2014/04/09

人生はやり直せる 

「精神医療の改善、メンタルヘルス政策の見直し」の署名がはじまったそうだ。


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精神医療の改善、メンタルヘルス政策の見直し 署名はこちら


私がはじめに目にしたのは以下の新聞報道だった。毎日新聞をとっていないので、この報道を知ることができたのはネットのおかげだろう。


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向精神薬処方過失で妻死亡 夫ら提訴  2010年3月28日10時34分配信 毎日新聞

併用禁忌の向精神薬を処方する過失で妻を中毒死させたとして、中央区の会社社長、中川聡さん(49)らが26日、都内の医師に約7400万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

 訴状によると、中川さんの妻一美さん(当時36歳)は04年1月から都内の精神科クリニック(08年閉院)で睡眠障害の治療を受け、中枢神経抑制剤、精神神経用剤などの向精神薬を処方されていた。04年9月には1日分として11種33個、その後も10回にわたり同量の薬を医師から処方され、05年1月に死亡した。

 行政解剖で胃や血中から、処方されていた精神神経用剤など複数の向精神薬の成分が検出された。死因は薬物中毒と推定された。

 この精神神経用剤の医師向け添付文書には、禁忌として「中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者には投与しないこと」と記載されている。中川さんらは、承認用量の2倍など医師の処方は明らかに大量投与と指摘し、一美さんは「中枢神経抑制剤の強い影響下」だったと主張している。

 また添付文書で併用注意とされる多数の向精神薬を、漫然と長期間投与したことも医師の過失と訴えている。
 医師の代理人弁護士事務所は「何も話すことはない」としている。【和田明美】



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私が中川さんに声をかけようと決めたのは、裁判をおこしているからだけではなかった。中川さん御自身に「通院歴がない」ということ。職業は「社長」であり「中央区」に住んでいるからだった。これらの情報から、「この人ならブレないだろう」と思ったのだ。


その判断は正しかった。


マスコミや政治家、厚労省などに働きかけ、あっという間に被害連絡会を立ち上げてしまった。今では勉強会を全国で開いているし「日本臨床心理学会」に論文も投稿した。いつも『 自分の裁判のため』であって『ボランティア精神などでやっていない』」というけれど、それだけではとてもできることじゃないだろう。


精神医療問題のいま ~学びと交流の会~ 日本臨床心理学会 déc


先日、「夜回り先生」として有名な水谷修氏が御自身のブログで精神医療を批判したそうだ。そのため、今、様々なところで議論が起きているようだ。ちなみに署名サイトの賛同者の欄には、水谷氏のもと思われるコメントが書き込まれている。


中川さんもはじめは猛バッシングされた。中川さんには比べものにはならないが、私もそうだった。またいつものように「反精神医学」とバッシングがはじまるのだろうか。


そろそろ、次の段階にいって欲しい。多剤処方されて断薬を望んでいる患者さんに手を差し伸べて欲しいのだ。


あまり知られていないだけだ。中川さんのもとには何人もの精神科医がコンタクトをとってきている。学会の重鎮の先生もいらっしゃったし、今は若い精神科医も多いそうだ。中には、断薬施設をつくろうと活動している方まで。皆それぞれの立場で危機感を持ってきたのだろう。


友人の医師や取材を受けた新聞記者に「サイエントロジーと関わったらダメ」といわれたから反論したことがあった。どうして「批判=反精神医学のカルト」と思考停止してしまうのだろう。


ある薬害シンポジウムの発表原稿から

被害者がいつまでたっても救われないのは、その深刻さが社会に見えないことにあります。死に至る重大な副作用があっても、亡くなった方は訴えることができません。また、自死遺族が訴えても、「「うつ」はもともと死に至る病だから自殺しても仕方がない」と議論になりません。多剤大量処方で中毒死した被害者のご遺族には、「薬を欲しがる中毒患者だから死んでも仕方がない」という、聞くに堪えない言葉が投げかけられます。


例え、被害者本人が訴えたとしても、精神科の通院歴のために差別や偏見、言葉では言い尽くせぬ数々の困難が待ち受けています。医療者と一部の患者さんからは、あなた達の行動は精神科に対する差別や偏見を助長する、あるいは医療崩壊を加速させると、行く手を阻まれます。


だからこそ、私は今日、発言する決意をしました。



「『たとえ右翼団体と関係があろうと、特定の宗教と関係があろうと、その人から不当な金銭などの要求がない限り、真摯に耳を傾けなくてはいけない批判だってあるはず』と私は父に言われた。民間企業には『お客様相談室』をはじめ批判に対応する部署がある。実際に深刻な多剤大量処方の被害が起きているのは事実だから、学会の重鎮の先生もなんとかしようと考えているのだ。被害者の受け皿が『反精神医学』ということが問題であって、正当な批判まで十把一絡げにして『カルト』と批判するのはそれこそ差別や偏見じゃないの?」


すると友人は黙ってしまった。新聞記者も同じだった。


中川さんが主催する勉強会がはじまった最初の一年間は、私も参加したりお手伝いをした。これはその時配布された資料の一部だ。向精神薬とCYP(主に肝臓に存在する薬を代謝するための酵素)との関連性についての一覧表だ。


中川さんのように専門家ではない遺族が裁判を闘うには、このように一から薬理学を学ばないと闘えない。こうした遺族の置かれた厳しい現実を目の当たりにするうちに、ワクチンのキャンペーンにもいつしか疑問を持つようになったのだ。世の中には、何事も実際に目にしてみたいとわからないことが沢山ある。


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「見えないビジネス」を教育から排除しよう!

「見えないビジネス」を可視化しよう


今精神医療に疑問を感じているのは、なにも医療機関で働く医療者だけじゃない。水谷氏が危機感を持っておられるように、教員だって同様だ。学校に伺った時、校長先生はこちらが恐縮するほど私の話を熱心に聞いて下さった。教育現場で働く教員も「なにかがおかしい」と考えてきたのだろう。


その証拠なのか、最近の参加者は被害者だけではない。ケースワーカーやソーシャルワーカー、児童養護施設で働く方も増えているそうだ。


気になるのは子どもへの投薬だ。親と医師とで決めてしまうからだ。「CYP」というものを、私は勉強会に参加してはじめて知った。問題なのは大人よりも子どもだろう。


小児の薬物動態、用量設定とTDM 国立成育医療研究センター 治験推進室 

子供は小さな大人ではない。低出生体重児・新生児から思春期までの幅広い年齢群が含まれており、その薬物動態は発達に伴う生理的変化を受ける。成人における個人差に加えてさらに発達の要素が加わるわけである。


幼い頃親に連れられ受診したが、「『精神疾患』や『精神障害』ではない」と訴える子どもも増えているそうだ。「おかしいのは自分ではなく親や学校だ」と。他に相談できる場所がないから被害連絡会に「多剤処方からどうやって抜け出していいのかわからない」と相談しに来るという。


もし彼らの主張が正しかったら・・・。親の考えや行動を改めないといけない場合は、子どもの訴えをどう考えればいいのだろうかーーーー私はどうしても「人権侵害」という言葉が頭をかすめるのだ。


私が長いことこの問題を訴えてきたから、私のまわりには「子どもへの精神薬の投薬は、もっと慎重にすべきだ」という医師や専門家が何人もいる。そろそろ、パンドラの箱をあけないといけないのではないだろうか。


それにしても。


今、中川さんのもとには様々な立場の方々が集まってくる。あの時、新聞報道で中川さんの「社長」という肩書きにひかれたのは偶然だったのだろうかーーー。


私は経営学部出身だから、「ガバナンス」や「マネジメント」、そういったものが精神医療や福祉にあればいいのに、そう思っていたんじゃないか。今の中川さんをみていてそう感じるのだ。


たぶん中川さんだけじゃなく、日本の中小企業の経営者には底力があるんだろう。中川さんは奥様を亡くして会社を清算しすべてを失った。そこから再び這い上がってきたのだ。精神医療の被害者の中にもすべてを失った方が多い。彼が懸命に生きる姿をみて勇気づけられるのだろう。私も中川さんから「人生はやり直せる」ということを学んだ気がする。













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