2015/12/16

『臨床研究』 勝俣範之先生のコメントに愕然とする 後編

「うつを治したければ医者を疑え!」第12章 高い、飲みすぎ、効かないーーー日本の薬がおかしい! 伊藤隼也と本誌取材班 小学館 より引用


●データ改ざんで効果をでっち上げ 製薬会社と医師の「不適切な関係」


根本的問題として、日本で使われている薬が本当に「効能書き」通りに効くのかさえ疑いが生じている。


脳卒中や狭心症などのリスクが半減する吉報は全くのデタラメだった。


●ディオバン事件


製薬会社ノバルティスファーマの降圧剤「ディオバン」(一般名=バルサルタン)の効果を煽った論文で、研究対象となった患者のデータに操作があったことが発覚し、14年1月、厚生労働省はノ社と社員(個人を特定せず、「氏名不詳」とした)を薬事法違反(誇大広告)で東京地検に刑事告発した。

(中略)

そもそも、論文不正は、京都府立医大、東京慈恵会医大、滋賀医大など5大学がディオバンの臨床研究を行い、血圧を下げる効果の他に脳卒中や狭心症を防ぐ効果もあるとの論文を07年から相次いで発表したことに始まった。


その後、データに疑義が唱えられ、日本循環器学会誌などが論文を次々撤回。それらを受けて、京都府立医大、東京慈恵会医大が調査を開始、13年7月にデータが操作されていたと発表したいずれの研究にもノ社の元社員(当時は社員)が「大阪市立大学非常勤講師」の肩書きで臨床研究に参加していたことも発覚。元社員はデータ操作を否定しており、ノ社も組織ぐるみを否定、元社員による元社員によるデータ操作もみつからなかったとしている。


●巨費を投じた国家プロジェクトでもデータ改ざんか


データ改ざんが日常化しているのでは、と疑う事件が14年1月にも起きた。


アルツハイマー病の早期発見をめざす国家プロジェクト「J – ANDI」で検査データが改ざんされた可能性があると朝日新聞が報じた。研究費33億円のうち、厚労省、文部科学省が計24億円、製薬会社11社が計9億円を拠出した。報道を受けて厚労省は調査を開始。巨費を投じた国家プロジェクトでもデータ改ざんが行われていたとすれば、日本の研究への信頼失墜は避けられない。


話をディオバンに戻そう。


●厳しいルールがある治験と違って医師主導の臨床研究には法的な規制がない


問題となった研究はいずれも医師主導の臨床研究だった。製薬会社が新薬開発のため医療機関に依頼して行う「治験」と違って、医療機関・医師が自ら企画・立案して実地する臨床研究だ。


「製薬会社は営利目的で薬を開発するので、その後のチェックが必要です。医師が主導して市販後の薬を試験することで、患者にとって本当に必要で安全な薬かどうかを確認できるという期待がありました」(横浜ソーワクリニック横浜総合健診センター 別府宏圀院長)


しかし現実には医師主導とは名ばかりで、製薬会社の資金力に頼るばかりだった。前述の勝俣医師が内情を明かす。


「よくあるパターンは、資金不足に悩む医師に製薬会社が『市販後の安全性や有効性を評価したい』と大規模な臨床研究を持ちかけます。データセンターや事務所の立ち上げのお膳立てをし、『1症例当たり、3万円の資金を提供します』などと約束したり、目的を指定しない奨学金寄付を提供したりする」


薬事法を根拠とする厳しいルールがある治験と違って医師主導の臨床研究には法的な規制がなく、届け出や監査も必要ない。


「しかも多くの研究は他薬との比較ではなく、単薬で行われ、他薬からの乗り換えもOKというおよそ科学的とは言えない代物です。医師は資金提供を受けているため、製薬会社に有利な結果を出しやすいし、患者にも“新しい良い薬がありますが試してみますか”と勧めがち。多くの患者は拒みませんし、臨床研究が終わっても、その薬を継続して使い続けます。そのため臨床研究が販促に利用されている。『seeding trai』(種まき試験)と批判されているのです(勝俣医師)



コメント

非公開コメント