2015/10/07

『新型出生前診断』の問題点について その8 日本でも研究がすすんでいる

『新型出生前診断』の問題点について その7 『魔法の検査』であるというイメージが一人歩きしていないか の続き


●シーケノム社、1社だけではない


ところで日本では「新型出生前診断」といえばシーケノム社の検査法しかないかのように普及しているがそうではない。ネットで検索すればいくつかの会社名が表示される。意外なことに日本でも研究がすすめられているそうだ。


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紀要 成安造形大学芸術文化研究所 | 『新型出生前診断と21トリソミーをめぐる誤解 』 島先京一

私たちは第1説において、シーケノム社の技術が世界で唯一のものであるかのような記述を展開したきらいがあるが、事実は異なる。妊婦の血液から胎児の除隊を判断しようとする同様の技術は、アメリカの「ナテラ」社、「ベリナータ・ヘルス」社、そして中国の「BGI」社も実用化を達成しているし、日本の研究機関においても、研究がすすめられている。

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●『競合他社』がない今の状態が、良いことなのか


先端医療には熾烈な競争があり、今日よくても、明日どうなるかわからない。一寸先は闇のような世界だ。シーケノム社の検査法『だけ』が広まった今の日本の状況が果たして良いことなのだろうか?


もしかしたらシーケノム社の検査法より安全で正確な方法が確立されるかもしれない。その時に、私達に素早く恩恵がもたらされるとは限らないのではないかーーーー先ほどの島先京一氏の論文には続きがあって興味深いことが書かれていた。


●日本ですすめられている金沢医大高林晴夫准教授の研究


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紀要 成安造形大学芸術文化研究所 | 『新型出生前診断と21トリソミーをめぐる誤解 』 島先京一


中でも、金沢医科大学は、昭和大学と国立成育医療センターとともに、2008年にFDD-MBセンターCenter for Fatal DNA Diagnosis from Maternal Bloodを設立し、妊婦の血液に存在する胎児の有核赤血球に含まれるDNAの研究を展開している。センター長の高林晴夫・金沢医大准教授による、シーケノム社の技術に対する発言が興味深い。


「(私たちは)羊水検査や絨毛検査と完全に置き換わるような検査を目指している。シーケノムの方法では精度100%ではなくて、羊水検査が必要。生煮えのものが出来てしまったのではないか。」
[註6]。


専門家であればこその、鋭い指摘であるというべきであろう。


シーケノム社のカンターCSO の自信に満ちた見解と比較した時、生命に対知る根本的な態度に関わる医療技術であるがゆえに、高林センター長の科学的な慎重さは注目されてよいように思われる。

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●ほくりく健康創造クラスター


日本ですすめられていたという研究に参加していたメンバーには見覚えがあった。


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NIPTコンソーシアム組織代表と研究代表が所属していた国立成育医療センター、そして研究事務局が置かれている昭和大学が参加していたからだ。しかも、現在のNIPTコンソーシアムに金沢医科大学をはじめ北陸の医療機関が参加していない点も非常に気になる。(※ NIPTコンソーシアム組織代表の北川道弘氏は元国立成育医療研究副院長・周産期センター長)


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これらの事実はつまり、高林晴夫氏の研究には可能性があり、もしかしたら近い将来、現在日本で普及しているシーケノム社のものよりも、感度の高い検査法が確立されるかもしれないことを示唆しているのではないかーーーー


検索してみると、昨年2014年の日本経済新聞にまさにそうした事実が掲載されていたことがわかる。このインタビューを読むと、高林氏は国立病院機構長良医療センター川鰭市郎産科医長と同じように胎児治療に関わっておられたようだ。ご自身の経験から「シーケノム社の検査では不十分」とおっしゃっておられるようだ。


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日経新聞 2014年1月4日 P.3 総合・経済面 『遺伝子解析 もろ刃の剣(つるぎ)』 息子たちに読んで欲しい日経記事


『「命の選別」拭えぬ懸念』
 命を巡る技術の進歩と戸惑いは日常生活にも広がる。



病のリスクを知る手掛かりになる遺伝子診断も検査手法の開発が進む。


2013年4月に始まった新型出生前診断。妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる。負担の軽さや確実さが売りだが、診断の確定には羊水検査などが必要。羊水検査ができるのは妊娠中期ごろ。流産のリスクもつきまとう。


妊婦の血液から胎児の赤血球だけを取り出せば、もっと早く、正確に検査できるーー。金沢医科大学准教授の高林晴夫(62)はそんな遺伝情報の解析技術を研究している。


「2年以内に、妊娠初期の妊婦の血液検査だけで済む手法の臨床試験を始めたい」



 「早く診断できれば、新たな治療の道が開ける」と高林。






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川鰭医師は難しいといわれる「胎児治療」を何例も成功させてきた凄腕の産婦人科医。しかも、最大の武器は、診断の技術。先端機器を先駆的に取り入れ、その診断技術は世界にも知られている。


(※ 「胎児治療」は、こちらのNHK「プロフェッショナル〜仕事の流儀」川鰭市郎(かわばたいちろう)先生の特集をご覧になるとわかりやすいと思います)


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この共同研究を調べると興味深い事実がわかった。以下にあるように「第13回胎児遺伝子診断研究会」で「母体血における胎児遺伝子診断法:有核赤血球の濃縮と高感度FISH法の検討」が発表されたのは2010(平成22)年2月20日。


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この2010(平成22)年といえば「ジーンテック社」の前身「スキャン株式会社」が設立された年だ。単なる偶然なのだろうか?


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続く

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