2014/04/25

「大阪・寝屋川女児虐待死」報道から考える 超低出生体重児(未熟児)の虐待が生まれる背景 その 3

「大阪・寝屋川女児虐待死」報道から考える 超低出生体重児(未熟児)の虐待が生まれる背景 その 2 の続き


子どもが幼稚園の時に病院に送った手紙

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退院した後、NICUの看護師さんにあった時に、「サクラさんが送ってくれた写真つきの手紙、出産したばかりのお母さんがNICUに来た時に、『私の赤ちゃんも元気に育つかもしれない』って喜んで見ていたの」と嬉しそうに教えてくれた。

NICUでは退院した子ども達の家族から送られてきた手紙を入口に貼る。これが退院した子ども達の成長を知る唯一の手段だった。同じような週数と体重で生まれた子どもをいつも探した。

夫には「手紙じゃなくて、ブログみたいじゃないか」と言われたけれど、ブログのように書いたのだ。母親はどうやって育つのかわからず不安になるのものだから。




今日の話は主に、障害や病気を抱えたお子さんの在宅ケアについてだ。これまで私も重い障害や病気を抱えるということは、それなりに覚悟しないといけないことなんだと考えていた。


しかし、前回あったように、脳梗塞でこれ以上の回復が見込めない、といわれた女の子が元気に飛び回る姿を見て、本当にびっくりしてしまった。「小児には可能性がある」という言葉は音羽ちゃんのためにあるようだ。私は感動して泣いてしまった。夫が言っていた。3歳、遅くても5歳までの子ども達には大人では考えられない、奇蹟のような可能性があるそうだ。


ところで、インタビューにあるように、新生児科の医師やスタッフも、子ども達を退院させることが、良いことかどうか葛藤があったようだ。その子が、健やかに成長するかわからないからだ。


(入院中に面会にあまり来なかったという大阪・寝屋川女児虐待死の両親のようなケースは別にして)こういう姿を知ったら不安そうなお母さん達に、「病院の外に出ていくと、お子さんの可能性が広がりますよ」そう言ってあげられるようになるかもしれない。


息子が退院した頃は、全く情報がなく途方にくれた。だからこそ切実に思ってきた。「ありがとうございました」で終わりにしてしていいのだろうか、と。


その後の様子を、医療機関に情報提供し、医療機関はその情報を蓄積していく、ということが必要じゃないかと思ったのだ。特にどのように育つか、どこにどんな支援があるのか、などの情報は不足している。情報を蓄積していくことで、後に続く人達の抱える荷物を、軽くしていけるのではないだろうか。母親のネットワークというものもいいけれど、不確実で偽科学のような情報もあるし口コミにも限界がある。


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周産期医療における心のケアの改善を 平成20年12月8日 病院に送った改善要望書より一部引用

5 育児に関するポジティブな情報の共有するシステムを作る

自分を振り返ってみますと、超低出生体重児を生んでしまった責任と将来の不安が心を押しつぶしていたことが分かります。とくに、子どもがどう成長していくかについては良い情報が少なく、発育遅滞や発達障害ばかり気にすることになりました。良い状態の子がいることが分かれば、少しでも希望が持てるのにと考えていました。

もちろん、個別には違う状態であることは理解できます。良い情報ばかりが勝手に大きくなっていく危険性も理解しています。しかし、夢のようなものであれ、良い症例が分かったら、不安を軽減できる心の支えになるということです。また、お世話になったこの病院に何か恩返しをしたいという気持ちもありました。



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医療と福祉そして教育の連携というものは大切だ。私の理想は、医療が子ども達を抱えるというより、「駅伝」のタスキリレーのようなイメージだ。特に息子のように重い病気や障害を抱えていない子どもは、医療機関の負担を軽減するためにも教育に振り分けていく必要があるのではないだろうか。


予算には限りがある。以下にあるように命の問題、子どもの可能性の問題なのに、最終的にはお金の問題にいきつく。ならば、重い障害や病気を抱えた子ども達の支援を手厚くして欲しい。


NPO法人モンキーマジック代表の小林幸一さんの言葉「何かを期待して待っていても永遠に登ることはできない」。これは私のような母親にとっても同じだと思うのだ。「お母さんの気持ちもわかります」「がんばらなくていいですよ」だけでなく、背中を押してあげる、ということも必要ではないだろうか。


No Sight But On Sight! 見えなくても 見えづらくても一発で登れる!  NPO法人 モンキーマジック


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「見えないチカラ 視覚障害のフリークライマーが見つけた明日への希望」小林 幸一郎(著) amazon 内容紹介から一部抜粋

28歳で、失明の告知。不安と絶望に襲われ、失意の底に沈んだ日々もあった。視力を失うことで、自分にできなくなることばかりを数え、うつむいて生きていた時期もあった。でも今は、上を向いて生きている。

自分の手で自分の意志で自分の力で登ることを希望しなければ登れない。何かを期待して待っていても永遠に登ることはできない。



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NHKで放送されたクローズアップ現代「幼い命を守れ~小児在宅ケア・地域の挑戦~」


こうした施設の存在は、この地域のNICUにゆとりをもたらす効果を生み出しています。音羽ちゃんが産まれた病院(愛媛大学)でも年々、NICUを必要とする子どもが増えていました。


そこで退院後の安心材料の一つとしてこうしたサービスを紹介して退院を促すことができるようになったのです。医師が自信をもって退院をすすめることになった背景には、施設から毎月続く、成長の記録があります。



小児科 檜垣高史医師

「むこうで楽しくしている写真とか、元気にしている姿を見せてもらって本当に楽しい時間を過ごしているんだな、というのがよくわかりました。やっぱり安心して退院していける環境があると、医師と看護師とかもこの子は退院できるよ、というふうに言ってあげられると思いますし、そこで退院が一人かなうとそこにまた次の赤ちゃんが入院して診せていただくチャンスがもう一つでいますので、それは医療資源の有効な活用にもつながるというふうには思います。


スタジオ

「今夜は小児科医として症に在宅医療の重要性を訴えていらっしゃる埼玉医科大学教授 総合医療センター田村正憲さんとお伝えいたします。まさに豊かな成長を支える松山の現場でしたけれどもどんな印象をお持ちでしょうか」



埼玉医科大学教授 総合医療センター田村正憲医師

「僕は小児科医ですけれども、本当に感激いたしました。子どもは大人に比べますと、障害から回復する力が大きいということがわかっているんですが、子ども同士で遊ぶということがここまで子どもの可能性を引き出したということで、このデイケアのとり組みに本当に感激しました。


ただ同時にあとで愛媛大学の先生がおっしゃっておられますけれども、デイケアでお子さんをみるという形で在宅の医療が推進するということは社会全体にとってもメリットがあることなんです。


NICUを含めまして小児の救急医療というのはまだまだ不足している状態です。こういうお子さんが在宅にうつっていただけるということによってNICUのベッドが空くという、もっと重症な患者さんを受け入れられるということができて、それができるということは、赤ちゃんがお腹の中にいる妊婦さんにとっても急変した時にすぐ受け入れてもらえるという国民全体の安全保障になっている、つながっていると思います」



「それだけ大きな意味を持っているということですよね。ただ医療と福祉が切れ目のない連携をもつということは現実には難しいんじゃないですか」


「はい。特に我々医療者、小児救急とかNICUでがんばっている小児科医は赤ちゃんの命を助けるということに全力を投球して、それで日本の新生児医療は世一のレベルまで達しているんですけれども、その分だけ社会の福祉のシステムとかそういうお子さんがお家に帰った時に、お子さんと家族の生活の問題だとか、そういったことが十分わからないまま、お子さんを帰してしまっているということがあります。


「先生御自身も医療と福祉の壁を感じたことがご経験でありますか?」


「はい。私は厚生省の研究班でNICUの長期入院児の問題を検討する研究班をまかされたことがあるんですけれども、福祉や障害(を受け入れる取り組み)をやっている方から「あなた達はNICUのベッドをいかに空けるかということだけに気がちっていて、そのお子さんを帰した時に、お子さんと家族が出会うであろう生活とか福祉の問題とかに気を留めない」というふうに、注意をされたことがあります」


「お子さんや社会のためにも連携をしていって欲しいんですけれども、どうやっていけばいいんですか」


特に小児の在宅医療に関しますと、一つは人材育成があります。大人の介護保険を中心とした在宅医療の医療資源はなかなか子どものほうを向いてくれません。


子どもの場合は、医療ケアの程度が高くてしかも広い地域に散財しているので、なかなか大人のシステムではカバーできない。そのために小児の在宅医療をして下さる医師とか看護師さんとか介護ヘルパーさんを育成するということがまず大事になります。


それと同時に医療と福祉をつなぐコーディネーターが、介護保険ではケアマネージャーという形があったんですけれども、小児の在宅医療にはケアマネージャーがタッチできませんので、ケアマネージャーに変わるーディネーターを育成するというのが二つ目の大きなキーになると思います」



「あと一つ、コストの問題ですけれども、先ほどの松山の施設の利用者の方、五時間子どもを預けると国の制度で一割負担という。800円程度ですむということなんですが、一方で施設のコストの問題はどうなんでしょうか」


「はい。テレビに出ていましたあれだけのスタッフ、医療と福祉にわたるスタッフを採用して雇うとなると、人件費だけで膨大になるだろうと思います。恐らく松山の施設は大きな訪問看護ステーションが母体となって運営しているという、それでなんとか経営していけているんじゃないかなと思います」


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「大阪・寝屋川女児虐待死」報道から考える 超低出生体重児(未熟児)の虐待が生まれる背景 その 4





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