中から、NHKへの不信感は消えない。


だって、NHKもまた、市民の意見をすくい上げる姿勢にかけているもの。この問題を400字だけでどうやって伝えればいいのだろう?



2016/01/31

私がブログをはじめた本当の理由 クローズアップ現代『“副作用”がわからない? ~信頼できるワクチン行政とは~』をみて その1

●2013年の『風疹大流行 ~遅れる日本の感染症対策~ 』と先日の『“副作用”がわからない? ~信頼できるワクチン行政とは~』の違い


先日NHKのクローズアップ現代で「子宮頸がんワクチン」の副反応に関する特集が放送された。私にとったら非常に感慨深い内容。


◆  ◆  ◆
NHKクローズアップ現代 『“副作用”がわからない? ~信頼できるワクチン行政とは~』 2016年1月27日

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今も症状が続いている大学一年生の酒井七海さん

「ワクチンが危険だって言いたいんじゃなくて、私たちの声全部を含めてこういうことが起きるかもしれません。それでも、やっぱり(ワウチン)で防ぐほうがいいのかどうかというのを、個人が判断できるだけの材料はまだまだ国は公表していないと思います」


谷口 清州 公立病院機構三重病院臨床研究部長

あらかじめ既定されたものだけを報告するのであれば、それ以外の新たなものが絶対に報告されないわけです。どんなことであっても、まずは皆で共有しないと解決にはつながらないわけです。これまでわからないことであっても、少しでも関連があると考えられれば、それをきちんと記述して事象として報告しないと解決にはつながらないわけですね。というのも今、世界的にもこういった方向になっています。

◆  ◆  ◆


なぜなら、このブログをはじめた理由はこの「子宮頸がんワクチン」の副反応問題にあるからだ。それもNHKのクローズアップ現代が深く関わっている。


実は、クローズアップ現代で、同じような内容の特集が2013年にも放送されたことがある。この年、風疹が大流行したため、先天性風疹症候群の悲劇を取り上げたのだ。


◆  ◆  ◆
NHKクローズアップ現代 風疹大流行 ~遅れる日本の感染症対策~ 2013年5月9日

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実はこのとき、ワクチン行政の大きな転換がありました。予防接種を受けたあと、死亡したり後遺症が残ったりするケースが相次ぎ、1980年代から90年代にかけて、国は裁判で次々と敗れました。

「ばんざーい!」

それまで予防接種は受ける義務がありましたが、国は法律を改正し、受けるよう努めると個人の判断に委ねることにしました。その結果、接種率が大幅に低下したのです。


◆   
出演者別 松岡康子 GOOテレビ番組 関東版

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◆  ◆  ◆


しかし私は放送された内容に違和感を覚えた。


取材に当たった松岡康子記者が、日本で風疹が流行している原因を、あたかもワクチンの被害者や弁護団そして被害報道にあるかのように伝えていたことが大きい。それもわざわざ被害者が「全面勝訴」という印を高く掲げ、喜ぶシーンを放送して・・・。


私はクローズアップ現代が取り上げた、MMR訴訟当時活躍したジャーナリストの斎藤貴男さんに、松岡記者の取材した番組をみていただき感想をきいたことがある。あの時の驚いた斎藤さんの言葉は今でも忘れられない。きっと、自分と同じように報道に関わる人が、こうった報道をするのかと思ったのだろう。


●私がブログをはじめた本当の理由


そのうち大きな問題になるだろうから、思い切って書いてしまおう。松岡記者は、当時「ストップ風疹  〜赤ちゃんを守れ〜」という風疹撲滅キャンペーンに、熱心に取り組んでおられた。


その活動は評価すべきだと思う。しかし、問題なのはーーーーー


NHKをはじめ、メディアが先天性風疹症候群を熱心に取り上げた成果だろう。夏の初めには、国産のワクチンが不足するかもしれない、という事態に陥ってしまった。このままでは、子どもの定期接種分のワクチンも不足するかもしれない・・・


すると松岡記者は今度は、国に輸入を呼びかけるような内容の番組を放送した。とにかく、今は風疹を封じこめるために摂取率をあげることが肝心。そのためには『ワクチンの輸入』も視野に入れるべきじゃないのか、ということを提言しておられた。


◆  ◆  ◆
『風疹 流行を食い止めろ』 NHKニュース おはよう日本 2013年6月19日

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“ワクチン不足” 輸入の可能性

鈴木
「ワクチンが足りないという話、急に出てきた気がするんですけど、国はこれまで対策をしてこなかったんでしょうか?」

松岡記者
「国はワクチンのメーカーに対し増産を依頼しているということなんですが、ワクチンは作るのに数か月単位かかります。風疹の流行は去年から続いていますので、国の見通しが甘かったと言わざるをえないと思います。」

阿部
「そのワクチンの輸入なんですが、すぐにできるものなのでしょうか?」

松岡記者
「これまでにも新型インフルエンザなどで、国が海外のワクチンを輸入したという実績はあります。また国以外でも、一昨年(2011年)、神奈川県がポリオの不活化ワクチンを輸入して、独自に接種をしたというケースもあります。決して不可能なことではないんです。」

◆  ◆  ◆


続く
2016/01/29

もう一人の『ばびろんまつこ』さん

昨年の終わりに自称セレブの詐欺師『ばびろんまつこ』さんのニュースがネットを駆け巡った。あれよあれよという間に本当に詐欺をはたらいていたことだけでなく、愛人契約をしていた過去まで暴露され大騒ぎに・・・


私が驚いたのは、彼女がネットの写真そのままとはいかなくても、それなりにかわいく、そして国立大学の法学部を出ていたことだった。ご両親には自慢のお嬢さんだったんだろうなぁ・・・。


◆  ◆  ◆

「特進クラスの優等生」が美人詐欺師「ばびろんまつこ」になるまで 元同級生が語る驚きの変貌ぶり「そういえば......」J-CASTニュース 2015/11/21

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ツイッターで贅沢な生活をひけらかし、「セレブ美女」としてネット上で名を馳せていた彼女。だが、元同級生たちが語った松永容疑者の人物像は、どちらかというと「地味」なものだった。



◆  ◆  ◆


私のすぐそばにいた『ばびろんまつこ』さん


実は私の身近にも『ばびろんまつこ』さんがいた。同じようにネットでセレブ生活をアピールしている。彼女がばびろんさんと違うのは、「こどものため」とか「社会のため」といいながら活動していることろ。


でも私はずっと怪しいと思ってみていた。本当に社会のためなら、なぜ、私を前面に出してアピールするのだろう?まして政治家や著名人と親しく付き合うことを、わざわざアピールする必要はないはず。


知りあいも同様の疑問を口にしていた。「本当に実生活が満たされている人は、あんなアピールはしないよ」


でも、彼女のセレブ生活もどうやら終わりに近づいているようだ。これまで重く口を閉ざしていた人達が一斉に口を開き始めているからだ。そう遠くない日に真実は白日の下にさらされる。そうなったら大騒ぎになるだろうな。特に、騙された教育関係者。


ただ、見方を変えれば、先生や教育委員会には良い教訓になるだろう。だって、子ども達に「差別はやめよう」なんて教えてきた先生達が、人一倍見た目や肩書きに惑わされるということだから。表面的なもので安心し、奥に隠された本質をみようとしないから、彼女が持て囃されてきたのだ。


私が息子に良い点をとれればいい、という教育をしたくないのは彼女が『ばびろんまつこ』さんだと知っているから。彼女は日本の教育の象徴だ。日本の今の教育制度は大切なものが欠落しているんだよ。



2016/01/28

『日本信号』と『新日本パブリックアフェアーズ』 企業の社会的責任

●企業の社会的責任、CSRに社会の関心が高まっている?


最近、ブログをなかなか更新できなくなっている。どうしてなのかよくわからないけれど、声をかけていただく機会が増えている。


先日講演のお話をいただいた時にいわれたのは「最近は、企業の社会的責任、CSRに社会の関心が高まっているから」ということだった。


企業が経済活動を行う上で、所謂ステークホルダーとよばれる人達に説明責任を果たすことは、あたり前だと思ってきた。だからあまりピンとこなかった・・・。


でも探したら企業のCSRを特集した本も出ている。


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東洋経済CSR企業総覧2015年版 CSR全般編 googleブックス

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(内容はこんな感じです↓)

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●HPVワクチンのロビー活動を行った『新日本パブリックアフェアーズ』の親会社『新日本有限責任監査法人』の危機的状況


HPVワクチンの怪しいプロモーションを仕掛けた『新日本パブリックアフェアーズ』という会社がある。私には、どうしても忘れられない会社だ。でも、親会社は『新日本有限責任監査法人』という大きな監査法人だ。名だたる一流企業を顧客に抱える、我が国を代表する監査法人。


こういう大企業は、私たち市民に、どんなに嫌な思いをさせても、結果オーライ。顧客の利益になればいいんだろうな、と思っていた。


でも昨年、その『新日本有限責任監査法人』が東芝の不正を見抜けなかったとして、大きなニュースになった。あっという間に危機的状況に陥ってしまった。ほんの数年前までは、飛ぶ鳥を落とす勢いだったのに!


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東芝不正会計を見逃した超巨大法人の「節穴監査」| 東芝問題リポート | 編集部 | 毎日新聞プレミア | 2015年12月18日

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ところが、東芝不正会計を受けた今回の検査で、過去に指摘された改善策を周知徹底しておらず、改善状況を検証する態勢も構築していなかった、と指摘されたのだ。さらに「社員や監査補助者には、監査で果たすべき責任や役割を十分に自覚していない者がいる」「一部の業務執行社員は、深度ある査閲を実施しておらず、監査補助者に対する監督、指導を十分に行っていない」とも書かれた。

「業務執行社員」は、企業の監査を行い、最後に「監査証明」を出すときに監査法人を代表してサインをする幹部社員のこと。幹部社員全員ではないが、その一部は監督、指導を十分にしていないという。当然のことながら、能力のある社員が業務執行社員となるはずだ。仕事を適当にやったり、怠けたりしている幹部社員がいるということなのだろうか。

審査会は結局、「新日本監査法人の品質管理態勢は著しく不十分である」と結論づけた。つまり、新日本監査法人に企業の監査はきちんとできない、ということだ。

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●私の考える企業のCSR


私だって、営利企業がCSRを行うなんて「どこか矛盾している」と思っていた。


けれど、どんなに順調にみえる企業にだってピンチは訪れる。東洋経済のCSRの特集をみて、何も行っていない企業は怖いと思った。なぜなら、CSRは逆境を救うというか、どちらかというと未来の自分達のためにある活動だと思うから。私のように瀕死の状態に陥らないとわからないかもしれないけれど・・・


だからこそ、NPO団体をつくって、そこに寄付などをし、みえないように、自社の利益につなげる、などという薬のプロモーションは論外だ。HPVワクチンのプロモーションのように、いつかバレてしまうし、バレた時の反発が大きい。


「私たちは良いことをしている」「社会に貢献している」というなら「これはお金をいただいてやっているビジネスです」と、はじめから正々堂々とすればいい。


●『絵』と作者が主役 『日本信号』の株主向け報告書


ところで年末、この話題と正反対のニュースをみつけた。『日本信号』という会社が、株主向けの報告書に自閉症の方がかいた絵を使用したところ、その絵が素晴らしく、twitterで拡散されたというものだった。ヤフーのトップニュースになったから私もみて心を動かされた。

◆  ◆  ◆
まるで写真!自閉症の画家が描いた表紙が話題に 記憶を頼りに下書きなし 作者の父に思いを聞く
withnews 2015年12月5日(土)7時0分配信 Yahoo!ニュース
株主向けの報告書の表紙に使われた福島尚さんの絵=日本信号提供


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ツイッターで拡散

日本信号によると、年2回発行している株主向け報告書で、2014年から福島さんの絵を使用しており、今回で4作品目。

授産施設の製品を株主総会のお土産として配るなど、障害者支援活動に取り組むなかで福島さんの絵を知り、「一人でも多くの方に見てもらいたい」と株主向け報告書に使うことになったそうです。

これまでも株主から「絵とは思えないほどに細かい」といった驚きの声が上がっていたそうですが、今月発表した報告書の表紙はツイッターなどで一気に拡散。

広報担当者は「今回のようにネットで大きく取り上げられることは初めてだったので、少々驚いています。当社の報告書をきっかけに、福島さんの絵を多くの方に知っていただける一助になっているのであれば幸いです」と話します。

◆  ◆  ◆

絵をみた時に、「日本信号」が、話題にして欲しくて株主向けの報告書に使用したんじゃないことがわかったからだ。私の息子も、発達が遅く命の危機もあったから、素直に、人の善意っていいなぁ、と思う。
2016/01/25

はじめての講演

先週、はじめての講演をした。(講演会場↓)


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何週間も前からパワーポイントでスライドを用意し、原稿を書いた。人前で話すのが大の苦手だから、今回のようなお話はお断りしてきた。けれどテーマが企業の社会的責任。だからとがんばることにした。





お時間は1時間、ということだった。


今までは自分の話をするんじゃなく、一例の症例発表というような感じだったから、時間をいただいても10分程度。だからパワーポイントを用意する必要もなった。


一人で家にいる日中、練習を何度か繰り返した。1時間めいっぱい話につかうんじゃなく、半分ぐらいの時間話して、あとは皆で話し合いましょう、というスタイルにした。


当日は、結構思い通りにできた。かかった時間も、家で練習した通りの40分程度。


私が驚いたのは、話をきいて下さった方が喜んでくれたことだった。退出する時に、「ありがとうございました」といったら、私のために名刺を手に何人もの方々ふぁ集まってくれた。


私にはメディアをはじめ、引き立ててくれる人など誰もついていない。


これはもしかたら、世の中が大きく変わる、というサインなのかもしれない。本当にそう思える一日だった。


2016/01/21

噺家さんとお正月

先週、親戚のおじさんの落語をききに行った。


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今回は、お正月だったので、「色物」としてコマ回しがあったり、お正月らしい出し物があって面白かった。テレビは皆がみなくなって、雑誌も売れないというけれどやっぱりお客さんで会場は一杯だった。


いつも楽屋を尋ねるのが楽しみ。


今回は、お正月ということで叔父さんに手ぬぐいや飴をいただいた。そういえば、お相撲さんや噺家さんは、贔屓の方に配るものだときいたことがある。いただいたのは、初めてでとても嬉しい。


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干支の飴の中には、おみくじが入っていて大吉!今年は、春から縁起がいいみたい!

2016/01/19

企業の社会的責任とは


アルジェリア人質事件から早くも3年がたった。


もちろん今年も忘れていなかった。


時間がたって忘れたと思ってもたまに思い出す。そのたびに「どうして一生懸命仕事をしてきたのに、あのような最期を迎えないといけなかったんだろう」などと考えてしまう。


つい先日、私に話をして欲しいという依頼があった。


人前で話をするのは大の苦手で、どうしようかと思ったけれど、お受けすることに。


なぜならテーマが「企業の社会貢献」だったから。


これがもしも、小さく生まれた子どもに関することだったり、「こころのケア」に関することだったら、どうしただろう?私じゃなくてもいいんじゃないかな。個人的な体験は、やはり個人的なものだし、一人の体験だけが、一人歩きしないほうがいいとも思う。


でも、長い間、ブログにつづってきた「企業の社会的責任」に関することなら、お話してもいいかもしれないと思った。


私が『アルジェリア人質事件』から学んだことが一つある。企業が行う社会貢献とは、目に見えて直接利益に結びつく活動をすることではない、ということだった。世界の各拠点を含むグローバル・スタンダードのCSRとは、こういうことなんだ、と教えてくれたような気がした。


私にとったら、なんともいいようもないほど、痛烈なメッセージだった。


なぜなら私は父の会社が、遠い異国の地で、現地の方々のために、学校建設などをしていたことを、全く知らなかった。お金儲けだけしか興味がないのか誤解していたら、飛び上がるほどびっくりした。


「情けは人のためならず」という言葉がある。


あの時、献花に並んでくださった見知らぬ大勢の方々に、この言葉を思い出した。


いつか私も同じようなことが誰かにできたらいいな、と思っている。




2016/01/15

超低出生体重児(早産児・未熟児)の育児 思春期の教育問題 その5 真の国際化とは



※『小さく生まれた子供を社会でどう支えるか「その13」 退院後の子どもの支援を通して考える 真の国際化とは』を化加筆したものです


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Consulate-General of Japan in Toronto  在トロント日本国総領事館 太田徳夫氏への平成27年度外務大臣表彰伝達式

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太田徳夫ヨーク大学言語・文学・言語学学部専任講師


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●求めているのは教育支援なのに、どうして教育の専門家ではない医師に相談しないといけないのか


退院して数年間、息子は産まれたナショナルセンターの発達検診医の診察を受けていた。しかし、その医師の指導は首をかしげるものばかりだった。


たとえばある時ピアノをすすめられた。その理由は「手先の訓練に役立つから」と、「絶対音感がつくから」だった。しかし手先の訓練はわかるが、なぜ「絶対音感」が必要なのか私には理解できなかった。


私も三歳の頃からクラシックピアノを習っていた。絶対音感らしきものは私にもあるのだが、何かの役に立っているとは思わない。むしろ楽譜を見る時間が長かったので目が悪くなってしまったという悪い思い出の方が大きい。


その反対に珍しく褒められたことがあった。私が子どもを集団保育に慣れさせるために、「プリスクールに通わせている」と言った時だった。「英語はいいですよ」と褒めるのだ。私はとまどってしまった。


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子どもがお世話になった特定非営利活動法人 「ケンパ・ラーニング・コミュニティ協会」

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「民族・国籍・宗教・文化・発達・しょうがい
さまざまな違いを認め学び合う
笑顔の子育てコミュニティです」



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●療育先がないから、プリスクールへ


プリスクールとは就学前の子どもが遊びやイベントを通して英語を身につける場所だ。保育や教育にも力を入れているが、英語環境が前提である。私は、公的な療育が受けられれば、そちらを優先したいと考えていた。


プリスクールの教育内容は素晴らしいのだが、母国語もままならない段階で、英語を身につけることが言語学的に良いとはあまり思わなかった。息子の場合、英語を教えるとむしろ混乱する恐れもある。


それでもプリスクールに通わせて英語に慣れさせたのは、公立小学校の普通学級に受け入れてもらえるかわからないからだ。英才教育のためではなかった。遅れがわずかなのでちょうど受け皿がないのだ。


息子は発達が遅れていても、背伸びをさせたほうが成長するだろう。だから、入学を許可されない時には、アメリカンスクールなどに通わせたほうがいいかもしれないと夫と話し合っていたのだ。


日本に産まれ育ち、これからも日本で生きていくのに受け入れる教育機関がないなんて・・・。こういう問題こそ息子個人の問題とせず、社会に訴えないと改善されないのではないか。そういう切実な親の気持ちが通じなかった。


◆  

教育を受ける権利 wikipediaより一部引用

教育を受ける権利は、国民が国に対して要求できる基本的人権の1つとされ、社会権に属している。日本においては、日本国憲法第26条第1項に「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」という規定がある。

◆  


●超低出生体重児の退院後の支援 北米と日本の決定的な違い


ある時、海外の育児情報誌を本屋で立ち読みしたら、北米で超低出生体重児の退院後の支援が充実していったのは、親の中に専門家がいて、そういう人達が声をあげ改善していったからだ、と書いてあった。


ああ、やっぱりそうなんだろうなぁと思った。切実な思いは、当事者でないとわからないこともあるだろう。


先生の社会活動がカナダの新聞に大きく上げられたことがあった。その時先生は私におっしゃっていた。北米では外国籍であっても、社会に貢献している市民には、行政の側がすっと手を差し出すのだそうだ。「一緒に世の中を良くしていきましょう」と。


だから先生は子どもが産まれた時に「足りないと思うことがあったら、あなたが先頭に立って声をあげなさい。それができないと国際社会では生きていけない。日本から来る留学生は語学を学ぶことが国際化だと勘違いしている。日本でできないことは海外でもできない。真の国際化とは市民一人一人が声をあげていくことでもあるんだよ」と私におっしゃったのだ。


でも、やってみたもののなかなか上手くいかない。北米と日本とでは社会の成り立ちが違うからだ。北米のような社会があって、高度医療があるから発想が違うのだろう。日本は「民主主義」と胸をはっていえる国なのだろうか。羨ましいなぁと思わずにはいられなかった。


2016/01/15

超低出生体重児(早産児・未熟児)の育児 思春期の教育問題 その4 日本と海外の違い


●私の背中を押した太田徳夫先生の表彰


昨年の夏の終わりに嬉しいことがあった。カナダのトロントにある日本国総領事館のサイトに、お祝いの写真が掲載されている。


◆  ◆  ◆


Consulate-General of Japan in Toronto  在トロント日本国総領事館 太田徳夫氏への平成27年度外務大臣表彰伝達式

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18日、ヨーク大学言語・文学・言語学学部専任講師の太田徳夫氏への平成27年度外務大臣表彰伝達式を、総領事公邸にて行いました。外務大臣表彰は、多くの方々が国際関係の様々な分野で活躍し、我が国と諸外国との友好親善関係の増進に多大な貢献をされている中で、特に顕著な功績のあった個人および団体について、その功績を称えるとともに、その活動に対する一層の理解と支持を国民に求めることを目的とするものです。伝達式には、太田氏のご家族、トロントの教育関係者、オンタリオ州日本語スピーチ・コンテスト関係者等が出席し、太田氏のヨーク大学及びオンタリオ州においての日本語教育促進への貢献を称えました。


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●日本で行動できなければ、海外でも活躍できない


手のひらにのるほど小さな息子が産まれて退院した後、私は途方にくれた。「日本の支援は不足しているから、カナダに行きたいです!」といった私に、「それじゃダメだ」と、こう言って背中を押したのが太田先生だった。太田先生ご夫妻は私達夫婦の仲人だ。


「日本人は国際化というと、単に英語をしゃべれればいいと勘違いしているんじゃないの?行動力がない人は、海外では通用しないよ。日本で足りないことがあるなら、あなたがまず先頭にたってやりない。日本で行動できない人が、海外に出てきてもダメなんだよ」


その太田先生が、永年、カナダとの友好親善関係の増進に多大な貢献をされたということで、表彰された。写真を拝見すると、太田先生と奥様のフラウさんは、まさに日本国の宝のようだと思う。


一方私は・・・先生のいうことを守り、行動したもののさんざんな目にあったなぁ。先生に「本当に酷い目にあいました」と愚痴をこぼしたこともあったけれど、日本のナショナルセンターの専門家は、「私達がやるから出ていって。あなたなんかに何ができるのか」なんて言う。


私が不満を感じてきたのは、求めているのが教育支援なのに、教育の専門家ではない医師に相談しなければいけないことだった。日本のナショナルセンターの専門家といっても教育の専門家ではない。だから、国際社会で実際に活躍している言語学の専門家が「違う」ということを、「良い」ことだと私にアドバイスするのだ。


●一度もあったことがない医師に「あなたのお子さんには障害があるのでは」といわれ、喜ぶ母親がいるのだろうか?


検診に行くのをやめた後、何かが変わるきっかけになればと医療系のメールマガジンに投書した。けれどそのことがきっかけで、さらにがっかりする出来事が続くことになる。


翌日、私が書いた手記を読んだというある新生児科医が私にメールを送ってきた。びっくりしたのは、「サクラさんが喜ぶと思って」と、小児科医をはじめとする医師の感想や意見がいくつも転送されてきたからだ。


なぜなら・・・


中には「命が助かって私も嬉しい」というものがあったけれど、「あなたのお子さんは、軽度の障害があるんじゃないですか?」などの意見が書かれたものもあったからだ。


あまりのことに、ショックで呆然とパソコンの前で動けなくなった。


一度もあったことがない子どもを「障害」だと決めつけることもさることながら、「障害」だといえば私が喜ぶという、その感覚が理解できなかった。


それだけではなかった。


●一番訴えたいことを、勝手にカットしてしまう大手調剤薬局Aの子会社


そのメルマガは、ある大手調剤薬局グループA(頭文字がA)の子会社のサイトに転載されていた。しかしある時気づいた。私のメルマガのタイトル「私が必要なのは心の専門家ではありません」が、勝手にカットされている!一番言いたいことを、カットしたら伝わらない。勇気を出して、やっとの思いで書いて投稿したというのに・・・


●私が一番ガッカリしたこと


いろいろな出来事が続く中で、私が一番ガッカリしたのはーーーーある政治家だった。


実は「小さく生まれた子ども達の支援に、予算がつくかもしれないから訴えてみたら」と言ってメルマガを書くようにすすめた一人は著名な政治家だった。その方が文部科学省とつながりの深い方だったから私は信じたのに。


ところがある時、その政治家の真実を知ってがっかりした。教育現場はどこも予算が足りないというのに、ちょうどその頃、HPVワクチンの公費接種化に熱心に取り組んでいたそうだ。


その政治家も同じなのだろう。「情緒学級ができればいいじゃないか」と思っておられるんだろう。


最近、私が息子に英語を熱心に教えているのは、あきらめはじめているから。息子一人を無事に成長させ、海外に出ていくよう、背中を押すほうがいいんじゃないかと真剣に考えるようになった。日本という国には、いくら訴えたところで、カナダのように行政や医療そして教育が「共に手を結びましょう」などという発想がないみたい。


でも太田先生がせっかく表彰されたのだ。お祝いのために、もう1度あの時書いた手記を掲載してみよう。


私があの時伝えたかったのは、発達の遅い子ども達こそ、時間と手間をかけないといけない。太田先生のような一流の教育者の力が必要ということだ。


続く



2016/01/13

超低出生体重児(早産児・未熟児)の育児 思春期の教育問題 その3 親の経済が予後を左右する 後編


(早産児・未熟児)の育児 思春期の教育問題 その3 親の経済が予後を左右する 前編 の続き


●爆発的に伸びる時期を見極めないと、子どもは伸びない 


いろいろな制度に対する不満はあるけれど、それはさておき、この1ヶ月間、私が毎日、勉強をみてきた。


私は職員室とか先生が苦手なの。勉強をみるなんて拷問だな。嫌だな〜と思いながら仕方がなく教えることに。


●「もう手遅れですよ」と「まだまだこれからですよ」の違い


それでも、じょじょに効果が出てきたようで、ある教科のテストは40点以上、劇的に上昇した!


でも、私は思うの。こうやって、点数を効率的にあげることが、教育なの?


教育というと、私は小学校時代の恩師を思い出す。私はその恩師への年賀状に「息子がひどい点をとって」と書いた。そうしたらやっぱり先生だな、と思った。返事が送られてきた「それだけ悪いということは、まだまだこれからですよ!」と一言添えてあった。


「新型出生前診断診断」で、日動画廊の長谷川さんの発言に非難が集中した。


茨城県教育委員「障害児出産を減らす方向に...」と発言し批判殺到 フジテレビ


でも、あの発言は今の教育現場を象徴していると思っている。


だって、今の先生は忙しくて教員の大半は教員というよりも会社員みたいだもの。恩師のように教育の理想や哲学を語らない。「まだまだこれからですよ」なんて、ほとんどの教員は言わないだろう。先生は私の小学校時代の恩師だけれど、小学生にだって、先生の信念や哲学は伝わっていた。


点数をあげるだけなら、塾と私でもいい。別に学校に行かなくてもいいじゃない。私でも先生ができちゃうじゃない。


でも、人は一人で生きているわけじゃないし、仲間や友だちができるように学校があるんでしょう?


●授業中、先生のいうことを、細かくノートに記録すると成績がよくなる・・・


保護者向けの説明会である先生が言っていた言葉に、私はちょっとついていけないと思ってしまった。「評価をよくするためには、例えば普段の授業で、先生のいうことを、もらさずノートに写す。これなんか良いですよ」なんて言ったからだ。


あのね、製薬企業のロビー活動なんて、とても巧妙なのよ。先生がいうこと、教科書に書いてあること、新聞にかいてあることが絶対だ、正しいだなんて、今の時代に教えたらダメだよ。


先日、ダイハードをケーブルテレビでみたけれど、テロがあの当時よりも、リアルに感じられ、作り話には思えなかった。一昔前よりも、世界は不満に満ちている。こういう時代に、とてもじゃないけれど、「素直に信じなさい」なんて教育は私にはできそうにない。


まるで今の日本の公教育は、「平均」という理想を追い求めているようだと思う。与えられた課題を無難にこなし、疑うことを知らない子どもが大人になった時に、もしも社会が劇的に変化していたら、どうするのだろう?


それでも息子は楽しそうに学校に毎日通う。私は息子と同じ年頃、もっと先生や学校に反発していたけれどなぁ。「偉いなあ」と私は思う。私なら、とっくの昔に学校に通えなくなりそうだ。