2015/03/05

キリン社長もうならせた「よなよなエール」のネット販売術

今日はブログを更新しないつもりだった。けれど、「ヤッホーブルーイング」の快進撃について面白い記事をみつけた!


(こちらは以前私が書いた記事↓)

ヤッホーブルーイング『よなよなエール』が大出世!


私はカナダでくらしていた時に夫に「日本のビールと違って、おいしいぞ」とすすめられ、クラフトビールを飲んだ。確かに、それまで飲んだどのビールよりもおいしい!と思った。こんなおいしいビールは日本にはないだろうな、とあの頃ずっと思っていた。


星野リゾート社長の星野佳路氏もアメリカでクラフトビールのおいしさに気づいたそうだ。アメリカというと、食事があまりおいしくないイメージがあるかもしれないけれど、クラフトビールはとてもおいしい。アメリカだけでなくカナダにも、小さなクラフトビールメーカーがたくさんあって、どのビールを飲んでも本当においしいのだ。


日本にも一時期、クラフトビールブームがあった。けれど、すぐに下火になっていった。記事にかいてあるように、まだ発展途上で品質にばらつきがあったからだ。


夫にキリンとの提携のニュースを教えたら言っていた。「『ヤッホーブルーイング』の素晴らしいところは、大量生産しても味が一定で、なおかつ価格が安価な点にある」。


確かに、クラフトビールはおいしいけれど、小さな瓶で700円というビールが普通だったりする。それを考えると素晴らしい!


でも、どうやって快進撃に結びつけたのかな、とずっと考えてきた。日本にそれほどビールが好きな人がいるとは思えないからだ。


記事を読んだらうなずくことばかり。「お客様一人一人を大切にする」「クレームをいってくれるようなお客様こそ大切にする。そういうお客様は発進力がある方だろうから」という考え方はいいな。ホームページをつくっても、お金をかけ、きれいにつくることが目的ではなく、お客さんとのやりとりを大切するというところも。


つまりは、『心』があるか、お客様のほうを向いているか、ということだからだ。


そして「ヤッホーブルーイング」は、自分の会社だけでなく、「日本のクラフトビール業界全体を活性化させた」という点も好きなところだ。


この考え方はよく考えたら、日経新聞の「私の履歴書」で重久さんが繰り返しおっしゃっておられた「自社の利益だけでなく、社会をよくするために誠実な仕事をするのだ」という「利他主義」という考え方なんだろうな。そして私はそのような考え方の企業が好きなんだろう。


そういえば「スノーピーク」も同じような会社だ。


新潟県三条市から生まれたグローバル企業 『 スノーピーク * snowpeak』


翻って「薬」や「ワクチン」はどうなんだろう?私はこの考え方が「薬」や「ワクチン」にも当てはまると思う。


被害を訴えておられる方は、『お客様』と何が違うのだろう、と思うからだ。なぜなら被害者は、ワクチンを製造する製薬企業やすすめる医師を信じたからこそ、接種したのだ。それなのに、なぜその方達にむかって「カルト」などという言葉を使うのだろうか。


私が考えてきたこと、いいたかったこととは、そういうことなのだろう、と記事を読みながら思った。


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キリン社長もうならせた「よなよなエール」のネット販売術 ダイヤモンド・オンライン 3月5日(木)8時0分配信


長野県の地ビールメーカー「ヤッホーブルーイング」の躍進がめざましい。いまや売上高は、大手4社とオリオンビールに次ぐ第6位。増産につぐ増産に対し設備投資リスクを抑えるため、キリンビールと業務・資本提携を結び、生産を一部任せるまでに業績を伸ばしているのだ。その原動力となっているのがネット上での売り上げだ。(ジャーナリスト 夏目幸明)


● スキー場で頭に雪が積もるまで売ったが 売り上げが伸びなかった過去


 1994年、酒税法の改正により、日本も世界にならい、小規模ビールメーカーが営業できる地盤が整った。これにより90年代後半、日本各地に「地ビール」メーカーが出現。観光地などに大手4社にはないビールのラインナップが一斉に並ぶこととなった。


 ちなみに、日本の大手ビールメーカーが出している商品の多くは「ラガー」と呼ばれる、低温で比較的長時間発酵させたタイプ。一般的に、スッキリした味わいが特徴だ。だがビールには、常温・短期間で発酵させた「エール」があり、こちらは華やかな香りや豊かなコクが特徴の商品が多い。そして林立した地ビールメーカーは、大手との違いを出すため、こぞって日本ではあまりなじみがなかった製法・味のビールを世に出した。


 「ヤッホーブルーイング」の「よなよなエール」も、そんな、日本では珍しいタイプのビールのひとつだった。元はといえば、星野リゾート社長の星野佳路氏が、米国留学時代に日本では珍しかったエールビールを飲んでうまさに惚れ込み、わざわざ長野県佐久市を拠点にメーカーを起業して製造したもの。味の評判はよく、創業と同時に地ビールが大ブームになったこともあり一気に売り上げを伸ばした。


 だが当時、星野氏は地ビールの一大ブームの到来になぜか危機感を深めていたという。現社長で、その後のネット戦略などを立案した井手直行氏が当時を振り返る。


 「僕は一営業に過ぎなかったので、製造が追いつかず、問屋さんから『商品をあるだけ持ってきてほしい』と言われる現状に、何も危機感を抱いてはいませんでした(苦笑)。しかし、すぐに星野が言っていたことの意味を知ることになりました。地ビールメーカーのビールは、販売価格が高く、日本ではまだ歴史も浅かったため、価格に味のクオリティが伴っていない商品も多かったのです。すぐ世の中に『地ビールは高いのにおいしくない』といった雰囲気が醸成され、弊社の売り上げも一気に急降下しました」


 つくっても売れない。売れなければ会社の雰囲気も悪くなる。営業は「製造に力がない」となり、製造は「営業が売ってこない」と言う。仲間たちは次々と退職して行った。往年の勢いは見る影もなかった。井手社長が2001年頃のエピソードを話す。


 「年末年始のスキー場でビールの試飲会を行い、観光客に商品を売ろうとしました。それくらいしかできることがなかったんです。スキーと温泉が楽しめるような観光地の土産屋さんの店頭で販売するんですが、雪が舞う中に何時間も立ちっぱなしだから、身体の芯まで冷えて、頭の上に雪が積もるんですよ(笑)。もちろん、そうまでして売っても『焼け石に水』なのですが、何もしないよりはマシでした」


どの業界でも、長期的な成功を目指す場合、在庫リスク、人員の過不足などを引き起こす短期的な急上昇は、むしろアダとなる場合が多いのだろう。


● 「チームひまわり」「【重要度 低】」… ファンを増やす個性派メルマガが当たった


 この惨状からの快進撃には、きっかけがあった。同社は1997年から楽天市場に出店しており、04年から楽天での販売に力を入れ始めたのだ。


 「最初は出店してホームページをつくったもののほぼ放置状態。お客様は1ヵ月に数人程度でした。ところが、楽天の営業担当の方が『よなよなエールはポテンシャルがある』とおっしゃるので、私は『ほかに打開策もないし』と考え、力を入れてみたんですよ」


 力の入れ方が興味深い。彼らはお金をかけ、きれいなホームページをつくるようなことはしなかった。お客様一人ひとりと強く結びつく、それだけを念頭にホームページを運営したのだ。



 最初はごく一般的な「ポイント2倍キャンペーン実施中」といったメールマガジンを書いたが、次第に、売っている人間の人柄が滲み出るような文章を書くようになった。例えば社内で「内勤の人いない? 」「内勤って何かカタイ雰囲気だよね」という会話があって、お客様に対応する内勤の部署の名称が「チームひまわり」になった話。


 さらにはメールマガジンに冗談が満載されているため、副店長からメールのタイトルに【重要度 低】と付けたらどうかとアドバイスされた話…。もちろんビールの紹介も書いた。2年間熟成させた「英国古酒」など、今までにない商品を販売した時は「日本のビール文化を豊かに」といった思いを熱く語った。


 顧客からの意見やクレームにも真摯に対応した。例えば缶が凹んでいたと言われたら、代替品を送るだけでなく、新商品と手書きの手紙を同封したりした。ビールに対する考え方の相異で、メールマガジンに顧客からの意見が届いた時は、まずは手間をかけさせてしまったことを丁寧に詫び、自分たちがなぜこのビールをつくったのか、なぜ説明にこう書いたのかを説明。自分たちが日本のビール文化をいかに盛り上げたいかを縷々書き連ねた。顧客は感心して、そのやりとりをブログに載せたいとまで言ってくれたという。


積極的に議論をしてくる顧客は、同時に、発信力があることを意味するのだろう。「こうして、一人ひとりファンを開拓していくと、熱い思いを返してくださるお客様が現れ始めました。例えば、三重県のお客様に、ご注文いただいた商品とは違う銘柄の商品をお届けしてしまった時です。私がクレームのお電話をとり、お詫びをして、すぐに代替品をお届けする旨をお伝えすると、お客様は寛大に許してくださっただけでなく、『醸造所の見学はできるんですか? 』とおっしゃるんです」


 「もちろん『ぜひいらっしゃってください! 』とお話ししました。すると、私は長野にいらした時のついでに、くらいのつもりだったのですが、お客様は翌週、三重県から工場見学のためだけにいらっしゃるというのです。私は宿泊施設を手配し、弊社のビールが飲めるレストランをご紹介し、さらには醸造の責任者に、醸造所をご案内してもらえるよう手配しました。お帰りになった時、季節がちょうど春だったので、お客様が『三重で終わったサクラがまた見れた~! 』とおっしゃったこと、固い握手を交わしたことは、今でも忘れられません」


 そのやりとりもメールマガジンに書いた。醸造者と顧客との強い結びつき、一人ひとりを大切にする誠意のこもった姿勢は、イコール、商品の味にも誠意がこもっていることを暗示した。


 他業界の話だが、インターネットの時代が来て、テレビのゴールデンの時間帯の番組は苦戦ぎみだ。消費者は、多少手間をかけても「自分にぴったり寄り添ってくれるサービス」を選択する。その点ゴールデンの番組は、老若男女にウケなければならず、制作側は今や「該当するコンテンツが「世界と日本」をネタにした番組や「食」くらいしかないと嘆く。時代は「マス」から「個」へと大きく動いているのだ。


● 自社のこだわりが伝わる商品を 次々と開発


 ビール業界にも、同じ傾向があった。一人ひとりが、自分に寄り添ってくれる商品を探していた。そして、同社のよなよなエールは、消費者の中でも「俺はこれが好きだ」とわざわざ買ってもらうべき商品だった。今までのラガービールのようにキンキンに冷やして飲むのでなく、常温より少し冷やし(同社は13度が理想としている)、香りを楽しみながら飲む。消費者には、商品と軽く触れ合うのでなく、商品に惚れ、リピートしてもらう必要があった。


だから、一人ひとりのファンを開拓していく手法は当たった。「逆に、観光客の方たちへの販売は、拡大するのをやめました。物珍しさでその場では買っていただけるのですが、リピートに結びつかなかったのです」(井手社長)。


 ビールのラインナップも、一部の人から熱狂的に支持される商品や、自社のこだわりが強く伝わる商品を出した。例えば「インドの青鬼」は、インディアペールエールというスタイルのビール。「植民地のインドで暮らす英国人の為につくられたもので、長期間に及ぶ海上輸送中に品質劣化をさけるため、通常より多くのホップを加えていたことが好まれ、そのままビアスタイルとして確立したとされる」という説明とともに売られる、非常に苦みと香りが強い個性派だ。


 大手ビールメーカーは、広くテレビや雑誌で広告を打ち、老若男女多くの方たちに「何となくおいしいんだろうな」と思ってもらえる販売手法を取る。これが「マス」のやり方だ。だが「ニッチ」の市場では、ヤッホーブルーイングという企業や、メインブランドであるよなよなエールを強く愛してくれる顧客を開拓する必要があった。ふたを開けてみれば、簡単なマーケティングの原理だ。


 「ただし、こう説明すると簡単なことかもしれませんが、実際は大変でしたよ。なぜって、すごく時間がかかるんです。この手法がとれたのは、やはり、ボクらが自社のビールを愛し、それを楽しんでくださるお客様に敬意を持っていたからです」。井手社長は、こう振り返る。


 こうして顧客を増やしていくと、彼らは、1対1の対応をさらに進化させていく。


 例えば、パブを借り切ってよなよなエールのファンのイベントを開催し、いつもメルマガを書いている社長が、ファンと触れあいを楽しんだ。いまはパブでは人数が入りきらなくなり、軽井沢などで大規模なイベントを開催している。その延長線上に、興味深い企画を用意した。彼らはローソンだけで販売する新商品『僕ビール、君ビール。』が販売されるタイミングに合わせユーストリーム上でファンを巻き込んだイベントを開催したのだ。井手社長が話す。


 「個性的でセンスがいい友人をイメージした、かえるのキャラクターを描いた缶が特徴的な商品です。そこで『かえる捕獲大作戦』と銘打って、選挙の速報のように『中野区で捕獲~』などと、ファンの皆さんと楽しんだんです」


 これが、ローソン史上に残る売り上げを記録した。一人ひとりのファンの獲得は、ついに、市場で認められるほどの大きなムーブメントに結びついた。彼らはネットを利用し、ニッチからマスへのブレイクスルーも果たしてしまった、と言えるだろう。


● 「ビールは人を楽しくしないといかん」 キリン社長もうならせた「愛の伝道師」


 いまは、多忙もあってなかなかメルマガを書けない井手社長だが、それでもファンに「ヤッホーブルーイングは変わった」などと言わせないだけの活動をしている。「例えば、楽天さんの『ショップ・オブ・ザ・イヤー』を受賞した時です。社員が書いてくれているメールマガジンのネタにもなっていますが、毎年、仮装して三木谷社長と一緒に写真撮影させてもらっています。最初に仮装した時は、係の方に『どなたですか? きょうイベントで何か催し物をやる方ですか? 』と聞かれ、なかなか会場に入れていただけませんでした(笑)。しかし、ふざけているように見えて、真剣なんですよ」


 井手社長は自分を「愛の伝道師」と名付け、仮装している。少しでも興味を持ってもらい、ホームページを見て「この人たち、どんな企業なんだろう? 」と興味を持ってもらえば、そこには、消費者の個性と必死で寄り添おうとする企業姿勢が、ちょっと冗談めかしつつ、強く打ち出された文章が並ぶ。


 企業らしく、カッコイイ「思い」ばかり打ち出すことはしない。そうではなく、笑いをとりに行くとか、自分をさらけ出したり下げてみるなど、ちょっとふざけて消費者の興味を惹いた上で思いを打ち出す。すると顧客に「なるほど、こいつら笑えるヤツらだけど、ビールにはこんなこだわりがあるんだな」と伝わる…そんな戦略だ。


 商品も、さらに個性を追求した。ビール「前略 好みなんて聞いてないぜ SORRY」は、銘柄名を聞くだけで、彼らの尖った姿勢が何も変わっていないことをマスに訴える力がある。


 こうしたニッチからマスへの売り方は、各業界へ伝播していく可能性がある。少なくともビール業界では、大手が彼らヤッホーブルーイングから学ぼうとしている。ヤッホーブルーイングは14年にキリンビールと業務・資本提携を結んだ。このあと、井手社長がキリンビールの中野本社に赴くと、キリンホールディングスの三宅占二社長(当時)は社員たちにこう話した。

 
「やっぱりビールは人を楽しくしないといかんよな。君たちも(コンビニやスーパーの)のバイヤーさんへ持っていく資料をつくるとき、マジメな顔で、パソコンににらみをきかせ、周りが凍りつくような感じで仕事してないか? そうじゃなく、こういうふうに楽しくせんと! 」


 それは「マス」への対応だけでなく、自分の個性を打ち出せ(=「ニッチ」にも対応せよ)という、社員へのエールだったに違いない。キリンビールとヤッホーブルーイング間では、人材交流も盛んに行われており、キリンの社員がヤッホーブルーイングへ学びに行くことも多い。ネットで商品を売る時の、新しい手法とみてよいだろう。


夏目幸明

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