2016/09/29

『日本の医療と医薬品等の未来を考える会』主催の「子宮頸がんワクチン問題を考える」勉強会

●「子宮頸がんワクチン問題を考える」勉強会と集中出版株式会社CEO 尾尻佳津典氏


医療情報誌『集中』ウオッチャーにとって、注目すべきニュースがあった。こちらの、水戸将史(みとまさし)衆議院議員のブログに書かれている。9月28日、『日本の医療と医薬品等の未来を考える会』主催の「子宮頸がんワクチン問題を考える」という勉強会があったのだ。


子宮頸がんワクチンの是非 水戸まさしオフィシャルブログ


この勉強会は、先週から話題になっていた。出席できるのが、国会議員と医師そして製薬企業の部長職以上に限られ、講師が厚生労働省健康局健康課予防接種室の方だから。


不思議な勉強会だ。一体どなたが主催しているのかと調べると、集中出版株式会社CEO 尾尻佳津典氏だ・・・


『日本の医療と医薬品等の未来を考える会』 メンバー
http://www.iryounomirai.com/member/

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●『集中』といえば『牧本事件』


私がブログに書くまでもなく『集中』のWebサイトは、上昌広氏の主張に沿うような記事が繰り返し掲載されてきた。まるでご本人が書いたようだと、一部で話題になっていた。


HPVワクチンに関する記事も、『牧本事件』と同様、非常に偏った内容だった。


だって、国会で取り上げられた『HPV JAPAN声明』を持ち上げたり「信者の未成年女性にけいれんや痛みを訴えさせている」なんてことを事情通の話として書いてしまうんだから!


『小説・大日本帝国印刷』のレビューと『牧本事件』の真相 後編


しかし意外なことに水戸議員のブログを読むと、今回はこれまでのように推進一色、というわけじゃないようだ。なんだか信じられないけれど、これからも注目していこう。


◇  ◇  ◇
2016年09月28日 22時02分55秒 子宮頸がんワクチンの是非
http://ameblo.jp/masahi-mito/entry-12204661175.html

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本会議終了後、第一議員会館の国際会議室にて、日本の医療と医薬品等の未来を考える会主催による第6回目の講演会に顔を出しました。今回は「子宮頸がんワクチン」について。初めての参加でしたので、この主催者からしてワクチン接種を進める主旨だな~、という先入観でした。しかし、講師役の北村唯一先生は、その逆でして、「少なくとも我が孫娘には絶対に打たせない」と断言されていました。私自身、我が娘の接種を拒んでいるものとして、胸をなでおろした一幕でもあり、これについては厚労委員会でも追求していく所存です。
◇  ◇  ◇

あっ、そうそう、集中は『牧本事件』についてネガティブな情報ばかり流していましたね。日本の医療と医薬品等の未来を考える会なら、小児がん治療の、厳しい現状にも目を向けていただきたいものです。
2016/09/27

『上昌広氏は、すでにあらゆる方面から徹底的に嫌われている人物である』?! 炎上商法で社会は変わるのか その2

●こんなに沢山! 上昌広氏を批判するブログ記事


私がDORAさんのブログを読んでびっくりしたのは、そういった内々の話が、いつのまにか皆の「共通認識」になった、と書いてあったから。DORAさんはよくみているなぁ。


実際に、いろいろな人達が怒っているみたい。あたり前か。上氏を批判するブログはこんなに増えたんだから。


100%アウト。 DORAのブログ

『原発事故被害地おける、医師らによる「被曝調査活動」の本質』

日本の腐ったメディアの罪:海外事情をろくに知らぬ特任教授の活用

自ら、「国際医療福祉大学」=「医学部新設賛成」派であることを証明した東大・上昌広教授

東京大学医科学研究所特任教授 上昌広という人 : よもや真話

厚顔無恥な刺客たち 上昌広 竹内薫 那須優子

笹井潰した東大 阪大の不正論文が大量発覚  上昌広の理研解体論の裏

アイングループから上昌広特任教授の寄付講座へ6億円?! HPVワクチンの闇

♪祝♪ 東大医科研 上昌広氏の寄付講座が消滅 → 新NPOの高額家賃は誰が負担?

ネット上で子宮頸がんワクチン被害者を攻撃する医師

子宮頸がんワクチン副反応問題とドクターハラスメント

Business Journal の記事から(子宮頸がんワクチン問題)

上昌広特任教授について: 『HPV JAPAN』声明の謎を追う

子宮頸がんワクチンに関する上昌広医師の言説を批判する

子宮頸がんワクチンと上昌広氏-正義と野望

ある東大医師の不十分な論理構造 -前編-

ある東大医師の不十分な論理構造 -後編-

偽善の帝王:上昌広「東大医学部の研究不正」

【偽善の帝王②】上昌広「東大医学部の研究不正」【人を呪わば穴二つ】

【偽善の帝王③】上昌広「東大医学部の研究不正」【人を呪わば穴二つ】

歌舞伎町の女王vs【偽善の帝王④】上昌広【また変なこと言ってるよ...】
2016/09/27

『上昌広氏は、すでにあらゆる方面から徹底的に嫌われている人物である』?! 炎上商法で社会は変わるのか その1

元フジテレビアナウンサーの長谷川豊氏の炎上騒ぎがなかなか収束しない。


●官僚は知っている 知っていて黙ってみている


私も「もう少し感情を出せばいいのに」とメディア関係者に言われたことがある。でも、私は嫌だ。当事者の気持ちを傷つけて、議論を巻き起こすことって、良いこと?電子音が鳴り響く集中治療室に入っていたから、命には敏感なのだ。「殺せ」だなんて、ついていけないな。


そういう時に、あるブログ記事をみつけた。


なんと、「ご存じのように、上昌広氏は、すでにあらゆる方面から徹底的に嫌われている人物である」と書いてある↓

100%アウト。 DORAのブログ
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ビックリした!


私が今年2月から書き始めた「牧本事件」は、国立がん研究センターや国立成育医療研究センターなど、一部の方々の間では有名な話だったそうだ。


●本当に誠実なものは、地味で目立たない


2012年か、2013年だったかな。ナショナルセンターで働くある人が、私に言ったことがある。私が上氏の『周産期医療の崩壊をくい止める会』に参加していたから心配したようだ。


「●先生(HPVワクチンのプロモーションに関与したことを、メディアで公言している著名な医師)が何か活動しているみたいだね。●先生は、官僚が気づいていないと思っているかもしれないけれど、官僚は皆、知っているんだよ」


そういえば、民主党に政権交代した時には、「ナショナルセンターの改革といっているけれど、●さん(民主党政権の時に、「国立がん研究センターの改革をした」とされている政治家)にお願いしてやりたい放題みたいだね」と、怒っていた。「中で働く研究者だって、患者さんのために、できることをしようと考えているんだよ!それなのに、患者さんやマスコミを連れてきて、あんなにガンガン批判されたら、誰でもやる気をなくすよ!」


最近、その話を報道関係者にしたら、「そりゃあ、そうでしょう」と言われた。


小児がんの治療に関わる研究者は、例えるなら、最後の清流といわれる四万十川のような感じだと思う。誠実な仕事をする方がほとんどだ。子どもの命に関わるからだ。ゴミが浮かんでいたからといって、川が再生できないほど汚れたわけではないし、悪意でゴミを捨てたわけでもない。


◇  ◇  ◇
週刊ポスト2013年8月30日号 『東大教授が爆弾告発!「白い巨塔は第二の原子力ムラと化した』
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今、国は臨床研究の「中核病院」や「拠点病院」と言うのを打ち出し、東大や国立ガン研究センターなどを重要拠点化しようとしているので、こうした拠点病院の研究者たちには、何もしなくてもカネが降ってきます。努力せずに金が来るのですから、不心得者も出てきます。
◇  ◇  ◇


本当に誠実なものは、地味で目立たない。あれだけのネガティブキャンペーンをされたら、ひとたまりもない。


続く

2016/09/25

超低出生体重児の退院後の支援と、子どもの自己決定権 その3

●私は今の日本の教育を素晴らしいと思っていない


まずカリキュラムや制度があって、それに子どもをあわせるのが日本の教育だと思う。


海外のように、歳の違う子ども達が同じ教室で勉強したっていいし、小学校を6年で無理矢理卒業しなくてもいいと思う。


ここに書いたことを、学校の先生方の前でも言ったことがある。「私は今の日本の教育を素晴らしいと思っていない」と言ったことがある。特別支援学級とほとんど交流がないから「これじゃあかえって、偏見や差別を助長すると思います。形を変えた人権侵害だと思います」と言ったこともある。


でも、先生は頷いていた。むしろ考えていた。


その話を夫にしたら「現場の教員は、誰もが、今の日本の教育に疑問を感じていて、葛藤しているんだ」と言っていた。


◇  ◇  ◇
朝日新聞デジタル 新たに不登校になった小中学生6.5万人 2014年度 石山英明、貞国聖子2016年1月31日
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◇  ◇  ◇


もし北米だったら、夏には学校とは違う友だちと一緒に、サマーキャンプなんかに参加できるだろうな。


夏休みの終わりに、学校から持ち帰ったチラシをみて、私は目が点になってしまった。


「短期海外留学」に参加しよう!というお知らせだったからだ。


今年も宿題がたくさん出た。部活もある。その一方、8月の終わりには2学期がはじまる。夏休みは少ない。


いつ行くんだろう?そんな暇がないじゃない!
2016/09/25

超低出生体重児の退院後の支援と、子どもの自己決定権 その2 

●理解するスピードが少し遅い


超低出生体重児と発達障害の問題はとても関心が高い話題のようだ。


子どものプライバシーに関わるけれど「勉強ができない」を、もう少し具体的に書いてみる。できない原因を簡単に説明すると、「理解するスピードが少し遅い」ということだと思う。


●復習する時間がない 宿題も成績を下げる要因になっている


加えて休みごとに出される宿題が多い。息子の場合宿題が成績をさげる要因になっている。


苦手なところを復習する時間がないから、「宿題を減らして下さい」とお願いしたこともある。ところが、宿題はテストとセットのことが多く、宿題をしないと結局テストの点数が下がってしまう。


できる子どもには簡単かもしれないし、もっと自由に勉強をさせてくれてもいいのに。


●勉強時間を長くすると、成績が向上するんですか?


小学校でPTAの委員をしていた時に、「夏休みが今年から少なくなる」というから手をあげて質問したことがある。「どうして休みを減らすんですか?勉強時間の長さと、成績向上との因果関係があるんですか?」と尋ねた。


すると校長先生は答えられなかった。


●「ああ、そうなのか!」と思えるような指導をするほうが大切だ


教員である夫が私に言ったことがある。


経験が少ない教員ほど、成績向上のために、宿題の量を増やそうとする。でも理解していない子どもに量だけ増やしても、結果には結びつかない。「ああ、そうなのか!」と思えるような指導をするほうが大切だ。


●どうして成績が悪いのか、原因を探る


息子の成績が悪いから、私はまずデータ収集からはじめた。ノートや教科書、副教材をチェックし、配られたプリントを教科ごとのファイルにとじて保存した。成績が悪い、といっても、どこに原因があるのか知る必要がある。


株式投資をしている人が、データ収集するような感じ。


その結果わかったのは、息子は、中学での勉強が、小学校とどう違うのか、理解できていない、ということだった。


小学生の時なら、授業をききながしてもテストである程度点数がとれた。でも、中学生になるとそれでは無理だ。テストまでに、テスト範囲を、ある程度勉強しないと、点がとれない。絶対に覚えないといけないことが増えるからだ。例えば英語の単語のスペル、国語なら、古文や漢文などの文法などだ。


小学生の時と同じように、聞き流したら、それじゃあねぇ・・・。


もともと理解する力や覚えるスピードが遅い。超低出生体重児で生まれたことと、これは関係があるのかもしれない。ただ、息子をしっている教員や、医師はこれを「障害」だとは言わない。


超低出生体重児には就学猶予という制度がある。


でも、私はこの制度に関しても、疑問を感じてきた。


そもそも日本の教育は余裕がなさすぎるからだ。覚えなくてはいけないことが多すぎると思う。歴史の教科書をみて、まだこんなに用語を覚えないといけないのか、と少しガッカリした。


続く


2016/09/23

超低出生体重児の退院後の支援と、子どもの自己決定権 その1

●専門家でも、わからないはずなのに・・・


超低出生体重児のフォローアップの不都合な真実について書いたら、多くのアクセスがあった。


超低出生体重児のフォローアップ 「あんまり間にうけなくていい」程度のことが、子どもの将来を決めてしまうかもしれない その1


超低出生体重児の退院後の支援は不思議だ。どのように成長するのか、専門家でもまだよくわからないはずなのに、なぜか「だとされている」程度の根拠で、決められていることが多いからだ。2007年に放送されたNHKの番組でもそのことに触れている。


◇  ◇  ◇
NHK福祉ポータル 超低出生体重児を持つ親たちを支える 2007年06月06日(水)

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「超低出生体重児」。通常赤ちゃんは2800から3200グラムの間で生まれてきますが、1000グラム未満で生まれた小さな赤ちゃんのことをこう呼びます(以前は超未熟児と呼ばれていました)。NICU(新生児集中治療室)に生まれてすぐ入れられます。かつては生まれてきた命が救えるかどうか危ぶまれたのですが、医学の進歩により、ここ10年ほどで超低出生体重児の約8割が助かるようになりました。

しかし、NICUを出ると超低出生体重児の親には大きな苦労が待ち受けています。

思うように進まない成長、いつ病気になるかわからない不安。しかし、一般的な体重の赤ちゃんと違い、超低出生体重児のデータはまだ少なく、医師もこの先どのように成長するか見通しを示す事が出来ません。普通の子どもなら「ささやかなこと」で片付けられることも、「命にかかわること」になるのではと、気の休まるときはありません。

◇ 

超低出生体重児を育てるのがどれぐらい大変かは、コメント欄を読むとよくわかる。看護師をしていたというお母さんの書き込みに「保健センターの保健婦は、まったく頼りになりません」と書いてあるからだ。


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◇  ◇  ◇ 


●話をきいてもらうだけでは、育児の不安は解消されない


この番組をみて、痛烈に感じたのは母親同士で話し合うことの不安だ。私自身、発達検診医のアドバイスは一度も役に立ったことはない。もしも発達の遅れだと思われているものの中に、身体の異常を知らせるサインが隠されていたら?「大丈夫だよ」と言われて通り過ぎてしまうかもしれない。


最近はどこの学校にも「スクールカウンセラー」が配置されているけれど、私はカウンセラーに相談したいと思わない。彼らの仕事は基本的に話を傾聴することだからだ。「私達はヒントを与えるだけ。考えて自分で答えを出せ」という。


だから、学校でトラブルが起きた時の話し合いの時には、「スクールカウンセラーを同席させないで下さい」とお願いしている。私はカウンセラーをすべての学校に配置するのなら、教員を増やしたほうがよほどいいと思う。


●小児がん専門委員会議事録に残る増子孝徳弁護士の言葉 子どもの自己決定権


こういう経験を10年以上してきたから、私は国立がん研究センターで起きた『牧本事件』に興味を持った。


『どんなことがあっても息子の主治医は牧本先生』 小児がん専門委員会議事録を読む その1


調べていく中で、一番印象に残ったのは、子どもの人権についてきちんと議論されていることだった。2011年2月9日第2回小児がん専門委員会の議事録に残されている。増子孝徳弁護士が専門家として、子どもの患者の人権について触れているのだ。増子弁護士はご自身のお子さんが小児がんの経験者で、なおかつ日弁連の人権擁護委員会の医療部会に所属していらっしゃる弁護士だ。日本中を探しても、増子弁護士ほどぴったりの専門家はいらっしゃらないと思う。


小児がんの治療の専門家はスゴいと思った。


私も増子弁護士と同じことを考えてきた。子どもには、子どもの人権があるはずなのに。超低出生体重児の支援では、なぜきちんと議論されなかったのだろう?


◇  ◇  ◇
2011年2月9日 第2回小児がん専門委員会議事録  厚生労働省


増子孝徳弁護士

それから、いわゆる患者の権利としての自己決定権の話を若干させていただきますけれども。自己決定権といいますのは、いわゆるインフォームド・コンセントというものをメインといたしました権利でございます。自分の病状ですとか、医療行為の目的、方法、危険性とか代替的治療法などにつきましてきちんとした正しい説明を受けて、理解した上で自主的に選択、同意、拒否できるという原則ですね。これは当然のことながら、子供さんにも適用されるのだということです。


 しばしば子供は説明しても分からないとか、決定はできない、あるいは親権者である親が決定するのだということでもって、子供さん自身の決定を促さない、ひいては決定しない人には説明する必要がないということでそもそも説明しないというようなことがしばしば起こりがちでございます。これは何も医療者に限ったことではなくて、親の側がそういった姿勢を見せる場合も大変多いかと思うんですね。ここはやはり子供の権利という視点からいたしますと、なかなか受入れがたい現象であろうかと思います。


 ですので、いわゆるコンセント、同意、これができる場合には当然お子さん自身から同意を得る必要がありますし、それができない場合であっても俗にアセントと呼ばれておりますけれども、日本語で言うと賛意となりますが、そういったものを得るべきであろうと。そのコンセントからアセント、そして何もとれないというこの3段階に至る、これは無段階でございまして、その無段階な子供さんの状態に応じて説明、そして意思の尊重ということがなされていく必要があろうかというふうに思います。

◇  ◇  ◇
2016/09/21

『子供の生活実態調査』アンケートの回答 インクルーシブ教育を目指す前に、もっと小さなことに目を向けて欲しい  その2

●インクルーシブ教育 日本とカナダの違い

カナダで暮らしたのは、もう20年も前だ。私は空港に着いたその日、日本との差に驚いた。



新居となるコンドミニアムはエルム・ストリートという、オフィスビルが立ち並ぶ一角にあった。お昼ともなると、大勢の会社員の姿を見かける。皆、忙しそうに歩いている。でも、車椅子の人が通りかかると、立ち話をしながら、ごく自然にドアの開け閉めを手伝うのだ。


新居の近くには、世界的に有名な小児病院、トロント小児病院(シックキッズ)があった。一日に何度も、救急搬送のヘリが患者さんを運んでくる。


そしてすぐ隣の大型ショッピングモール(イートン・センター)には、病気や障害を抱えた方が働いていて、「私の病気はねぇ」と買い物客に話しかけていた。


当時私は婚約中で子どももいなかった。インクルーシブという言葉も全く知らなかった。でも、こういう社会はいいなあ、と心の底から思った。私もいつか歳をとる。どんなに気をつけていても、なにかしらの病気になるからだ。


人の命を救うということは、受け入れる社会の温かさがあって、はじめて成り立つのだ。あの時痛烈に感じた。


◇  ◇  ◇
東京都福祉保健局少子社会対策部 『子供の生活実態調査』への回答


中学生になる超低出生体重児(千グラム未満で生まれた早産児)を育てています。超低出生体重児は救命されるようになってから、まだ歴史が浅く、専門家や医師でも、どのように育つのかわからないといいます。


多くの超低出生体重児がそうであるように、我が子にも、発達の遅れがありました。しかし、遅れが僅かなために、療育先などは全くなく、これまで教育支援を受けたことがありません。生まれたばかりの頃、未熟児訪問で保健師さんが2度、訪問いらっしゃいましたが「珍しいものをみにきた」という感じで、がっかりしたことを覚えています。


ご存じのように●市は給食で、食物アレルギーのお子さんが亡くなりました。


事故後、食物アレルギーのお子さんを持つお母さんが私に言っていました。「これまでどんなに学校や行政に訴えても『神経質な母親だ』」というような目で見られてきた。でも、事件後、嘘のように親切に話をきいてくれる」


病気や障害を持つ子どもを育てている親にとったら、そう思うのはある意味当然だと思います。


例えば、我が子の通う中学には、特別支援学級がありますが、普段ほとんど交流がありません。普段から交流がないので、どんなお子さんが勉強しているのか、子ども達は知りません。


昨年知りあいのお子さんが特別支援学級にうつりました。その後、同級生が学期末にうつっていきました。何度か同じような出来事が続いたため、息子はとても怯えるようになりました。自分も成績が悪いために「●組にいきなさい」といつ言われるかわからないからです。


また、この前、ある慢性疾患を抱えるお子さんの保護者の方が不安そうに私に言いました。クラブの合宿で、長い距離を走らされたため、夜中に発作が起きてしまったそうです。「休んでもいい」と言われて入部したものの、顧問の先生は、病気のことをはじめ、発作の恐ろしさを理解していない。だから合宿中、一人だけ見学できる雰囲気ではなかったそうです。


別の保護者の方は、お子さんの健康問題のことで、●学校のスクールカウンセラーに相談したら、後悔したそうです。なぜなら、カウンセラーが守秘義務を守らず、何でも学校に伝えてしまうからです。


数年前学校から配られた手紙に「●市がインクルーシブ教育を目指している」と書いてあり、私は喜びました。


しかし今、そんな大きなことができるのか疑問に思うようになりました。


夫も教員なので、教育現場が疲弊していることもよくわかっているつもりです。ですが、現実問題として、人手も足りないのに、そのような大きな目標が目指せるのでしょうか?


せっかくこのような機会をいただいたので、正直に意見を書かせていただきました。


大きな理想を目指す前に、子ども達の抱える病気を知ることや、守秘義務を守るなど、もっと基本的なことに目を向けて欲しいと思います。まずは小さなことに目を向け改善しなければ、再び大きな事故が起きるのではないでしょうか。

◇  ◇  ◇
2016/09/21

『子供の生活実態調査』アンケートの回答 インクルーシブ教育を目指す前に、もっと小さなことに目を向けて欲しい  その1

●パブリックコメントやアンケートは、私達の意見を届ける、数少ないチャンス


夏休みのある日大きな封書が送られてきた。東京都福祉保健局少子社会対策部が行う 『子供の生活実態調査』というアンケートへの協力依頼だった。


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せっかくなので、いつものようにアンケートの自由記入欄にワードで作成した文書を添付した。


行政が主体となって行う研究調査というものは、あまり期待できない。なぜかというと、あくまでも『仕事』だからだ。『仕事』以上のことはしてくれない。報道関係者も同じだ。基本的に、自分達が報道したいことを報道する。社会に伝えることが仕事だから、放送すればそれで終わりだ。


ただ、こうした行政が募集するパブリックコメントやアンケートは、一応は意見としてきいてもらえる。当事者にとったら、ダイレクトに意見をきいてもらえる、数少ないチャンスだ。


ちょうど夏休み前、私は学校に電話をした。学校でトラブルがあり、なんだかもう疲れてしまっていた。アンケートが送られてきたのは、「学校に無理に通わせる必要があるのかな」と考えていた時だった。


●超低出生体重児は確実に増えていくのに・・・


振り返ってみれば、行政の支援とは産まれた直後の未熟児訪問から一方通行だった。小学校に入学する前も書類を書いたし、校長先生とも話し合った。


その場では、話をきいてくれるし、改善されることもある。でも、あくまでも校長先生や担任の先生が、個人的に動くに過ぎない。翌年になり、教員が入れ替わると、また一から働きかけないといけない。


超低出生体重児は増えていくだろう。行政で情報を共有するとか、当事者から聞き取り調査をしてみようとか、そういう気持ちにはならないのだろうか?


●経済的に余裕がある家庭でも、教育格差は生まれる


私は最近、学校の先生に言われてがっかりする言葉がある。


「(お母さんは)がんばっていますね」だ。


いやいや、私が伝えたいのはそうじゃない。


「がんばれないお母さんはどうするんですか?」
「お母さんがいない家庭はどうするんですか?」
だ。


『子供の生活実態調査』アンケートは、社会問題化している「子供の貧困」を想定しているようだ。選択肢に「ローンがいくらですか」など、親の経済状況を尋ねる項目が多いからだ。


しかし、「子供の貧困」とは、経済的な問題だけなんだろうか?我が家は、私と教員である夫が勉強をみているからまだいい。でも、いくら経済状況がよくても、子どもの勉強を丁寧にみることができない家庭はどうなるんだろう?教育的支援が充実しなければ、超低出生体重児は、貧困へと転落していくかもしれない。


100歩譲って、特別支援学級で勉強したほうが、子どものためになるとしよう。でも、今の特別支援学級には、様々な状態の子ども達がいて、適切な教育が受けられるのか疑問に思う。「特別支援級があるからいいじゃない」「親御さんと学校が決めたんだからいいじゃない」で終わり、教育の中身があまり問われない。一番大切な、子ども本人がどう考えているのかが、社会にみえない。


息子の怯え方をみていると「恐怖」を与えるのは、教育じゃないと思う。


この前母が私に「でも、あなたの子どもにあわせるわけにいかないでしょう?」と言った。だから、このように反論したら「そうねぇ。新聞にも子どもの格差が広がるとかいてあるわね」と黙ってしまった。私が言いたいことがよくわかるのだ。
2016/09/17

超低出生体重児のフォローアップ 「あんまり間にうけなくていい」程度のことが、子どもの将来を決めてしまうかもしれない その2

アクセス数が多かったので、続きを書きました↓
超低出生体重児のフォローアップ ある発達小児科医の転送メール 『専門家』の気遣いが、かえって私たちを追い込むこともある

私が国立成育医療研究センターに手紙を送った理由 


超低出生体重児の長期予後 専門家の「『ちょっと気になるところ』に就学前に気づいてあげて必要な介入をしていくことが大切」を検証する

●ある医師とのやり取り 「あんまり間にうけなくていい」程度のことなら、改善して欲しい

冒頭で紹介した友人のメールには、重要なことが書かれている。性格上の欠陥だと思われていることの中にも、身体のSOSが隠されているかもしれないということだ。


思い出すのは私が以前ブログで紹介したある新生児科医とのやり取りだ。私は、退院後のフォローアップにはもっと科学的なアプローチが必要で、教育支援は、医療者ではなく教育の専門家に任せるべきじゃないかと考えてきた。


◇  ◇  ◇

発達検診や心の専門家の指導に疑問があります。科学的根拠があるとは思えない内容も多いからです。改善するべきと思うなら、改善して下さい。



A医師
新生児医療現場は日々の集中治療の模索、3-4 日に1回の36時間以上の連続勤務などでなんとか当直体制を保っている状況で、その後のご家族のケアまで手と気持ちが回っている人間は少ない。これも杜撰な状況だと反省する部分です。私自身も在宅で人工呼吸管理で集中治療をするようなご家族も含め、我々の課題は山積していて、NICU 医療自体の救命率が上がったことで生じるその後の生活への広がった役目に皆、現場はもがいている現状だと感じます。


一方、私のような集中治療医はいいフォローアップ医がいるのなら信じて託したい、私は後遺症を少なくすべく集中治療を探し出すことに心と力を尽くすから、私達の気持ちを受け継ぎ、その後のご家族とお子さんの未来を見守る方々がでてきてくれないかと願う気持ちがあります。 適材適所で協力できる真の専門医が生まれてくれるのなら、、、


当院の臨床心理室も我々自身、フォローに頼りにならない感があるのが本心です。発達指数をだしてくれるだけ、、、両親を支えてくれる雰囲気はなく、余り頼れないご家族と私です。




中には発達検診とは名ばかりで、ろくに子どもを診ないで、すぐに「障害名」をつけ、薬を処方して終わり、という医師もいるとききます。私が求めているのは、教育的支援で、「障害名」ではありません。非常に困っています。



A医師
これは私もよく分かる部分です。ADHD、アスペルガー、自閉症などとすぐについて、私の外来で涙ながらにその時の話しをしてくれるご家族はいます。


私は早産児は発達にはムラがあり、独特なところがある。これを小児精神や発達の先生がみると ADHD、アスペルガー、自閉症と診断してくれるけど、どうも早産児でないこれらの疾患のお子さん達とその後の経過も違うし、あんまり間に受けなくていいと感じています。と話すことが多いです。

◇  ◇  ◇

私がNHKクローズアップ現代 小児がん新たなリスク原純一医師の講演を文字に起こしたのは、このように、医療者との間に、埋めがたい溝を感じてきたからだ。





●母親の心を救うことも必要だが、同時に超低出生体重児の人権を守ることも大切


母親の心を救うことと、こどもの人権を守ることが、イコールでない場合もある。科学的なデータがもっと必要だし、子どもがどう思っているのか、子ども達の意見にも耳を傾けて欲しい。どのように自分がこの世に生を受け、どのような治療を受けてきたのか、子どもには知る権利がある。超低出生体重児にも、原医師のような研究と講演をしてくれる医師がいたらいいのになぁ。


『こどものがんについて』 原 純一医師の講演と『インクルーシブ教育』 その6 小児がん患者本人への要望調査
2016/09/17

超低出生体重児のフォローアップ 「あんまり間にうけなくていい」程度のことが、子どもの将来を決めてしまうかもしれない その1

●性格的な問題だとされていたことが、治療により改善された・・・

前回紹介した友人の医師からのメールには、とても重要なことが書かれていた。


周りの人達が、そのお子さんの性格的な問題と思っていたことが、治療をはじめると改善されたそうだ。


プライバシーが特定されてしまうかもしれないから、ボンヤリしか触れられない。でも私のブログは大勢の医療従事者がみてくれている。その方々に考えて欲しいのだ。


これまでブログに書いてきたように、超低出生体重児の退院後のフォローアップや支援は科学的とは言い難いことも多かった。「〜であるとされている」などが根拠となっているからだ。一体、どこの誰にきいて、それが最善だとされているの?

超低出生体重児と虐待


●不安を感じることは、悪いことなのか?

とりわけ困るのが親が不安に思うことを、「考え過ぎ」と決めつけられることだ。


いやいや、不安なんかじゃなく、我が子は総胆管結石で、今も経過観察を続けている。


その後のフォローアップも、科学的根拠があるとは思えないものばかり。発達検診医が私にすすめたのも療育先ではなく「おはじきをつまむ」とか「ピアノを習わせる」などだったからだ。


小さく生まれた子供を社会でどう支えるか「その11」 子どもの生きる力を引き出すのは医療なの?教育なの?


教育的指導なら、教育の専門家に任せればいいのに。医療費を使ってまで医療機関でやることなのだろうか?そこである時その医師に、「科学的な根拠があるのか」と尋ねたら答えにつまり、「もう来なくてもいいです」と言う。実際に、その程度のことだったのだろう。


●「地獄への道は善意で舗装されている」・・・ 


仕方がないから某医療系メルマガに「私が必要なのは心の専門家じゃない」と書いて投稿したら、ある新生児科医がメールを送ってきた。私の手記を小児科医や新生児科医が集まる掲示板に掲載してくれたそうだ。


それはいいとして・・・


問題はその後の対応だった。その医師は掲示板に投稿された知りあいの医師の意見を私に転送してきたのだ。


ところが読んでみると「あなたのお子さんには、軽度の学習障害があると思う」などと書いてある。ショックで食事が喉を通らなくなった・・・。


私が「こんな内容なら意見を送ってこなくていいです!」と抗議のメールを送ったら返事には「喜んでくれると思いました」と書いてあり、さらに落ち込んだ。


子どもの成長はまってくれないのに。これでは対話すらはじまらない。


一度もあったことのない医師が障害だと決めつけることも驚くが、それが善意からくるもので、その上「良いこと」だと信じていることに、とてつもない心の距離を感じたからだ。地獄への道は善意で舗装されているという言葉が、ふと頭に浮かんだ。


●医療者にお願いしないと、当事者の意見が社会に届かない


教育的支援不足しているのは、はっきり言って、医療側にも問題があるだろう。私のような当事者の意見が、医療者にお願いしないと社会に届かない仕組みになっているからだ。


続く