2014/06/09

800gで生まれた小さな息子の11年後 超低出生体重児(未熟児)の発達 父性の果たす役割

以前紹介した、yahoo!映像トピックス「680gで生まれた小さな息子の1年後」

680gで生まれた小さな息子の1年後

予定より14週早く680gの超低出生体重児として誕生した息子。小さな体にチューブがつなげられた集中治療室での107日間の生活のあと、ついにわが家へ……。妻への贈り物として夫が記録した感動的なビデオ。


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この動画のその後ーーーーー2002年24週800gで生まれた私の息子がどんな風に成長したか、書いてみようと思う。


これは2011年 9歳の時にとった写真。体つきがわかる写真なのでアップした。一年生から水泳をずっと続けている。


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夫は、息子が二歳の頃からスキーを教えてきた。下が今シーズンのもの。


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これは昨年2013年、八ヶ岳の西岳(2398メートル)の山頂でとった写真。


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この後、アメリカのヨセミテに行って6時間のハイキングをした。これはグレーシャーポイントでとった写真。歩いている時、現地のボーイスカウトの中学生と仲良くなった。自分達よりも体の小さな小学生が同じペースで同じ行程を歩くから、引率してきた先生が感心して声をかけてくれたのだ。


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グレイシャーポイント wikipediaより一部引用

グレイシャーポイント(Glacier Point)とは、アメリカ合衆国カリフォルニア州の、ヨセミテバレー直上にある展望地。ヨセミテバレーの南壁の標高2199メートルの場所にあり、カリー・ビレッジの直上975メートルにあたる。


でも、息子は学校のスポーツテストの成績は良くない。微細運動が苦手で瞬発力や俊敏性がない。柔軟性もないから屈伸運動や鉄棒などが苦手だ。


しかしテストに反映されていないけれど、持久力はあるようだ。夫が二歳ぐらいから担いで山に連れていったことが大きいだろう。


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小学生には「運動しなさい」といっても辛いだけかもしれない。健康のために長く続けるには、いろいろな運動をやってみて、その中で好きな運動を続ければいいと思う。今の時期は長い人生の土台になる。だから「体を動かすことは楽しい!」と思わせることが一番大切じゃないかと思う。


今、育てているお母さんの中には、「なかなか歩かない」と心配している方もおられるだろう。しかし、子どものためとはいえ、訓練に集中しすぎるとかえって子どもには負担になり、運動嫌いになるかもしれない。


超低出生体重児には、生活習慣病になるリスクがあるといわれている。運動嫌いになってしまったら、将来困るのではないだろうか。


私はいつもリレーの選手に選ばれていたから、足の遅い息子には正直がっかりしてきた。でも、この前の運動会でははじめて、二人追い抜かして二等になった。


足を速くするには、第二次性徴期にまだチャンスはあるそうだ。「このトレーニングは何のために必要か」をきちんと理解し、続けていけるようになったほうがいいのかもしれない。


以前引用させていただいた早稲田大学スポーツ科学学術院鳥居俊准教授がご出演していた番組では、よいことをおっしゃっていた。


増加中!頭にけがする子供たち 2013年10月25日(金)NHK特集まるごと 

「保育や小児科などのさまざまな現場では、『子どもを早く立たせたい』という親の思いなどから、“はいはい”をする期間が短くなっていると感じているということです。確かに、『子どもが早く立つようになれば、うれしい』という親御さんの気持ちも分かるのですが、成長段階に応じて、その時々で、子どもに必要なことは何かを考えていくことも大切ですよね。」


「ご主人の話をきいてみたい」とこれまで何度か言われたことがある。私も、超低出生体重児の親としてではなく、運動生理学者として少しは発言したほうがいいのではないかと思ってきた。


でも夫はそういった活動をあまりしたくないそうだ。


自分には指導しなくてはいけない学生がいるから、というのが一番の理由だ。教員の使命とは、社会に出る前の学生を一人前に指導することなのだそうだ。そして、研究者の使命とは、業績を地道に出し、研究成果を社会に還元することだそうだ。


研究者にとって、一例はあくまでも一例だし、成人したわけではないからまだ安心してはいけない、と私に言う。


だからといって、自分の子どもが成長すればいいのだろうか。悩んでおられる親御さんがいるのは事実だ。中には子どもの成長を逆に妨げてしまうような指導をしている専門家もいるし、「発達障害」ではないのに、支援がないから「障害名」ということもあるようだ。


小さく生まれた子供を社会でどう支えるか「その15」 発達検診の問題点


(発達検診で)ADHD、アスペルガー、自閉症などとすぐについて、私の外来で涙ながらにその時の話しをしてくれるご家族がいる。発達指数をだしてくれるだけで両親を支えてくれる雰囲気はあまりない。


私も早産児は発達にはムラがあり、独特なところがあると思っている。これを小児精神や発達の医師がみると ADHD、アスペルガー、自閉症と診断しているが、どうも早産児でないこれらの疾患のお 子さん達とその後の経過も違う気がする。



ちなみに、この新生児科の先生も「どうやって子どもを成長させたらいいのか、詳しく知りたい」と私に言っていた。


子どもの一生を左右するかもしれないし、子どもの人権にも関わる問題だ。何も発言しないという態度もまた、研究者として不誠実なんじゃないだろうか。


夫にも少しはそういう気持ちがあるようだ。だから最近、私がブログを書くことを認めてくれたのだろう。


ところで、早稲田大学スポーツ科学学術院鳥居俊准教授は夫が所属している日本体力医学会の役員をしておられる。ちなみにスロージョギングで有名な福岡大学スポーツ科学部田中宏暁教授も役員だ。


田中宏暁教授のスロージョギング Facebook


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その他に、東北大学の永富良一教授にも親しくさせていただいている。日本体育協会公認スポーツドクターや日本アンチドーピング機構メディカルオフィサーとして、国際的に活躍する研究者だ。英語以外の語学も堪能で、医師でありながらスキーの実技指導もこなしてしまうすごい先生だ。


薬害被害者団体代表の方が私に言っていた。


「運動生理学は嘘をつかない。誠実な学問だ」


息子の写真をみていたら、確かにその通りかもしれないと思った。


今まで論文を読んでも、「何のための研究なんだろう」「誰かの役に立つのかな」と、思ったりもしていた。でも、ある意味、小保方さんが目指した研究よりも、理研が目指そうとしているものより、私達に確実に幸せをもたらす研究かもしれない。


周産期医療に携わる先生方に知っていただきたいことが一つある。 本人は人前では絶対に言わないけれど、写真をご覧になると一目瞭然ではないだろうか。息子の発達には、母である私よりも父である夫の力が大きいと思う。私には根気よく指導する能力はない。


これまで日本の育児や教育では、母性ばかりが強調されてきたようだ。しかし、父性の果たす役割もまた重要でないだろうか。






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Re: 未熟児の育児

コメントをありがとうございます!!

去年、息子が産まれた国立成育医療研究センターから、お電話をいただき、ワークショップに参加させていただきました。

成育はナショナルセンターなので、日本中の小さく産まれた子どもたちのために、政策を考える役割も担っているそうですね。

当日発言してもいいと言っていただいたのでお願いしたんです。

「医療的ケアを必要としているお子さんのためには、『もみじの家』という施設がセンター内にできました。医療的ケアを必要としてない子どもの教育問題が置き去りにされているので、今度は、そういう子どもたちのためにも何か取り組みをして欲しいです」

超低出生児を育ててきて思うのですが、発達が独特で、ダイエットと似ているな、と思います。停滞する時期が長く続く時があり、「もうだめかな」と諦めかけた時に、急激に発達することもあるからです。不思議だな、といつも思います。

私がこのようなブログを作っているので、医師からは「軽度の学習障害じゃないか」と言われることがあります。しかし、夫は教員で、発達障害のあるお子さん達も指導したことがあります。「違う」と言います。また、家族ぐるみで親しくしている友達の医師も「違う」と言われ、かかりつけの小児科医の先生にも「療育も、僕は必要ないと思うけどな」と言われました。そこで先生を説得して、市内の療育センターを見学させていただいたことがあります。

一番発達の遅れが顕著だったのは小学校の低学年の頃でした。3年間ぐらいは不安でした。

次は1年前の中学一年生の時です。小学生の勉強とは違い、公式や単語を覚える、覚えた知識を総合的に使い、分析する力などが求められるからです。

私は、私自身が学校があまり好きじゃなかったので、いつやめてもいいと公立校に入学させました。いじめられないよう、のんびりした私立中学の受験も考えましたが、入試は息子にはまだ無理だと思いましたし、ある程度の苦い経験も、生きる上で仕方がないと思ったからです。

入学して、案の定、いじめられたりしたのですが、子どもは学校が好きで、やめたくないと言いました。

クラブに入っているので、後輩達は受験シーズンが終わると「●先輩はA高校の落ちたんだって」と、意地悪く盛り上がります。やっぱり、子どもは、子どもの中で、成長していくみたいです。今までは「どうせ僕は」とチャレンジする気持ちがなかったのですが、意地悪な後輩がいると焦るというか「頑張ろう」と思うみたいです。

発達検診医は「上手く黒板の字をノートに書き写せないから、成績が悪くなる。成績が悪いといじめられる」といつも言っていました。しかし、医師ですから、思春期の複雑な心理や、教育現場のことを詳しくは知りません。

確かに、いじめられることはありますが、いじめられる理由が違いますし、やっぱり、多少の嫌な経験も、スパイスというか必要だと思います。

私は「障害名」などをつけるよりも、大切なことがあると思います。ゆっくり勉強させてくれる時間や、丁寧な指導です。

研究者の研究よりも、成育の「もみじの家」のような施設をつくって、どのように指導したらいいか実際に見せてくれた方がありがたいです。

ずっと不満に思ってきたのですが、「母親だけでなく父親が育児に関わると発達に良い影響を与える」な〜んて研究報告にはよくかいてあります。でもそんなことは研究しなくても、だいたいわかりますよね。公費を使う研究なら、「母親や父親がいない子どもはどうするのか?」などを考え、対策を考えて欲しいです。以前、メールをいただいたことがあるのですが、療育施設がまったくない地方があるようです。早急に対策しないと、地域や親の経済力などで、子どもの将来が左右されていくかもしれません。

超低出生体重児が、地域の幼稚園や小学校に通うようになったのはごく最近ではないでしょうか。私は、子どもに問題があるというより、超低出生体重児の成長と既存の制度があっていないことのほうが問題だと考えています。

せっかく産まれてきたのだから、生きていて幸せと思えるよう、「人類の進化」のような長〜い目で見守っていただければいいですね。