2013/12/10

小学校の食物アレルギー対策 不安と課題と「社会の要請」

PTAの役員をしている友達が遊びにきた。アレルギー事故のことや副籍交流などについて話し合った。年間を通していくつか保護者が主催する行事があるが、そこで配るお菓子のアレルギー対策はどうしようと言っていた。「お菓子をやめて赤鉛筆にしちゃえばいいか」と言っていた。確かにそうだね赤鉛筆は必需品だし。食物アレルギーについて知識がない役員さんでも、対応しないといけないから大変。


しかも友達のお子さんのクラスにはアレルギーのあるお子さんもいるそう。そのお母さんはお手紙を書いてクラスのお母さん達にアレルギーについて理解を求めたらしい。「日本は精神論だから」と言っていた。私もお母さんが個人でやっていくのは大変じゃないかと思ってきた。がんばれないお母さんだっているからね。


アレルギー対策は早急に対処すべきことと、時間をかけてやるべきこと、個人で対応すべきことと、学校というかまち全体でやっていくことがある気がする。ちなみに教育委員会から出された「食物アレルギー事故再発防止に向けた取組方針」には以下の記載がある。


【重点取組6】
緊急対応体制の確立 ○緊急時に備え,教職員の役割分担の明確化を図り,校内研修・シミュレーション訓練等を定期的に実施することで,実践的な技能の向上に取り組む。 ○東京慈恵会医科大学附属第三病院との連携による,アナフィラキシー対応ホットラインの積極的な活用を図る。


【重点取組7】
給食指導の充実 ○食物アレルギーのある子どもも,そうでない子どもも,共に生きる力をつけることを目的として,食物アレルギーについて正しい知識を深める給食指導を行う。 ○保護者に対しても,理解や協力が得られるよう,普及・啓発・情報共有に努める。


【重点取組8】
効果的な研修体制の構築 ○教育委員会事務局職員や教職員の危機管理意識の向上を図るため,それぞれの職種・職層に応じた効果的な研修体制を構築する。


【重点取組9】
事務事業等の進行管理 ○専門的な知識を有する者や食物アレルギーのある児童・生徒の保護者等が参加する第三者機関による評価や,市長部局との情報の共有・連携強化のしくみを構築する。○国や都の対策との整合性を図るなかで,食物アレルギーに関する取組が有効に機能しているか継続的に点検・改善等を実施する。




赤鉛筆は私達からすると楽なんだけど西日本新聞に掲載されていた「娘の事故を機に食物アレルギーに対し過剰な恐怖心が広がるのを心配しています。」「自分たちの身の回りに存在する普通の問題だということに社会全体が理解を深め、あらゆる大人が子どもを見守るようになってほしい。」に反しているような気もする。矛盾しているかもしれないが、私には、ご遺族のお気持ちも大切に考えて欲しいと思う気持ちがある。


それから私が気になっているのはいざショックを起こした時に、迅速に対応できるかだ。先生が集まってホットラインで相談したら数分かかる。エピペンをうつとなるとそれから数分ーーー。実際にやるとなると素早くできるのだろうか。すべてのお子さんが同じような経過をたどるとは思えない。もし私だったらと考えたけれど2,3分で決断するんじゃないかと思う。10秒間はりを刺さないといけないとされているそうだから。


東京都の食物アレルギー緊急時対応マニュアル 。下にある「緊急性の判断と対応」には5分で判断と書いてある・・・

アレルギー症状への対応の手順


緊急性の判断と対応


こちらがアメリカの対応↓
アメリカ 学校での食物アレルギー対策最前線


アメリカでは年間50人から100人もの方が亡くなっているそうだ。その数字がそのまま日本にあてはまるとは思えないし、食育を行っている日本の学校給食と単純に比較できない。しかし、食物アレルギーは増加するだろうからアナフィラキシーショックも増えていくに違いない。


アメリカのアレルギー対策はすすんでいると思うがそのアメリカでも「学校や教員の負担が大きい」という理由で反発もあるそうだ。エピペンを学校に常備する規則や法律が定められているのは全米50州のうち19の州。年間50人から100人亡くなっても半分以下だ。人が亡くならないと変わっていかないのはアメリカも同じかもしれない。


ちなみに児童や生徒が激しいショック症状を起こした場合、教職員などがエピペンを打つことが義務づけられていても、結果について責任を問われることはない。責任を問われなくても心理的なハードルが高いのだ。日本ではそこまで守られていないから、心理的負担はもっと大きいだろう。昨年の報道では担任の先生が悪いのかと思ってしまったと友人が言っていた。ネットニュースはあっという間に拡散するし、見出しで受け手の印象が変わる。様々な要因が引き起こしていることなど多くの国民は知らないからね。


私は「学校栄養士さんも含めて個人の責任を追及しない」ということが大切じゃないかと思っている。友達に言ったら「そうだよね」と言っていた。でもそれは社会の要請がないと難しいだろうな。アメリカで患者団体が啓発をし、学校での取り組みがすすんだのは「社会の要請」があったからだ。「社会の要請」というのはつまり「亡くなる子供の人数」だったのではないだろうか。友達も「そういうことだよね」と頷いていた。


今問題になっている先天性風疹症候群だって同様だと思う。30人という子供の数が多いか少ないかということなんだろう。相変わらず人々の関心は薄い・・・。


うーーーーん、どうなんだろう。これ以上犠牲者を出さないようにしないといけなんだけど、「教職員の責任を問わない」ということをすぐに理解してもらえるんだろうか。日本では、私のような人がいても当事者じゃないから議論になかなか参加できない仕組みになっているし。社会の要請って考えると恐いな、と思ってしまった。

コメント

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エピペン

対応マニュアル、学校にも配布されて必要なところに掲示されています。

お菓子のことが出ていましたが、都内の小学校ではここ数年の間に「お誕生日会」がどんどん取りやめになっているようです。
理由は、アレルギーの児童が増えて、保護者に誕生会の献立で使う食材はこれですが大丈夫ですか?と通知文を毎回出すようですが、それに答えてくれない保護者も多く・・・

通知文とは言ってもほぼ同意書になるのでしょうし、学校には生活管理カードが出ているのでそれを参考にすればいいじゃないと考えるかもしれませんが、担当者は確認と確信の安心感が欲しいのも確かです。

保護者と学校の共通理解は、簡単そうでなかなかハードルが高かったり、向いている方向が違ったりがまだまだあるのでしょう。

何事も1つずつクリアでしょうし、お互いにそれを理解しあうのが必要なのかもしれないですね。

Re:エピペン

おたぬきさん ありがとうございます。

通知文に答えてくれない保護者もいらっしゃるんですか。実はおたぬきさんのブログに書いてあったことを読んで反省したんです。

『 中には頑として診断書は出さない、でもうちの子供は○○アレルギーだと言い張る保護者がい て、実はこれがトラブルになる事がある』

『 学校は、診断書を書いてもらうのに医者に行く時間も料金も発生するのは十分分かっている。 しかし、必要のない除去食対応(ズバリ言ってしまえば、わがままな好き嫌いを給食でも押し通そうと する)をすることで、どれだけ他の生徒に影響が及ぶのか。 保護者の認識を改めさせるのに四苦八苦する学校もあるようだ』

私はそこまで先生が悩んでいるとは考えず「なんで何度も同じことをきくの」と思ってしまうことがあったからです。こういうことはブログがあったから見えてきたんだと思います。匿名でもいいから現場からの情報発信の必要性を感じました。

未熟児にも配慮が必要なことがありますし、アレルギーではない病気のお子さんも配慮が必要だと思います。一緒になって学校と話しあう機会があっていいかもしれませんね。

ところで、食物アレルギーが原因でお誕生会がなくなっていることをはじめて知りました。と、いうことは我が校の名物の行事はアレルゲンを使うから、中止しないといけない年も出てくるかもしれません。昨日、塾の先生が息子にお菓子をくれましたが塾の先生も気軽に配れなくなるかも・・・


アメリカがエピペンを携帯させるのは「自己責任」というメッセージであるような気がします。ですからアメリカがすすんでいる素晴らしい国かというと、私は必ずしもそうは思いません。日本の「食育」という細かな配慮のほうが私は好きなんです。おたぬきさんをはじめ栄養士さんは疲れちゃうかもしれませんが・・・

対応マニュアルって全部で8枚もあるんですね。これを先生が頭に入れて対応するのか・・・と思ってしまいました。