2015/07/29

医療ジャーナリスト 伊藤隼也さんについて その7 命がかかっているから売れないと困る

医療ジャーナリスト 伊藤隼也さんについて その6 本当の誠実さとは何なのか の続き


●週刊誌やワイドショーなどの商業メディアが嫌いだった


父の会社の業績が悪化した時は批判記事をかかれたこともあるし、家に記者が押しかけてきたこともある。それでも「業績が悪い」「不法配当」などと書かれるのはまだ納得できた。しかし一社員が、恋愛感情のもつれから引き起こした事件までも、大げさに、面白おかしくワイドショーが報道した時には怒りしかなかった。また、ある事件で社員が逮捕された時には、お約束のように、手錠姿で連行される姿が、何度も繰り返し放送された。


私には社会正義のためでなく、社会的インパクトのために利用しているとしか思えなかった。家族は生きていかなければならない。この人達にそこまで追求する権利などない、と思っていた。


しかし、伊藤さんのかいたものを読んでいくと、伊藤さんは違うと感じた。生まれや育ちなど、個人ではどうしようもできないことを批判をしないし、溺れた犬を叩くような報道もしない。どちらかというとサピオの『うつで病院に行くと殺される』に代表されるように、誰よりも真っ先に飛び込んでリスクを取る報道をしておられるようだ。


だから必然的にバッシング、悪口も多くなるのだろう。敢えてギリギリのところに飛び込んでいくのは、やはりジャーナリストの原点がお父様を亡くしたから。伊藤さんがご自身がご遺族だからなのだろうと思う。


そしてもしかしたら商業写真をとっておられた経験が、今の医療ジャーナリストというお仕事に活かされているような気がした。


●元会社員のヤスダさん 誰の身にも起こりうる悲劇


ちょうど伊藤さんのスクープがフジテレビで放送されたので文字にしてブログにアップしてみた。私は証言しておられた大手企業に勤めておられたという元会社員のヤスダさんに注目した。今の先行き不透明な時代、誰がヤスダさんにならないと言い切れるだろうか。ヤスダの身に起きた悲劇は、誰に身にも起こりうる悲劇だ。


告発スクープ!狙われた税金 医療費の『闇』 生活保護を食い物に フジテレビ『みんなのニュース』 2015 年7月23日放送 その1 その2

告発スクープ!狙われた税金 医療費の『闇』 生活保護費まで・・・患者を囲い込む実態 フジテレビ『みんなのニュース』 2015 年7月24日放送 その1 その2 


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ナレーション

大手の企業に勤めていましたが、心の病で仕事ができなくなり生活保護を受けることに。ある日、大田区役所の相談員が自宅を訪れーーーー


ヤスダさん(仮名・50代)『心の病』で生活保護を受ける

訳わからなくなってBクリニックに連れていかれてそのまま、毎日通えとなった。


ナレーション

なぜか半ば強制的ともとれる形でBクリニックへの通院するよう相談員に言われ住むところまで決められたのです。



行政がすすめる「Bクリニック」に通えばフラフラになるような薬が投薬される。住む場所まで決められ、お金はすべて管理され自由に使えない。その一方で自立を促すような支援はほとんどなされない。「ここから出して欲しい」と行政に助けを求めたところで、保護を打ち切られる可能性がある。私はこの監査報告書を目にした時に愕然とした。





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これを人権侵害といわずして、何を人権侵害というのだろうか。


精神医療に限らず、役所や製薬企業は被害救済のためにはなかなか動こうとしない。導入する時には政治家を巻き込み、これでもか、というくらいお金をかけ、プロモーションを展開するというのに。


だから医療事故や薬害の被害者が救済されるには、世論を動かすのが一番の近道だ。近道というよりも、この国にはその方法しかない、というべきだろうか。コマーシャリズムをさんざん批判してきた私だけれど、いざ超低出生体重児の母になってみれば、私の声を社会に届けて欲しいと切実に願った。


●写真家と医療ジャーナリストに共通するもの


ただ伝えるだけなら、個人で書くブログで十分だ。関心のない人達を巻き込むためにメディアがあると思っている。だからもしも取りあげてもらえたとしても、テレビで視聴率がとれないと、週刊誌や本が売れないと困る!命がかかっているから、声を社会に届けて欲しい!と切実に願った。


伊藤さんがかいた文春の記事から『若年性乳がんになっちゃった! ペコの闘病日記』を振り返った時にあることに気づいた。伊藤さんはペコさんの苦しみが、どうすれば社会に素早く伝わるかを計算しておられたようだ。結果として、ペコさんに生きる希望を与えたように思う。


こちらは放送直後のペコさんのブログ。もう一度引用させていただく。


若年性乳がんになっちゃった! ペコの闘病日記 「とくダネ!」ありがとうございました!  2010/09/07


今朝のフジテレビ「とくダネ!」番組内で、
主に私のことを元にした、
ドラッグラグ問題の特集を取り上げていただきました。
自分が思っていたよりも反響が大きく、驚いております。
多くのコメントどうもありがとうございます。

今朝、病室のテレビで放送を見ていたら、自分の書いたブログの内容なのに
感極まって泣いてしまいました(汗)


一年後ペコさんが亡くなった後ポコさんが書いたブログ。


ちょうど1年前 若年性乳がんになっちゃった! ペコの闘病日記 2011/09/07


ペコからは、ブログの文章や写真を利用した放送になるらしいとの話を聞いていましたが、
ペコも私も「どう使うんだろうね」と直前まで話していました。


そして放送当日。

私自身は仕事のためリアルタイムでは観ることができなかったのですが、
ペコからのメールでは「自分が思っていたのの5倍ぐらい映っていた」とのこと。


使ってもらえそうな話をそんなにしただろうかと思ったのですが、
見舞いの後、自宅に帰って録画していたものを観て納得しました。

ブログや宝島の記事や写真を、それこそ駆使していただき、思い出深いものにしていただきました。



写真家時代の伊藤さんは薬師丸ひろ子さんや羽田美智子さんのような、今大活躍おられる女優さん達とお仕事をしたことがあるそうだ。


相変わらず写真家時代の伊藤さんを批判する人達は多いけれど、名前が知られるほど売れる、ということは才能がある証拠だ。そして13年間もの長きにわたりテレビのお仕事を続けておられるということは誰にでもできることではない。


だからこそ思う。写真家時代に新人の女優さんやモデルさんを売り出すために、インパクトのある写真をとっておられたことと、乳がんの患者さんだったペコさんを熱心に取りあげたことは、伊藤さんにとったら同じなのかもしれない。


今改めてペコさんのブログを拝見して、そんなことを考えた。

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