2017/07/31

超低出生体重児と『発達障害』 「急拡大する『発達障害ビジネス』その功と罪」を読んで

●「発達障害の診断は適切になされているとは限らない」ことを、まずは知るべき

昨年あたりから、超低出生体重児に関する記事へのアクセスが増えている。


タイトルに「超低出生体重児」や「未熟児」とつけていないし、育児ブログではない。


不思議に思っていたら、「急拡大する『発達障害ビジネス』その功と罪」という記事を読んで、なるほどなぁ、と思った。私が書いてきた「超低出生体重児のフォローアップ」や「療育」への疑問は、医師をはじめとする専門家にとっても関心が高いテーマのようだ。

◇  ◇  ◇
急拡大する「発達障害ビジネス」その功と罪 はたして、それは適切ですか? 平岩 幹男 2017.7.28 現代ビジネス
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発達障害に対するビジネスが出てきている理由としては以下のものが主である。

1. 発達障害という言葉は誰もが知っているかもしれないがその解釈が一定ではない。
2. 発達障害は明確な原因がなく、科学的根拠によって確立された治療法が少ない。
3. 発達障害の診断は適切になされているとは限らず、しばしば過小あるいは過大である。
4. 当事者や保護者にとっては抱えている社会的困難から藁をもつかみたくなる。
5. そもそも医療や公的支援であってもビジネスであっても質の評価が容易ではない。


(中略)

首都圏では極めて多くの子どもたちをチェーン化した施設で療育を行っているところもある。その中には受給者証を使用した療育としない自費療育を併用あるいは受給者証療育が定員いっぱいなのでとりあえず自費療育を勧めるなどの場合には、適切な療育を行うだけのスタッフが充足されていない可能性も考える必要がある。

学童~高校生では先述の放課後等デイサービス(以下放デイ)がまず挙げられる。発達支援サービスと同様に基本的には受給者証が使用できる。やはり余りにも数が多く、保護者には質がわからないという問題がある。放デイは主として民間の事業者によって運営されている。

自費で療育を行う場合には高額になる場合もある。一方、米国などできちんとした技術を身に付け、それに基づくライセンスなどを保有して療育を行っている機関も出てきてはいるが、まだまだ数が少なく、とても需要には追いついていない。

また質についてはデイサービス同様、外からは見えにくいことや一定の国家資格が必要というものではないので、質の低い、しかし高額なサービスもある。

◇  ◇  ◇

私は医師をはじめとする「専門家」のいうことが正しいとは思えず、ブログで長いこと反論(検証)してきたから、色々な意味でアクセスが増えているのだろう。


●『発達障害ビジネス』 騙される親だけが悪いのか

私は一日も早く、法律や教育の専門家をきちん入れて、超低出生体重児の「教育問題」を議論するべきだと思う。


なぜなら、記事にあるように、騙される親御さんが出てくると思うからだ。(すでに被害が出ているかもしれないけれど…)


(以下は、発達障害 療育 チェーン展開 のグーグルの検索結果。療育を行う業者は確かに増えているようだが、記事にある「適切な療育を行うだけのスタッフが充足されていない可能性」がある業者とは、どの業者のことなんだろう!?不安になる。。)

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2010年、私はロハスメディア社から出版された『救児の人々』という周産期医療を扱う本に実名で取り上げられた。紆余曲折あり、削除していただいたが、削除を選んだ理由の一つは、出版社が出版直後に、あるNPO法人理事長の声を大きく取り上げたからだった。私がその理事長や出版社の姿勢に違和感を覚えたのは、その法人が設立されたばかりで実績がないこともあったが、理事長が「効率性」をといていたからだ。


『報道』と『インターネット』の力 マイナスの経験をプラスに変える


私が求めてきたのは、その理事長やNPO法人が目指していることとはむしろ正反対のことだった。


私が言いたかったのは、発達の遅い子ども達こそ、時間と手間をかけないといけない。一流の教育者の力が必要ということだ。


現代ビジネスの記事にあるように、人の困りごとは、今やビジネスのターゲットなのだ。「医療的ケアが必要な子どもに教育の充実を!」というと必ず取り上げられる病児保育のNPOがある。同じような構図が療育にもきっとあるのだろう。


ちなみに上記の法人を最近、調べてみたら順調に業績を伸ばしているそうだ。確か夫に「ゼミなど、知り合いの学生さんで、発達の遅い子供の療育に関心のある方はいますか?」と問い合わせ(アルバイトの学生を探しているようだった)がきていたけれど…。


●『早期教育』 と『早期療育』は似ているけれど違う

ところで「療育」に似ている超低出生体重児への「早期教育」に私が懐疑的なのは、早産による脳への影響を考えるからだ。やり方次第では、虐待と何ら変わらないと思ってしまう。


超低出生体重児がどのように育つかはまだよくわからない。息子は、幼い頃は発達が遅く、発達障害によく似ていた。特徴がそっくりだった。でも小学校低学年を境に、徐々に変化し、今は全く違う。息子の場合は「適切な支援により症状が改善された」ではなく、もともと「発達障害」ではないのだろう。


診断そのものが、そもそもあてにならないのだから、その先にある「療育」の質を、どうやって評価するんだろう?


ここまで支援体制が後手後手な一方で、インターネットは急速に普及し、様々な情報が押し寄せる。私は親がよほどしっかりしていないと、『発達障害ビジネス』に付け込まれると思う。


『発達障害ビジネス』はそう簡単にはなくならないだろう。
2017/07/30

超低出生体重児と受験勉強

●超低出生体重児と就学問題 子どもの側「だけ」に問題があるわけじゃない

夏休みに入ってから、息子は毎日、5時間以上、机に向かっている。。


どうしちゃったんだろう!?


2年生の1学期までは、問題を解くふりをして答えを丸写しして宿題を終わらせたりしたこともあったけれど、今その面影はほとんどない。(私が学校で使う教科書だけでなく、問題集やプリント全てに目を通しているので、カンニングをすると、すぐに見破ってしまうからです!!)


「今のところ、行ける高校は1つもなし!」なんて、私がいじめたからかしら?


ただ、散々ハッパをかけてきた私が言うのもなんだけれど、本当は何時間も机に向かうのは、良くないと思っている。


●英検3級は小学生に必要なのか?

なんで日本の中学生や高校生は、こんなに勉強しないといけないのか私にはよくわからない。


以前、奥日光の温泉旅館に行ったら、隣に座っていたドイツ人男性が同じことを話していた。


彼は旅館の女将さんの「どうしてそんなに日本語がお上手なんですか?」という問いかけに、流暢な日本語でこのように答えた。


「僕は中学、高校と遊びやスポーツをちゃんとしてきたから、日本語だけじゃなく英語も上手く喋れるようになりました。日本の子ども達は、小学生の頃から塾に行っているじゃないですか?勉強時間は長いのに、なんで英語も満足に喋れないんですか?遊びだって、子どもには勉強なんですよ。日本の子ども達がしている勉強はおかしいですよ。」


せっかく訪れた旅先の旅館で、耳の痛い話を延々と聞かされる羽目になった。


でも、ドイツ人男性の言うことはその通りだと思う。


●「受験英語」の弊害

先日のブログには小学生が英検3級に合格していると書いたが、小学生で英検3級以上に合格する必要はないと思っている。


英語が得意で、留学した妹も「英検3級」と聞き驚いていた。「小学生で英検3級?本当に必要なの?スコアが高くても、英語が喋れない人が大勢いるのに。そういう大人になっちゃうかもしれないよ!?」。


私もそう思う。そもそも私たちがしてきたのは「受験英語」。ネチネチ細かい文法なんて、実社会でそれほど必要ないと思う。


私立大学だけでなく、私立高校でも授業をしている夫も言っていた。


偏差値が高い中学や高校に合格しても、先がある。入学することが目的になって燃え尽きてしまう学生もいる。


計画どおりには人生は進まない。


●いつになったら、超低出生体重児の「教育問題」を純粋に議論できるのか!?

ただ、息子の場合は少し違う。初めて高いハードルを自分の力で越えようとしている。


医療関係者のアドバイスは、本当に役に立たなかった!


彼らは「適切な支援につなげた方がいい」と必ず言う。「二次障害を防ぐため」「自己肯定感が低くなる」から、必要なのだそうだ。



でも私は「二次障害」とか、「自己肯定感」という言葉が、今は苦手だ。一番の疑問は、「受験英語の弊害」など、教育の専門家なら誰でも知っているような教育問題まで、「小さく生まれた子ども」の問題にすり替えられるかもしれないからだ。


息子は何度もいじめられたこともあったけれど、1度も不登校になることはなかった。ずっと学校や先生が大好きだ。


なんで不登校にならなかったのか、母親の私にも全くわからない。私は学校があまり好きじゃなかったから、もし私だったらそんなに頑張れない。たぶん不登校になっていただろう。


一つ言えるのは、私と息子は、違う。息子は他の誰とも同じではないということだ。


超低出生体重児がどのように育つのかまだ解明はされていない。わからないことが沢山ある段階で、子どもからあまりにもハードルを奪ってしまうと、逆に成長できない子供が出てくるんじゃないかと思う。


これまで行われてきた専門家による「適切な支援」だって、きちんと検証するべきだろう。



残されているメールを読めばわかる通り、彼らが常に正しいわけじゃないんだから!

2017/07/28

超低出生体重児と健康教育 アメリカのジャンクフード業界のしたたかなマーケティング戦略 後編

●同じ100円なら、新鮮な果物じゃなく、お腹がいっぱいになるポテトチップが良い!

中学生になった息子にお小遣いを渡すようになったら、ジャンクフードを食べるようになった。


アメリカの子供の肥満問題でも出てくるけれど、「健康」の大切さがわからないと、「美味しければいいじゃない」という欲求に支配されがちだ。子供には、同じ100円なら、新鮮な果物じゃなく、お腹がいっぱいになるポテトチップなどの方が魅力的なのだ。


初めは見つけるたびに注意していたが、注意すればするほど隠れて買うようになってしまった。勉強のストレスもあり、なかなかやめられなくなっていたようだ。それどころか徐々に生活の知恵をつけ、コンビニではなくスーパーの特売の方がお得に買えることを知った。いつしか大量に購入したジャンクフードを、押し入れに隠すように…。


こんなことをしていると、糖尿病になるかもしれない。


さて、どうしたものかと思っていたら、、、


●取り戻せる失敗ならいいけれど

何度か食べ過ぎでお腹を壊し、ふと、我に返ったようだ。一度お腹を壊すと、治すのに時間がかかる。部活も休まないといけなくなる。そのたびに皆に迷惑をかける。長い目で見れば、結局、自分の信用を失うことがわかったようだ。


息子のように取り戻せるような失敗ならいいけれど…。これがもしもアメリカの貧困家庭だとそうはいかないだろう。


●子どもの健康教育は難しい 「正しい知識を与えればいい」という単純なものではない

そもそも「運動すればいい」というレベルの肥満でも、運動習慣がない人にとってはとても大変だろう。


前回紹介した、国立成育医療研究センターの窪田満先生のおっしゃっていた「ヘルスリテラシーを獲得し、自己管理能力を身につける」は、とても大切だと思う。





ただ、小学生の摂食障害で書いたように、正しいことを伝えればいいかというとそれだけでは上手くいかないと思う。実際に行動に移すとなるとハードルが高いからだ。


『うつを治したければ医者を疑え! 』と小学生の摂食障害 摂食障害を回復させたもの1


●「適度な運動はいいですよ」と医師や看護師はいうけれど…

「適度な運動はいいですよ」とおっしゃる医師や看護師は多いけれど、じゃあ、その方々はご自身の健康管理がバッチリかというと、残念ながらそうでもない…。「言うは易く行うは難し」なんだと思う。


だから『スロージョギング』の田中宏暁先生のように、「私も運動してみたい!」と思わせてしまう指導者が注目されるんだろう。





2017/07/28

超低出生体重児と健康教育 アメリカのジャンクフード業界のしたたかなマーケティング戦略 前編

●アメリカの肥満問題の深刻さを伝える『Fed Up』という映画 子どもの3人に1人が肥満という社会!

映画評論家の町山智浩さんが、『Fed Up』というアメリカ映画の解説をしている動画を見つけた。『Fed Up』は2014年に公開された、アメリカの肥満問題を扱ったドキュメンタリー。私はワクチンのロビー活動に嫌気がさしたが、それでもアメリカよりはマシだと思う。本場、アメリカのロビー活動はもっとえげつないからだ。


HPVワクチン『ロビー活動』から『薬害裁判』へ 市民を利用し『社会運動』をしてきたのは誰なのか? その1 






息子の社会の教科書には、アメリカというと、「人権」に厳しい国のように書いてあるが、それはアメリカの一面でしかない。


『Fed Up』にあるように、アメリカだけでなくカナダでも、お金がない子どもが大学に進学するために「軍隊」に入るとか、ジャンクフード業界のマーケティング戦略の一環で学校に自販機が置いてあるのは当たり前だったからだ。日本の教科書にはもちろん書いていないけれど、そもそも先生も知らないかもしれない。まあ、日本の学校給食も、アメリカの小麦戦略のターゲットにされてきたから、表立って批判できないのかもしれないけれど。。


ちなみにこちらは『Fed Up』よりも前の、2004年に公開作られた『1日3食×30日間、ハンバーガーを食べ続けると、人間どうなる?』という内容のドキュメンタリー映画、『Super Size Me(スーパーサイズ・ミー)』。夫が大学の講義で学生にみせている。『Fed Up』をみると、アメリカの肥満問題はさらに悪化したような気がした。





超低出生体重児で生まれた子どもたちは、糖尿病になるリスクが高いといわれているので、人ごととは思えない。


そこで『Fed Up』がどんな内容の映画なのか、町山さんの解説を少しまとめてみた。

◇  ◇  ◇
『Fed Up』とは、「『糖質』なんてもうたくさん」という意味。アメリカの子どもの3人に1人が肥満。田舎の貧困家庭に多い。貧困家庭の子ども達は、運動をしても簡単には痩せられない。何しろ食事の糖質が多すぎるからーーーーなぜ、貧困家庭の子ども達の肥満問題がここまで深刻化したのか?

●アメリカの『Food Desert』(食べ物砂漠)

アメリカは田舎でも都会でも、貧困家庭の集まる地域には個人商店しかない。 巨大資本に席巻され、小さなスーパーは絶滅してしまったからだ。個人商店では、高くて売れないため、生鮮食料品を置かない。また、貧しい地域の人たちは、車を持っていないため遠くの店(大型スーパーなど)にはいかれない。


こうした場所をアメリカでは『Food Desert』(食べ物砂漠)という。


●アメリカの全人口の6分の1にあたる5000万人が、飢餓状態

貧しい人たちは、加工食品しか食べていないから栄養失調状態にある。アメリカの全人口3億人のうち、6分の1にあたる5000万人が、飢餓状態といわれている。


貧困層には、フードチケットが配られるが、3ドルか4ドル分。その金額では、野菜や果物が高騰しているので買えない。買っても、共働きが多く、料理する時間もない。そのため、シリアルなどを買って子どもに与える。(糖質が多い加工食品は逆に40パーセント値下がり!)


アメリカは危機的状態で貧しい人たちは軍隊に入って、大学に進むなどして貧困から脱出してきた。ところが、最近は、入隊検査で、引っかかるため、軍隊にすら入れない!


●アメリカのジャンクフード業界 学校にも潜り込んでいる! 「社会貢献」や「善意」じゃなく、マーケティング戦略の一環!

この肥満問題を改革しようと奮闘したのが、オバマ大統領夫人のミシェルオバマ氏。(ヘルシー法)


まず、給食からコーラやジュース、フライドポテト、フライドチキン、ゼリーを禁止しよう!と運動した。


なぜ、給食にジャンクフードが出るかというと、ジャンクフードメーカーが学校に学校用品などを寄付し、その見返りとしてコーラの自販機などを設置してしまうから。(アメリカの給食の75パーセントに、ジャンクフード会社入っているため、冷凍ピザなどのジャンクフードが、給食として出されている。これは「社会貢献」や「善意」じゃなくて、マーケティング戦略の一環!)


●ミシェル・オバマ氏の改革(ヘルシー法)も、内部から潜り込んで骨抜きに!

しかも、ミシェル・オバマ氏の改革(ヘルシー法)に、栄養士協会は反対している(規制が厳しいから、もっと緩くしよう!)。


なぜなら栄養士協会は運営資金を、冷凍ピザの大手などに援助してもらっているから!運動を潰すのではなく、内部に入り込んで、改革を骨抜きにするのがアメリカ式のしたたかな戦略。ミシェルオバマさんの肥満対策運動にも、ジャンクフードの会社が入り込んでいた。



●お金があればなんでもあり! なぜか「ピザ」が「野菜」になってしまう

アメリカの補助金は、ほとんど穀物にいって、生鮮食料品にはいかない!
そのためなんと議会では「ピザは野菜だ」という不思議な事態になっている。

◇  ◇  ◇


続く
2017/07/25

超低出生体重児の退院後の支援 強すぎる主治医と患者家族との信頼関係 時代は『移行期医療(トランジション)』へ 後編

●トランジション(移行期医療)とは

◇  ◇  ◇
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トランジション(移行期医療)問題
小児期発祥の慢性疾患を抱えたままの成人の増加
(子どもはいつか大人になる)
行き場を失った患者さん達
誰に診てもらえばいいの?




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なぜ、いま「移行期」(トランジション)なのか
  1. 小児医療の進歩により多くの命が救われた一方で、慢性疾患を持ちつつ成人する患者(「移行期医療」)が増えてきている。

  2. しかし、小児医療では、成人の病態への適切な医療、成人に適した医療環境を提供できるとは、言えない。

  3. 移行期患者が、最も適切な医療を受けられるようにすることは喫緊の課題である。

  4. 但し、転科=トランファーが目的ではなく、トランスファーはあくまでもその中のイベントの一つである。




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トランジションにおける問題点
①患者家族の要因
  • 強すぎる主治医と患者家族との信頼関係があり、成人科への転科を家族が不満に思う

  • 成人してからもずっと診てくと小児科医も言い、家族もそう思っていた

  • 根強い医療不信

患者の代弁者で有り続ける家族そのものの問題
このことが患者自身が自立し、自己管理能力を身につけることを妨げているなら問題である。




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トランジションにおける問題点
②成人科医の要因
  • 経験の少ない疾患を急に紹介されても困る。

  • 薬剤が成人量ではない(体が小さい)

  • 栄養療法が存在する

  • 点滴手技などが難しい

  • 寝たきり、障害者への対応ができない


一番の問題は、
介入してくる家族や、自分の意見を持たず、疾患に関しての知識もなく、自分が内服している薬のこともよく知らない若い患者への苛立ちといわれている。




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トランジションにおける問題点
③小児科医療の要因
  • 成人科では受けてもらえないという思い
    (実際に成人科に断られている

  • 保険診療で行えない検査、試薬や適応外処方

  • このまま成人してからも診て行って何が悪いのか

  • 自分しかこの患者を診れない、守れないという思い


自分の医療への自信
成人科では自分以上の治療はできないという奢り




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トランジションの目的
小児医療にとどまる問題点
  1. 患者さんの自立を妨げている

  2. ご両親の将来への不安を解決しないままにしている


患者さんが自立可能な場合
ヘルスリテラシーを獲得し、自己管理能力を身につける。
患者さん自身が自分の健康管理に責任を持ち成人となる。


患者さんが難しい障害の場合
ご家族と何度も話し合い、その患者さんにとって一番良い医療を探す。
2017/07/25

超低出生体重児の退院後の支援 強すぎる主治医と患者家族との信頼関係 時代は『移行期医療(トランジション)』へ 前編

●強すぎる主治医と患者家族との信頼関係が、子どもの行き場をなくす

先日、小児がんの専門医のA先生に声をかけていただき、新生児科医のB先生に私の意見を届けていただいた。


小児がんの晩期合併症と、超低出生体重児の長期予後 病気でも〝子供らしく″生きられる社会に


以前、転送メールを送ってきた新生児科の医師とは、話が噛み合わなかったけれど不思議だ。A先生とは初対面にも関わらず、古くからの友人のようにスッと心が通じたからだ。


おそらく、A先生は小児がんだけでなく、我が国の小児医療のあり方をずっと考えていらしたからなんだろう。


今日は昨年、国立成育医療研究センターのワークショップに参加した時の講演会で使用されたスライドを紹介しようと思う。


最後に登壇された総合診療部部長窪田滿先生のもので、講演のテーマは『移行期医療(トランジション)』について。


ご覧いただくとわかるように、窪田先生のスライドには、「(小児科医の)奢り」に代表されるように、少々過激な言葉が並んでいる。真剣に子どもの未来を考えてくれていたんだろう。窪田先生は我が国のナショナルセンター、成育の総合診療部部長だ。実は私がブログに書いてきたようなことは、厚生労働省も考えていて、今、『移行期医療(トランジション)』という事業をすすめている。これまでのように、医療がなんでも抱え込む時代は終わろうとしているようだ。


●小児がんの患者会 成長した当事者が活発に活動し、医師が支えている

ちなみにA先生は『移行期医療(トランジション)』も、よくご存知だった。私が牧本敦医師の講演をみて一番驚いたのは、成長した患者さんの活動も支援していたことだった。それも牧本医師は裏方として支えていた。小児がんではすでに当たり前の考え方なのだろう。

◇  ◇  ◇
『牧本事件』を追う その2 牧本敦医師の講演「すべては小児がんの子ども達のために」⑤
●がん患者には夢がある 悪性リンパ腫を乗り越え、小児がんを治す医師に!


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彼は今、生きて医者になってますけれども、悪性リンパ腫という病気を乗り越えて、医者になって、将来は小児がんを治す医者になりたいとがんばっています。皆、それぞれがんになって、辛い治療を乗り越えたという、一種のトラウマがあるけれども、それを乗り越えて、同じ苦しむ人のために、何とかしたいと思うようになるということなんですね。
◇  ◇  ◇

●親も子離れをしなくてはいけない

私はこの『トランジション』で、超低出生体重児の教育問題もすすめて欲しい。教育の専門家にアイデアを出してもらえば、超低出生体重児用の教材の開発などもできると思うからだ。今よりも楽しく学ぶことができるかもしれない。超低出生体重児の教育問題が前進しなかったのは、医療者が抱え込みすぎてきたから、ともいえるだろう。


最後にもう一つ大切なこと。我が国の小児医療の患者会の活動は、 これまで、どうしても「親」が中心だった。だからメディアが伝えてきたのも多くの場合、「親」を通した子どもの患者の姿だったと思う。


何が子どもの行き場をなくすのかーーーーーー


窪田先生がおっしゃるように親も小児科医も、真剣に考えなくてはならない時期にさしかかっているようだ。



続く
2017/07/22

超低出生体重児と教育 勉強をもっと楽しく 勉強も『スロージョギング』で 後編

●累計370万部を突破したという人気のシリーズ なぜ売れているのか?

私は息子に英検を受験させた。英検は期末テストに比べ難しくないからだ。



それもそのはず。小学校で英語は「外国語活動」から「教科」になったことから、有名私立中学の受験に3級合格が必須になりつつあるという。そのため、小学生の受験者が増えている。英検3級は中学卒業レベルといわれているけれど、今、一番熱心に勉強しているのは小学生かもしれない。


小学生だって合格できるんだから、と、参考書を選びに本屋に行った。


最初に買ったのは、一番売れている旺文社のものだった。ところが4級まではイラストが多いのに、3級になると文字だけになる。息子は文字だけは嫌だと言う。


そこでインターネットで見つけたのが冒頭で紹介した「中学ひとつひとつわかりやすく」という学習研究社のシリーズだった。その中でも英語講師、山田暢彦先生は大人気で、シリーズ累計370万部を突破しているそうだ。


●「英語が好きになった」という社会人のレビューも

なぜ、人気があるんだろう?とアマゾンのレビューを覗くと、「小学生でもわかりました」という感想に混じり、「私は英語が苦手だったけれど、今では英語が好きになりました」という社会人の声が書き込まれていた。


動画を再生すると、なるほど。確かにこんな先生が教えてくれたら、と思わせる先生だ。


本屋さんで実際に手にとってみると可愛いイラストがたくさん載っていて、わかりやすい。CDも付いていて、リスニングや発音の練習もできる。


●成績が伸び悩む子どもの教育は「勉強させたらいい」という単純なものではない

息子のために塾を探したけれど、わかりやすく指導してくれる塾や先生に出会えなかった。個別指導塾の先生は多くの場合大学生のバイトだ。勉強ができない子どもの指導は、大学生では難しいと思う。伸び悩む子どもの指導は技術や経験が必要だからだ。


勉強ができない子どもには、選択肢があるようでないのだ。


息子はノブ先生(山田先生のニックネーム)とテキストがとても気に入って「数学も欲しい」と言った。買い与えたら、一人で毎日勉強するようになった。


昨日、通信簿を家に持って帰ってきた。


英語の成績が一つあがっていた。夫は「ようやく中学生になったんだ。これからだろう」と言っていた。


これは「中学ひとつひとつわかりやすく」シリーズの中学2年生の数学のテキストの初めに書いてある永見利幸先生(監修者)の言葉だ。永見先生は京都の京華中学・高校の先生で、数学を教えて20年のベテランだそうだ。伸び悩む生徒の指導が得意だそうだ。

◇  ◇  ◇
先生から、みなさんへ

皆さんが学ぶ中学2年の数学では、中1で学習した内容をさらに発展させて、いろいろと興味のある内容を学びます。少し内容も難しくなってきます。よく聞くのは、
「1文字だった方程式の文字が2文字になってわからない。」
「関数って難しい。」
「証明ってめんどうで、書き方がさっぱりわからない。」
「どこかで、つまずいてしまったみたいだ。」
という声です。

それならば、勉強すればいいと言われますが、
「でも、ひとりじゃ教科書を読んでもわからないし、解答を見てもわからない。」
とか
「問題はどんな問題を解いたらいいのかわからない。」
という皆さんの悲鳴が聞こえてきます。

そうですね。わからないところに戻って、自分で勉強しようとして、難しいことがたくさんあります。でも安心してください。この本は君たち専属の先生です。困ったときに、わからなくなったページを開けば、いつでもわかりやすく教えてくれます。


問題も厳選してありますから、解法のパターンを簡単に、身につけられるようになっています。解答も見やすく、別冊になっていて、わかりやすく書かれています。

数学は思考力を身につけないといけない…と言いますが、基本事項を暗記していないと、問題は解けませんし、考えるにも道具がないと考えられません。そんな基本事項をしっかりと教えてくれて、道具にしてくれるのが、この本です。

皆さんの専属の先生に会うためにページをめくってください。そして、鉛筆を持って実際に書き込んでください。優しい先生に丁寧にわかりやすく、教えてもらえて、数学ができるようになり、身近に感じられるようになります。

◇  ◇  ◇

残念ながら今の公立中学には、こういった指導をしてくれる先生はほとんどいない。文部科学省がギチギチにカリキュラムを組んでしまうからだろう。ノルマをこなすのに精一杯で、一人一人を丁寧にみることができないのだ。


●公教育の使命とは 振り落とされた子ども達は本当に、「できない」子どもなのか?

公教育とは、できるだけ多くの子ども達に、基礎学力をつけさせるためにあるんだと思っていた。しかし今はその反対で、力のない生徒をわざわざ作り、振り落としていくような感じがする。日本は人口が減少するといわれているんだから、底上げに力を注ぐべきだと思うけど。


振り落とされた子ども達は本当に、「できない」子どもなんだろうか?


そんなことはないだろう。『スロージョギング』のような方法だったら、もしかしたらフルマラソンを完走できるかもしれない。



大学教員の夫は最近、中高一貫の私立高校の教壇にも立っている。付属高校がいつの間にか進学校になり、進学指導に力を入れるから、出前授業をしている。大勢の多感な年頃の学生と接する夫は「中学生は未知数。まだたくさんの可能性がある」といつも言う。


私は今の文部科学省はおかしいと思う。「大丈夫。君には可能性がある。諦めずに先生と一緒に頑張ろうよ」というのが、公教育の使命だと思うからだ。
2017/07/20

超低出生体重児と教育 勉強をもっと楽しく 勉強も『スロージョギング』で 前編

●勉強を「できるようにする方法」はないのか?

超低出生体重児は一般的に「国語の長文読解や算数の文章題が苦手」といわれている。


超低出生体重児の就学・教育問題 『極低出生体重児の 10 歳時における学習習熟レベルに関する研究』を読んで 誰がどこで支援するのか?


息子も確かにその通りだった。


息子はできないわけではないけれど、覚えるまでにとても時間がかかる。時間がかかるから、なかなかテストで良い点数が取れない。褒めてもらえなければ、やる気も失せてしまう。いつしか「いくら頑張っても自分はできない」と思い込んでしまったようだ。


私はこの状況から抜け出すために、モチベーションを上げる具体的な方法を知りたかった。
勉強をできるようにする方法はないものだろうか?


●体力がなければ、1分のスロージョギングと30秒のウォーキングの組み合わせから始めればいい

夫が私に言ったように、できるようになるまでには、ある一定の練習量が必要で「近道」はないのかもない。例えば漢字の練習は覚えるまで、100回でも200回でも地道に練習しないといけない。


ただ私はもっと楽しく勉強する方法があるんじゃないかと思ってきた。ヒントは以前紹介した、夫の大先輩、田中宏暁先生が提唱する、「ニコニコペース」「スロージョギング」だ。体力に自信がない人のために、初めは1分のスロージョギングと30秒のウォーキングの組み合わせをすすめている。最初は細切れでもいいから、継続して20分程度行なえば、徐々に体力がつき、フルマラソンの完走も夢じゃないという。



●初心者には「20分間」有酸素運動を続けることが難しい 最初の難関をどうやって突破したらいいのか?

私がこの動画を見て、引き込まれたのは、私自身運動習慣を身につけるために四苦八苦したからだ。学生時代に何度もダイエットに失敗した経験があるからだ。


今、偽健康情報を掲載した劣悪メディアが問題になっているけれど、私の学生時代はもっと酷かった。何しろ女子学生向けの女性ファッション誌が、「りんごダイエット」(リンゴを食事代わりに、1日6個食べる)などを堂々と紹介していた。皆、雑誌が取り上げるから、ダイエットに次々飛びついた。


ただでさえ、10代の頃は地道なことになかなか目が向かない。だから私も皆と同じようにチャレンジし、そのたびに失敗しリバウンドした。失敗を繰り返すと、だんだん痩せにくくなってしまうときいて、焦って、いつしか悪循環に陥っていった。


そんな私だったが今は毎日1万歩を目安に歩いている。スマホを使うようになって、アプリで簡単に歩いた距離と歩数がわかるようになった。1万歩に足りなければ、家にあるエアロバイクで運動量を増やしている。


あれほど苦労したのに、身についてしまうと1万歩ぐらいはラクラク歩ける。ちょっと今日は疲れたなぁ〜とスマホを見たらいつの間にか25㎞、ということも。そのため出産直後を除き、体重はほとんど変化していない。

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でも、全く運動習慣が身についていない時には、20分以上同じ運動を続けることはとても難しかった。


スポーツクラブにも通ってみたけれど、やはり同じ。室内で快適なはずなのに、トレッドミルやエアロバイクで有酸素運動を20分以上続けることが、とてつもなくキツく感じた。単調な運動だからだろう。


●きっかけはiPod 音楽を聴いたら、あっというまに時間が過ぎていく

ところがある時から、全く苦にならなくなった。


きっかけは夫が私にプレゼントしてくれたiPodだった。ちょうど息子が生まれた頃発売された第3世代。


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このiPodに好きな音楽を入れて聴きながら運動をすると、あっという間に時間が過ぎていく。気づけば90分も経っていたなんてことも!


私はiPodが出てからはスポーツクラブをやめた。外に出て体を動かすほうがダンゼン楽しいからだ。


●初心者をアシストする「缶バッジ型プレイボタン」 

ちなみに、田中先生のニコニコペースでは、初心者にとって最初の難関の20分をどうやって乗り越えたらいいかを解説している。面白いと思ったのは、「CD」や「缶バッジ型プレイボタン」を販売していることだ。1分走り、30秒歩くことをアシストしてくれるという。


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田中先生の「ニコニコペース」「スロージョギング」から学ぶべきことは2つあると思う。1つは、初心者の方々に「私もやりたい!」と思ってもらえるよう、最初のハードルを低く設定すること。そして2つ目は最初の壁を乗り越えやすくするために、アシストすることだ。


私がずっと考えてきたのはこの「缶バッジ型プレイボタン」だ。超低出生体重児の教育にも、もしかしたら同じように、最初の難関を、もっと楽に突破できる方法があるんじゃないだろうか?


続く
2017/07/17

小児がんの晩期合併症と、超低出生体重児の長期予後 病気でも〝子供らしく″生きられる社会に  その後

●B先生の経歴

小児がんの専門医のA先生にすすめられ、ある大学病院の新生児科のB先生に送っていただく文書を作った。


私がチャレンジしようと思ったのは、B先生の経歴を拝見したからだ。国内外の様々な医療機関で修行され、忙しいお仕事の間に英語の論文も何本も出しておられる。あのA先生が「B先生なら」とおっしゃる理由がよくわかる経歴。


何を書いたらいいかしばらく考えたが、結局、成育医療研究センターに送ったものを少し変えることにした。


私が国立成育医療研究センターに手紙を送った理由 


私の主張はほとんど変わっていないからだ。


●「発達障害」は、母親を安心させるためにあるわけじゃない

成育に送った手紙には、私だけじゃなく、家族や友人の医師もずっと「おかしい」と言い続けてきたことが書いてある。


明確な根拠もなく、未熟児の発達の遅れを「発達障害」だとしてしまう医師がいるのも問題だけれど、(「診断名」がつけば)「母親であるあなたが喜ぶだろう」という考え方にはついていけない。「発達障害」は別に母親を安心させるためにあるわけじゃないからだ。


もし、私の子供が「発達障害」だというのなら、根拠を出して私たちを納得させるべきだ。そして小児がんの議論のように、子供の人権についても議論すべきだろう。「喜ぶ」というけれど、「特別支援学級を利用したらいい」という発想も、教育のことをよく知らない人たちの考え方だと思う。支援級の教育も教員の質もバラバラだからだ。


ちょうど今、私立中学や高校はオープンキャンパスを行なっている。都市部にある私立学校の授業を体験したらよくわかるだろう。教員の教え方や教育内容にも、もちろん差があるのだ。


一口に「成績が悪い」といっても様々な要因が重なっている。


そもそも私は文科省の方針に問題があると思う。高度成長時代から社会が大きく変わっているのに、うまく方向転換できていないと思うからだ。


都立高校の受験は、未だにミニミニ大学受験のようでびっくりした。


しかも文科省は財務省から予算削減を迫られ、焦っているという。そのため、「全国学力テスト」の順位に血眼になっているそうだ。


間近に迫った全国学力テスト、なぜ順位に血眼になるのか 前屋毅


これは例えるなら、イソップ童話の「北風と太陽」の「北風」のような方針だろう。


私だったら、病気を抱えた子供たちや、小さく生まれた子供たちが、楽しく学校に通えるような「太陽」政策を考えるんだけれどなあ。

◇  ◇  ◇
重すぎる通学カバンに中学生が悲鳴!体力勝負になった『脱ゆとり教育』 2017/5/29 Jキャストニュース

『脱ゆとり教育』の挙句、中学生が「重すぎる通学カバン」で毎日、悲鳴を上げている。通学カバンとバッグで平均8.6キロの重さ。いったい何が詰まっているのか? 『スッキリ!』が注目した。

番組では、東京近郊の公立中学校の生徒25人を対象に下校時にアンケート調査を行い、持っていた通学カバンやバッグを計ってみた。25人中23人が「荷物が重い」と回答し、カバンとバッグ合わせて計量したところ8キロ~9キロ、なかには17キロという生徒もいた。

何故そんなに重い荷物をもって通学する必要があるのか? 大竹真リポーターが埼玉・草加市立中学校に通う2年生の女子生徒宅を訪れ、聞いてみた。

すると火曜日~金曜日6時間授業だが、5時間授業の月曜日が一番重いという答え。月曜日が最も重いのは、補助教材の多い国、英、社、数、理の5教科が揃っているからという。補助教材だけで全部で18冊。それに各教科書とノート。重さをはかると9キロ、さらに水筒を加えて11キロあった。

補助教材が多い背景は『脱ゆとり教育』にあるという。

『詰め込み教育』が批判されて小中高校は、2002年度からそれまでの教科を3割減にした週5日制の『ゆとり教育』に転換された。

ところが国際学力調査で日本の学力低下傾向が顕在化し、2006年には1位の数学が10位に、科学が2位から6位、読解力が8位から15位に転落してしまった。

補助教材が増えて重く

そこで40年以上実施してこなかった全国学力テストを復活させ、さらに学力向上のために学校で補助教材を使うようにした。2012年度から学習内容も増加され、『脱ゆとり教育』に本格的に転換された。

加藤:10キロって重い
これが重すぎる通学荷物の背景にある。学校に置いておいてよい物のリストを作っているところもあるが、家での予習復習もあり全部持ち帰りが基本のようだ。

スタジオでは、同じ重さのカバンを用意し、作家の大宮エリーが試しに持ち上げたところ「あっ、もう学校行きません」。司会の加藤浩次も「10キロって相当重いよね~」。

中学生の『脱ゆとり教育』は、まずは体力勝負から始まるようだ。

◇  ◇  ◇
2017/07/11

小児がんの晩期合併症と、超低出生体重児の長期予後 病気でも〝子供らしく″生きられる社会に

●ある医師から届いた一通のメール

おとといの10日、朝起きたらある医師からメールが届いた。嬉しいことに「時間があったら、今日、会いませんか?」と書いてあった。


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(※ いただいた名刺の裏側に印刷されていた文字)
Care Children,Cure Cancer !
病気でも〝子供らしく″生きられる社会に !



その医師は小児がんの治療に長い間関わっていらした専門家だ。私が超低出生体重児の母親で、小児がんの晩期合併症に関心を持ってきたので、声をかけてくださったようだ。私はブログにクローズアップ現代の小児がんの晩期合併症の特集、『~小児がん 新たなリスク~』 を文字に起こしたぐらいだ。


NHK クローズアップ現代 『~小児がん 新たなリスク~』 その1


とても緊張したけれど、すぐに飛んで行った。どうしても知りたいことがあったからだ。小児がんの治療に関わってきた医師が、晩期合併症に注目するようになったきっかけだ。


大きな子ども病院の入り口で待ち合わせ、院内の小さな個室に案内していただいた。そこで1時間半ぐらい、いろいろなお話をした。とても有意義な時間だった。たくさんのことを教えていただいた。


いつものように会話の内容を記録しておこう。

◇  ◇  ◇

●どうして晩期合併症がわかってきたんですか?

私 
私は小児がんの晩期合併症を、クローズアップ現代で知りました。お笑い芸人を目指していた患者さんが、自ら命を絶ったことを知り3日ぐらい寝込んでしまいました。今はまだわからないだけで、超低出生体重児の長期予後にも同じことがあるんじゃないかと思ったからです。


息子は母体にいなくてはならない時期に、外の世界に出てしまいました。今の医療が素晴らしいから超低出生体重児も大きく育つとメディアは伝えます。多くの親御さんのブログにもそのようなことが綴られています。確かに素晴らしい医療かもしれません。でも普通に生まれたお子さんと全く同じだとは私には思えませんでした。小児がんの晩期合併症のように、合併症が出てくるかもしれないけれど、それよりも気になるのは知能でした。24週というと、脳が成長していく時期だからです。ですから脳に何らかの影響があるんじゃないかとずっと気になってきました。


どうして、小児がんは晩期合併症がわかってきたんですか?



小児がんの専門医 A医師
患者さんが成長して、大人になってきたからです。




私が今お話ししているようなことを医師の前で口にすると、猛烈なバッシングにあいました。「助けてやったのに文句を言うな」という感じで議論にもなりませんでした。



A医師
私たちも初めは受け入れ難いというか、抵抗がありました。がんの治療というものは、基本的に毒を入れて、ギリギリの状態でがんを追い込んでいくようなものです。とにかく、命さえ助ければいいと思ってきました。治療しなければ命が救えないのだから、「治療をしてなんで悪いんだ」という気持ちがあったと思います。


小児がんでも初めの頃は、リスクについて話せば批判されたでしょうね。でも患者さんも成長し大人になりました。中には、大変な思いをしている方がいる。だから医師の認識も徐々に変わっていったのです。僕も最近になって、酷いことをしてきたんだと思うようになりました。




クローズアップ現代では、イギリスのフォローアップが紹介されていました。やはり疫学調査のような長期的な調査は、イギリスが中心なんですか?



A医師
いやイギリスじゃなくて、アメリカだと思います。EBM(evidence-based medicine)というとアメリカでしょう?長い時間をかけてデータを集めていったらわかってきた、という感じじゃないのかな。



●『牧本事件』について 


私は『牧本事件』に興味を持ったので、牧本敦医師が設立に関わったNPOの活動などを調べたんです。私が今、一番心配しているのは、牧本医師が軌道にのせようとした活動の全てが否定されることです。取り組み自体は良かったと思うからです。


どんな病気でもそうだと思いますが、患者や家族の悩みはだいたい同じだと思います。具体的には「金銭的なこと」「仕事のこと」「治療への不安」などですね。子供の場合には「勉強のこと」「進学」などが加わります。小児がんの支援活動が一歩も二歩も前を行っていると感じたのは、水先案内人がいるというか、振り分けがきちんとできているからです。社会的な支援はこっち、就学問題はこっち、金銭的なことはこっち、治療法ならこの医師に相談してくださいね、と迷える人を振り分けてくれるです。それらに加え、「新しい治療法の確立を目指しましょう」という活動まで用意されていることです。


闘病を送る子ども達の人権に関する議論もなされ、とにかく洗練されている活動だと思いました。


牧本先生は、いってみれば、我が国の小児医療の患者支援活動の基礎を作った功労者だと思います。だから「事件」のせいで全てが否定されたら困るな、とずっと思ってきました。



●『牧本事件』の教訓とは 「じゃあ、どうやってお金を集めたらいいのか?」「 臨床研究はお金がないとできないのか?」

私がロビー活動についてブログに書いてきたのは、じゃあ、どうやってお金を集めたらいいのか、と考えてきたからです。


『医療志民の会』について 『がん対策基本法』から『医療志民の会』そして『公費助成運動』『医学部新設推進』へ

『医療崩壊』と『メディア戦略』 世の中を動かすには『ワイドショーに出ないといけない!』その1


●お金をかけなくても、日本だからできる臨床研究があるのでは?

ただ、一方で私は臨床研究はお金がなくても創意工夫でできると思うんです。例えば、超低出生体重児の退院後の支援です。私が育てていて思うのは、小さく生まれ、なんらかの影響はあったけれど、いわゆる「発達障害」とは違うんじゃないかということでした。


全ての発達がゆっくりなお子さんが、発達障害じゃないとは思いません。でも、グレーゾーンの子どもの場合、子どもを制度に合わせることばかり考えないで、ゆっくり学べるように制度を変えていく方法もあると思うんです。なんでそういう意見は出てこないんでしょう?


私は一人で交渉してやってきましたが、個人で働きかけることには限界があります。だから例えば、文科省にお願いして、宿題を減らしてもらう、家庭学習を認めてもらう、あるいは低学年の頃だけでも試験を簡単にしてもらって、成功体験を経験させ、「やればできる」と思えるようにするーーー実際息子はそうやって、幾つものハードルを乗り越えてきました。「文科省に教育の充実を」とお願いしても夫も教員です。文科省も予算がなくて、四苦八苦しているのをよく知っています。




とても大変そうな文部科学省…


超低出生体重児の長期的な予後をみていくと、就学の問題に突き当たります。多くの患者家族の悩みは、ある時点から教育問題になっていくんだと思います。私が持ち続けてきた疑問は、教育の専門家ではない医師が中心となり考えていくのが最善なのかどうか、ということでした。


体の異常にはEBMが必要だと思いますが、子どもの教育にどこまでEBMが必要かどうかという疑問もあります。一口に「勉強ができない」と言っても様々な要因が重なっているでしょう。ですから私は友人の医師がいうように、「(発達)障害」とするのは、最後の手段にした方がいいと思うんです。


そもそもこれまで早期介入・早期支援が良しとされてきましたが、本当にそういえるのか、検証がなされているとは思えません。私のように疑問を口にすると、バッシングされてしまうからです。逆に息子のように早期介入のために嫌な思いをした、あるいは人生の選択が狭まったお子さんもいるんじゃないでしょうか。


そういうことを考え、今まで頑張ってきました。とにかく結果を出していかないことには認めてもらえないからです。

◇  ◇  ◇

先生はウンウンと頷いて聞いてくださった。そして最後に私にある提案をしてくださった。


以前お世話になった新生児科の先生がある大学病院にいる。もしよければ、その先生にあなたの意見を届けてあげるから、文書に書いて出して、と言ってくださった。


「正直な意見を書いたらその先生にまた怒られるかも」と一瞬不安が頭をかすめたが、こんなチャンスは今までなかった。これまで色々な窓口に意見を届けてきた。何かのご縁だと思い、チャレンジすることにした。