2015/12/04

いじめは『こころの問題』ではなく『人権侵害』です! いじめを苦にして自死した私の後輩 その3

野田正彰著 『うつに非ず』 第4章 疾病化 社会問題を個人の病気にすり替えるより一部引用


●子育てに自責的な親たち


なぜ発達障害のラベル張りが浸透したのか。


少なくない親たちが、「自分のこどもには問題があるのではないか、それはこどもの育て方が原因でないか」と不安を抱いている。他人から指摘される以上に、自分自身を責めている人がいる。そのため、子どもに精神医学的な疾病名がつくと、「病気なのだから仕方がない」と安心し、早期に治療するように言われて少し落ち着いた気持ちにある。


これはトリックに他ならない。日本では発達障害とは脳機能の障害と法律に書かれているのに、発達障害だからと言われて安心するのはおかしくないか。脳機能の障害は、脳の器質的、遺伝的な原因を仮定している。そんな仮説を安易に認めてよいのか。


早期の治療をすれば全ての病気がよくなるわけではない。問題の多い早期介入も少なくない。


(中略)


幸福感についての国際比較調査では、日本の子どもは他国の子どもより極めて低い。しかも、思春期を過ぎるとさらに幸せに思えなくなっている。こんな子ども時代を生きることが幸せなのか、子どもにこんな日々を強いている私たちに責任はないのか。


近年では、何もかも発達障害と片づけられる傾向にあるが、子どもが問題行動をする時には家庭、学校、地域社会に問題があることが多い。もちろん、家庭といっても親のみに責任があるのではない。親がおかれている苦しい状況、子どもの見方は、この社会と文化が作り出したものである。異なった社会なら、子どもがこのような精神状態になるのか、こんな行動をとるのか、考えてみるとわかるだろう。


●いじめを発達障害にすり替える専門家


(略)


2011年10月、滋賀県大津市で中学2年生の中学男子生徒が自殺した事件でも、疾病化が登場する。彼はいじめる生徒から何度となく家のお金を盗ってくるように脅されていた。


父親が気づいて息子に問いただすと、ゲーム機やゲームソフトを買うのに使ったと言うだけで、大半のお金の使い道は分からなかった。


困った父親が児童相談所に電話すると、「繰り返しお金を盗るのは、軽い発達障害の見方ができる」と言われた。ショックを受けた父親がそれを息子に話すと、彼は「病気扱いするのか」と激しく反発し、朝まで帰って来なかったという。


自殺から1年3ヶ月後にようやく、「いじめが要因となって自殺した」という市の第三者委員会による報告書が出された。市の報告書は、男子生徒の自殺直後に教育委員会が派遣したスクールカウンセラーが関係者のカウンセリングを行い、この生徒の家庭環境に問題があるような助言をしていたと記している。


また、市の推薦で調査委員会の委員に内定し、遺族側から個人情報を漏らしたとして批判され辞任した臨床心理士に対して、「厳密な調査もせずに家庭環境に虐待があったというストーリー作りに荷担したという疑いが沸いた」とも指摘している。


臨床心理士やスクールカウンセラー、児童相談所は、学校で行われているすさまじい虐待を、発達障害や家庭の心理的問題にすり替えて止まない。




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