2014/12/25

『薬害エイズ事件』を考える その3 薬害裁判 本来行われるべきことは何か

『薬害エイズ事件』を考える その2 『安部武医師「薬害エイズ事件の真相」 誤った責任追及の構図』なぜ安部医師は無罪なのか の続き


この本の気になる部分を引用させていただく。いくつかの活動をしてきてその通りだと思う気持ちと、これは理想にすぎないと思う気持ちが半々といったところだ。


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『安部武医師「薬害エイズ事件の真相」 誤った責任追及の構図』第三部 安部医師への誤った責任追求と「薬害エイズ裁判 第11章検察の陰謀———国策捜査・国策起訴


6 本来行われるべきことは何か


わが国のマスメディアには、悲惨な被害者が現実に存在するにも関わらず。誰の責任をも問えないという苦しい現実を受け入れられない弱さがあるのではないでしょうか。だから悲劇がある以上、その犯人が居るはずだ、という感情的な反応の終止し、事態を冷静に判断しようとしないのです。


(中略)


アメリカでは、1995年に、この悲劇に対し、医師の責任や行政の責任を問うのではなく、立派なレポート(HIV and The Blood Supply)が作成されました。そのまえがきは、「この報告は、上の期間における血液あるいは血液製剤によるHIV感染について、いかなる個人的な決定または集団的な決定に対しても、法的責任をとることを求めたり、非難を加えようとするものではない。


本委員会の結論と勧告は、血液と血液製剤の受血者におけるエイズ蔓延の流れを抑えようと努力してきた人びとの経験から得られた教訓を、将来の血液供給を担当することになる未来の指導者たちに提供することを目的としている」と明言しています。


悲惨な被害に対しては被害の救済が必須です。しかし、悲惨な被害をもたらしたことに対して責任を負うべきは何者かが必ず存在するというわけではないのです。責任を負うべき立場にない誰かに責任を取らせるという幕引きを行い、再発防止のための努力を怠ることこそ、悲劇というべきでしょう。



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「薬害エイズ事件の真相」に書いてある、弁護士の主張はまさに私が関わってきた『周産期医療の崩壊をくい止める会』の『募金活動』の精神だと思う。福島県立大野病院事件の時に、私が福島地裁の裁判長あてに手紙を書いたのは、ここに書いてあることを願っての行動だった。


しかし、私は高度医療に救命された元患者であるが、同時に医療における被害者でもある。薬害被害者といっていのかわからないけれど、一応被害者としての活動もしてきた。救済への道筋を裁判をせず、行おうと考えた。私の関わった『募金活動』が、被害者の声を封じ込める圧力になってはいけないと思ったからだ。


病院には要望書を二通書いたし、法務局の人権救済窓口にも相談したし厚労省の調査に協力したこともある。それでも「改善された」とまではいえない。


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厚生労働科学研究費補助金 医薬品・医療機器等 レギュラトリーサイエンス総合研究事業 「患者から副作用情報を受ける方策に関する調査研究」の『副作用報告に関するアンケート調査』への回答


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情報公開はすすんでも、本当に開示して欲しい情報は黒塗りだったり、表にださない。結局メディアにお願いして報道してもらわないといけなかった。


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開示された診療記録


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だからこそ思う。もし、このように弁護士として主張なさるなら、被害者が救済される道にも手を差し伸べるべきではないのですか?


再発防止のための努力を、ちゃんとしてきたといえるのだろうか・・・厚労省はわかっていても、なかなか動いてくれない。被害が隠せないほど拡大し、メディアが記事にするまで動こうとしない。


例えば、子どもの給食に『マーガリンパン』というパンが出される。なんで日本では、いまだにトランス脂肪酸が放置されているんだろう?


そしていつも思うけれど、「アメリカでは」などと、海外を引き合いに出すのは都合がいい部分だけだと思う。私は北米に住んでいたことがあるけれど、救いようのない人権侵害には以外と敏感だった。あるメガファーマは、そのアメリカで悪質な手口が認められ、米国史上最高額の和解金(罰金を含む)を支払っている。日本ではきいたことがない。


「自殺の原因は今も昔もあまりかわらない」と夫が私に言っていた。犯罪も同じかもしれない。「借金」や「病気」「家族の不仲」などから引き起こされる。確かに、国立公文書館の『江戸時代の罪と罰』で展示された当時の記録をみたら、夫の言葉を思い出した。


国立公文書館平成26年度特別展 江戸時代の『罪と罰』~犯罪と刑罰の歴史~ (その2) 江戸時代の児童虐待事件 未成年の犯罪


薬害を生み出す原因もまた同じだ。「利益相反問題」「利益至上主義」「プロモーションの問題」「現場の医師の知識不足」など。


むしろ薬を売るためのキャンペーンは、巧妙になったように感じてきた。今でも、薬剤を推進する立場の医師やジャーナリストが、利益相反問題を抱えるのは当たり前のようにある。しかしそういう方々にかぎって「被害は救済されるべき」といいつつも被害者の救済には力を貸そうとしないように思う。


いつしか私の中から、募金活動の精神が消えていった。薬剤を推進する患者や市民は、製薬企業だけでなくメディアや医療者も好意的で応援もしてくれる。私じゃなくてもいいじゃない。私がやりたいのは、そういう活動じゃない。もっと社会的弱者を守らないといけない、と思うようになった。


『薬害エイズ事件』を考える その4 NHKスペシャル『埋もれたエイズ報告』 は誤った報道だった? 


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