2013/12/06

失敗が前提の世の中に変わればいいのに

クローズアップ現代、加速するiPS研究  ~山中教授に聞く実用化への道~を見た。山中先生すごーい。夫も基礎研究に関わってきたから目頭が熱くなってしまった。山中先生は「他を圧倒する業績を出すことが大切である」というようなことをおっしゃっていた。


夫は私が情報公開をするためにブログを書くことを反対していた。以前発言した時に様々な批判をされたからだろう。「助けてやったのに文句を言うな」などと書かれて、精神的ショックで首が動かなくなったことがあった。だから心配したんだろう。


アレルギー死亡事故を考える時、責任がどこにあるのかわからなくなる。皆が善意で一生懸命やっていたからだ。私は医療者ではない先生にエピペンをうってもらうなら「責任を問わない」という姿勢が大切じゃないかと思っている。iPS細胞の実用化にもたぶん同様のことが言えるんじゃないだろうか。


私は「無過失補償」という概念が日本にもそろそろ必要じゃないかと思ってきた。


「日本の不幸は失敗が前提の世の中でないことだ」と某新聞社で論説委員をしていらした方が教えてくれた。私が亡くなった方のために活動していることを知り、ぜひコラムで取り上げたいとおっしゃって下さったのだ。その時に取り上げた理由を、そうおっしゃっていた。


科学には失敗がつきものなのに、学校教育などではなぜか楽しさばかり教える。日本の科学教育のこのような姿勢はおかしいのではないかと思っていたそうだ。その通りだと思った。はやぶさが帰還した時、ノーベル賞をとった時だけ国民は大騒ぎするように思うからだ。


そのかげで、振り落とされていく科学者がどれだけいるか。やりたい研究があっても、研究費など簡単に獲得できない。それでも目指したいと思う人だけが到達できるのだ。失敗があるのが当たり前なのに安心・安全ばかり伝えていけば、事故を想定した訓練などできないだろう。


いざ事故が起きた時に世論の猛反発を受けるのも当たり前だ。猛反発されることがわかるから企業や役所も、不祥事が起きた時に隠蔽しようとするのではないだろうか。そもそも安心・安全を求めリスクを引き受けようとしてこなった私達市民にも問題がないだろうか。私もお願いばかりしてきたような気がする。


「無過失補償」を目指していくには情報公開していく必要があると思っている。「(プライバシーに関わるなどの理由で)学校や先生方が思い切ったことができないなら、私がやっていけばいいじゃない。学校の先生や学校栄養士さんは公務員だけど、公務員が良いことをやっていても当たり前。でも、ひとたび事故がおきるとここぞとばかり批判する。そういうメディアの姿勢もどこかおかしいと思う。良いことをしていることをもっと知って欲しい」と言ったら「そうだなぁ」と頷いてくれた。


ところで、私も山中先生のようなことを目指してきた。出産当時、24週には可能性があるのかないのか、情報が少なかった。病院に妹が差し入れてくれたニューズウイーク日本語版の育児の特集には、「発達が遅れる」「障害が残る」「高校に行けない子供が多い」「糖尿病・心臓病・精神病になりやすい」などのネガティブな情報ばかりのっていた。だから必要以上に恐くなった。


ただ「現在の最高レベルの医療の恩恵を受ければ、未来は明るいかもしれない」と書いてあった。ということは絶望するには早いということだろう。その一言に希望を見いだしたのだ。


それから、医学雑誌や専門書を買い込んで夫に論文をひっぱってきてもらい、とにかく情報を集めた。「希望を持てるような症例がなければ、自分でつくればいい!」そう思ったのだ。




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クローズアップ現代 幼い命を守れ ~小児在宅ケア・地域の挑戦~でお母さんがおっしゃっていた「「出会った人たち、いろんな人の協力があって、ここまで元気になれたんじゃないかな。」という言葉に共感した。一つの症例といっても、どれだけ多くの人達の協力があってここまでたどりついただろうか。NICUの先生方も退院した後の様子を知りたいそうだ。


批判もあるだろうけれど、そろそろ情報発信をしていくことも大切じゃないかと思うのだ。私もリスクを取らないといけないだろうな。



コメント

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山中教授

サクラさん、こんにちは!
リンクをありがとうございます♪私の方も早速リンクさせていただきますので、これからもよろしくお願いいたします。

ところで。
私も山中先生の番組を見ていました。今のiPS技術がどうなっているのかとても興味があったからです。
すごいなあと思いながらも、これは報道できる範囲内のことで、報道できない研究はどんなことだろうとも思いました。

成功の影には妬みや逆恨み的なこともあるでしょうし、批判や時には否定もあるのか・・・
過去の心臓移植の手術にしても、現在に至るまでにはそういうネガティブとどう戦うのかが、そこで立ち止まるのか発展して行くのかの分岐点の気もします。

事情は違っても、まずはサクラさんが元気でいることが第一・・・ですもんね(^^)

ありがとうございます

管理栄養おたぬき様

ありがとうございます。リンクも嬉しいです。この前学校に行って「栄養士さんもブログを書いているんですよ」と先生に紹介してしまいました。私はおたぬきさんのブログを多くの方に読んで欲しいです。

山中先生の番組をごらんになったんですね!おたぬきさんが書いていらっしゃることはその通りだと思います。

私のいとこも京大で研究をしているんですが(iPSではないです)が、山中先生のことをいつも褒めています。お人柄でしょうか。山中先生は実力がある一方で、患者さんの手紙を読みながら泣いてしまったりするそうです。純粋で素朴なところが人の心をつかんでしまうそうです。

もちろん予期せぬ副作用もあるかもしれません。番組の中でコストの問題をとりあげていました。コストは大きな問題になるかもしれません。私達の負担も増えるかもれないと思います。でも例えば、1型糖尿病の根本的な治療となる可能性があると思うと、がんばっていただきたいな、と思ってしまいました。お子さんには朗報ではないでしょうか。

山中先生も息子を見たらびっくりしてしまうと思います。

医療の力も大きいのですが、子供の可能性を引き出すのは人の力、教育だと思います。残念ながら親の力だけでは無理なんです。息子は給食が好きで学校に通っていました。食育の力もすごいと思います。日本の学校給食は素晴らしいと思います。