2014/06/12

「ありがとう」それだけでは生きていけない厳しい現実 子ども達の退院後の支援の充実を その1

メールをいただいた食物アレルギーのお子さんのお母さんの言葉がなかなか忘れられない。はじめて超低出生体重児のお母さんにもメールをいただいた。同じように悩んでいらしたそうだ。


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(2012/09/01)
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小児ガンで入退院を繰り返していた少女が、
亡くなる数ヵ月前に書いた詩「命」をはじめ、
子ども病院で命と向き合う日々を過ごす子どもたちが綴った詩画集。
命の輝き、家族の温もり、感謝の心に満ちた言葉が、
生きる勇気と元気をくれると、
全国に感動の渦を巻き起こした。


障害や病を抱えていない超低出生体重児に関していえば、退院後の支援がほとんどない。どのように育つのかに関して正しい情報も少なく、小児科医もわからないという。発達検診に不満があっても、私のようにわざわざブログをつくって書く人はあまりいないだろう。


でも、同じように悩む親御さんは多かったのかな?


最近は、500g以下のお子さんも増えている。 もう、24週800gは「大きな超低出生体重児」になるかもしれない。


先日「よくがんばった」とNICUを退院した赤ちゃんのニュースが報道された。「よかった」と思う一方で、あのように報道していいのだろうかと思う気持ちもある。本当にがんばらないといけないのは、退院後かもしれないからだ。


メールを下さったお母さんのお子さんも順調だそうだ。でも、医療者にはわからない、順調に育っているからこそ、母親が感じる悩みがあるように思う。


昨日も息子は算数の文章題ができなくて、泣いていた。


100点もたまにとれるようになったけれど、息子が理解するには、やっぱり時間が必要なんだろう。いつも「もうあと一ヶ月、時間があったらなぁ」と思ってしまう。一日10分でもいいから勉強をみていないとまだ心配だ。


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学校で配られた『家庭学習の手引き』
「一番重要なところに線を引いてあげた」
と息子に渡された。

『強制したり、間違いをきつく叱ったりすることは逆効果』



勉強以外にも、体の成長に関して、お母さんはそれぞれ悩みを抱えている。


知り合いの超低出生体重児のお嬢さんは、すべての乳歯がはえなかったそうだ。ある時、急に気を失って、救急にかけこんだこともあった。救急の先生はよくしてくれるんだけれど、「成長」を長期にわたってみてくれる医師はいないようなことを私に言っていた。


小柄なので、成長ホルモンの投与を考え、産まれた病院に相談したら「この病院の基準では投与できない」といわれ、治験をしてくれる病院を探し出して通院している。


女の子だから、妊娠出産までフォローがあったらいいな、と思ってしまう。


その他にも、成長ホルモンを投与しているお子さんを知っている。病院によって考え方も違うようだ。水泳を習わせたり、皆いろいろな工夫をしている。


そうした姿をみるにつけ、もう少し支える社会で支えるシステム、せめて情報があったらな、と思ってしまう。


息子は小学校に入学したばかりの頃、算数がまったくわからなかった。今まで無理に何かをやらせなかったのに義務教育は逃げ場がない。焦って宿題をやらせたら、「僕は本当は勉強ができるんだ」と言って泣き出してしまった。


泣いている姿をみた時、これ以上「もっとがんばれ」なんて、言ってはいけないと思った。


NICUに子どもを残したまま自分だけ退院した日、小学生が走っている姿をみて「元気でいることは奇跡なんだ」と思ったことを思い出したからだ。


あの時「健康だったらいい」と思っていたはずなのに。これ以上、子どもにがんばらせるのは虐待と何が違うのだろう?


「ありがとうございます」それだけでは生きていけない厳しい現実があることを知った。


2011年1月31日に放送された『クローズアップ現代 ~小児がん 新たなリスク~』を文字おこししてみた。明日からアップしていこうと思う。


私はこの放送をみた時ショックを受け、二三日頭から離れなくなってしまった。今まで「小児がん」といえば助かる病気のイメージがあったからだ。


小児がんは治癒するようになったが、その一方、薬物療法や放射線治療などの影響によって生じる合併症があらわれることが最近、わかってきたそうだ。


長期フォローアップと晩期合併症 国立がん研究センター 小児がん情報サービス


晩期合併症の症状は多岐にわたるが、その中で注目したのは低身長だった。


超低出生体重児も同じように悩んでおられるお子さんが多いからだ。それでも、身長が低いことで、社会に出た時に、ここまで大きな不利益を被るとは想像していなかった。


小児がんと同様、小さく産まれた子ども達も、あきらかに障害がなくても、退院後のフォローがもう少しあったらと思わずにいられなかった。


夫に聞いたら、夫も「必要性を感じる」と言っていた。ただ、お年寄りの研究はデータをとりやすいけれど、「子どもは差が大きすぎて、難しいと思う」と言われてしまった。一人一人個別にみていかないといけないそうだ。


息子の場合は、ぎりぎり自力でどうにかなるかもしれない。でもそれは一つの経験でしかなく、これが正しいとは言い切れない。


私が訴えたいことは一つ。この番組の最後で医師がおっしゃっている。「子どものことも含めて社会の理解を得るということ」


アレルギー死亡事故で亡くなったお母さんもおっしゃっていた。「アレルギーは特別なものではない。自分たちの身の回りに存在する普通の問題だということに社会全体が理解を深め、あらゆる大人が子どもを見守るようになってほしい」


2013年2月21日 クローズアップ現代 続発するアレルギー事故 学校給食で何が? 藤田保健衛生大学 坂文種報徳會病院 宇理須厚雄先生の言葉

この社会には、学校もそうですけれども、いろんな病気のお子さんがいるわけですね。腎臓病、糖尿病、それに食物アレルギー。そういう人たちに、それぞれの食事療法というのが必要なわけです。そういったことを学んでもらうのは、非常にこれは食育の非常に大事な一つだろうというふうに思います。

そういったお子さんどうしが、共に生きていくという社会を学んでほしいなと。お互いに助け合ってやっていこうと、これは非常に大切な教育ではないかというふうに思いますけれども。



2013年5月28日 NHKクローズアップ現代「幼い命を守れ~小児在宅ケア・地域の挑戦~」田村正徳埼玉医科大学総合医療センター教授の言葉


65歳以上の老人に対する、国民一人あたりの国民総医療費は、15再以下の子どもの10倍ということになります。ぜひ、子どもにもお金を使っていただいて、より安心して住める社会にしていただきたいと思っています。この問題を子どもの問題でなく、社会の問題として捉えていただきたいですね


小児がんの子ども達も、重度の食物アレルギーの子ども達も、ワクチンの副反応(有害事象)被害者も、そして超低出生体重児も、子どもと親はがんばらないといけない。でも、個人では限界がある。


だからといって、「フォロー体制の充実を」と訴えても、困っている人は大勢いるし国に余裕がない。すべての子どもに支援が行き渡るなど、無理かもしれないと心のどこかで思っている。


だからこそ、社会全体でできるなら見守って欲しい。お金がなくてもできることもあると思う。そういうことを伝えたかったのだ。


先日たまたまみたクローズアップ現代「初期認知症と診断されたら・・・ ~どうつくる支援体制~」でも、やはり同様の問題を取り上げていた。


認知症と診断されても、日本では診断後の支援がほとんどないことが問題になっているそうだ。


番組の中でスコットランドの支援体制を紹介していた。スコットランドでは、診断直後からリンクワーカーと呼ばれる専門職が1年間集中的に関わり、必要な支援と結びつけることで、認知症とうまく付き合う方法を見つけ、進行を緩やかにする効果をあげているそうだ。


退院後の支援体制の不足は、日本が早急に取り組むべき課題だ。


昨日、食物アレルギーのお子さんのお母さんに教えていただいて切なくなったよ。


「どうしてこんなに大変なのに、世の中に知られていないの」と聞いたら教えてくれた。手間ばかりかかってお金にならないから治療体制が整わなかった、ということもあるんだそうだ。


公共放送であるNHKは『キャンペーン』をする時、何を基準に決めているんだろう。 ギリギリの状態でなんとかがんばっているお母さん、お子さんは世の中に大勢いる。でも、そういう人ほどなかなか本音を教えてくれないものだよ。


それぞれの病を抱えた子ども達のために『キャンペーン』があって欲しいよ。





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