2015/09/10

厚労省の『拠点病院事業』の問題点 その4 「『がん治療』日本はここまで遅れていた」 「緩和ケア」都道府県でこんなに違う!④

厚労省の『拠点病院事業』の問題点 その4 「『がん治療』日本はここまで遅れていた」 「緩和ケア」都道府県でこんなに違う!③ の続き


(※ これは週刊文春、2010年12月2日号に掲載された特集記事です。著者の伊藤隼也さんに許可をいただいて引用させていただきました)


●国はがん対策の方向転換を


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聖隷三方原病院の公式サイトで紹介されている、2008年度から2010年度、静岡県浜松地域で行われたプロジェクト「OPTIM 」の活動内容とその後の研究成果です。


緩和ケア普及のための地域プロジェクト|総合病院 聖隷三方原病院


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浜松市1000件の調査に基づくがん患者さん・ご家族の声(PDF)


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「最後まで生きるってそういうもんじゃないかなと思います。私は医療者が患者さんを抱え過ぎていると思うんです。家族でも婚約者でも、いろいろな人たちの力をもっと借りるべき。それがないと、病気は救えるかもしれないけれど、人は救えない。医者離れをきちっと早くしてあげて、次の選択肢を与えるべきだと思うんです」(同前)


山梨県の場合、緩和ケア病棟は梨病県立中央病院の15床のみだ。この現実をかんがみた場合、こういった地域に根付いた有床診療所の存在価値が高まってくるのは疑いようがない。だが国の制度はそこをまったくカバーしていない。土地邦彦院長が語る。


「経営は大変です。こういう診療所は入院単価がすごく安く設定されていて、カネのことだけ考えればやめたほうがいいってみんな思っているんですね。同じがん患者さんで差額ベッド代を入れても、病院の緩和ケア病棟の入院単価の半分以下ですからね」


患者に緩和ケアが行き届くには、がん拠点病院のような大病院ではなく、拠点病院と連携を持地域の診療所や在宅看護ステーションの数がもっと増えることが必須になる。



「イギリスのホスピスでは、管理している患者さんの数は多いですが、入院している患者さんの数は少ない。入院はせいぜい、1,2週間で、あとは在宅でやるという考えです。麻薬にしても早く痛みをとることを優先し、量を増やすときには観察のために入院させる。この量で大丈夫だとわかれば、あとは在宅です。


これからの日本でも、拠点病院の緩和ケア病棟で痛みのコントロールをして、その後はより身近な地域の診療所による在宅のケアを受けるという体制ができればいいと思います」(同前)


4回のわたる本連載では、国が進めるがん医療の「均てん化」政策がかえって「地域格差」と「病院格差」を生み出し、その実効性に多いに疑問があると指摘して来た。


いま大事なのは「集約化」すべき分野と「均てん化」すべき分野をきっちり分けることだ。外科手術や放射線治療などの高度な医療は、全国で100カ所程度に「集約化」したほうが知識と技術の集積と教育の面からメリットがある。一方、継続的な診療が必要な抗がん剤治療や緩和ケアは、患者が利用しやすいことが重要であり、地域に「均てん化」を進めるべきだ。



がん対策基本法の施行から3年。がん医療が患者に利益をもたらす方向へ進んでいるとはいえない。


11月19日、がん対策のあり方を考える厚労相の諮問機関「がん対策推進協議会」が開かれた。そこでは患者会から選出された委員が「自分たちの意見が全く反映されない」と、会長である板添忠生国立がんセンター元総長の解任動議をかける一幕があった。板添氏は、これまで「均てん化」の旗振り役となってきた人物だ。動議は秘訣されたが、がん対策のあり方に患者たちが不信を抱いていることが表面化した。


患者中心のがん医療が実現されるために、国はがん対策の方針転換を迫られている。






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