2014/12/22

『薬害エイズ事件』を考える その2 『安部武医師「薬害エイズ事件の真相」 誤った責任追及の構図』なぜ安部医師は無罪なのか

『薬害エイズ事件』を考える その1 『エイズ犯罪 血友病患者の悲劇』 の続き


安部武医師「薬害エイズ事件の真相」 誤った責任追及の構図 Amazon


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安部英氏が無罪ならば、あの頃の報道は何だったんだろう?


櫻井氏の『エイズ犯罪 血友病患者の悲劇』は主に被害者側からみた『薬害エイズ事件』についてだ。この櫻井氏の報道姿勢を「過った責任追及」と批判するのが、安部医師を無罪に導いた弘中 惇一郎弁護士と武藤春光弁護士の『安部武医師「薬害エイズ事件の真相」 誤った責任追及の構図』である。


私は正直なことをいえば、弘中惇一郎弁護士にはあまり良い印象を持っていなかった。


弘中氏を一躍有名にしたのは「ロス疑惑」だった。薬害エイズに限らず、あの当時の報道は異常だった。「疑わしきは被告人の利益に」という言葉は日本にはないと思っていた。だから私は弘中氏の活躍を応援していた。


ロス疑惑 wikipediaより引用

ロス疑惑(ロスぎわく)とは、1981年から1982年にかけて、アメリカ合衆国(米国)ロサンゼルスで起こった銃殺・傷害事件に関して日本国籍の男性にかけられた一連の疑惑。報道の過熱化(被疑者に対する人権侵害)や一事不再理の原則などの問題を投げかけた。


しかし最近の弘中氏はどうだろう。なんだか「無罪請け負い人」という言葉がふさわしいように感じてしまう。とにかく無罪にするために活動する弁護士のようだからだ。


弘中惇一郎 wikipediaより引用

経歴・人物

クロロキン、クロラムフェニコール、日化工クロム職業病裁判(六価クロム)など多くの薬害事件を担当したほか、マクリーン事件などを担当。ロス疑惑の銃撃事件で三浦和義の無罪、薬害エイズ事件における安部英の一審無罪、障害者郵便制度悪用事件で村木厚子の無罪を勝ち取り、逆に大阪地検特捜部主任検事証拠改ざん事件を見抜く小沢一郎の顧問弁護士でもあり、無罪を勝ち取り、「無罪請負人」の異名も持つ。芸能人など著名人の弁護人としてメディアに登場することも多い。また、茶道上田宗箇流の門人でもある。



「あの弘中さんの本か」と思うと、なかなか読む気になれなかった。どうせ大げさに書いてあるんだろうという先入観が私の中にあるからだ。


ところが、予想に反しなかなかおもしろい。この本の弘中氏の主張は頷く部分が多い。医療と裁判と、報道のあり方には改めて考えさせられた。


有名になった後の櫻井氏は「薬害エイズ事件」から逃げておられるように感じる。ジャーナリストを名乗るならをきちんと「薬害エイズ事件」総括するべきではないのか。事実と違うことで追い詰めていたのなら、それは報道ではない。結果的に、次の薬害被害者の声を埋もれさせてしまうことにもつながる。


ただ、この数年間活動してきて、弘中氏の主張にも全面的に賛成できない部分もある。


子宮頸がんワクチンの普及でいえば、中には製薬企業にお金を出してもらい海外に行ったり、あるいはロビー活動の一端を担っておられるジャーナリストや医師もおられる。故意であろうとなかろうと、人命に関わる正しい情報を伝えるジャーナリストや医師が、利益相反を抱えるのが当たり前の世の中になってはいけない。


今の日本には明らかに一市民にとってフェアでない現実があるのに、そこは不問、置き去りなんですか?と思う。


私は裁判という手段を選ばず解決してもらおうと要望書などを書いてきた。しかし、この国には「被害を最小限にくい止めよう」とか、「再発防止に取り組もう」とか、まして「情報公開を積極的にしよう」という姿勢をあまり感じない。


開示された診療記録

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ある医師が最近言っていた。今の日本の医療現場は20年前のアメリカにそっくりだ。これから様々な問題が噴出し、社会問題化するはず。僕たちは、勉強しようとしない同業者を守る必要があるのだろうか?産科にも、小児科にもダメな医師は大勢いるし、海外で通用しないようなことを学会で議論していたりする。それが今の日本の医療だよ。


私もその通りだと思っている。


民主党政権が誕生した頃、「医療が崩壊するから守ろう」という運動があった。けれど、「守ろう」では解決できない厳しい現実があることを知った。


もしも私が信じて疑わなかったら子どもは今のように成長していなかっただろう。いくら医療に救命されたからといって、すべてを信じるわけにはいかない。今は「信じて下さい」と言ってしまったことを何よりも反省している。



私は『薬害エイズ事件』から何を学べばよいのかいまだによくわからない。反省すべき点は一体何なのだろうか。あの当時、誰が何をどうすれば、被害を最小限にくい止めることが出来たのだろうか。たとえ原因がわかっても、改善されないなら意味がないじゃないか。


『薬害エイズ事件』を考える その3 薬害裁判 本来行われるべきことは何か



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