2014/10/24

ナンバーワンは決して表に出てこない

BSE騒動が世間を賑わせた直後、手にとったら面白くて一気に最後まで読んでしまった。「食肉利権」などのタブーに切り込むような本が出てきたのは、インターネット普及率と無関係ではないだろう。


食肉の帝王 (講談社+α文庫)食肉の帝王 (講談社+α文庫)
(2014/10/03)
溝口敦

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内容紹介

”最後のフィクサー”浅田満のすべてを暴く3000坪の大豪邸に住み、一日に2億円稼ぐ男。山口組五代目から星野仙一まで、政・官・財・暴に隠然たる影響力を持つハンナングループ総帥のタブーに迫る!!

内容(「BOOK」データベースより)

“最後のフィクサー”浅田満―自民党のドンから山口組五代目、さらには宝塚スター、元横綱・北勝海に元阪神監督・星野仙一まで…その“威光”は、広く日本社会に浸透している。同和と暴力を背景に、途方もなく肥え太った男の半生を赤裸々に綴った衝撃作!!政・官・財・暴を手玉に取った「食肉業界のドン」が、狂牛病騒動に乗じてわれわれ国民の“血税”を貪り喰らう様を暴く。


印象に残ったエピソードは、浅田満氏は権力やお金を手に入れても、表にでない。ナンバー2でいるよう、心がけた、ということだった。


本当に力のある人は、そうだな、と思って読んだ。


ちなみに、この本には知っている人が出てきた。だから私はフィクサーと呼ばれるような人を必ずしも悪だと思っていないし、嫌いじゃない。


ところで、今年の保護者面談の時に息子の担任の先生が喜んでいた。「以前と比べて勉強するようになってよかったじゃないですか」


ううん、そうじゃない。違うと思ってしまった。息子に絶対的に足りないものがある。


私の頭には、浅田氏の子ども時代のエピソードが浮かんだのだ。


彼は小学校を中退し、実父の家業だった食肉卸の仕事を手伝いはじめる。同じ年頃の子ども達が楽しそうに遊んでいるのを横目でみながら、毎日働く。勉強しないから字が読めない。しかし彼は逞しい。御用聞きで彼がいくのはお金持ちの家が多かった。豪邸の前で「いつかこんな家に住むんだ」と思いながら、表札の漢字を手に書いて覚えたそうだ。そうやって働きながら勉強し、貧しさや差別をはねのけて生きていった。


息子には浅田氏のような逞しさが全くといっていいほどない。


時代も育った環境も違う。息子に同じようなハングリー精神やバイタリティーを期待してはいけないと思っている。


しかし、息子が大人になる頃、日本はどうなっているのだろう。


カナダに住んでいた頃、私の仲人がいつも私に言っていた。「中国人はやっぱりすごいよ。13億人以上の中から這い上がって生きてきただけのことはある」


中国人は日本人よりもよく働く。そのため、中国人街にあるカナダの銀行の支店は、休みの日でも営業していた。彼らの熱心なロビー活動が実り、建設中の鉄道の行き先が変更されたこともあったそうだ。


そういう人達と競わないと仕事がないかもしれない。


ないものをねだっても仕方がないけれど、「競争」という言葉が、息子にはあまりもない。


私が少しでも乱暴な言葉を使うと「チクチク言葉はいけません」と注意される。息子だけでなく今の子ども達は、昔の子どものように若くない女性に向かって「おばさん」などと言わない。


でもたまに思う。これが本当に良いことなのか。時々わからなくなるのだ。



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