2014/04/23

「大阪・寝屋川女児虐待死」報道から考える 超低出生体重児(未熟児)の虐待が生まれる背景 その1

大阪府寝屋川市で2010年に起きた虐待事件に関連する報道があった。懲役10年の求刑に対し懲役15年を言い渡した裁判員裁判の、一審判決を支持した二審判決が見直される可能性があるという。


殺された女の子は「未熟児」だったと報道されている。一般的に、未熟児などの発達が遅い子どもや、病気や障害を抱えた子ども達は「虐待されやすい」とされている。


この世には、当事者にならなければ見えない困難がある。私は未熟児の母親になった時、虐待される理由がはじめてわかり恐くなった。だから、一日も早く退院後の社会的支援を充実させて欲しいと願っている。


虐待される原因があるのなら、原因を取り除く努力をすればいい。なぜ、どうして、今までこの問題は放置されてきたのだろうか。


私には虐待事件よりも、一市民、母親が声をあげた時に、この国では、声が届かないことの方がよほど問題だと思っている。当事者の声が政策になかなか反映されないからだ。悪くいえば、人が何人も死なないと変わらないことを意味する。幼児虐待事件の被害者は幼児である。声があげられない子どもが何人も犠牲にならないと悲劇が社会に伝わらない。なんと、残酷なことだろうか。


今回、これまで何度か引用させていただいた、昨年の5月28日にNHKで放送されたクローズアップ現代「幼い命を守れ~小児在宅ケア・地域の挑戦~」を、すべて文字おこししてみた。私が書いた手記と比べるとどうだろうか。


小さく生まれた子供を社会でどう支えるか「その1」 手紙を書いてみる 


私は今の日本で「育てにくい」といわれる子どもを、すべての親と家庭が育てられるとは思っていない。親を厳罰に処すだけで再発は防げるのだろうか。ぜひ、多くの皆様に考えていただきたい。


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NHKで放送されたクローズアップ現代「幼い命を守れ~小児在宅ケア・地域の挑戦~」


これは1000gに満たない子どもの数を表しています。30年間で2倍以上に増えています。そのうち17%が重い病気や障害を抱えるというデータもあります。


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そうした子ども達の多くは病院を退院した後家庭でくらしていますが、子どもやその家族を支える地域のネットワークは乏しいのが現状で、行き場のない孤独を感じながら日々過ごしている家族も少なくありません。今や世界で最も新生児の命を救うと言われる日本ですが、今度は、救った命をどう守っていくかという新たな宿題を背負っています。


日本の小児医療を牽引する国立成育医療研究センターです。NICU(新生児集中治療室)では90名のスタッフが交代しながら24時間小さな命を見守り続けています。何らかの障害がある子どもは年々増加、この5年でベッドの数を1.5倍に増やして受け入れてきました。


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「我々としては、やっぱり目の前に苦しんで助けを求めている患者さんがいらっしゃったら、いくら満床でもとってあげて治療してあげたい」


新生児医療が進歩すればするほどNICUのベッドは必要とされすぐに埋まってしまう状況が続いています。妊婦と赤ちゃんの命を守るには、NICUに常に空きを保つ必要があります。そのため症状が改善し、自宅での生活が可能になった赤ちゃんは、退院して家族とくらしていくことを目指すことになります。


しかし、こうした子どもが自宅で医療を受けながら暮らしていく取り組みは地域にまだ十分あるとはいえません。


NICUを出る時に感じたアンケート調査によると、「家族が一緒に暮らせる」など良かったことをあげた回答より、「不安だらけで孤独でした。これで退院してよいのか」などの声が二倍以上にのぼっています。



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大阪女児虐待死、最高裁で6月に弁論 判決見直しの可能性も 2014/4/21 21:28 日本経済新聞


大阪府寝屋川市で2010年に当時1歳8カ月の三女を暴行して死なせたとして傷害致死罪に問われた両親の上告審で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は21日までに、弁論を6月26日に開くことを決めた。懲役10年の求刑に対し懲役15年を言い渡した裁判員裁判の一審判決を支持した二審判決が見直される可能性がある。

 一審・大阪地裁は、父親の岸本憲被告(30)と母親の美杏被告(31)の判決で「児童虐待は大きな社会問題となっており、今まで以上に厳しい罰を科すことが相当」と指摘。求刑の1.5倍となる判決を言い渡した。二審・大阪高裁は「一審の量刑は重すぎて不当とは言えない」として両被告の控訴を棄却した。

 一、二審判決によると、両被告は共謀して10年1月、自宅マンションで三女の頭を平手で強くたたき、床に打ち付けるなどして急性硬膜下血腫などの傷害を負わせ、同3月に入院先の病院で死亡させた。


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寝屋川女児虐待死、最高裁で弁論へ 2014年04月21日(月) 20時46分 MBSニュース

 4年前、大阪府寝屋川市で1歳の娘を虐待し死亡させたとして傷害致死の罪に問われた両親の裁判で、最高裁は弁論を開くことを決めました。求刑を大幅に上回る懲役15年の判決を言い渡した裁判員裁判の判断が見直される可能性があります。

 この裁判は、2010年1月、大阪府寝屋川市で岸本憲被告(30)と妻の美杏被告(31)が、当時1歳8か月だった娘の瑠奈ちゃんに頭を平手で強く叩くなどの暴行を加え死亡させたとして傷害致死の罪に問われたものです。

 裁判員裁判で行われた1審の大阪地裁は、「常習的犯行で殺人と傷害致死の境界に位置する」として、検察側の求刑「懲役10年」の1.5倍にあたる懲役15年を言い渡し、2審もこの判決を支持していました。

 これに対し最高裁は、判決を見直す場合に必要な弁論を開くことを決め、関係者に通知しました。裁判員が下した量刑が見直される可能性があります。(21日17:42)


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判決が重すぎると激怒した鬼畜父が娘にやったこと―寝屋川1歳女児虐待死 yamadayamaさん NAVERまとめ より

頭を平手で強くたたき、床に頭を打ちつけさせ、頭部への強い衝撃で脳が腫れる「脳腫脹(しゅちょう)」で死亡させた。

左あごの骨折で食べ物をかむことができない状態だった。

大阪1歳児虐待死、左あご骨折で食べ物かめず 瑠奈ちゃんの体重は約6・2キロで、同年齢の平均約11キロより大幅に軽かった。

瑠奈ちゃんら3人の姉妹全員が真冬にもかかわらず、下半身はオムツだけで過ごしていた

喉に噛んだ跡のほとんどない肉まんが詰まっていた。瑠奈ちゃんはあごの骨を折っており食事ができる状況になかった。捜査本部によると、両親が虐待を隠ぺいするため故意に肉まんをのどに詰めたのだという。


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【寝屋川女児虐待死】真冬に姉妹全員オムツ姿 逮捕の両親、育児放棄か2010.4.12 14:17(産経新聞)


 大阪府寝屋川市の岸本瑠奈ちゃん(1)虐待死事件で、市職員が昨年2月に自宅を訪れた際、瑠奈ちゃんら3人の姉妹全員が真冬にもかかわらず、下半身はオムツだけで過ごしていたことが12日、関係者への取材で分かった。姉2人はひどい虫歯だったことも判明。寝屋川署捜査本部は、傷害致死容疑で逮捕された両親が、3人とも育児放棄していたとみる一方、三女の瑠奈ちゃんだけが暴力をふるわれた背景を調べている。


 関係者によると、市は昨年2月24日、未熟児で生まれたのに一度も乳幼児健診を受けていなかった瑠奈ちゃんの子育て支援のため、職員を派遣。母親の美杏(みき)容疑者(27)は四女を妊娠中で、瑠奈ちゃんと姉2人は上半身は服をまとっていたが、下半身はオムツだけだった。さらに姉2人にはひどい虫歯があり、瑠奈ちゃんの両ほほに青あざがあった。


 また、瑠奈ちゃんと姉2人はいずれも、市の乳幼児健診を一度も受けておらず、美杏容疑者は健診の日程などを説明しようとした職員に、「何しにきた。健診の行き方なんか聞いてへんで」と怒鳴ったという。このため、市は姉妹への育児放棄を疑ったという。


 一方で、瑠奈ちゃん以外の姉妹に目立った外傷は見つかっておらず、直接的な暴力をふるわれたのは瑠奈ちゃんだけとみられる。


 美杏容疑者は瑠奈ちゃんを妊娠していた際、妊婦健診を受けていなかった上、出産直後の入院中から面倒見が悪かったという。


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気になった報道があったのでこちらも引用してみる。がんの場合、大人の患者さんもいらっしゃるから、支援がもっと手厚いのかと思っていた。インクルーシブ教育がはじまったけれど、日本は病気や障害を温かく受け入れる社会ではないようだ。このような報道を目にすると、どうにかならないのかなぁ、と思わずにいられない。最後に以前書いた記事をもう一度引用。


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がん患者:診断後自殺リスク、1年以内20倍 サポート充実必要−−10万人調査 毎日新聞


 がんと診断された患者が診断後1年以内に自殺する危険性は、がん患者以外の約20倍に上るとの調査結果を、国立がん研究センターの研究班がまとめた。1年以上たつと差がなくなり、研究班は「診断間もない時期は、患者の心理的ストレスや環境の変化などに注意する必要がある」と分析する。

 病気と自殺の関連に着目した初の大規模疫学調査で、9府県に住む40〜69歳(調査開始当時)


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小さく生まれた子供を社会でどう支えるか「その6」 「あなたを一人にしない」という対照的なアメリカの運動 から一部引用


ある時、アメリカのピンクリボン運動について書かれた新聞記事を読んだ。私は羨ましくなった。告知の時に、「あなたを一人にしない」と言って、かばんにたくさんの情報誌をつめて渡すそうだ。これは大切なことだと思う。なぜなら、がんに限らず深刻な病を抱えた患者にとって正しい情報は命と同じだからだ。


一方、日本のピンクリボン運動は、患者のための活動といえるだろうか。いつの間にか、検診の重要性を訴えるキャンペーンにすり替わっているように感じてしまう。


キャンペーン期間中、街には「早期」「検診」「安心」などの文字が書かれた広告が並ぶ。その後には「私はがんでなくてよかった」と続くのだろうか。もし私ががんを告知されたばかりの患者だったたら、いたたまれない。これでは検診で早期発見できたとしても、その人はかえって社会で孤立していくのではないだろうか。誰のために、何のためにある運動なのだろう。


かつて世間を震撼させた、新興宗教団体の霊感商法があった。なぜ被害者は簡単に騙されて大金を差し出すのかずっと疑問に思ってきた。しかし自分が超低出生体重児の親になった時、悲しいことに騙される側の心理も理解できるようになった。

(中略)

彼らがターゲットにしていたのはがんなどの重い病を抱えた患者さんや家族だったからだ。いつの時代でも騙す者の方が一枚も二枚も上手だ。大きな病院に潜り込んで患者さんを見つけるのは容易に違いない。その後をつけ、敷地を出た所で偶然を装い本を渡し勧誘したそうだ。病院側が気づいても敷地外であれば咎めることは難しい。何から何まで、すべては計算ずくだ。私は胸が痛んだ。
 

息子がNICUを退院する時に「私は一人になった」。そう思うのは私だけではないはずだ。実際にNICUから出た後、事件の被害者や加害者になった母親は少なくない。せめてアメリカのピンクリボン運動のように「あなたを一人にしない」という活動があったらと思うのだ。


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「大阪・寝屋川女児虐待死」報道から考える 超低出生体重児(未熟児)の虐待が生まれる背景 その 2




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