2016/03/13

『牧本事件』を追う その1 「拠点病院の研究者たちには、何もしなくてもカネが降ってくる」は本当か


●拠点病院の研究者たちには、何もしなくてもカネが降ってくる 努力せずに金が来る



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病気の子ども達から教えられたこと 牧本 敦 から引用

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いろいろな先生方が学問のため、もちろん学問を発展させないといけないし、学問のためにがんばらないといけないんですが、いろいろな利害の衝突があったりすることがあります。そういう時に必ずいうことがあります。

『僕らは、小児がんの患者さんのために、がんばっている』



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『牧本事件』について書かれた、ネット記事やブログ、手に入る週刊誌などにザッと目を通してみた。ほぼ、一人の方が書いているのだろう。署名入りだけでなく匿名の記事もあるけれど、内容だけでなく表現、言葉使いなどがよく似ているから。こちらが代表的な署名入りの記事。


医学会には薬の宣伝をする「御用学者」がいる---上昌広『医療詐欺』第1章より 現代ビジネス 2014年08月17日(日)


その中でも、『週刊ポスト』2013年8月30日号の特集記事に言葉を失う。


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国の研究費で家電購入

今、国は臨床研究の「中核病院」や「拠点病院」と言うのを打ち出し、東大や国立ガン研究センターなどを重要拠点化しようとしているので、こうした拠点病院の研究者たちには、何もしなくてもカネが降ってきます。努力せずに金が来るのですから、不心得者も出てきます。

私が以前勤めていた、国立ガン研究センターの牧本医師の事件がその典型です。

(略)

研究費をプールしていたのは、コンピューター関連会社で、ここが「預け」の代理店業務をしていた。医師はここに業務を発注した形でいったんお金を入れて、虚偽伝票でつじつまを合わせる。そして、この会社からプール金を使って自宅や家族に家電製品などを届けさせていた。いわばマネーロンダリングです。

この事件について、厚労相と国立ガン研究センターは、牧本医師を懲戒解雇しただけで、第三者委員会もつくらず、刑事告発・行政処分もしていません。都内で普通に医者をしているといいます。公金横領に対し、常識では考えられない対応です。「身内に甘い」といわれても仕方ありません。



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研究業績はともかく、牧本医師は臨床医だ。小児がんの子ども達のために、それこそ、身を粉にして働いてきた医師に『何もしなくても』『努力せずに』って・・・。自殺した笹井秀樹氏への批判の時にも思ったが、これらの記事の感想を一言でいうなら「ここまで批判する必要があるのか」だ。『人権』という言葉が思わず頭をかすめる。


●神奈川県予防接種研究会構成員の利益相反に関する公開質問書


週刊ポストに関していえば、上昌広特任教授、ご自身の研究のあり方だって、『全国子宮頸がん被害者連絡会』から利益相反を問う質問書が出されている。この質問書の中で神奈川県予防接種研究会の構成員で、研究室にも所属している久住英二医師の専門性に関しても、問われている。


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全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会等が神奈川県知事に公開質問状提出 特定非営利活動法人コンシューマネット・ジャパン 平成27年8月26日

久住氏はアインファーマシーズの寄付講座に所属している研究員である東京大学医科学研究所の公式サイトによれば、この研究室の責任者は上昌広特任教授であり、調剤薬局チェーン大手のアインファーマシーズの寄付講座であることがわかります。(※ 資料1)上特任教授の研究室に所属し、同時にナビタスクリニックで働く医師は理事長の久住氏だけでありません。


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さらに疑問に思うのは、「研究費をプールしていたのは、コンピューター関連会社で、ここが『預け』の代理店業務をしていた」など具体的な情報が記載されていることだ。これは、国立がん研究センターの内部からの情報なのだろうか。だとしたら、なぜ上特任教授がご存じなのだろう。


どこまで真実なのかわからないのにネット時代だから、あちこちに拡散してしまっている。それでも牧本医師の立場では、一切の言い訳ができないだろう。


●厚労省やナショナルセンターには言いたいことが沢山あるけれど・・・


私だって上特任教授が批判していることには一理あると思う。拠点病院事業が、必ずしも患者のためにならないことをよく知っているし、厚労省やナショナルセンターには言いたいことが沢山ある。


こちらは昨年、ジャーナリストの伊藤隼也さんにお願いして、掲載させていただいた週刊文春の「緩和ケア」の特集記事だ。書いてあることがその通りだと思ったから許可をいただいて、文字におこした。


厚労省の『拠点病院事業』の問題点 その3 「『がん治療』日本はここまで遅れていた」を引用させいただくにあたって

厚労省の『拠点病院事業』の問題点 その4 「『がん治療』日本はここまで遅れていた」 「緩和ケア」都道府県でこんなに違う!①

厚労省の『拠点病院事業』の問題点 その4 「『がん治療』日本はここまで遅れていた」 「緩和ケア」都道府県でこんなに違う!②

厚労省の『拠点病院事業』の問題点 その4 「『がん治療』日本はここまで遅れていた」 「緩和ケア」都道府県でこんなに違う!③

厚労省の『拠点病院事業』の問題点 その4 「『がん治療』日本はここまで遅れていた」 「緩和ケア」都道府県でこんなに違う!④

厚労省の『拠点病院事業』の問題点  終わりに


●牧本敦医師の『すべては、小児がんの子供たちのために』と久住英二医師の『ナビタスクリニック』


そういう私でも、牧本医師の講演には目頭が熱くなった。久しぶりに小児病棟を思い出したからだ。このブログのタイトルにもつながる、助けられなかった命のことを思い、日々努力してきたことが伝わるから。





ブログで講演会の動画を紹介しても、再生してくれる方がどれだけいるだろう。だから今回も講演を文字におこしてみよう。


ちなみにこちらは、牧本医師を批判しておられる上昌広特任教授のシンポジウム『現場からの医療改­革推進協議会』が配信した動画。『神奈川県予防接種研究会』構成員の久住英二氏が、ナビタスクリニックについてお話している。 久住氏も「いのちの授業」というがんの啓発活動を都内の公立中学で行っているようだけれど・・・





一人でも多くの方に、立ち止まって考えて欲しい。


報道されていることは、どこまで真実なんだろう。牧本医師は、あちこちの記事で批判されているような、悪い医師なんだろうか。どうしても研究費をプールしなければいけない理由があったとしたら、何なんだろう。


続く


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