2015/10/04

『新型出生前診断』の問題点について その6 希望を見つけ出すのが医療である 前編

『新型出生前診断』の問題点について その5  謎に満ちた『ジーンテック(GeneTech)株式会社』 後編 の続き


私がフジテレビの特集で気になったことはもう一つある。国立病院機構長良医療センター川鰭市郎産科医長の「魔法の検査ではない」という言葉だった。どのような理由でそうおっしゃるのだろう?今回私は「魔法の検査ではない」という意味を考えていく。


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●川鰭市郎医師は我が国が世界に誇る「胎児治療のパイオニア」





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「少なくとも一般の皆さんに十分理解されているところにはまだ到達していないのかな。魔法の検査ができたというふうな認識を持っている人がいるんじゃないのかと危惧しています」



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はじめに川鰭医師の経歴を調べてみる。こちらのNHKプロフェッショナルの公式Webサイトの解説がわかりやすい。フジテレビの特集は短いため、一言、二言の発言しか放送されない。川鰭医師の経歴を知ると残念に感じる。川鰭医師は難しいといわれる「胎児治療」を何例も成功させてきた凄腕の産婦人科医であることがわかるからだ。しかも、最大の武器は、診断の技術。先端機器を先駆的に取り入れ、その診断技術は世界にも知られているという。


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ただ、生まれる命のために


希望を見つけ出すのが、医療

おなかの赤ちゃんの成長がなかなか進まなかったり、へその緒がねじれていたり、さらには、流産や早産の危険を抱えるなど高いリスクを抱える妊婦が、川鰭の病院には数多くやってくる。出産まで予断を許さない”ハイリスク出産”が、実に9割を占める。


そうした妊婦や赤ちゃんたちと30年以上向き合い続けてきた川鰭の最大の武器は、診断の技術。たっぷりと時間をとって丁寧に超音波診断を行い、赤ちゃんのわずかな変化を見つけ出していく。さらには、MRIなどの先端機器を先駆的に取り入れ、その診断技術は世界にも知られている。川鰭が診察の際に心がけるのは、ただ問題を発見するだけではなく、希望を見つけ出すことだ。


「おなかの赤ちゃんの問題が分かると、母親は自分を責めてしまう。あまりにも重いものを背負わされると全く希望がなくなってしまう。問題点は問題点としてきちんとお話はするけれども、何の希望もない話にだけはしてはいけないと思っている。だから、その分、きちんと診断ができる技術を持った僕らがあえて背負っていく。」


「Who wonder what happen」何が起きてもワクワクできる人であれ


若き頃の川鰭は、「病院で唯一、命が生まれてくる場所だから」と妊娠から出産を支える産科医の道を極めたいと考えた。しかし、当時は、診断機器もまだ発展途上。救えない命も少なくなかった。それでも川鰭は、目の前の赤ちゃんを救いたい、と模索を始めた。


取り組んだのは、おなかの中の赤ちゃんを直接治療する“胎児治療”。まだ未知の分野であったため、仲間の医師たちと手術方法からその道具に至るまで、1から議論を重ねた。川鰭は、日本で2例目となる胎児への輸血に成功するなど、徐々に成果を上げていく。胎児治療の道を突き進む川鰭の支えになったのは、国際学会で聞いた言葉。「Who wonder what happen」、周りをしっかり確認し、何が起きてもワクワクして進め。


その後、川鰭は、胸に水がたまってしまった胎児から水を抜く「シャント術」を世界トップクラスの数をこなし、羊水が減った妊婦には、羊水を注入する手法を独自に開発してきた。「胎児治療のパイオニア」と称されるまでになった川鰭。勇気と冷静さを持って、今日も命の現場に立つ。


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おそらく、検査を否定しておられるのではなく「新しい技術をもっと上手く利用できたら、今よりも可能性が広がるかもしれない」ということをおっしゃっておられたのだろう。つまり友人の小児科医が私に教えてくれたように「小児には可能性がある」ということを訴えておられるのだ。


後編に続く

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