2014/12/08

『未病ビジネス』 人の健康は、右肩あがりで成長するのか

コメントをいただいたので、ずっと考えていた。私は「子宮頸がんワクチン」のそのものを、インチキだとは考えていない。問題だと思ってきたのは「売り方」であり「普及させる方法」。そして被害を救済する方法が構築されていない、ということだと思っている。そのようにご理解いただければ幸いです。


先週金曜日NHKの「特報首都圏」で「産むという決断 そして~風疹流行に揺れた“命”~」という特集が放送された。医療系の番組は一通り目を通すからもちろんチェックした。お母さん達の「私のせいだ」と悩むお気持ちは痛いほど伝わり、もちろん私も心が痛んだ。


「産むという決断 そして~風疹流行に揺れた“命”~」 特報首都圏

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しかしその一方で、「私のせいで」と悩み苦しむのは、ワクチンの被害者の母も同じなのに、という気持ちが私にはわき起こる。なぜ推進している方々は同じように悩む母親同士を、これほどまでに対立させてしまったのだろうか。


2014/05/29 「1から10まで数えられない」ほどの記憶障害、知的障害に苦しむ少女たち~子宮頸がんワクチン被害者の声


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「私を消して欲しい」「こんな体はいらない」
と痙攣しながら叫ぶ娘を
泣きながら私と主人で押さえる毎日。

助けて欲しいんです。
本当に苦しいんです。
早く治療法を見つけて下さい。


ちなみに、16日の火曜日には同じNHKで「緊急報告 子宮頸がんワクチン接種後の障害(仮)」という番組が放送される予定だ。


緊急報告 子宮頸がんワクチン接種後の障害(仮) ハートネットTV NHK


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そもそも、『周産期医療の崩壊をくい止める会』の募金活動の精神とは、こうした対立構造を解消しましょうとはじまったはずだ。


いつか被害者のお子さんが言っていた言葉が心にひっかかっていた。「お医者さんはワクチンや薬がなくて困っている子どもには、お金になるからやさしくする。でも、ワクチンや薬で障害をおった子ども達はお金にならないから冷たい」


確かにそうかもしれないーーーこれが立ち止まるきっかけだった。


先週「企画書」のようなものを一つ完成させた。あの被害者の投げかけた言葉に、エビデンスをつけて完成させていった。


ある社会学者の方に社会問題が生まれてくる構造の読み解き方を教えていただいた。新聞記者やジャーナリストの方々にもご指導いただいた。特にエビデンスはジャーナリストがおられなかったら出せなかった。


今まで出版や講演会のお話をいただいたことがあっても、あまり心が動いたことがなかった。何かを成し遂げたという達成感がなかったからだ。今回はじめて、一つ完成できるかな、と思う。


「どうして気づいたんですか?」とプロのジャーナリストや政治家の方に何度かきかれた。


必ず紹介する動画がある。2009年に公開された映画「ハゲタカ」の予告だ。『デモ』を企業買収に利用するところが、見えないビジネス「パブリックアフェアーズ戦略」にそっくりだからだ。


映画ハゲタカ

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なぜ一市民である私が見破ったのかーーーずっと考えている。やはり生い立ちにあるだろうか。


私に結婚のお祝いを下さった故鈴木義雄会長の存在が大きいように思う。鈴木会長は父に「お嬢さんを私か兄弟の会社に入れるといい」とすすめて下さったそうだ。鈴木会長のおっしゃった「兄弟」とは、メルシャンの故鈴木忠夫氏のことだった。亡くなった時報道ではじめて知った私は涙した。『フェア&リーズナブル』が座右の銘だったなんて全く知らなかったからだ。


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追想録 世界駆け抜けた気さくな秀才 鈴木忠雄さん (メルシャン元社長) 2010年 10月15日 日経新聞  より一部引用


従業員たちが日本に向かい黙とうをささげた。ささやいた言葉は「さようならタッド(忠雄)」。飾らない人柄を誰もが慕っていた。味の素の創業者の一人、鈴木忠治氏の孫。

(中略)

ワインを家庭に普及させるため、一本500円の「ボン・マルシェ」発売も指揮。一方で、87年に米ワイナリーのマーカム・ウィニヤーズ、88年に仏ボルドーのシャトー・レイソンを相次いで買収、メルシャンのワインの品質を高め事業のすそ野を広げた。


買収先のワイナリーの従業員には毎年、B 5判の紙3枚程度に家族を含めた近況を書いたクリスマスカードを送る気遣いを忘れなかった。座右の銘は「フェア&リーズナブル」。


鈴木忠夫氏の『フェア&リーズナブル』の教えが、完成させた企画書につながっていったのだと思う。私がロビー活動に猛反発したのは『人の健康は、右肩上がりで成長するのか』という疑問があるからだ。産業にしていけば、必ず救いようのない被害が生み出されていくだろう。一年間書いてきたように、救済方法などほとんどない。


「2人に1人ががんになる時代。これからはがんと共存する時代です」といいつつも、新たなワクチンが開発されれば、途端に「制圧しましょう」になり、いつしか「征圧しなければいけない」となっていく。そういうのって何だか恐い。がんは加齢とともに増える病だから、高齢化がすすめば誰ががんになってもおかしくない。夫が「いくら科学的根拠があっても、健康を語れば語るほど宗教に近づく」と言っていた。まさにそんな感じだ。


そして今回書いた企画書に満足できたのは、『私』がほとんどなかったからだ。これまで夫に書いたものを読んで感想をきくと必ず言われた一言があった。「『私が』『私が』と私が前に出てくるところが鼻につく。それでは社会貢献じゃなくて『独りよがり』だ。自分一人じゃ社会活動なんてできなかったはずだ」。


今回読み直してみたら、『私』が消えていた。やっとそういう心境に達したのだ。


小説家エミリ・ブロンテが1841年23歳のときに書いた詩「Riches I hold in light esteem」を最後に添付する。この詩は映画化される前、NHK総合で2007年2~3月放送された「ハゲタカ」の主題歌「ROAD TO REBIRTH」の歌詞として使われた。


土曜ドラマ 「ハゲタカ」 NHK  より引用

「日本買収」ビジネスを巡る二人の男の野望と挫折を軸に、合理化、弱肉強食が叫ばれる今、日本の会社にとって本当に必要な治療法とは何なのか?を問いかける。


「Riches I hold in light esteem」とは「富や財産など大切なものじゃない」という意味だそうだ。ハゲタカの音楽を担当した佐藤直紀さんが、この詩にメロディを付け主題歌にしたそうだ。この曲を聴いた時、私は鈴木会長や『フェア&リーズナブル』という言葉を思い出した。


国は『医療を産業』にするそうだ。しかし、私達にもたらされるのは何なのだろうか。良いことばかりではないはずだ。今の時代だからこそ、「人の健康や命は、右肩あがりで成長するのか」ということを、多くの方々に考えていただければ、と思う。


黒岩知事が語る神奈川県の未病への取り組み 健康・未病産業を創出し,個別化医療・治未病の実現を目指す 2013年11月13日 : 医師のための専門情報サイト[ MT Pro ]


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tomo the tomo - road to rebirth ~ a chainless soul ~

「Riches I hold in light esteem」 Emily Brontë


Riches I hold in light esteem,
And Love I laugh to scorn
And lust of Fame was but a dream
That vanished with the morn


And if I pray,the only prayer
That moves my lips for me
Is -‘Leave the heart that now I bear,
And give me liberty


Yes,as my swift days near their goal,
Tis all that I implore


Through life and death,a chainless soul,
With courage to endure!


富なんてものは問題にもならない
恋だって 考えただけで吹き出したくなる


なるほど名誉欲か?そういえば 昔夢見たこともあったが
日が射すと忽ち消える朝露みたいなものだった


もし私が祈るとすれば 自然に
口をついて出る祈りはたった一つの祈りだ


「今の私の心を このままそっとしておいてくれ
そして ただ自由を私に与えてくれ」という祈りだ


嘘ではない 光陰矢のごとしで どうやら私の終わりも近い


そこで私が求めるものは、ただ
何ものにも囚われない一人の人間として、勇気をもって、
生に堪え、死に堪えてゆく、ということだけだ


訳詩: 平井正穂 「イギリス名詩選」 岩波文庫


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