2013/11/28

それは本当に虐待と呼べるのか?

食物アレルギーのお子さんに関して不幸な裁判があった。まずはじめに事故と裁判について。

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


損害賠償:「不要な保護で男児死亡」両親が横浜市など提訴
毎日新聞 ‎2009年5月23日‎

 横浜市の児童相談所で06年、一時保護中に死亡した男児(当時3歳)の両親=同市=が22日、「入院先の国立病院が『児童虐待だ』とうその通告をし、うのみにした児相が不要な一時保護をしたことが死亡につながった」として、市と国に計約9000万円の賠償を求めて横浜地裁に提訴した。両親側弁護団によると、児童虐待防止のため積極的な通告が求められている中、通告の是非を問う訴訟は初めて。

 訴状によると、男児の入院先の国立成育医療センター(東京都世田谷区)は06年6月、「(両親が男児に)動物性たんぱく質を取らない考え方の食事をさせ、必要な検査や治療を受けさせない。栄養・医療ネグレクトだ」と児相に通告。男児は翌月、一時保護されていた児相施設の食事で卵を含むちくわを食べて死亡した。男児には卵アレルギーがあった。両親側は「病院の食事を拒否したことはなく、十分な説明がないため検査を受けなかった」などと主張。児相に対しても「親の聞き取りなどもせずに一時保護し、食事を誤って死なせた」として賠償を求めた。横浜市は06年10月、男児の死因に関し「司法解剖結果では、食物アレルギーは否定的」と発表している。センターと横浜市こども家庭課は「訴状を見ていないので回答できない」とコメントした。


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

ちなみに死亡事故が起きた当時( 平成18年)の横浜市の「記者発表資料」には当日の状況が記載されている。食物アレルギーがあっておかわりをした、という点は似ているけれど経過が全く違う。

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

中央児童相談所付設一時保護所における児童の死亡について

【死亡した当日(平成18年7月27日)の状況】

●6:00 頃
起床

●7:30 頃
朝食。本児がおかわりを求めてきた際に、食物アレルギーにより除去すべき竹輪 (1本の 10 分の1)を、食べさせてしまう。すぐに担当保育士に報告し、本児を注 意深く観察。

●8:00
頃遊んでいる本児の額のあたりが汗ばんでいたため検温(37.4度)。

●8:35
出勤した看護師は本児の身体状況を調べ、発疹、蕁麻疹がみられず、呼吸の様子等、 異常がないことを確認したうえで、注意して様子を観察することとしました。 午前中は、室内で遊び、おしゃべりも多く、動きは活発。

●11:50
昼食。いつもと変わらず食事。

●12:25
昼寝 指導員が本児をベットに入れタオルケットを掛ける。

●13:00頃
保育士がうつ伏せで眠っている本児の様子を目視で確認。

●13:50頃
13時と同様に、保育士が本児の様子を目視で確認。

●14:30 過
保育士が本児を昼寝から起こしたところ、本児がぐったりしており、手足、顔にチ アノーゼが出ていた。救急車要請。救急隊到着まで看護師が心臓マッサージを行う。

●15:05
救急車で病院に到着。

●16:14
搬送先病院にて、本児の死亡が確認。



>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

そしてその後の地裁判決。児相側に5千万円の賠償命令が出た。

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

児相側に5千万円の賠償命令 食事アレルギーで男児死亡
日経新聞 2012/10/31 11:36

 横浜市の児童相談所に一時保護された3歳の男児にアレルギー物質を含む食事を与えて死亡させたなどとして、両親が国と市に約9千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、横浜地裁は30日、食事と死亡との因果関係を認め、市に約5千万円の支払いを命じた。

 森義之裁判長は判決理由で、死因は児相がアレルギーの卵を含んだちくわを与えたことによる急性アレルギー反応のアナフィラキシーショックと認定、「市が注意義務を怠った」と指摘した。

 一時保護は男児を診断した病院が「虐待の疑いがある」と通告したためで、両親は通告や一時保護決定も違法と主張したが、森裁判長は「病気の原因は原告らが与えていたたんぱく源の少ない食事内容にあった可能性が高く、通告や保護は合理的だ」として退けた。

 判決によると、男児は2006年5月、国立成育医療センター(現国立成育医療研究センター、東京)で、手足の骨が変形する「くる病」と診断されて入院。病院は6月に「両親が適切な栄養を与えていない虐待の疑いがある」と児相に通告。一時保護した児相は7月、男児のアレルギーについて認識していながらアレルギー物質を含む食事を誤って与え、約7時間後に死亡させた。

 横浜市は「判決内容を精査して対応を検討する」とコメントを発表。男児の父親(51)は判決後「病院の通告と一時保護は不当で、その責任が認められなかったことは残念だ」と話した。〔共同〕


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

地裁判決後(平成24年)に横浜市から出された資料。


一時保護中に死亡した児童に関する損害賠償請求訴訟の判決について


その後、控訴審ではご両親の訴えが退けられた。

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

東京高裁はアレルギー死認めず 男児の両親、逆転敗訴

2013/09/26 19:01 【共同通信】

 3歳の男児を一時保護した児童相談所が、アレルギーの原因となる卵を含む食事を与えて男児を死亡させたとして、両親が横浜市などに求めた損害賠償訴訟の控訴審判決で、東京高裁は26日、市に約5千万円の支払いを命じた一審横浜地裁判決を取り消し、請求を全面的に棄却した。

 井上繁規裁判長は「アレルギー反応によるアナフィラキシーショックが死因とは認められず、突然死の可能性も否定できない」と判断した。

 判決によると、男児は06年、手足の骨が変形する「くる病」と診断されて入院。病院は「両親が適切な栄養を与えない虐待の疑いがある」と児相に通告。児相が一時保護した。


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

事故と裁判の経過をたどると、食物アレルギーのお子さんを育てることがいかに大変かがわかる。誰かの責任というよりも、追い詰めてしまったことに問題がないのか。お医者さんからも、アレルギーのお子さんをもつお母さんからも、「意思疎通が難しい」という話を聞く。「僕の指示の仕方、どう思う?厳しすぎると言われちゃうんだよね」「あの先生、私の意見を頭から否定するの。だからちょっと・・・。でも、そういうのは私だけじゃないのよ」こんな感じだ。でも、どちらも悩んでいることに変わりはない。なんとかならないかずっと思っていた。私は、亡くなったお嬢さんのお母様の言葉を思い出す。


 『私は娘に「あなたが気をつけなさい」と言っていました。アレルギーの子どもがいるお母さんたちだってミスするし、学校の先生や栄養士の方に要求するばかりでは何の解決にもならない。分厚いマニュアルをつくる必要もない。アレルギーは特別なものではない。自分たちの身の回りに存在する普通の問題だということに社会全体が理解を深め、あらゆる大人が子どもを見守るようになってほしい。』


社会全体で理解を深めることも大切じゃないのかな。


この続きはこちらへ。虐待通告を巡っては、疑われて苦しむ親御さんもおられる。双方の主張に耳を傾けるべきではないだろうか。↓

虐待通告 不服申し立てを認めて欲しい 









コメント

非公開コメント