2015/02/04

もしも私がロビイストなら 【臨床試験の基盤整備、患者・国民・社会との連携を推進するために】

私の使命 未来の国立公文書館『病と医療』展 の続き


もしも裁判がはじまったら、この『ロビー活動』が争点になるかもしれない。今日は私が『子宮頸がんワクチン』のキャンペーンになぜ、こだわってきたのか、その理由を書いておこうと思う。


私が疑問に思ってきたのは、子宮頸がんワクチンを推進しておられる方々の中に、「ドラッグラグや、臨床研究を巡る不正問題を生み出す原因は『薬価統制』だ」と主張する方がおられるからだ。


日本の新薬開発が欧米に遅れをとったのは、政府が価格を統制するから。御用学者が存在し、メディア支配でがんじがらめ。まるで原発利権と同じ。「製薬企業と医師の癒着ばかりを糾弾しても、『薬価統制』にメスを入れなければ、この問題は解決しない」とおっしゃっておられる。


ジェネリックの価格や、新薬を開発しない製薬企業が生き残っていける仕組みに対する批判は、確かにその通りだと思う。


けれど何かがおかしい。


引き合いに出されているアメリカは、むしろ新薬の値段が年々高くなり、庶民の生活を苦しめているという一面もあるからだ。なぜ、そこには触れないのだろうか。


さらに、一番の疑問はその方が、子宮頸がんワクチンの公費助成運動などにも深く関わっておられたことだ。あの時の啓発活動は、原発の安心・安全キャンペーンとそっくりだとワクチンを推進する医療者からも批判されている。


ちなみに私は、その原発利権の御用メディアのような『電気新聞』で取り上げていただいたことがある。コラムを書いた父の友人ですら、私を取り上げた理由を、このように言っていた。


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私は科学技術と社会の共進化という概念から相互作用のあり方を考えている。健全な共進化を実現するには科学技術側の課題もあるし市民側の課題もあるだろう。

市民側の課題としては人々の科学技術リテラシ-が重要であり、リテラシーの要素として「失敗の意義を理解する」「単純な因果関係が成り立たない場合がほとんどであることを理解すること」などを揚げている。

最近は、子供達の理科離れを食い止めるとか理科の面白さを伝えるといった取り組みが一種の流行のようになっている。しかし、そんなことで健全な共進化の場が構築できるのだろうか。



要するに「科学の良い面ばかり伝えてもダメなんですよ」ということだ。だから、子宮頸がんワクチンの強引なキャンペーンがどうしても看過できなくて、私はすれ違っていったのだ。


私が自分の足で調べはじめた理由は、この『薬価統制』の議論はさておき、「キャンペーンがよくないことをわかっていたのに、なぜキャンペーンをしたのか」ということだった。そこに戦後最大とささやかれている裁判を生み出す原因があると思うからだ。


「キャンペーンが悪い!悪い!」と批判していても、平行線のまま。何もみえてこない。どうしたらいいのだろうか?


そんな時にみつけたのが、集英社インターナショナルの斎藤貴男さんの短期集中連載だった。子宮頸がんワクチンの導入は、方向転換を促すための『起爆剤』だったそうだ。これが事実なら、いくら私が尋ねても・・・ね。


さらに調べていくと、面白い事実がわかった。 2009年に行われた『米国研究製薬工業会』の講演内容と「薬価統制」という主張が似ていると思うのは、私だけだろうか?


私は薬価統制をやめると「新薬が高くなるかもしれない」ということをその方がご存知ないはずがないと思う。ではなぜ、リスクについて触れようとしないのだろうかとずっと不信を抱いてきた。


斎藤さんの取材記事を読んだ時に、はっとした。「日本が戦場になっても、このまま沈没するよりまし」ということじゃないかと思ったからだ。まさにいつかみた映画の予告のようだ・・・。





いずれにしても、今回の騒動を引き起こした重要なポイントは「厚労省は押し切られた」ということ。もしも裁判になった時に、ここが争点になるかもしれない。奇しくも、先日見つけた文書には、このあたりのことがハッキリと書かれている。『運命』という言葉がピッタリだ。


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子宮頸がんワクチン問題を追う 「予防接種は国家経営そのもの」 ジャーナリスト斎藤貴男


(経産省の出身で、新日本PAがGSKのロビイング委託契約を結んだとされる時期、まさにバイオ課の幹部であったA氏の証言から一部抜粋)


バイオ課にいたら、薬屋さんから相談を受けた。要するに自分たちの世界には経産省の産業政策に当たるものがない、このままではどうにもならないから、なんとかしてくれと言う。


その代わりに護送船団で守られてるのと同じじゃないですか、我々のやり方だと、他の産業と同じような競争的環境におかれて、つまり戦場になるんですよ、と返しました。それでもいい、日本がダメになるよりはと仰るんで、じゃあお手伝いしましょうということになったわけ

(中略)

大臣が集まって何を話し合うのかといえば、製品の出口の部分です。つまり承認審査体制の整備と迅速化。最初は経済産業省の所管している医療機器の分野から入って、薬のほうも含めて、という。厚労省の事務方にしてみれば、自分たちの所管なのにと、非常に嫌だったと思うけど。でも、やらざるを得ませんわね


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私は映画『希望のちから』が好きだから一概に「悪い」というつもりはない。


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1998年認可以来、ハーセプチンは何十万人もの命を救った。現在スレイモン医師はUCLAで血液・腫瘍学部門長を務めている。リリーとペレルマンは18年間で一千万ドルの研究費を集めた。ハーセプチンは臨床試験を重ね、FDAより適応拡大が承認された。


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今から思えば、この映画が日本にやってきたのも、ロビー活動の一環だったのかもしれない。しかしそうであっても好きなことに変わりはない。


私が追求し続けるのは、もしもこのままロビー活動を不問に付したら、医療にたいする不信はなくならない。将来に禍根を残すだろうと思うからだ。


『希望のちから』が訴えていたことは、創薬とは「誰か一人の力ではなしえない」ということ。様々な人達の力が一つになってはじめて成功するもの、ということ。もちろんその中には、亡くなったがんの患者さん、残されたご家族が入るだろうし、一般市民、何よりも薬害被害者の理解も必要になるだろう。


臨床試験の基盤整備、患者・国民・社会との連携推進の支援が目的で活動するのならーーーーー当然、対話すべき人の中に薬害被害者がはいるはず、と私は思う。必ず生み出されるのなら、なおのこと。


もしも私がロビイストだったら、そこまでしっかり考えるけれどな。


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CPhI JAPAN 2009 特別講演:「薬価制度改革に大切なこと」
~PhRMA 米国研究製薬工業会 特別セミナー、関口康 PhRMA 在日執行委員会委員長~
日時: 2009年4月21日



4月21日(火)に開催されたCPhI JAPAN 2009 (第8回 国際医薬品原料・中間体展) にて、PhRMA 関口康在日執行委員会委員長が「薬価制度改革に大切なこと」と題し、特別講演を行いました。


関口委員長は、現行の薬価制度や治験環境、承認審査制度の問題が原因とされる「ドラッグ・ラグ」など日本の現状に言及し、「患者さんに革新的な医薬品をいち早くお届けする」というPhRMAの使命を実現すべく、現状を改善する方策を模索していくと述べました。


また、昨今の経済状況の中でも研究開発投資に注力している製薬業界が経済活性化の原動力となり、そして業界の成長が経済を牽引しうる可能性についても述べました。そのためにも、最も厳しく規制されている産業の一つである製薬業界に対する、政府の支援的政策や運用の必要性を訴えました。


特に薬価制度を中心とした今回の講演では、イノベーション促進を阻害するような「市場拡大再算定ルール」など現行の薬価制度の問題に言及する一方、「新薬上市時における適正な薬価算定」、「特許保護期間を通じた薬価の維持」、「市場競争に基づくジェネリック薬の使用推進」という3つの原則に基づき、現在製薬業界が一丸となり成立に向け取り組んでいる新薬価制度を紹介、今の進展に対する期待を語りました。


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