2015/01/09

子どもにも『人権』がある  管理教育の恐ろしさ

医療ジャーナリズムには『人権意識』が不可欠である の続き


『テレビジャーナリズムの現在―市民との共生は可能か』にかいてある、1980年代後半から、繰り返し取り上げられたという学校現場での体罰の問題について書かれた一節を読むと愕然とする。ある母親の一言が強烈だ。


『テレビジャーナリズムの現在―市民との共生は可能か』津田 正夫 (編さん) 第三章 生活情報から見たテレビ二 教育・子どもの側の視点から 1「生理」まで管理される時代 より引用


「子ども達は校門をくぐる時、基本的人権などというものを捨てないといけません。校則が日本国憲法より上位にあるのですから」


1990年代に日本が子どもの権利条約に署名するまで、子どもの『人権』を教育者ですら考えていなかったようだ。本の中ではびっくりするようなエピソードがこれでもか、という感じで紹介されている。


  • 生理でも、泳がないといけないと指導される女子中学生


  • 髪が段カットになっていないか物差しで測る東京の私立女子校


  • 家庭でのしつけがなっていないからと、児童の排便が管理されている公立小学校



だからこそ、NHKは継続して取り上げたのだ。ところが「生理まで管理するのは行き過ぎ」と放送したところ、学校から抗議が入ったそうだ。教育現場といくら話し会っても平行線のまま。なぜなら、教師に子どもの『人権』という概念が全くないからだ。


今の私達からみれば当時の教育現場の考える正しさは、明らかに異常だ。しかし当時はまるで、信仰宗教に入信している信者に脱会するよう説得するようなものだったのだろう。異論を排除すると、正しさはいつしか歪んでいく、という見本のような事例だ。


今から思えば、番組にもっと説得力を持たせなければ、自らを正しいと信じて実行している教師達を納得させることはできなかったのだ、ということである。子どもの生理まで管理すると何が問題なのかを、子ども達に密着して取材することと、この取り組みを相対化するようなリポートを加えるべきだったと思う。


そうまでしないと、学校現場は、ふつうの市民感覚からするとおかしなことに気づかない。体罰などと違って、子どもの身体や生理への管理強化は目に見えた実害があるわけではないから、見過ごされがちだ。しかし子どもたちの人権意識やプライバシーの感覚を鈍感にさせていくことにつながっていく。



大きな事件にはなっていないが、日常的な体罰はいたるところで行われていた。しかし訴えでる人はいないーーーー


このような風土の中では、取材を依頼する側も「あなたの主張は正しい。番組をみた人もそう思うに違いない」と言うだけの楽天派ではつとまらない。番組に登場することによるデメリットをその当事者とともに具体的に検証し、地域は学校内外でどれほどの援護が期待できるか見極めなければならない。もちろん取材者側が放送後のフォローを続けること、何かコトが起きれば継続して取り上げ、社会に問題を問うことは当然なのだか、その効力はたかが知れている。


1990年代の学校現場は子どもへの人権侵害が当たり前のように行われていたようだ。しかし最近の学校現場ではその反対のことが起きている。


毎年、学校から教育内容に関してアンケートが配られる。私は質問にどう答えていいかいつも悩む。なぜなら、本来家庭でするべき「しつけ」まで教育の一環として学校が行うとされているからだ。例えば「おはようございます」「さようなら」など「あいさつ」は教師がしなくてはならない教育的指導なんだろうか?


「あいさつや掃除は、家庭でやる基本的な『しつけ』じゃないですか?『家庭でやって下さい』と言ったほうがいいと思います」と校長先生に言ったら苦笑いしておられた。


今の学校現場は、親の無理な要求から心を病む教員が増えているという。どうしてなのかずっと考えてきたけれど、この本を読んで理由がわかった気がした。1990年代の厳しい管理教育の揺れ戻しではないかと思ったのだ。何ごとも行き過ぎは良くない。


しかし実は、1990年代の管理教育は形を変えて今も生き続けている。学校現場に巧妙に入り込んでいる「製薬企業のキャンペーン」がその一つだ。今、また違う形で教育現場は管理されようとしている。


ちょっと落ち着きがなかったり、ちょっと算数ができないと「障害」を疑われる。いっけんすると暴力やいじめは減ったけれど、そのかわり「精神科」の受診を教師や保護者にすぐにすすめられる。学校から頻繁に配られるいじめ相談の窓口の中にも精神科へつながる窓口が紹介されている。


いじめなど困った時の相談は 東京都いじめ相談ホットライン 東京都教育相談 センター


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この絵本は長崎県内の小学校に、国民の税金を使って配布されたそうだ。しかも絵本の中ですすめている薬は、小児での使用で安全が確認されていないという。ちなみに、いじめで精神科を受診すると、この「統合失調症」という診断名がつけられるとよくきく。友人の医師がいうには「統合失調症」ぐらいしか、つけられないからだそうだけれど・・・。



そらみみがきこえたひ (こころの病気がわかる絵本―統合失調症)そらみみがきこえたひ (こころの病気がわかる絵本―統合失調症)
(2010/03/20)
宮田 雄吾

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〜そらみみがきこえたひ 幻聴が気になったらありもしないことを信じだしたら‥‥。〜  から一部引用

治療には「抗精神薬病薬」という脳の神経伝達物質の流れを調整するクスリが使われます。最近では昔に比べ、はるかに副作用も少なくなっています。この「抗精神薬病薬」を使用するためには精神科医の診察を受けて、処方してもらう必要があります



『人権』という言葉は認知されたけれど、私には真の意味で『人権』が理解されているとは思えない。なぜなら「いじめ問題」は「個人のこころの問題」だとどうしても思えないからだ。


そして、子どもの『人権』というのだったら、なぜ安全が確認されていない薬が処方されるのだろう。そもそも精神科の場合『診断名』が正しいのかもわからないのに、学校に絵本を配布して啓発する理由もよくわからない。


何よりも、いじめにあったら、精神的にまいるのは当たり前だし、「また何かされるかもしれない」と被害妄想が大きくなってもおかしくないと思う。


だから、神奈川県の黒岩知事が日本版ACIP「神奈川県予防接種研究会」つくったら、「ワクチン反対の会・神奈川」が生まれたのは必然だったと思う。


見えないビジネス 『パブリックアフェアーズ戦略』は人と人とのつながりを遮断する  その1 NHKに伝えたいこと


私は何人もの人達から「ワクチンを強制的に打たされる社会なんて嫌だ」「ワクチンをうたないと虐待と児相に通告されるなんてやりすぎ」「拒否する権利も認めて欲しい」というような訴えをきいた。


どんなに正しくても、管理される社会というものは確かに息苦しい。


夫は、免疫に関する研究をしているから感染症を防ぐためには多くの人にワクチンを接種して欲しいと願っている。しかし「強制的」にはしたくない、と言っていた。知り合いに、裁判で認められた副反応被害者がいるからだ。被害者だけでなく、家族がどんな思いで生きてきたかをみているからだ。結局、そのご家族はバラバラになってしまった。


心の痛みというものは、お金だけでは埋められないものなのだ。わかっていて強制するのは、教育者ではないということだ。


翻って、NHKでキャンペーンをしておられる記者さん達は、被害者や支援者の声をきいたことがあるのだろうか。おととし放送された、クローズアップ現代『風疹大流行 遅れる感染症対策』をみて私は疑問を持った。被害者にとって報道とは『命』だ。それなのに、まるで「被害者が騒いだから悪い」と思えるような内容を放送していたからだ。これはつきつめていくと被害者とご家族の『人権』問題にいきつくはずだ。


NHKのクローズアップ現代『風疹大流行 遅れる感染症対策』 

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私はMMR訴訟当時取材をしておられたジャーナリストに話をきいた。被害者の声もききにいった。『風疹大流行 遅れる感染症対策』をみて、どうしても疑問に思ったから、当時何があったのかを教えてもらったのだ。自分の目で、耳で確かめないとわからないことがある。


自分だけでなく、家族や友人が被害者にならないと言い切れるのだろうか。夫の知り合いは今も多くを語らないそうだ。果たして報道する側の記者さんはそこまで考えておられるのだろうか?


ところで、以前書いた「ワクチンを拒否してきた北米の『アーミッシュ』の中からワクチンを積極的にうつという人達が出てきた」という報道。アメリカは日本よりも管理が厳しいというけれど、夫にどうしてなのか理由を尋ねたら教えてくれた。『アーミッシュ』の中に、感染症やワクチンについて自発的に勉強する人が出てきて、ワクチン接種をまわりに広めたそうだ。


夫がいうように教育とは強制することじゃない。自らの意志で学び、選択することこそが教育だと思う。私は日本という国は、個人で考え、選択できる国であって欲しい。


『テレビジャーナリズムの現在―市民との共生は可能か』という本に出会い、改めて強く思う。


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子供に向精神薬処方増…注意欠如などで2・5倍 2015年01月13日 07時39分 読売新聞


子どもへの向精神薬の処方件数が増加し、13歳~18歳では、2002年~04年と08年~10年との比較で、注意欠如・多動症に使うADHD治療薬が2・49倍、統合失調症などに使う抗精神病薬が1・43倍になったことが、医療経済研究機構(東京)と国立精神・神経医療研究センター(同)などによる初の全国調査で分かった。


 調査は、02年から10年の間に、外来診療を受けた18歳以下の患者の診療報酬と調剤報酬の明細書約23万件を分析した。1000人あたりの向精神薬の処方件数などを算出し、統計解析で年齢層ごとの処方件数の年次推移などを比較した。


 02年~04年と08年~10年の処方件数を比べると、13歳~18歳ではADHD治療薬と抗精神病薬の増加に加え、抗うつ薬の処方も1・31倍となっていた。6歳~12歳でも、ADHD治療薬が1・84倍、抗精神病薬が1・58倍と増えていた。



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