2015/10/22

『新型出生前診断』の問題点について その15 「あぶない高齢出産」後編 ①

(※ これは2012年11月22日に発売された「週刊文春」に掲載された特集記事です。著者の伊藤隼也さんに許可をいただき引用させていただきました)


『新型出生前診断』の問題点について その14 週刊文春「あぶない高齢出産」④ の続き


「あぶない高齢出産」後編 「不妊治療大国ニッポン」出生率は先進国最低治療回数はダントツ世界一なのに・・・ 週刊文春 医療ジャーナリスト 伊藤隼也+本誌取材班 2012.11.22


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高齢出産が増加する仲で朗報だと思われた「新型出生前診断」。その隠された危険性について書いた前回の記事は、医療界に大きな衝撃を与えた。今回はその後編。高齢出産が抱える本当のリスクと、じつは “先進国最低レベル”の日本の生殖補助医療の現状をリポートする。

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出生率の高齢化は留まることを知らない。


左表を見て欲しい。高齢出産の対象となる35 歳以上の割合は、1985年当時は約7%だったのが、2010年では約24%と、3倍以上に上昇している。


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2002年に、国の成育医療(小児、周産期、成育など)の先端を担う、 “総本山”として開設された国立成育医療研究センターでも、当初28%程度だった高齢出産の割合はいまや56%ほどにまで増えた。


周産期センター医長・久保隆彦医師が話す。


「自然妊娠率は加齢と共に減少していきます。排卵部の2日前のタイミングの妊娠率の統計では、19歳から34歳まではだいたい40%以上が妊娠します。それに比べ、35歳から39歳まででは30%を下回る。年齢を重ねるほど卵子は老化し、女性の妊娠する力は落ちるのです」


先週号でも触れたが、昨今、有名人がかなりの高齢で出産をし、メディアがその美談的側面だけを取り上げている。それらの “吉報”は、ともすれば「医学の進歩で高齢でも安全に妊娠・出産ができるようになった」という誤解を生んでいるが、それは幻想であり、正しい情報が社会に共有されていない事に他ならない。


周知されていないが “日本は世界一の不妊治療大国″である。日本で不妊治療を実施する施設数は622ヵ所。年間の治療回数である治療周期数は21万1千件を超え、いずれも米国の約1.5倍(次項参照)。ダントツの世界一なのである。


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だが、出生児数に目を移すと米国の約6万に対し、日本は約2万6千。つまり、やたらと不妊治療を行うが、出生数には結びついていないのだ。


この背景には、現代産科医療への過剰な期待と、妊娠・出産に対する基礎知識の欠如があると言っていい。


『新型出生前診断』の問題点について その15 「あぶない高齢出産」後編 ②





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