2015/04/30

斎藤貴男さんの『子宮頸がんワクチン事件』が発売されました その2  対立構造を生むもの

斎藤貴男さんの『子宮頸がんワクチン事件』が発売されました の続き

せっかく良い本が発売されたから応援したい。私が良いと思った部分を紹介したいと思う。


子宮頸がんワクチン事件子宮頸がんワクチン事件
(2015/04/24)
斎藤 貴男

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●「子宮頸がんワクチン副反応原因究明チーム」


まず、なんといっても第一章『論争』。HPVVに慎重な立場の西岡久寿樹医師が立ち上げた研究班の豪華な顔ぶれに圧倒された。同時に、誰が、何と、闘っているのかわかるような気がした。


厚労省によるHPVワクチン接種の積極的勧奨見合わせから十ヵ月ほどが経過した2014年3月、西岡氏が自ら率いる日本線維筋痛症学会として田村憲久厚生労相(当時)に副反応の実態調査を求める要望書を提出したのがふりだしだ。


西岡氏はそのまま、年度が切り替わった翌4月、本格的な「子宮頸がんワクチン副反応原因究明チーム」を、自ら公明党の元衆議院議員で、厚労省などを歴任した坂口力氏(1934~)とともに代表理事を務める一般財団法人難病治療研究振興財団内に立ち上げた。メンバーは以下のとおり。


【代表】

西岡久寿樹

【副代表】

横田俊平 (横浜市立大学名誉教授)
松本美富士(東京医科大学医学総合研究所客員教授)
伊藤健司 (防衛医科大学校内科学膠原病・アレルギー科講師)
臼井千恵 (順天堂大学医学部精神科医准教授)
岡寛   (東京医科大学八王子医療センター教授)
長田賢一 (聖マリアンナ医科大学准教授)
堺春美  (元東海大学教授)
高柳広  (東京大学大学院医学系研究科免疫学教授)
中島利博 (東京医科大学医学総合研究所教授)
西岡健弥 (順天堂大学脳神経内科准教授)
平井利明 (東京慈恵会医科大学神経内科教授)
山野嘉久 (聖マリアンナ医科大学 難病治療研究センター准教授)

【ゼネラル・アドバイザー】

坂口・元厚生労相

【メディカル・アドバイザー】

黒川清  (政策研究大学院大学大学院教授・日本学術会議元会長)
珠玖洋  (三重大学大学院医学系研究科病態解明医学講座教授)
服部信孝 (順天堂大学医学部神経内科教授)

【コンプライアンス・アドバイザー】

郷原信郎氏(弁護士・元東京高等検察庁検事)


コンプライアンス・アドバイザーに郷原信郎氏という布陣には、このチームが既存の国策に対抗する性格を有しているだけに、かなりのインパクトがある。



斎藤さんも指摘しておられるように驚くのは『ヤメ検』として有名な郷原弁護士が参加しておられたことだ。


●横田俊平医師の証言 「友達が去っていった」


もう一人私が注目したのは副代表の横田俊平医師。横田医師は日本の小児医療の権威のお一人だ。斎藤さんは、横田医師に2014年11月にインタビューをしている。


横田医師の専門はリウマチや膠原病。横田医師ははじめに、リウマチや膠原病は専門医の数が少ないこと、その一方で近年、こどもの患者増えていることに言及される。


「(近年増えているこどもの患者さんは)若年性の線維筋痛症なんですね。リウマチと違って関節がやられるわけではないし、血液の検査でも異常がない。今の社会のもとで、育った経緯のなかでその子の性格の問題が出てきて、思春期に入り、家族から離れていくときにいろいろなトラブルを抱え込む、と。ですから僕らの治療は精神的なサポートが中心になったりする。よい薬もありませんしね」。


斎藤さんは、「この当たりの感覚が(西岡医師とは違って)『小児科医なのだろう』」と表現しておられた。


私はこどもの頃の主治医だった著名な漢方医、王瑞雲先生のおっしゃったことを思い出す。「アトピーなどの疾患は治療法を巡り家族がもめてしまう。だから小児科医は、目の前の患者だけでなく、家族をもみないといけないのよ」。王先生と同じように、横田医師の言葉の端々から、誠実で温かなお人柄が伝わってくる。


この後、横田医師は「これまでの患者さんと明らかに違う患者さん達が増えている」と証言しておられる。大変興味深い。


「(2012年の一月に、やはり全身痛の子を入院させたところ)まず、生理がとまった。繊維筋痛症ではあまり止まらないのですが。そして幻覚や幻聴。なにか変だねと言っているうちに、今度は計算ができなくなったとか、そういう子が十人ほども集まってきて」


調べると全員HPVワクチンを打っていた。患者さんを診ているうちに、ワクチンにたどり着いた。その患者さん達を紹介したのが、西岡医師。お二人で「何かがおかしい」と話したそうだ。


横田医師は、翌年に定年が決まっていたため、急いで臨床症状をまとめたそうだ。研究するには、大学に所属していないと費用などの点で、大変だからだ。


報告をまとめる時には、神経内科や小児科、児童精神の医師も参加した。その中には、黒岩義之医師という著名な医師も。


「(黒岩義之医師は)私が書類を持っていってお話ししたときには、『ああ、そう』みたいな感じだったんですよ。でも、患者さんを二人診た段階で、『これは由々しい問題だ』というメールをいただきました」。



斎藤さんが「横田先生は日本小児科医学会の会長もしておられましたね」と尋ねると先生は悲しそうにこのようにおっしゃった。「ああ、私と同じだ」と身につまされる思いで読んだ。横田医師のお気持ちが私には手に取るようにわかる。なんだか泣きたくなる。


「発言し出してから、親しかった友人たちが、忠告してくれながら、去っていくんです。『あいつらはワクチンには反対だ。先生もお立場をわきまえて。発言力がある方が、こういうことを口を出しちゃいけません』。でも、発言力があるから口を出すわけで。いずれわかってもらえるとは思いますけれども。


ワクチンはよいものだと、私は考えていますよ。それで予防できる病気は予防すべきだと信じています。それだけに、ワクチン全般がお母さんたちに信頼されなくなるのが困る。もはやそういう段階にきているんです。


実は僕も、小児科医学会の会長だった当時は、HPVワクチンを推進する側に名前を連ねていました」



小児科医はみんなおとなしいから、新しいワクチンが出るたびに、国に認めてもらえるまで、5年越しになってしまう。でも、HPVの場合は違った。産科婦人科学会が中心で、彼らはそれまでワクチンの導入など手がけたこともなかったはずだから、はじめは『やるなあ』と感心したそうだ。


「あれは、一年で通っちゃったでしょう。ずいぶん国会でロビー活動をして、専門家の会議を立ち上げたりして。『いやあ、小児科医も見習わないと』なんて、皆で言っていたんです。だから、余計に、そういうこどもたちを診てしまうとね」



『いやあ、小児科医も見習わないと』というロビー活動が本当に良いことかどうか。何回も紹介してきた動画をもう一度紹介しよう。簡単にいえばこんな感じだ。医療が産業になるということは、純粋に科学だけで決まっていくのではない。政治や経済と連動していくことを意味する。斎藤さんも危惧しておられたが、日本国民はただ主体性を奪われ、支配されていくかもしれないのだ。





●私が斎藤貴男さんにきいてみたかったこと


私が斎藤さんにお目にかかりたいと思った理由は、ロビー活動の実態に切り込んでくれるだろうと期待したからだけではない。もう一つ理由があった。斎藤さんは「日本をワクチン後進国にした」と批判されるMMR訴訟当時、活躍したジャーナリストのお一人だった。


2013年、風疹が流行し、『先天性風疹症候群』が社会問題になった。


この時放送された、NHKのクローズアップ現代で、当時の被害報道が批判されていた。この放送をみた時、違和感を覚えた。取材した記者は、恐らく被害者の誰一人にも取材せずに番組をつくったのだろう。民法ならともかく、公共放送であるNHKが、被害報道をこんな風にバッサリ切り捨ててしまっていいのだろうかーーーー

 
NHKクローズアップ現代 『風疹大流行 ~遅れる日本の感染症対策~』 2013年5月9日(木)放送

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実はこのとき、ワクチン行政の大きな転換がありました。予防接種を受けたあと、死亡したり後遺症が残ったりするケースが相次ぎ、1980年代から90年代にかけて、国は裁判で次々と敗れました。

「ばんざーい!」

それまで予防接種は受ける義務がありましたが、国は法律を改正し、受けるよう努めると個人の判断に委ねることにしました。

その結果、接種率が大幅に低下したのです。

 

私は息子が800gで生まれ、肺が弱かったため感染症の恐ろしさが身にしみている。街にある小児科には、息子を連れていけない。待合室で感染症に感染してしまうからだ。ワクチンをうつためだけに、あちこちの病院を渡り歩いた。息子が幼い頃は、被害報道を恨めしく思っていた。自分が精神医療の被害者になるまではーーーー


だから当事者である斎藤さんに、ご自身への批判について、どう思うかきいてみたかった。斎藤さんに、ジャーナリストとして、良いノンフィクションをかいて欲しい、という気持ちもあった。『クローズアップ現代』のように、どちらかをバッサリ切り捨て、対立構造をうむような内容でないものを、と願っていた。


斎藤さんはNHK のサイトにある短い動画をみて驚いておられた。「被害者はとても苦しんで、苦労したんですよ」とたった一言おっしゃった。


もちろん私も知っている。夫の友人の息子さんも裁判で認められた副反応被害者だからだ。だから『周産期医療の崩壊をくい止めるか会』にも参加したのだ。


あの時の私の言葉は斎藤さんを悩ませてしまったのだろうか。本の中では、そのあたりの揺れるお気持ちがかかれている。


国民の権利意識が高まり、個人防衛の側面が重視されすぎるようになったことが、欧米とのワクチンギャップを招いたとされる今日だけれど、筆者はまさにその過程で、おぞましいものを見ている。


お見舞いのことば

○○○殿(原文は実名)には予防接種を受けたことにより不幸にも障害の状態となられました。これは社会防衛のための尊い犠牲であり誠にお気の毒にたえません ここに予防接種法により生涯年金をお届けしてお見舞い申し上げます



MMRワクチンで重度の障害を負った女児が1993年に受け取った、厚生大臣名の書状だ。因果関係を認められた被害者に例外なく送られる文書である。亡くなった被害者の場合は、これが「お悔やみのことば」になる。どこまでも支配者の高みから、謝罪とか反省といったニュアンスを徹底して排除した表現には背筋が凍り付いた。


両親は泣いていた。書状を前に固まってしまった筆者に、父親が、「因果関係などないと逃げまくる人達たちを相手に苦労を重ね、やっと認定を得て、少しだけ、ほっとしたところだったんです。でも、それも束の間、どうして犯人の側にこんなものまで送りつけられなければいけないのですか。なんで、うちの子じゃなくちゃいかんのですか」と、声を詰まらせながら言った。



●被害者は『宝物』 ワクチンをより安全により確実なものへと導く存在


私が感じてきた違和感が斎藤さんの「どこまでも支配者の高み」という表現に凝縮されている。


夫や友人達は、免疫の研究に携わってきたけれど、このような表現を決してしない。「被害者は宝物のような存在。ワクチンをより安全に、より確実なものへと導いてくれる存在」という。


だから、「カルト」などの、冷たい表現を看過できるのは、結局は、被害者を一人の人格としてみていないというあらわれじゃないかと思う。


斎藤さんにお目にかかった時に、私は『電気新聞』のコラムの話をしたはずだ。


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「原子力村とよばれる人達の思いも様々だと思います。電気新聞という新聞は東電の社長や会長も目を通す業界紙だと思います。私の気持ちを理解し、コラムに書いて掲載してくれる、ということは、彼らに中に『悪いことをしたかもしれない』という気持ちがあるからだと思うんです。公人としては何もできないけれど、『もし、娘が罪悪感を持ったらどうしよう』とか、そういうことを考えてくれればいいと思います」。


確かそんなことを伝えたと思う。


この本を読むと、同じような構図がワクチンの推進にもあったことがわかる。推進している方々も思いは様々で揺れている。一枚岩ではない、ということだ。


いずれにしても、揺れる思いの方々がおられる、ということが社会に伝わることは良いことだと思う。


この前、被害者を受け入れる医療機関が記載された一覧表をみせていただいた。


これまではワクチン接種後に何らかの症状が出たとして、受け入れる医療機関はほとんどなかった。横田医師は、「お友達が去っていった」と嘆いておられたけれど・・・。横田先生のお友達の先生方にこの本を読んでいただき、よく考えて欲しい。


これからどんどんあたら新しいワクチンが開発されるだろう。


発想の転換をすれば、被害が出た時の受け皿が整備されるのだ。それも日本中に。世界中で、被害者のための受け皿が、これだけ用意されているのは、日本だけ。横田医師はワクチン反対派なんかじゃない。ワクチン推進のために力を尽くしておられる。


横田医師の名誉のためにも『子宮頸がんワクチン事件』が売れて欲しい!!


私なんか、『薬の嫌いなカルト』だとか人格を否定されるような冷たい言葉を投げかけられても、失うものがないからまだいい。でも、横田医師は我が国の小児医療に長年尽力されてきた医師だ。そのようなお医者さんを泣かせたらいけない。私は横田医師のお友達一人一人にお目にかかって説得したいくらいだ!!


夫と友人が言っていた「被害者は宝物」という言葉を思い出す。今度こそそういう世の中に、かわっていったらいいのにな、と心から願う。


最後に松藤さんのブログを引用させていただく。


人間らしく生きる権利 みかりんのささやき 2015-04-28

人権とは・・・・
私たち、全ての人が人間らしく幸せに生きるための権利。
人種や民族、性別や宗教を超えて、それらにとらわれず、万人に共通 した一人ひとりに備わった権利。

子宮頸がんワクチンの被害に遭ってから、人権とはなんだろうかと考えることがある。

世界人権宣言
第一条
すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である
 第二条
いかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる


差別してはいけない。
医師も、患者に対して尊厳を持って接して欲しいと思う。
もちろん、とても良い医師もいるので、こういうことを言うのが適切でないところもあるのかもしれない。
でも、明らかに、ワクチンの被害だというだけで、声を上げただけで差別を受けてきたように感じている。

被害に遭い、娘の背中の痛みがひどくて、肩と背中が盛り上がって、少しでもその痛みを和らげてもらいたくていった整形外科。
ワクチン接種後一ヶ月経っていなかったと思う。
車椅子に乗って、すがった医師から怒鳴られて、
「こんなところに来たってダメなんだよ。なんでウチになんか来るんだ。そんなもの治せない」
と追い返され、家に戻った。

近所の、比較的大きな整形外科だった。
あれからもう、私はもちろん、その病院へは行かない。

その時から、人権ってあるようで・・・ないのかなと、思った。

娘が娘らしく、幸せに生きる権利。

歩けない人も、重い病気を抱える人も、病と闘いながらも幸せに生きる権利は必要なんだよ。
相手が幸せであるようにサポートするのは、医師という前に、人として大切だと思う。



※ 2017年5月追記 ロビー活動の実態について(ロビー活動を請け負った会社、担当者した方など)新たに判明した事実を掲載しました↓

HPVワクチン『ロビー活動』から『薬害裁判』へ 市民を利用し『社会運動』をしてきたのは誰なのか? その1 

『医療志民の会』について 『がん対策基本法』から『医療志民の会』そして『公費助成運動』『医学部新設推進』へ

私が探し続けてきた人は、新日本パブリック・アフェアーズの座間恵美子氏か?

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