2014/03/18

小さく生まれた子供を社会でどう支えるか「その15」 発達検診の問題点

小さく生まれた子供を社会でどう支えるか「その14」 母親を追い詰めるもの の続き

【 発達検診の問題点 】


私はそれからすぐに、発達検診に行くのをやめた。常に「異常がないか」という疑いの眼差しで行う検診は、子どものためになるとは思わなかったのだ。



医療における子どもの人権医療における子どもの人権
(2007/10/30)
「医療における子どもの人権を考えるシンポジウム」実行委員会

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発達検診とは子どもが健やかに育つために行う検診である。しかし、障害があるかないかの判断はある程度時間がたたなければ専門家にもできない。その間はまるで脅されているようなものである。


私は、障害名をつけなくては支援がはじまらない今の支援のあり方はどこかおかしいと思っている。発達障害者支援法の精神は素晴らしいが、隠れるように療育に通う母親を私は何人も知っているからだ。

◇  ◇  ◇
発達障害者支援法 wikipediaより一部引用

発達障害者支援法(はったつしょうがいしゃしえんほう、平成16年12月10日法律第167号)は、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥・多動性障害などの発達障害を持つ者に対する援助等について定めた法律。全25条。平成17年4月1日施行。

特徴

長年にわたって福祉の谷間で取り残されていた発達障害者の定義と社会福祉法制における位置づけを確立し、発達障害者の福祉的援助に道を開くため、以下を初めて明文化した法律である。
発達障害の早期発見
発達支援を行うことに関する国及び地方公共団体の責務
発達障害者の自立及び社会参加に資する支援
具体的施策の打出しに向けた基本的法律として制定されたが、発達障害者支援センターの設立など今後の施策につながる概念も入っており、障害の早期診断・療育・教育・就労・相談体制などにおける発達障害者支援システムの確立を目指す法である。

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実際には、「あなたは異常」、「あなたは正常」と振り分け、両者の間に深い溝をつくっているような気がしてならない。超低出生体重児は発達がどうしても遅れる。検診を強化してもその後の受け皿は限られている。地方自治体によって大きなばらつきもある。


民間の受け皿も増えてはいるが、中には効率や採算を重視する施設もあり、民間の方が充実しているとは必ずしも言い切れない。発達の遅い子どもの療育とは、もともと手がかかるものだ。なかなか思い通りにはいかないから効率的には行えない。それなりに行き届いた民間の施設を利用すると、親には経済的な負担がかかる。通いたくても通えない家庭も出てくるだろう。


お世話になった民間の施設の先生が、ある時、息子の通っていた幼稚園にいて驚いたことがあった。どうしてなのか尋ねたら「私この幼稚園に転職したんです」と言っていた。非特定営利法人は労働条件が不安定で生活が苦しいようだ。発達の遅い子どものために勉強熱心な先生だったから余計、御自身の将来への不安があったのだろう。


大学には目が見えない新入生も入学してくるが、そのほとんどが教育大学付属出身だと夫が言っていた。私は盲学校にも教育の格差があると知り驚いてしまった。私が見学した市の療育施設の先生方も良い先生だった。受験テクニックのような指導ではなく、子どもの生きる力を引き出す教育となると、先生も常に勉強していかないといけない。生活が不安定では良い教員は育たないように思う。


だからこそもう少し、国や地方自治体が支援しないと厳しいような気がする。ただ現実的には、どこの地方自治体も財政が厳しく難しいだろう。私は、重い病気や障害のあるお子さんの支援が不足しているのなら、そちらを手厚くして欲しいと思う。


しかしそうなれば息子のようなわずかな遅れのある子どもは、このままでは制度の谷間に埋もれてしまうかもしれない。ある新生児科の先生が私が言っていたように超低出生体重児の発達は独特だ。発達検診に託すと「障害名」がつけられる場合が多いそうだ。しかし、その先生も私に「診断名に安心する親もいるが、泣いて取り乱す親もいる」と教えてくれた。

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新生児医療現場は日々の集中治療の模索、3-4 日に1回の3̶6時間以上の連続勤務などで なんとか当直体制を保っている状況で、その後のご家族のケアまで手と気持ちが回っている人間 は少ない。これも杜撰な状況だと反省する部分。


私自身も在宅で人工呼吸管理で集中治療をするようなご家族も含め、我々の課題は山積していて、NICU 医療自体の救命率が上がったことで生じるその後の生活への広がった役目に皆、現場はもがいている現状だと感じる。


一方、私のような集中治療医はいいフォローアップ医がいるのな ら信じて託したい、私は後遺 症を少なくすべく集中治療を探し出すことに心と力を尽くすから、私達の気持ちを受け継ぎ、そ の後のご家族とお子さんの未来を見守る方々がでてきてくれないかと願う気持ちがある。 適材適所で協力できる真の専門医が生まれてくれるのなら。


(発達検診で)ADHD、アスペルガー、自閉症などとすぐについて、私の外来で涙ながらにその時の話しをしてくれるご家族がいる。発達指数をだしてくれるだけで両親を支えてくれる雰囲気はあまりない。


私も早産児は発達にはムラがあり、独特なところがあると思っている。これを小児精神や発達の医師がみると ADHD、アスペルガー、自閉症と診断しているが、どうも早産児でないこれらの疾患のお 子さん達とその後の経過も違う気がする。

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それが正しい診断なら子どものためになるだろう。しかしそうでなければ子どもが健やかに育つのだろうか。そして、支援というものは親の心も含めてみていかないといけないだろう。どうすればいいんだろうーーーーー


障害があろうとなかろうと、子どもは子ども同士の関わりの中で成長する。軽度の子どもまで見つけ出すとなると人権侵害になりかねない。無理に見つけ出さずとも一緒に遊ばせてもいいだろう。あるいは、すべての子どもに療育が提供できないのならば、夫が家で息子を遊ばせていたような療育になるような遊びを教えればいいのではないだろうか。


この先生はとても正直な人だと思う。私自身もそうかもしれない。


医療者と親とが、こうして率直に語り合えないことが問題だったのではないだろうか。そもそも退院後の支援は医療機関だけで行うものなんだろうか。軽度の遅れならば、予算がなくても、皆で知恵を出し合い工夫で乗り切れることもあると思うが・・・・


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小さく生まれた子供を社会でどう支えるか「その16」 必要なのは教育者の温かな眼差し

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