2014/07/12

チッソの功罪 『水俣病』と『クロスカップリング反応の応用』そして子宮頸がんワクチン副反応問題

私達よりも上の世代にはチッソといえば「水俣病」という悪いイメージがある。私はこれまでずっと、重い十字架を背負わされて生きてきた気がしてならなかった。


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チッソ側代理人のお嬢さんとお孫さんに
いただいたペンダント


しかし、2010年夫が私に教えてくれた。その年のノーベル化学賞を受賞した日本人研究者、鈴木章・北海道大名誉教授の「鈴木クロスカップリング」をいち早く液晶に応用した企業がチッソだったのだ。


日本人2氏、ノーベル化学賞 根岸英一氏・鈴木章氏 炭素、効率的に結合 2010年10月7日 朝日新聞社インフォメーション NIE 教育に新聞を


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テレビ報道や新聞記事をみせながら、チッソと「クロスカップリング」の関係を私に説明してくれたのだ。いくら説明されても難しくてよくわからなかったけれど、私は目がしらが熱くなった。


科学(化学)技術には功と罪、光と影がある。きっと、「どちらか片方でなく、両方から成り立っているのが科学(化学)なんだよ」そう伝えたかったのだろう。


そうなのだ。公害病の原点と呼ばれる「水俣病」を引き起こしたのも、ノーベル化学賞を受賞した「クロスカップリング」を製品にいち早く応用したのも、出発点は同じ。人々の暮らしを豊かにしようという思いは同じだったのだ。鈴木博士がノーベル賞を受賞しなければ、私にはそれが理解できなかった。


だから思うのだ。結果だけを問うことが良いことなのだろうか。私の人生につきつけられた課題だ。


今回問題になっている子宮頸がんワクチンの副反応。ワクチンを推進したい人達にとって、副反応被害者はあってはならない存在のようだ。きっとこのブログだって苦々しく思っているだろう。


ところで、おととい発売された週刊文春に西岡久寿樹先生のインタビューが掲載されていた。私は西岡先生のおっしゃる通りだと思う。


もともと日本は公害病を生んだ国だ。私は日本社会が、副反応を重く捉えるとしても仕方がないと思う。


西岡先生がおっしゃっておられるように副反応と思われる症状を科学的に解明すれば、難病治療に結びつく可能性が出てくる。日本には日本にふさわしいやり方で、ワクチンを普及させればいいのではないだろうか?


先日、国立がん研究センターには「稀少がんセンター」が開設された。私は、大切なのはセンターを開設することだけではないと思っている。どれだけ真剣に「研究したい」と思う医師や研究者が集まるか、ということにもかかっているのではないだろうか。


その点、このワクチンの被害は不思議だ。


「被害を科学的に解明したい」と思っておられる医師は西岡先生以外にもいらっしゃるそうだ。それも、はじめはあまり関心がないのに、患者さんをみるうちに皆、真剣になるという。


確かに私も、これまで様々な資料を知り合いの研究者に知らせてきた。皆関心はあるようだ。昨年までは「家から出ていってやってくれ」と私を怒っていた夫も、熱心に読んで私に解説をしてくれたばかりだ。


西岡先生が批判を覚悟で週刊誌のインタビューにこたえていらっしゃることも驚くけれど、池田修一先生が先日のニュース23に出演したのだって、相当の圧力を覚悟してのことだろう。週刊誌よりもテレビはインパクトがさらに違う。池田先生の経歴を拝見すると私には信じられない‥‥。


教授挨拶 信州大学第三内科 内科一般、脳神経内科、リウマチ・膠原病内科 教授 池田修一


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ニュース23 2014年7月8日 放送 『子宮頸がんワクチン、厚労省の新たな体制案に批判も』

池田教授のもとには今も副反応を訴える新たな患者が毎週訪ねて来ると言います。先週の部会では痛み中心の研究班から患者の7割は症状が改善していると報告されました。しかし池田教授は因果関係の解明を強調します。

「改善しているのはあくまでも手足の症状だけ。改善しても非常にだるい慢性疲労症候群も問題。何らかの神経コントロールの異常があるはず。何も異常がなくてこれだけ共通に心因反応が起こるはずない。症状のきっかけ原因をつかむのが我々神経内科」



だから逆にこれは「もしかして」と思っている。これまでの名誉も地位も「すべてを捨ててもいい」と思わせる、研究者魂を刺激するような、何かがそこにあるということだからーーーーーー


必ず生み出される被害ならば、社会で共有すればいい。言葉でいくら「被害者を守ろう」と言ったところでやってみせなければ誰も信じないだろう。


基礎、臨床、教育が三位一体となり被害者を支援すれば本当に日本発の治療法が誕生するかもしれない。こういうことで世界を目指すのは、日本らしくていいんじゃないのかな。失敗を社会で共有するのは私の悲願でもある。


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『自己免疫疾患の第一人者が実名告発 子宮頸がんワクチンは脳神経を壊す』 ジャーナリスト鳥集徹 週刊文春 2014年7月17日号 より一部引用


現在、西岡医師のもとには、このワクチンの副反応が疑われる患者二十人近くが通っている。症状は全身の痛み、疲労感、睡眠障害、頭痛、関節炎、月経異常、筋力低下、しびれなど様々だが、特徴的なのが物忘れや記憶力低下といった、「高次脳機能障害」をうかがわせる患者が多いことだ。


「他の症状は繊維筋痛症でも見られますが、高次脳機能障害は繊維筋痛症にはない症状です。とにかく『成績が急に落ちた』『本が読めなくなった』という患者が多い。中枢神経、つまり脳に何らかの影響が出ているとしか考えられません」


なぜこんな恐ろしいことが起こり得るのだろうか。多くの医師が原因と睨んでいるのがワクチンに添加される「アジュバント(免疫賦活剤)」だ。日本で最初に発売されたHPVワクチン「サーバリックス」にはサルモネラ菌由来の成分が使われている。また、後発の「ガーダシル」には、HPVのDNAの断片が混入していることが明らかになっている。


「このような異物を体内に入れたら免疫のメカニズムが狂い、正常な組織まで攻撃する『自己免疫反応』が起こることは、欧米の研究者によって明らかにされています。自己免疫反応による炎症がさらに炎症を呼び起こす『慢性炎症』の状態に陥り、様々なところに広がります。こうしたメカニズムによって、神経系の自己炎症が起こっていると考えれば、このワクチン接種後に生じている症状がうまく説明できるのです」


さらに問題は接種直後に副反応が起きるとは限らないことだ。通常、ワクチンの副反応は発赤や発熱など接種直後に発生することが多い。しかし、西岡医師らが患者十五人を対象に行った予備調査によると、副反応は接種後平均して八・五ヶ月後に発生しており、しかも時間の経過が長いほど、脳神経の症状が重くなる傾向が見られた。


「厚労省の検討部会は『一ヶ月以上経過してから慢性の症状が発症している例は、接種との因果関係を考える根拠に乏しい』と切り捨てました。接種から慢性の炎症の症状が出るまで時間がかかることは、免疫学的には十分考えられるのに、『根拠に乏しい』で片付けるには、あまりにも暴論です


(中略)


厚労省は『海外では安全性は懸念されていない』と説明していますが、私が国際的なネットワークから得た情報では、海外でも大きな問題になっている。厚労省の健康局や検討部会は事実を隠蔽しようとしているか、無知であるかのどちらかでしょう。


(中略)


西岡医師は日本繊維筋痛症学会と難病治療研究振興財団の共同事業として、「HPVワクチン副反応病態究明チーム」を立ち上げた。

(中略)

「なぜ副反応が出る人と出ない人がいるのか。それには免疫に関わる遺伝子のタイプが関係している可能性もある。このワクチンの副反応を研究すれば、他の免疫系・神経系難病の病態や治療法の解明に結びつく可能性もあるのです」


(中略)

「繊維筋痛症もかつては『心因性』『詐病』『なまけ病』とされたことがありました。こうした原因不明の病気は『一緒に勉強して、治療法を見つけましょう』と言うだけで、患者さんの心に光が射すのです。予断を持たず早急に原因究明をすることが、厚労省や専門家の責務ではありませんか


以下略


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日本人2氏、ノーベル化学賞 根岸英一氏・鈴木章氏 炭素、効率的に結合 2010年10月7日 朝日新聞社インフォメーション NIE 教育に新聞を


スウェーデンの王立科学アカデミーは6日、今年のノーベル化学賞を、根岸英一・米パデュー大特別教授(75)、鈴木章・北海道大名誉教授(80)、リチャード・ヘック・米デラウェア大名誉教授(79)に贈ると発表した。3人は金属のパラジウムを触媒として、炭素同士を効率よくつなげる画期的な合成法を編み出し、プラスチックや医薬品といった様々な有機化合物の製造を可能にした。=2・3・37・38・39面に関係記事


 ●薬品・液晶、広く応用


 日本のノーベル賞受賞は17、18人目となる。化学賞は6、7人目。


 業績は「有機合成におけるパラジウム触媒クロスカップリング」。


 薬でも液晶でも、分子の骨格は炭素同士の結合でできている。炭素同士をいかに効率よくつなげるかは有機化学の大きなテーマだ。その方法の一つとして1970年代ごろから注目を集めていたのが、異なる二つの有機化合物の炭素同士をつなぐ「クロスカップリング反応」だった。


 ヘックさんは、有機化合物の合成反応を仲介する触媒にパラジウムをいち早く使った「ヘック反応」を確立し、根岸さんがこれをクロスカップリング反応に応用した「根岸カップリング」を開発。亜鉛化合物やアルミニウム化合物を使った反応などにバリエーションを広げて、使いやすい形に改良した。亜鉛を使うと反応が安定し、合成できる物質の種類が増えた。


 さらに、鈴木さんは北海道大教授だった79年、亜鉛の代わりにホウ素を使って改良した「鈴木カップリング」を開発し、実用化に結びつけた。従来のカップリング反応は特別な溶液中などで行う必要があったが、鈴木さんの反応はこの弱点を克服した。特別な条件を整えなくても反応が進み、毒性が強い化合物を使わずにすむ。


 クロスカップリング反応は「世界中のありとあらゆる化学メーカーが恩恵を受けている」(三菱ケミカルホールディングス)という。


 鈴木カップリングの製薬への応用で有名なのは降圧剤バルサルタン(商品名・ディオバン)。血圧を下げる働きが強く、日本で最も売れている薬の一つだ。


 販売元の製薬会社ノバルティスファーマによると昨年の国内売上高は約1400億円(薬価ベース)。調査会社CSDユート・ブレーンによると、世界の大型医薬品の中で昨年、6位の売上高だった。



 農薬では、果樹や野菜など農業で使われる独BASF社の殺菌剤ボスカリド(商品名・カンタス)にも鈴木さんの反応が使われている。


 液晶テレビにも欠かせない。液晶材料の製造で世界のトップシェア争いをしているチッソと、独メルク社がいずれも採用。この結果、国内外の多くの液晶テレビやパソコン用ディスプレーで使われることになった。


 チッソによると、同社は1990年代半ばにTFT液晶の開発にこぎつけた際、鈴木さんのアドバイスを受けた。鈴木カップリングは「ロスが少なく、コストダウンにつながった。液晶の世界が伸びた大きな役割を果たした」(広報担当)という。画質が優れた新世代の有機ELディスプレーでも、EL高分子の製造に使われている。



 授賞式は12月10日にストックホルムである。賞金の1千万クローナ(約1億2千万円)は受賞者3人で分ける。


 ■根岸英一氏


 根岸英一さんの話 受賞が決まって、とても幸せだ。受賞は確信していなかったが、考えることはあった。20代のころにノーベル賞の受賞者と出会い「私にも起こりうる現実的な夢だ」と考えるようになった。財団から電話があったのは、(米国現地時間の)午前5時ごろ。ベッドで寝ていたところを起こされた。私の研究は、医薬品やテレビのディスプレーなど、とても幅広い分野への応用が可能だ。賞金は、今後も続けていく研究に使いたい。

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 ねぎし・えいいち 1935年、旧満州(中国・長春)生まれ。58年、東京大工学部卒業、帝人入社。63年に米ペンシルベニア大で博士号取得、66年に米パデュー大研究員、79年同大教授、99年に同大特別教授。(写真は7日、米インディアナ州の自宅。8日朝刊科学面に掲載)


 ■鈴木章氏


 鈴木章さんの話 アンビリーバボー(信じられない)。受賞を聞き、そう思った。北海道江別市の自宅にノーベル財団から電話があったのは、6日午後6時20分すぎ。受話器をとると、「ビッグニュースだ。45分までは、妻にしか伝えないで」と、まず言われた。「当たったようだよ」。妻に伝えたら、妻は「おめでとうと言わなければいけないのかしら」と言ってくれました。

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 すずき・あきら 1930年、北海道生まれ。54年、北海道大理学部卒。61年に同大工学部助教授、63年に米パデュー大博士研究員、73年に北海道大工学部教授、04年に日本学士院賞受賞、09年、英化学会特別会員に選ばれる。(写真は6日、札幌市北区の北海道大、杉本康弘撮影)


 ■リチャード・ヘック氏


 Richard F.Heck 1931年、米マサチューセッツ州生まれ。54年、カリフォルニア大ロサンゼルス校で博士号取得。化学メーカー・ヘラクレス社を経て71年、デラウェア大へ転出し、教授を務める。


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