2015/09/25

『新型出生前診断』の問題点について その2 NIPTコンソーシアムは自主的組織なのか?

●臨床研究とは、何を目的に行う研究なのか?


先日のフジテレビ「みんなのニュース」をみて私が驚いたのは、『新型出生前診断』が臨床研究だということだった。全く知らなかった。


※    ※    ※


フジテレビみんなのニュース 「『新型出生前診断』わが子の障害・・・母の選択 」 その5

医療ジャーナリスト 伊藤隼也さん

「最初はわずか11施設ではじまった検査が50箇所以上に広まって、臨床研究という研究をほとんど体をなしていないんじゃないかという批判まであるんですね。そういう中で、妊婦さん達をどうやってフォローしていくか、行くにしても引くにしても非常な負担で、それがすべて当事者に委ねられているという現実が非常に問題だと思います」


※    ※    ※



それでははじめに『臨床研究』について。どんなことを調べるために行われる研究なのだろう?


※    ※    ※


臨床研究とは 一般の方へ 慶應義塾大学医学部クリニカルリサーチセンター

患者さんにご協力頂き、病気の原因の解明、病気の予防・診断・治療の改善、患者さんの生活の質の向上などのために行う医学研究を指します。新しい薬が政府の承認を得て一般の診療で使えるように、客観的なデータを集める目的の臨床研究は、別に臨床試験あるいは「治験」と呼びます。


治験(臨床試験)

新しい薬や医療機器を実用化したり、あるいは従来使われている薬の新しい使い方を検討するために、厚生労働省の定めに従って行う臨床研究をいいます。治験で集めたデータは、新薬の効果と安全性を検討する資料としてまとめられ、国の審査を受けます。国の承認を得て初めて、新薬が一般の治療に利用できるようになります。


治験の第1段階では、薬がどのように人体に吸収され、効果を発揮し、代謝されて体外に排泄されるかなどを健康なボランティアの方で調べます(「第I相試験」)。第2に、少数の患者さんで、新薬の安全性、効果、最適な使用量・使用方法などを調べます(「第II相試験」)。第3段階(「第III相試験」)では、多数の患者さんで、長期間にわたる安全性や有効性などを調べます。


その他の臨床研究

治験のほかにも、よりよい診断や治療のために医学的なデータを得るさまざまな臨床試験(自主臨床試験)があります。自主臨床試験によって得られた知見は、学会や専門雑誌への発表を通じて、医学の水準向上に役立ちます。


※    ※    ※



●NIPTコンソーシアムについて


次にこの臨床研究を主導しているのはどんな方々なのだろう。調べてみると『NIPTコンソーシアム』という団体のようだ。


※    ※    ※




2015-9-25-1.jpg


※    ※    ※



この『NIPTコンソーシアム』は不思議な団体だ。一言でいうと、子宮頸がんワクチンの普及をしてきた「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」に似ている。なぜなら公式サイトの説明では「遺伝学的出生前診断に精通した専門家(産婦人科、小児科、遺伝カウンセラー)の自主的組織」とあるからだ。ちなみに「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」はの公式Webサイトにはこのように記載されている。


※    ※    ※


設立にあたって | 子宮頸がん征圧をめざす専門家会議

「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議(子宮頸がん予防ゼロプロジェクト)」は、専門の枠を超えて、多くの医師、専門家、団体、企業が力を合わせて、多面的な視点から、子宮頸がんについて、社会・行政に向けた提言を行ない、私たちが果たすことができる役割を考えながら活動してまいります。


※    ※    ※



臨床試験については、 先ほどの慶應義塾大学のサイトの図がわかりやすい。もう一度引用させていただく。


※    ※    ※




※    ※    ※



●組織代表と研究代表は国立成育医療研究センターの周産期と関係が深い


この図をぱっとみて思うのは、『NIPTコンソーシアム』の臨床試験とは医師主導型か企業主導型なのか、それとも二つが混在して行われているのか、実態がよくわからない、ということだ。


不思議なのは『自主的組織』という一方で、組織代表の北川道弘医師のかつての所属先が、研究代表の左合治彦氏と同様、国立成育医療研究センターであるということ。しかも、北川氏の当時の役職は副院長・周産期センター長で、左合氏は現在、周産期・母性診療センターセンター長だ————


果たして『自主的組織』という表現が適切なのか・・・。


本当は、国立成育医療研究センターがこの臨床研究に深く関与しているけれど、全面に出し推し進めてしまうと「なぜ国は、ダウン症だけを排除するのか」などの猛烈な反発が予想される。だから、自主的組織をつくって活動する必要があったーーーーー


●国立研究開発法人国立成育医療研究センターの中長期目標


私の疑問を裏付けるような内容がかかれた文書を見つけた。冒頭に「厚生労働大臣の指示のあった」とあり、理事長の五十嵐隆氏の名前が記載されている。


※    ※    ※



2015-9-25-3.gif


※    ※    ※



国立成育医療研究センターは今後、以下のようなことを推進していくそうだ。


※    ※    ※


2015-9-25-4.gif


●企業や大学などとの連携を強化し、共同研究や受託研究を推進する

●遺伝子診断センターを設置し、次世代シークエンサーを応用した個別的遺伝子診断体制を確立する

●新型出生前診断を、3000件以上実施する


※    ※    ※



やはり研究の真の主体は国立成育医療研究センターではないだろうか。私はこの検査に「とにかく反対!」というわけではない。けれども、『NIPTコンソーシアム』の情報公開は不十分といわざるをえない。


続く

コメント

非公開コメント