2015/08/31

厚労省の『拠点病院事業』の問題点 その1「子どもの心の診療ネットワーク事業」(後編)

厚労省の『拠点病院事業』の問題点 その1「子どもの心の診療ネットワーク事業」(前編)の続き

◇  ◇  ◇
  • 数え年で15歳(満13、14未満)の少女の犯罪 放火事件

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【罪】

気分がすぐれないので休ませて欲しいと主人にお願いした少女に、雇い主は冷たく突き放した。少女が「やめさせて欲しい」と願い出ると「支払い済みの給与を倍にして返せ」と言われる。やめることもできず、とうとう過労のためにすり鉢の水をこぼしてしまった。そんな少女に、主人は棒で打ち付け罰を与える。

「このままでは殺されてしまう」と思いつめた少女は、家に火をつけた。焼き払うつもりはなく、解雇してもらうつもりだった。


【罰】

本来であれば火罪であるが、15歳以下なので遠島の刑に。15歳になるまで身柄を兄に預け、15歳に達した時に、火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)に申し出るように。



  • 妻の不倫を疑い自害させてしまった夫

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【罪】

銭湯や買い物に出かければ、帰宅が遅く、酒に酔うこともしばしばだった妻を不倫をしていると思い込み、いつしか妻に無理難題を押しつけるように。たまりかねた妻は「疑いを晴らすために自害します」と喉に剃刀を押しつけた。「どうせ脅しているだけだ」と、止めずにいた夫の前で妻は絶命。


【罰】

自害をとめようとしなかったことと、妻が自害に至った経緯を偽って申告したことの二点が「不届」とされ、中追放に。しかしその後、自害したのはやはり不倫した事実があったのだ、ということになり、急度叱(きっと叱り)の軽微な処分になった。



  • 嫁ぎ先で夫と姑とうまくいかず、殺人を犯した数え年15際未満の少女 放火事件

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【罪】

後妻に入った嫁ぎ先で妻は妊娠。しかし夫と姑から「これ以上子どもが増えたら育てられない」と堕胎を強要された。さらにその後、姑は「自分と息子が堕胎を強要したという噂が迷惑」と何かにつけて、妻に辛くあたるように。しまいには二人だけで寝かせないようにした。

「こんな家にはいられない」と家を出た妻に、夫と姑は辛くあたり、謝罪しても聞き入れない。嫁入りに持参した品も返さず売り払った。耐えきれなくなった妻は、家を焼き払った。


【罰】

15歳以下なので遠島の刑に。15歳になるまで身柄を親に預け、15歳に達した時に、火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)に申し出るように。



  • 江戸時代の親による子殺し 児童虐待

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6歳の娘が夏から下痢気味に。「ウンチをしたくなったら教えて」と言ったのに、またおもらしをして着物を汚してしまった。(もう冬になり)厳しくしつけなくては。躾のために夜中に裸にして外に出したところ、娘の姿が見えなくなった。

以前姿が見えなくなった時には、お向かいの家にいたから、今回もそうだ。でもお向かいに声はかけなかった。翌朝家の入り口に凍え死んだ娘の屍が・・・。

極寒の夜中に裸で外に出すとは慈悲のかけらもない。母親には斬罪が申し渡された。躾ではなく虐待とみなされたのだ。



こちらは身につまされたコラム。江戸時代の冤罪は=死罪をはじめ拷問のような重い刑罰が待っている。考えると恐ろしい。


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尋問の達人と評判の与力が思うところがあり、帰宅後与力の服装のままで下男を呼び、盗んでいないことを承知の上で「金を盗んだな」と詰問した。下男は驚いて否定したが、厳しく詰問されるうちに罪を認めた。罪を犯していない下男の自白する様子に与力は衝撃を受けた。


自分は、今までどんな強情な囚人も自白させてきたが、なかには冤罪の者もいたのではないか・・・そう気づいたからだ。恐ろしくなった与力は職を隠居した。

◇  ◇  ◇


この企画展が静かに人の心を揺さぶったのは、「江戸時代にうまれていたら、私も罪を犯していたかもしれない」あるいは「江戸時代にうまれていたら、私も冤罪で島流しになっていたかもしれない」と思わせるからだ。



入り口のすぐそばに展示されていた江戸時代の刑罰が今でも忘れられない。「鋸挽(のこぎりびき)」「磔(はりつけ)」「獄門(ごくもん)」「火罪(かざい)」など恐ろしい刑罰の数々だ。


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時代劇に出てくる「名裁き」が人々の話題になり、今日まで語り伝えられているのは、今とは比べられないほど「死刑」が執行され「冤罪」も多かったことの裏返しのようだ。今だって冤罪がなくならないのに、昔は、ひとたび濡れ衣をきせられたら最後。「島流し」「磔(はりつけ)」など、びっくりするような重い罪がまっている。さぞかし悔しく無念なことだろう。死んでも死にきれないだろう、と私は泣きたくなった。


そして江戸時代と比べ、経済的に豊かになっても、一方で自殺者を毎年、数万人も出してしまう今の日本。この企画展が私達の心を揺さぶるのは、ある意味当然といえる。



●「拠点病院事業」の何が問題なのか?


氏家さんのインタビューを読んでハッとする。この言葉は今も役所の中で生き続けていると思うからだ。


「役人としては自分の業績や点数のために、とにかく犯人を挙げないといけない。そして、挙げた限りは白状させないといけない」


自死を逆に増やしてしまった静岡県富士市の『パパ、ちゃんと寝てる?』キャンペーン、そして先月フジテレビ「みんなのニュース」がスクープした【精神疾患患者“囲い込み”】と、江戸時代の冤罪を生み出した構図はよく似ている。役所や役人は「間違っている」と気づいても、隠しきれないほどの犠牲者が出るまで、問題を先送りし続ける。


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犯罪抑止や自殺や虐待予防を考える上で、大切なことは、一律に縛る対策ではない。一人一人、事情が違うから、支援は個別に考えないといけないということだろう。国立公文書館の展示は私の心にこう語り語る。「市民の苦しみや悲しみは、当事者である市民が一番よく知っている。市民が主体にならないと、解決なんかできないよ」。


それにしても役人は、「人は間違えるもの」という観点がいつも抜けているように思う。日本という国は、江戸時代から変わっていないんだなぁ。


厚労省の『拠点病院事業』の問題点 その2「子どもの心の診療ネットワーク事業」の不都合な真実 (前編)へ続く

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