2016/02/12

超低出生体重児の長期予後と「あさがおの観察記録」 分母が少ない研究にどれだけ意義があるのか


前回までNHKクローズアップ現代の特集を文字おこししたのは、理由がある。疫学調査というのは、分母が重要だと思うからだ。


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NHKクローズアップ現代 『“副作用”がわからない? ~信頼できるワクチン行政とは~』 


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カギを握るのが大規模なデータベース。9つの医療法人、940万人分の電子カルテからなります。


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「疾患や予防接種の記録が分かります」


ナレーション

この膨大なデータを分析し、ワクチンを接種したグループとしていないグループで副作用が疑われる症状の発症率を比べます。つまり、いつでもすぐにワクチンと副作用との因果関係を調べる疫学調査が出来るのです。

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超低出生体重児に関する追跡調査って、実はたくさんある。その中でも、多いのは「勉強」(長期予後・就学)に関するものだと思う。長期的な予後を調べていけば、突き当たるのが就学問題になるからだろう。これは「超低出生体重児 勉強」のGoogleの検索結果。これだけたくさん表示される。私のblogは、上位10位以内に入っていた。


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超低出生体重児 勉強

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親は皆悩むんだろうし、研究者にとっても超低出生体重児がどのように成長するかは興味があるのだろう。でも「ちょっと待って!」と私は思う。


●大規模な調査ではなく、調査手法もほとんど「アンケート」


一つ一つの調査結果をみていくと、「分母」がとても少ない。 調査の対象が10人以下など、珍しくない。中には一人のお母さんについての研究さえある。


さらに問題だと思うのが、調査の手法が「アンケート」が多いこと。これだけ分母が少なくて、しかも調査手法が「アンケート」、、、。これらの研究が「科学的」だといえるのだろうか?


お年寄りの大規模調査では、いろいろなことがわかっているというのに、、、。↓


超低出生体重児と虐待 その2 親の経済が予後を変える?


●「あさがおの観察記録」のような研究報告ばかり


極端なたとえで申し訳ないけれど、小学生の「あさがおの観察日記」と大差ないんじゃないかしら。


私が「あさがおの観察日記」に例えたのは、分母の少なさもあるけれど、理由がもう1つある。研究者が子どもをずっーーと「観察」しているからだ。


勉強ができない傾向にある、というようなこと報告はたくさんある。それこそ、ネットを探せばあちこちに書いてある。


でも私はずっーーと思っていた。


そんなことはわざわざ調査しなくても、だいたい予想できるというか、研究者ならば、はじめから疑わないといけないことじゃないの?だって人類の歴史を考えると、臨月がおよそ40週ということは、40週に意味があるからでしょう。いくら医学が発達したからといって高度医療が、母胎を完全に再現できるわけではない。


●長期的なリスクがないとは、まだ断定できない


超低出生体重児の親御さんが書いているブログの多くは、「心配なことがあったけれど、超低出生体重児だとわからないくらい、ゲンキです」というようなもの。


しかし、本当にリスクがないと断定はしてはいけないんだと思う。超低出生体重児が救命されるようになって、歴史が浅いからだ。それこそ、子や孫の世代まで、追跡調査をしないといけないんだと思っている。


そして、何らかのリスクがあるだろうと考えるのが、科学だと思う。


●私が知りたいのは「どうしたら改善できるのか」


おそらく、「発達がゆっくり」ということは、リスクの1つなのだろう。具体的には手先が不器用、計算や文字を書くのが苦手な傾向になる、ということだ。


ただ、リスクはリスクで受け入れるとして、、、、


問題だと思うのが、その後。



研究者の中には、私のような考えの人はおられないの?


「どうして超低出生体重児は運動が苦手なんだろう?速く走るようにならないのかな?」とか、「どうして超低出生体重は、勉強が苦手なんだろう?どうしたらできるようになるのかな?」など、『できるようにする方法』だ。


でも私は研究者に、もうあまり期待しなくなった。


今後もし「調査に協力して下さい」といわれても、お断りしようと思っている。だっていつまでたっても「発達に遅れがある」で終わっていくんだもの。分母が小さい調査ならば個人のblogで十分だと思う。

コメント

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Re: タイトルなし

コメントをありがとうございます。

今日、超低出生体重児の関する記事にコメントをいただき、嬉しくなりました。

私の意見は、ストレートで辛辣なので今まではバッシングも多かったのです。

「助けてやったんだから、文句いうな。心中しようが関係ない」なんて、言われたこともあります。

でも、同じ超低出生体重児のお母さんの中には「共感しました」とおっしゃってくださる方もいらして、そういう方は多くの場合、非公開なんです。言いたいことがあるんだろうな、なんとかならないのかな、といつも考えてきたんです。

こちらのコメントで書いたのですが、

http://sakura4747.blog.fc2.com/blog-entry-159.html#comment110


先日も、ボランティアをしている病院で、交流会があり、何でも言っていいと言われたので同じようなことを言いました。そうしたら、副院長先生が熱心に聞いてくださって、私はびっくりしました。「う〜ん。そうだよねぇ」としみじみおっしゃるからです。

あとで先生の経歴を調べたら、発達や心理の専門家で、さらにびっくりしました。

少しずつ、よくなってはいるのかな(私たちからしたら、「亀の歩み」ですが)と思いました。

Re: タイトルなし

コメントをありがとうございます。

私がこのような、ブログをはじめたのは、自分の子どものことだけでいいのだろうか、と思ったからです。

どう考えても、超低出生体重児には、既存の制度や支援策で対応するんじゃなく、新たな取り組みが必要だと思いました。

たとえ、自分の子どもは、私たちでなんとかなったとしても、私の出産した頃には、あまりいらっしゃらない、24週未満のお子さんたちが増えています。そういうお子さん達のご家族は、私いじょうに苦労していらっしゃるんじゃないのかな?と思います。

エビデンスとまではいかなくても、指標となるものがあったほうがいいんじゃないかと思います。

超低出生体重児は、発達に見合った訓練なり、療育などを施さないと、逆効果というか、虐待になるかもしれません。

指標がないと、早期教育のように、早くからやればやるほど効果が出る、と考える方もいらっしゃるかもしれません。どうなんでしょう?私はちょっと違うと思っているんです。

また、就学猶予という制度がありますが、そんな簡単に使えませんよね。住んでいる自治体に前例がないと、それこそ記者会見などをして、マスコミに動いてもらわないと何もはじまらなかったりします。

ですから、「そこまでするなら」と、諦めてしまう親御さんがいらっしゃるかもしれません。お子さんによって違いますが、就学猶予があったほうがいい場合もあるんでしょうね。きっと。

私のような性格でも、厳しいバッシングに晒されると落ち込むことがあります。もし、シングルマザーだったらどうなるんだろう?とたまに考えてきたんです。

小児がんのお子さんがいる家庭は、離婚が多いときいたことがあります。同じようなことが小さく産まれた子どもたちにもあるのかもしれません。それだけいろいろな苦労がありますよね。。



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Re: コメントした者です

今も、あまり変わっていないのかな?という感じなんですね。少しは良くなっているのかと期待したのですが。。

私の頃は、「こころのケア」ブームで、育児相談をするといいとすすめられたのが精神科でした。それも、精神科だと私に言わないで、知らない間に「統合失調症の薬」をバンバン投与されてしまいました。よくわからないのですが、専門家(児童精神科医)の考えでは、未熟児を授かるイコール「トラウマ」とか「PTSD」みたいですね。

とにかく大変な思いをして断薬しました。

私はうつでも、「トラウマ」や「PTSD」でもなんでもいいんですが、そうなる要因があるとわかっているなら、治療じゃなくて、要因を取り除いていったほうがいいとその専門家と喧嘩になったんですね。

その後、「個人のこころのせいにされると、社会的支援の不足が置き去りにされる」と、病院にも何度か投書し、精神医療の被害を訴えている男性を新聞でみつけ、厚労省に意見書を出していただきました。いろいろ活動しました。マスコミも報道し、少し改善されたように思います。

が、やっぱりという感じですね。まあ、専門家といっても、実際に育てているわけじゃないし、考えてみれば当然ですね。こういったらなんですが、所詮他人事なんだと思います。(あんまりこういうことを、ハッキリいう人はいないと思いますが)

書いてくださった、ご家族に関して、良いことを見つけました。お子さんには、ご兄弟がいらっしゃるんですね。私は一人息子なので、分数などを理解するのが遅れました。兄弟がいると、お菓子などを取り合いになるので、分数などははやく理解するんじゃないかと思います。病気をもらいやすい、ということも確かにあるんですが、良いこともあるんですよ。私はうらやましくも思います。

あと、私は、幼稚園に入るまで、NPO法人で預かり保育をしてもらう以外、都の自然公園(有料)にしか行きませんでした。お母さん同士の付き合いなどでこれ以上ストレスを受けるとがんばれないと思ったからです。その頃は発達の遅れも顕著で、一目でわかります。子供同士で遊ぶ姿をみれば落ち込むのです。

有料といっても、年間パスポート(二千五百円)を買えば1年間何度も利用でき、公園は手入れがいきとどいて、すいていて、おまけにお花がとってもきれいなんです。子供の発達にはよくないかもしれないけれど、まあそれぐらいはいいかなと思いました。

どこかで手を抜かないとやっていかれません。

とにかく家族でがんばらないといけないなら、何を優先して、何をがんばるかはその家庭ごとでいいんだと思います。専門家の報告書だと、「明るく前向きにが良い」という感じですが、それがなかなかできないから心中や虐待があるんだと思います。

http://www.ed.ehime-u.ac.jp/~kiyou/2013/pdf/09.pdf

私は、集団保育がはじまる前に必要な一番の療育とは、子どもとの信頼関係を構築することだと思います。家に例えると、基礎の土台がしっかりしていないと、立派な家をたてても、崩壊するかもしれません。

先は長いので今、「必ず」やったほうがいいと思うのはそれだけです。

それにしても、もうちょっと、なんとかならないのでしょうか。




ありがとうございます

返信ありがとうございます。
未熟児に対する支援も、地域の格差があるのでしょうね。こちらは、未熟児ママが集まる会とかそういうものもありません。
訪問リハビリも訪問看護も利用して、発達外来に毎月通っているから…と周りからは逆に安心されます。
ただ、誰に相談しても、具体的な支援も教えてもらいづらく、発達はゆっくりですけど、見守りましょう…みんな同じことしか言いません。
私は元々鬱病で精神科にかかっているのですが、最近は落ち着いて服薬もしていませんでした。
それなのに子どもについて臨床心理士に相談すると、子どもの心配というよりは、お母さんが先行きが見えず、目安になるものがなくて、不安なんじゃないですか。
と、子どもに対する相談をしたのに、私の不安が強いという指摘をされただけでした。

慢性肺疾患のため、風邪で入院することが多く
手洗いうがいはしてますか?とか当たり前のことを聞かれ、子どもを連れて買い出しに行くことすら、渋い顔をされ、ネットで買ったりしたらどうですか?と。

外出しない方がいい、と言われたようで、この1年間ずーっと子どもと家に引きこもっていました。

そうしていると、どんどん気持ちは滅入って
子どもとの空間が苦痛で仕方ありませんでした。

医者や臨床心理士に、私のように悩んでいるお母さんは居ないんですか?!と聞くと苦笑いされるだけで。

URLを見させて頂きました。父親が未熟児の育児に参加出来ない場合や、親の介護をしている家庭など、様々な家庭環境や経済状況で、未熟児の教育に積極的に関われない場合もあるのでしょうね…。

私の知り合いにいる年配の保育士さんも、今はたくさん遊んであげたり、愛着や信頼関係を作るときだと話しておられました。
先は長いですね…
いろいろ教えて頂き、大変参考になりました。
未熟児の親御さんとお話し出来る機会がありませんでしたから、返信コメントを頂き、本当に嬉しかったです。ありがとうございました。

Re: ありがとうございます

まだ読んでいますか?

このブログには、メールフォーム機能があるので、メールが送信できるんです。もしまた何かあったら、メールを送ってください。

いただいたコメントには良いことがたくさん書いてあったので「もったいないなぁ」と思いました。そうやって、ご自身の意見を他の人に伝えられるのは、回復している証拠だし、新たな一歩を踏み出そうとしている、ということじゃないでしょうか。それに、医療関係者の皆さんには是非知って欲しいことですね。

ところで、小児がんの患者さんの保護者の方や、治療に当たるお医者さんと最近仲良くなったのですが、支援のあり方が私たちとは違います。。「どうしてこんなに違うんだろう?」ととても不思議に思います。お目にかかる機会があるかもしれないので、コメントに書いて下さった内容についても、どう思うかきいてみようと思います。

私のブログは、子宮頸がんワクチンのロビー活動についても書いていますが、この問題を調べようと思ったのは、超低出生体重児の退院後の支援がなかなかすすまないからです。言い方は悪いのですが「心中予備軍」をつくっているようなところがあるんじゃないかと疑問を持ってきました。

やっぱり純粋に「支援」だと、製薬企業の利益にはならないし、結局は「お金」なんでしょうか?

Re: Re: ありがとうございます

私は今、ある病院でボランティアをしていて、入院中のお子さんのご兄弟をお預かりしているんです。

周産期医療でなくなってしまった妊婦さんのご家族を支える募金活動など、いくつかやってきたのですが、上手くいきませんでした。自己満足というか、本当に遺族が喜んでいるのか自信がもてませんでした。だから、病院のボランティアのような感じで貢献するといいのかな、と思ったのです。

もちろん、あの転送メールも反面教師になりました。私が「喜ぶ」と思っているとメールに書いてあったからです。心底がっかりして数時間、パソコンの前から動けませんでした。

お子さんの中には、医療ケアを必要とする方もいますね。私の知り合いもそうです。だから病院で嫌なこと、なんとかして欲しいことがあっても、黙って耐えてしまうのです。

ある時、とても大変そうで、友達の医師に「なんとかならないの」と相談したら「それは大変だ。困っているだろうから、投書に書いて。書いてくれないと病院も何もできないんだよ」と言われました。で、本人にすすめてみたのですが「私にはできない」と言われてしまいました。

このままだと倒れてしまうかもしれないと思ったので、後日、私がこっそり書いて送りました。友人には「いつも同じ人が投書するんじゃダメなんだよ」と、言われたのですが…。

http://sakura4747.blog.fc2.com/blog-entry-69.html

命を助けてもらった上に、子供もお世話になっているから「ありがとうと言わざるを得ない」というか、本心がなかなか言い出せないでしょうか。

あと、転送メール事件のようなやり取りがあっても、医療者は表に出そうとしませんね。研究報告に書いてあるのは、どちらかというと「良いこと」が中心です。だから良くならないのかなと思います。

お子さんのことは心配ですね。

これは私もブログに引用させていただきましたが、退院後のお子さんのことを特集した番組です。NHK のサイトで内容が公開されています。ここに「歩けない」と医師から言われた女の子が出てくるのですが、ジャンプするんですよ!!

http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3354/1.html

奇跡のようなことが起きるから「小児には可能性がある」と言われるんだそうです。こういった施設が全国に増えるといいですよね。

お子様の快復をお祈りしています。