2015/04/13

『うつを治したければ医者を疑え! 』を読んで その2 処方した薬には最後まで責任を持つ

『うつを治したければ医者を疑え! 』を読んで を書いた日の深夜、午前1時すぎに、メールをいただいた。またまた辛辣な批判コメントかなぁ〜と思ってメールを読んだら、違った。精神科医の先生からの、長いメールだった。


うつを治したければ医者を疑え!うつを治したければ医者を疑え!
(2015/04/06)
伊藤 隼也、特別取材班 他

商品詳細を見る



先日、引用させていただいた井原裕医師の言葉には、続きがある。


伊藤

今後、患者側に必要なのは医師をコンサルタントして、自分のおかれた状況を整理してもらことではないでしょうか。医者「に」何ができるかじゃなくて、医師「と」何ができるか考えるべきです。


井原

素晴らしい提案です。精神科医は一般市民がまさかこんなにも批判の声をあげるとは思っていませんでした。昔は統合失調症の患者さんばかり。幻覚や妄想を薬で押さえ込めば、あとはいたって従順な人ばかりでした。


ところが、伊藤さんの精神医療問題を追及する記事や、インターネットなどを介して、「モノを言う患者」が増えてきた。精神科医はびっくりしたわけです。「薬さえ飲ませておけば、患者は大人しく言いなりなる」と思っていたわけですから、迂闊だったのですね。一般市民の良識ある発言こそが現状を変えます。


これからも、声をあげて欲しいですね。


ただ在野には目立たないけれど、すぐれた実践を行っている精神科医もいます。市井に隠れた賢人がいるのです。こうした存在も忘れないで欲しいですね



私にメールをくださった精神科医は井原先生のおっしゃる隠れた賢人のお一人だと思う。井原先生のご発言を読んで、私もちょうど、その先生を思い出していたところだった。


先生には以前言われたことがある。


「私の知っている精神科医には、誠実な医師が多い。小児科医にも産科医にも不誠実な医師もいる。誠実で一生懸命診療にあたっている精神科医がいることを知って欲しい」。


私はそのメールをいただいた時に反省した。私の書いたブログを読んで、真剣に考えている精神科医がいることを知ったからだ。


民間企業ではクレームを入れるお客様の後ろには、同じようなモノを言わぬ、数百人のお客様がいるといわれている。だから、目の前の一人のお客様のクレームに真摯に対応するのだ。看過すれば、後々大きな不祥事につながるかもしれないからだ。


私が病院宛に、『要望書』や『手紙』を書いたのは、私以外にも理不尽な思いをしている人がいると思ったからだ。


同様に、メールを書いてくださった先生の後ろには、同じように考えておられる精神科医がいるのだろう。


その日を境に、私の中にあった、精神医療に対する怒りや不信が消えていった。


そして、おとといいただいたメールを読んだ時に、完全に無くなってしまった。そこには、なぜ私が理不尽な目にあったのか、その理由が書かれていたからだ。


要するに、私の心を回復させるために必要だったのは、なぜ「障害者」にされてしまったのか、その理由を知ることだったのだろう。


今まで裁判も考えたことがあったけれど、裁判とは「勝てそうな」争点で争うものだ。裁判では、きっとたどり着けないと思った。


ある時、話し合いで解決を目指す『医療ADR』という方法があることを教えてもらった。けれど対話型『医療ADR』も、私が求めていることとは、ちょっと違う。


なぜなら私が精神医療に送られてしまった理由は、様々な要因が重なりあって生み出された結果だからだ。『うつを治したければ医者を疑え! 』に書いてあるような、薬の問題、プロモーションの問題、医療政策の問題、医師の側の問題、患者と家族の問題など、多岐にわたるであろうことは、はじめから想像していた。


その頃、ある精神科医が起こした暴力事件が報道されたことも大きい。我が国のPTSD治療の権威である著名な精神科医が、患者を難聴になるほど殴ったのだ。しかも、その精神科医は「殴ることが治療の一環」だと堂々と主張していたのだ。


このようなことが診察室で起きているにもかかわらず、その後、学会等で再発防止対策が話しあわれたなどの話を聞いたことがない。きっと、その権威を簡単に辞めさせられないような事情があるのかもしれない。


今あるどのような制度を利用しても、私が知りたいことはわからないと思ったし、改善には結びつかないと感じていた。


しかし障害者でない人を、一方的に『障害者』にしてしまうなど、あってはならないはず。中・長期的に時間をかけ解決すべきこともあるが、緊急を要することもある。このような答申書が複数出ている以上、そうのんびりもしていられないと思った。


答申書 特定個人の診療記録等の不開示決定に関する件 


だから私は報道、ジャーナリズムに期待したのだ。


先生からいただいたメールには、このようなことが書かれていた。(文体などを少し変えてあります)


30年前は、精神病の患者さんにとって病院が家のかわりでした。


幻覚や妄想は薬物によって消えても、社会性はなかなか回復しないため、病気は治らないと考えられていて、社会で生活することは、患者さんには過酷なことだと思われていました。そのため、病院を居心地よくして、生活の場にしてあげようという感じでした。


(そうはいっても、実際には、快適な環境の病院は少なく、劣悪な環境のほうが多かったのですが)


でも、そのうちに、長期入院は良くない、社会復帰させなきゃいけないということで、退院促進がどんどん進められるようになってきました。私は退院促進は、良いことだと思っていたのですが・・・


でも、薬を服用している状態で社会に復帰しても、仕事はないし、人間関係も上手く構築できない。再び入院する人も多いのです。


残念ながら、デイケアや訪問看護や作業所など、医療や福祉や行政の提供するいろいろなサービスを受けながら、自分の足で生活できる人は、ほとんどいないのです。


そんな風に生活の質が低下していくのは、病気のためだとずっと思っていました。



この後、「早期介入」の弊害にも触れている。必ずしも患者のためになっていない現状がつづられており、今後は、井原先生と同じように、薬をなるべく使わない診療を目指したいそうだ。


もしかしたら・・・


私のように自力で断薬し元気に暮らし、しかもブログまで書いて改善を求める元患者がいることが、ある意味ショックだったのかもしれない。


夫は、私のように元気になれる人の方が少ないだろう。断薬して回復する、というエビデンスを出すのは難しいだろう、と言っていた。


だから私は今回、断薬をどのように、成功させたのか書こうと思う。


これは元主治医だったA医師 (精神科医)の処方だ。子どもが生まれた第三次救急にある外来だった。はじめこそ単剤だったけれど、あっという間に増えていく。


【 A医師 (精神科医)の処方 】

H17.5.27

ユーロジン2mg錠 1日1錠14日分

H17.6.20

1.ユーロジン2mg錠 1日1錠14日分
2.ドグマチール錠50mg 1日3錠20日分
3.レンドルミン錠 1回1錠5回分

H17.7.8

1.ユーロジン2mg錠 1日2錠14日分
2.ドグマチール錠50mg 1日3錠28日分
3.レンドルミン錠 1回1錠10回分

H17.8.5

1.ドグマチール錠50mg 1日3錠21日分
2.ユーロジン2mg錠 1日1錠
3.セロクエル25mg錠 1日2錠14日分
4.ユーロジン2mg錠 1日1錠
5.セロクエル25mg錠 1日2錠7日分
6.レンドルミン錠 1回1錠



次は「障害者」にされたショックで「眠れなくなった」と訴えた時の記録。「ベゲタミンA錠」が追加された。井原先生が対談の中でおっしゃっている典型的なダメな処方だと思う。要望書にも記載したけれど、自らの言葉で患者に心に負担をかけたのなら、自らの言葉で回復させるのがプロだと思うからだ。


H19.8.9

1.セロクエル100mg錠 1日1錠60日分
2.ベンザリン錠5mg 1日2錠30日分
3.アモバン錠7.5 1回1錠14回分
4.ガスター錠10mg 1日2錠30日分
5.ベゲタミン錠-A 1回1錠10回分



この後、私は転院し断薬を試みたのだが、なかなか上手くいかない。一番の原因は、精神科医は断薬の方法を知らないということだった。向精神薬の長期服用の影響で眠れなくなる、ということをご存じないのか認めなくないのだろうか。中には『SSRI』をすすめる精神科医までいた。


いくつかの病院を転々とした後、あるクリニックで診てもらえることになった。そのクリニックは、どんな患者さんでも受け入れることをモットーにしていた。私の主治医となったB医師は内科医だった。良い先生に巡り会えたとはじめは喜んでいた。しかし・・・


これははじめの頃の処方。試行錯誤してくれたものの、この後、やっぱり向精神薬が同じように増えていく。


【 B医師(内科医)の処方 】

H 22.3.15

①ツムラ抑肝散エキス顆粒(医療用)7.5g
毎食間 ×28日分
②ツムラ 小青竜湯エキス顆粒(医療用) 9g
毎食間 ×28日分
③エルピナン錠20 20mg 1錠
状の強い時に併用を 夕食後 ×14日分
④ミタヤク点眼薬2% 100mg5ml 1瓶
1日5〜6回 両眼1〜2点眼 ×1回分
⑤プロチゾラムOD錠0.25mg「タイヨー」 1錠
レンドルミンGE 寝る前 ×28日分



一番多く薬が出されていた時のもの。


H23.7.19

①ビオフェルミン配合散3g
毎食後 5日分
②ツムラ桔梗湯エキス顆粒(医療用) 7.5g
毎食間 5日分
③キプレス錠10mg 1錠
夕食後 5日分
④ツムラ葛根湯エキス顆粒(医療用) 7.5g
毎食後 7日分
⑤プロチゾラムOD錠0.25mg「タイヨー」 1錠
寝る前 ×14日分
⑥ユーパン錠0.5mg 2錠
夕食後 ×14日分
⑦ツムラ温清飲エキス顆粒(医療用) 5g
起床時 寝る前 ×14日分
⑧ツムラ補中益気湯 エキス顆粒(医療用) 5g
起床時 寝る前 ×14日分


この後、あることで行き違いになり、私はクリニックを放り出された。ちょうど師走で転院先など簡単に見つからない時期だった。元主治医だったそのB医師は、私が困るであろうことをよく知っていてそうしたのだ。


地元には以前診てもらっていた胃腸クリニックがあった。子どもが生まれた第三次救急で「障害者」にされたショックで、胃腸の調子がおかしくなり、一年近く通院していたのだ。


向精神薬はいきなりやめるわけにはいかない。夫がその先生は誠実だから、きっと相談に乗ってくれるはず、と私を励ました。私は、予約をとって胃腸クリニックのC医師に頭を下げてお願いした。


はじめは断られた。


「自分で処方していない向精神薬には、責任が持てないから」というのが理由だった。C医師も、向精神薬を処方するけれど、必ず最後の断薬まで責任を持つそうだ。ある薬学部で講師をした経験もあるから、薬の怖さをよくご存じなのだ。


C医師のおっしゃることはもっともだと思った。「責任を持てない」と断ることが、逆に誠実だと感じた。


大学病院に勤務する友人も私に言っていたことがあった。「僕は、向精神薬を処方しません」。それは患者のためを思ってのことなのだろう。


友人は治療法のない難病や末期のがんの患者さんに毎日見向きあっている。そのため、目の前の患者さんが、その薬を処方されたことで、将来、受け入れなくてはならなくなる不利益にも、きちんと目を向けている。一時の症状の軽減よりも、大切なものもあるからだ。家族が負うであろう経済的な負担など、最後の最後まで考えているのだ。


向精神薬という薬は、本当はそういう類いの薬だと思う。


「精神科医だけが悪いんですか?」とよく精神科医がおっしゃっている。簡単に処方してしまう内科があることだって、問題があるというのだ。確かに私はその通りの経験をした。


「責任を持てないから嫌だ」といっていたC先生は、私が一生懸命事情を話したら、私をおいてくれた。神様のように思えた。



【巾着袋付き】お薬を固定しカット! ピルカッター 千錠カッター (収納スペース付き) オリジナルセット (青色タイプ)【巾着袋付き】お薬を固定しカット! ピルカッター 千錠カッター (収納スペース付き) オリジナルセット (青色タイプ)
()
winning

商品詳細を見る



私が断薬までの一応の計画をたて、「まずは一錠を半分にします。お薬カッターを使って、半分に切って服用します」と言ったら、「自分でそんなことをしなくていいよう、僕が処方箋に書いてあげる」と協力してくれるようになった。


半年ほどで断薬に成功した。


私は、師走の街で途方にくれた時に、『主治医』とか『かかりつけ医』という言葉が嫌いになった。元気になったら、健康になりさえすれば、病院に行かなくてもいい、私は自由になれる。その一心で断薬を成功させた。全く関係のない胃腸クリニックのC先生に、これ以上、迷惑をかけることも嫌でたまらなかった。


一番悪いのは、はじめに処方したA医師(精神科医)だ。


しかし、向精神薬の怖さをよく知らず簡単に処方する内科医のB医師にだって、責任があるだろう。B医師は「ワイパックス(ユーパン)は安全だから、一生服用しても大丈夫」といつも私に言っていた。


でも、私を一番苦しめたのは、そのワイパックス(ユーパン)だった。何度やっても、なかなか断薬できなかった。


処方記録にあるように、その頃なぜか頻繁に風邪をひいていたし、原因不明の腹痛にも悩まされ続けていた。不思議なことに、向精神薬を断薬した途端、嘘のようにそれらの症状が消えた。ベンゾジアゼピンの長期服用にも問題があるかもしれないけれど、病気じゃないのに、受診を続けないといけないことが私にはストレスだったのだ。


だから私は、精神科医がいうように、なんでもかんでも、精神科医と精神医療の責任にしてはいけないと思う。


処方するだけなら、医師でなくてもできる。


最近、よく思う。あのクリニックのB医師は私以外の患者さんにも、向精神薬を処方していた。患者さん達はその後どうなったのだろうかーーーー


伊藤隼也さんへのバッシングは多い。


けれど、『精神医療』というレールに一度乗せられたら、容易にそこから抜けられなくなる現実がある。そういうことにも目を向けて欲しいし、血のにじむような苦労をし、断薬をしなければならなくなった患者がいる、ということを考えて欲しい。


その人達を生み出したものは、一体何で、これからどうすればいいのだろうか。


減薬や断薬を願う患者さん達へ、手をさしのべることもまた、医療だと思う。「自分の処方した薬には、最後まで責任を持つ」ということを、多くの医師に考えてもらえれば、と思う。


コメント

非公開コメント