2014/08/13

小児がんの『晩期合併症』 社会に貢献しながら、自分らしく生きられるように

小児がんの『晩期合併症』から考える 救命された患者も薬害被害者も調査を望んでいます の続き


小児がん 新たなリスク クローズアップ現代


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ロンドンに住む、アレクサンドラさん

「私は小児がんの晩期合併症がありますが、
上手く付き合っていけていると思います。
やりたいことができて、自分の人生を生きています。幸せです」



ロンドンオリンピックの開会式をみた友人の小児科医が私に言っていた。「『グレート・オーモンド・ストリート小児病院』が開会式のミュージカルで取り上げられている。イギリスの小児病院は国民に大切にされている。やっぱりイギリス人は違う」


小児がんの晩期合併症を特集したクローズアップ現代の後半では、そのイギリスの対策が紹介された。国民に大切にされているという『イギリス』の小児医療と、『日本』とでは、何が違うのだろう?


こういう番組をみるにつけ、私は疑問に思う。どうして私が「社会の理解を得ないと、退院後の子どもは幸せになれない。医療機関にいる医療者だけで支援を考えないで欲しい」と言った時には理解されなかったんだろう?


私は「がんを『撲滅』『制圧』しよう」という啓発には抵抗がある。がんの患者さんは『がんとともに生きる』を望んでおられるのに、私達市民は『撲滅』や『制圧』を目指さないといけないのって思ってしまうからだ‥‥。


もしも、がんの患者さんが生きていくうえで「社会の理解をえたい」ということであれば、教育現場での啓発に大いに賛成だ。私もやっぱり協力したいと思う。すさまじい勢いで高齢化を迎える私達の社会は、がんと『共存』していかないといけなくなるだろうから。


子どもが生まれた時に思った。もしも小児病院に、「私は以前小児がんだったんです」「僕は超低出生体重児でした」というスタッフが働いていたらいいなぁ。元気で暮らしている姿をみたことがないから、ますます不安になるのだ。


日本もイギリスや以前くらしたカナダのような社会になっていけばいいのに。


※    ※    ※



障害のある者と障害のない者が可能な限り同じ場で共に学ぶ インクルーシブ教育がはじまる


実の子を殺める母親が必ずといっていいほど口にする言葉がある。「将来への不安」である。「将来への不安」とは、自分が死んだ後のことだ。


生まれた子どもが障害や病気を抱えていたら、どんなお母さんだって落ち込むだろう。そもそも日本では障害者がいきいきと生活する姿を普段あまり目にしない。地方都市にいくほど顕著のようだ。


だから私は「子どもに障害が残るかもしれない」と告知された時、以前住んでいたカナダのことを思い出した。


私の住まいはオフィスビルが建ち並ぶ都心にあった。空港から降り立ったその日に驚いたのが、車椅子の人がいれば、ごく自然にドアを押さえる会社員の姿だった。いつも買い物をしていたショッピングモールには、病気や障害を抱えた人達が店員として働いていた。「私の障害はね」と話しかけてくるのだ。


近くには、世界的に有名な「シックチルドレン」という子ども病院があった。いつも救急搬送のヘリが患者さんを運んできていた。障害や病気を抱えた人達と共に生きる社会があるから、子どもの高度救命救急医療が成り立っているのだろう。


子どもが生まれた時、カナダのような日常が日本にもあったらと思った。隔離されているように別々に暮らしているのに、「前向きに生きよ」なんて「偽善」としか思えない。


もしも障害のある人達が、今よりももっといきいきと生活する姿が当たり前になっていけば、将来を悲観するお母さん達は今よりは減るだろう。


日本では「ダウン症児外し入学式写真」の報道があったばかり。今年度からはじまった、このような事業を通して、心のこもった副籍交流も全国に広がればいいなぁ、と思う。



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NHKクローズアップ現代 小児がん 新たなリスク 2011年1月31日


日本の小児がんの専門家が注目しているのが、イギリスです。10年以上前だから晩期合併症への対策が取られてきました。小児がん治療の拠点、バーミンガム小児病院です。


イギリス中部の小児がんの子ども達は、すべてこの病院で専門チームの治療を受けています。治療が終わるとすぐに定期的な検診を行う長期フォローアップがはじまります。医師は家族に、これまでの治療と、晩期合併症のリスクを詳しく説明します。


イギリスで長期フォローアップが可能なのは、がんの登録制度があるからです。子どもはもちろん、がん治療を行った患者1770万人ものデータが蓄積されています。データを分析することで、晩期合併症のリスクを予測し、それぞれの患者にあった長期的なケアが行われています。


晩期合併症の問題は子どもの問題から、大人の患者が増えるにつれ、社会の問題になってきます。小児がんの治療は彼らの未来の扉を開くものです。ですから彼らが社会に貢献しながら、自分らしく生きられるよう国が支えていくべきなのです



バーミンガム小児病院では晩期合併症専門の外来があります。治療を終えた患者に対し、毎年必ず検査を行います。この日検査に来た16歳の少年は4歳の時に肺がんになり、抗がん剤の治療を受けました。心臓の機能が落ちる晩期合併症が起きていないか、12年間検査を続けています。


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長期のフォローアップは小児がん経験者の自律を後押ししています。ロンドンに住む、アレクサンドラさんです。幼い頃に白血病の治療を受けたアレクサンドラさんは、低身長に加えて17歳の時に脳腫瘍を発症しました。放射線治療が原因の晩期合併症でした。


腫瘍は定期的な検診により早期発見。さらに専門医のアドバイスを受けることで学校に通いながら治療を受けることができました。アレクサンドラさんは看護学校を卒業。今月から夢だった看護師として小児病院で働きはじめています。


スタジオ


国谷裕子キャスター
「今のアレクサンドラさんのように、晩期合併症と付き合いながら、希望を持って自分は幸せだと言い切れる。そんなことが当たり前になって欲しいですね」



元がんセンター総長 国のがん対策を話し合う協議会の会長を務める垣添忠生氏
「素晴らしい話ですよね」



国谷キャスター
「やっぱり子どもを育てていく、子どもを守っていく、そういう視点が大切なんですか」


垣添氏
「結局、子どもは国の将来を担う、大切な存在ですから我が国では、少子化とか虐待とかいろんな問題がありますけれども、小児がんも将来を担う子ども達の重要な課題です。


小児がんというのは、がんの発症のメカニズムの解明にもつながると見られています。


がんの解明とか、発がんの解明とか、そういう視点から非常に大事な病気です。それから今きちんと治療すれば必ず良く治るわけです。


将来どういうことが起きるかということが、本人に対しても両親に対しても、きちんと医療従事者から知らされていることが、それに対して事前に対応していくという非常に大事なことになるだろうと思います」



国谷キャスター
「イギリスの取り組みを見ていますと、すべてのがん患者が登録されて長期的なフォローアップが行われ、しかも晩期合併症外来という窓口まで専門外来まで儲けられているという。こうなってきますと、『がん登録』ということが最初の大きなステップではないかと思います。


10年先、20年先に起きるといわれている合併症。日本でも登録ということがきちんとできていますか?」


垣添氏
「小児がんも含めて、成人のがんも含めて必ずしも満足する状況にありません。がん登録は大変地味ですけれども、今のがんの実態を正確に把握すると、あるいは将来を予測すると。


結局医療従事者にとっても行政にとっても、何よりも患者さんとご家族にとって、あるいは広く国民にとって情報提供することになりますから、がん登録というのは極めて重要な作業だと思います」


国谷キャスター
「どんなことが壁になっていますか?」


垣添氏
「個人情報保護法というものがあります。その理解が十分いっていないことがありますが、我が国では、私は、がん登録法といって、法律に根ざして個人情報は秘匿して、国は情報をまとめるという作業が必要だと考えています」



国谷キャスター
「このがん対策を話し合う協議会の会長としてこの小児がんに対する対策。これからまず何からはじめていかれますか」


垣添氏
「これまでがん対策推進委員会はがん対策推進協議計画を作って約5年たったわけです。24年度から後半の5年に入るわけですが、前半の5年でいろいろな問題点を今、協議会の中で検討しているわけです。


特に小児がんのことも含めて基礎研究に関しても、緩和医療に関しても、専門委員会で検討しているわけですが、専門員会で出てきた結論をできるだけ後半の協議計画の中で活かして、数の少ないがんに対してもきちんと対策ができるようにしていきたいと思っています」


国谷キャスター
「小児がんの病院の集約化やフォローアップ体制と、そういったことが含まれていくのでしょうか?」



垣添氏
「大人のがんの均てん化に対して、小児がんも含めた数の少ないがんの集約化、がん登録、患者さんの精神的なケアを含めた、あるいは治らない場合の緩和医療、それから家族の支援、そういうことも大事だと思います」



国谷キャスター
「いずれにしましても、先ほどの政人さんのケースを見ますと、社会の理解というものも非常に大事だと思います


垣添氏
「全く同感です。がんはどなたの身に起こりうるものですから、社会の問題として社会の理解を得るということが、結局、小児がんの問題をきちんとすすめていく上でポイントになると思います



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