2016/03/15

『牧本事件』を追う その2 牧本敦医師の講演「すべては小児がんの子ども達のために」⑥



●若い頃には医療を施すという上からの目線だった 今は『共に闘う』気持ちでやっている


ですから(私が)言わんとしていることは、まとめますと、僕が若かった頃は、医療を施すという上からの目線で、患者さんを診ていたんですけれども、それでずっとやっていると、当然、一方通行的にかわいそうだなと思うに過ぎないと思うんですね。


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ですから僕は同じ目線で向き合って、共に闘うという気持ちでいっています。先ほど、例え進行がんでも、治すつもりでやりましょうと言ったと思うんですけれども、そういう風なことですね。


そうであれば、逆に子ども達のほうが、自分をいろいろな場面で助けてくれるという経験を良くしています。で、あともう一つはですね、東京の国立がんセンターという病院にいますから、目の前の患者さんを治すことだけを医師の仕事と思っていたら、実は、割と簡単だな、と思っているんです。


●治せない患者さんのことを思うから、新しい治療法やお薬の開発のことを考えた


ただ、ずっと長いことやってくると、治せない患者さん、治せなかった患者さんのことを思うために、どうしたらもっと沢山の患者さんを治していけるんだろうかということを考えていかないといけなくなります。


●将来、がんになる患者さんを助けていくには、国の中に大きな枠組みを作ったほうがいいと思う


そうした時に、仕組みですね、後でちょっと触れますけれども、そういうものをちゃんと作り上げていって、将来、がんになる患者さんを助けていく、大きな枠組みをこの国の中に作りあげていかないといけないのかな、と思うようになりました。


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●なぜ、拠点病院を築くことが重要なのか 難治がん、今の治療では治せないがんの治療の開発を目指していきたい


で、冒頭に話したのは『小児がん専門委員会』で、これは国のがん対策推進協議会というものがあるんですけれども、その下の委員会として作られました。で、議論されたのは、黄色いスライド、何枚かで示したものです。


稀少さや多様さへの対応とか、集学的治療の必要性や体制整備とか成長発達への配慮や家族支援などですね。取り組むべき施策としては、拠点病院という、新聞などでもかなり取り上げられていますけれども、地域に一つくらいしっかりした拠点病院を築くことが重要じゃないかと言われています。


もちろん、拠点病院というのは全国に何カ所も作れないので、その周りに連携病院を配して、ネットワークの中で診ていくとですが、あと患者家族に対する支援ですとか、登録制度の整備、研修・教育体制。最も重要だと思っているのが、難治がん、今の治療では治せないがんの治療の開発。


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これは厚労省のページを探せば出てくるんでが、拠点病院を中心に、新聞では中核的機関と書かれているんですけれども、小児がんセンターという言い方をされていたりします。そういうものを、全国に一つ作って、このような流で治療をするという、一応こういう形の、これは政府も認めたものです。


●国立がん研究センターが日本全国の小児がんをしっかり守っていく


日本全国の小児がんをしっかり守っていくという、体制を作ろうという話し合いを行いました。で、我々の病院は、一応、がん医療の先頭に立つという理念を持ってやっておりますので、今年度から理事長になられました堀田先生が、キャリアブレインというところのインタビューを受けまして、「小児がん対策は盛り込まれましたけれども、どうしますか」というところで「政策的な情報収集を行う、ヘッドクオーター的な役割を担う『拠点病院』であれば、当院はやれるよ」と答えてくださっています。


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●求められる役割 新しい治療開発だけでなく、保険で使えるようにしたり、維持していくこと


というようなところで、役割を果たしていこうかな、と思っていますが、実際にはいろいろな情報は大事ですけれども、やっぱり何が大事かというと、アメリカのがんセンターNational Cancer Instituteが何をしているかというと、治療を作って、その新しい治療を、日本であれば保険でちゃんと使えるようにして、それをずっと維持していくというものが求められているんですね。


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それはちょっと難しい話なんですけれども、ここに小児がんセンターができても、それだけですることはできず、例えばちゃんと新薬の種を見つける研究所や臨床試験とかで協力してくれる大学とか、病院、そういうところでのライセンスやマーケティングをしてくれる製薬会社、データを管理してくれるAROというところとかですね。


こういうものとしっかりネットワークを組むことが重要です。こういうところを、ちゃんとマネージメントしていけるような機関にならないといけないと思っています。


続く


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