2015/06/05

私が 診療報酬明細書(レセプト)を開示請求した理由 

今年、ある社会学者の方の、向精神薬の被害の実態についての調査研究に協力することになっている。そこで改めて「同意書」と「お願い」を読んでいたら、「レセプト」を用意して欲しいと書いてあることに気づいた・・・。私はまだレセプトの開示請求を一度もしたことがない。






①調査対象者の方への事前準備としてのお願い


・事前調査票(様式4)への記入

受診した時期やその時の年齢、各時期の処方内容やその時の体調等について、あらかじめ事前調査票にご記入をお願いします。

・処方歴がわかる資料の準備

レセプト、お薬手帳、薬局の調剤明細書、カルテ、日記等、受診期間中の処方内容がわかる資料の準備をお願いします。受診期間中の処方内容については事前調査票に記入していただきますが、調査当日にも、必要に応じて記録を確認させていただきたいので記録のご準備をお願いします。ただし、保険組合のレセプト保管期間切れ等の理由のために一部の記録が揃わない場合には、どのぐらいの記録があるかを事前にお知らせ下さい。



必要だと思っていても実際に行動に移すのは難しい。請求手続きをしてくれるのは加入している保険の種類によって異なる。私の場合は夫の勤め先の大学。


心のハードルが高い・・・。「いつかやればいいや」と先送りしているうちに、一番最初の第三次救急の保存期間は過ぎている。「もう揃えなくてもいいかな」と思っていた。


でも先日、自死遺族のシンポジウムに参加し、精神科医の野田正彰先生をはじめ弁護士の先生、そしてご遺族の話を伺い、考えが変わった。亡くなった方のためにも、このままじゃいけない。もう少しきちんと声を上げていかないと改善されないと思うようになった。


そして先週行動にうつした。


健康保険組合を訪ねたら、はじめは「医療過誤ですか?」と驚かれたから「そうじゃないんです」と一生懸命説明した。
今までいろいろな働きかけをしてきて、その結果多剤大量処方やベンゾジアゼピンの長期服用の弊害が知られるようになったことなどについて。


内心、「健康保険組合の方でも向精神薬の様々な問題をご存じないのか」とがっかりする気持ちもあった。でも、こんなことでいちいち落ち込んでいられない。


国民健康保険に加入している場合の開示方法は、ネットでも詳しく解説してある。しかし、独立した健康保険組合の場合は組合によって、対応の温度差があるようだ。例えば電通やアサヒなどのように開示請求の方法を組合員向けにサイトで説明しているところもあるけれど、私のように「今まで誰も請求したことがない」といわれる組合もあるようだ。


ただ社会保障費が国民経済を圧迫する中で、たとえ大企業であっても健康保険組合はどこも大変なのだろう。最後は「今日、この場で申請はできませんが、前向きに検討してみます」と言っていただけた。


そして昨日連絡があり、いよいよ医療機関に請求するための書類に記入することになった。


私は社会学者の方の説明同意書をプリントアウトし、もう一度詳しい説明をさせていただいた。逆に言えば、精神医療で、今、何が起きているのか知っていただけるチャンスでもある。今回私が請求していただくのはここに書いたB医師のクリニックだ。


『うつを治したければ医者を疑え! 』を読んで その2 処方した薬には最後まで責任を持つ


それまで精神科医でない内科医のB医師のレセプトまでは必要ないと考えていた。しかし数ヶ月前、ブログに書いた、処方履歴や断薬の方法への反響が大きく、いろいろな方に感想を教えてもらった。圧倒的に多かったのは「断薬や減薬をしてくれる医師などいないのかもしれない。患者が育てるような気持ちで働きかけないとダメなんですね」だった。


医師はやはり他の医師がどんな処方をしているのか興味があるようだ。ある精神科医の先生には「いろいろ試行錯誤してみたんだけれど、自分が今まで受け持ってきた患者さんじゃないと、断薬や減薬はやっぱり難しい」と言われた。


先生が申し訳なさそうに言うから「自分で処方した薬には最後まで責任を持つですね。それでいいんだと思います。他の医師が処方した患者さんの責任まで、私は先生には求めません」と言ったら笑ってくれた。


「自分で処方した薬には最後まで責任を持つ」という言葉に、医師はハッとするようだ。そんなに真剣に考えてくれている精神科医もいるんだ・・・


だから健康保険組合の方にも、精神科医でないB医師に開示を求める理由を詳しく説明した。


「精神医療について勉強し、精神科医のお話を伺っていると、薬の怖さをよく知らず処方している他科の医師にも問題があると思うようになりました。開示したら先方は嫌な気持ちになると思い、今までずっと行動しませんでした。


しかし人生の一番いい時間を薬で失った被害者も大勢います。断薬や減薬まで指導できる医師が少ないのなら、入り口を狭める努力もしていかないといけないと思うようになったんです。


この先生は、ベンゾジアゼピンを『いつまで飲んでも害はない』と私に言って処方していました。私に処方したように、学生に気軽に処方して欲しくありません。しかし思っているだけでは伝わりません。気づいてもらうためにも開示請求をしないといけないと思ったんです」と言ったら、大きく頷いてくれた。


「自分の無知とはいえ、長期にわたり健康保険組合に負担をかけたことを申し訳なく思います」と最後に頭を下げ部屋を後にした。健康保険組合の方だから精神科を受診すると、いつまでも薬を飲み続けなくなることが多い事実をご存じなのだと思う。


たった一年半で私のブログへのアクセスが急激に伸び、「ブログを読んだことがある」と言われる機会が増えたのは、裏を返せばそれだけ被害が社会に広がった、ということでもある。


はじめて要望書を断三次救急に送った時に、話し合いに応じてもらえず、失望して泣く私に夫はこういって慰めた。「仕方がない。被害者を増やすしかない」ーーーーーーー


被害が社会に認知されることはいいけれど、だからといって失った時間が戻るわけでもない。未だに断薬や減薬のために、途方にくれる被害者も多い。被害者にとって、もう少しやさしい医療に変わって欲しいと願う。

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