2014/01/29

ワクチンよりも大切なこと

幼い頃、いつも遊んでくれた曾祖母が突然病気になった。また一緒に遊んで欲しくて「いつになったら治るの」と尋ねたら「がんだから治らない」と言われた。「治らない」ということは死んじゃうの、と目の前が真っ暗になった。



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(1981/07/28)
檀 一雄

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それからまもなくして曾祖母は亡くなった。曾祖父もずっと寝たきりだった。祖母は実の両親である二人の介護をしていた。兄弟もいて資産家でお金はあるのに誰もしたがらないからだ。親のすすめで結婚した祖父とあまり仲が良くなく、食べることが唯一の楽しみだった。今から思えば、自分の人生を心から幸せだと思えなかったのだと思う。いつの頃からか糖尿病を患ってしまった。でもいくらいっても食事制限などできない。何のために食べたいものを我慢するのかわからなかったんだろう。


曾祖父が亡くなってやっと自分の時間を持てると思ったらパーキンソンという難病になってしまった。糖尿病も悪化し脳梗塞もおこして、ある日突然亡くなってしまった。まだ60代だった。心のどこかで私は、他の誰かのために尽くす人には幸せが用意させているのだと思っていたから、ショックだった。


私は次々病に侵される肉親を見て育った。仏教用語の「火宅」という言葉がぴったりかもしれない。幼い頃の思い出といえば、曾祖母と曾祖父が二人並んで寝ていた姿を思い出す。「もう治らないんだよ」という言葉と一緒に。


いつしか祖母を介護生活に追い込んだ「がん」という病が恐くてたまらなくなってしまった。がんは遺伝するといわれている。自分もがんになるかもしれない。どうすればがんなど、人生に深刻な影響を及ぼす病気にならずにすむのか。病気にならない方法があるんだったら知りたいと思うようになった。


大学に進んで夫の講義に興味を持ったのはそのためだった。「健康について正しい知識を身につけ、実践しよう」というものだった。はじめに学んだのは「ウエルネス」という概念だった。簡単にいえば、がんなどの重い病や障害などを抱えていても、考え方を変えれば誰もが「健康」である、というものだ。高齢化がすすめば、誰もが重い病を抱えて生きていくことになるかもしれない。健康至上主義というか、「病気でないことが幸せ」という考え方そのものが不健康かもしれないと思った。


ウエルネス wikipediaから一部引用

ウエルネス(Wellness)とは、世界保健機関(WHO)が国際的に提示した、「健康」の定義をより踏み込んで、そして広範囲な視点から見た健康観を意味する。1961年に、アメリカの医学者、ハルバート・ダンによって提唱され、ウエルネスの用語が作られた。より平易な言葉で言うならば、生活科学として、運動を適宜日常生活に取り入れながら、健康的に日々の暮らしを送ろうと言う主旨で提唱された概念である。


ちょどその頃、スポーツクラブに入会するのがブームになり、「エアロビクス」「有酸素運動」という言葉も市民権をえるようになっていた。


私も少しずつ運動を続けるようになった。はじめはトレッドミル(屋内でランニングやウォーキングを行うための健康器具)にのって20分もたつと辛くて仕方がなかった。歩くのがやっとで外でランニングなどとてもできなかった。


学生の頃は「体重が増えたら食べなければいい」という短絡的な考え方からダイエットに走ったこともある。摂食障害のようになったこともあるが、上手くコントロールできるようになっていった。


慣れてくるとトレッドミルでは物足りなくなってきた。夫と結婚してからいろいろな所に出かけた。カナダの州立公園でキャンプをしたのが新婚旅行だった。最近は冬でも山に行くようになった。


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結婚してしばらくして、健保組合ですすめている人間ドックにも一緒に行こうとすすめてくれた。家庭の主婦は自分の健康を後回しにするからと、よく授業でも言っていた。気づいたら手遅れということもあるそうだ。でも健保組合の方には「20代には無駄じゃないか」と言われたそうだ。夫は「早期発見することが、将来の医療費の抑制にもつながる」と訴えて私も連れていってくれた。当時は気づかなかったけれど、その検診の中に「子宮頸がんの検診」が組み込まれていた。もしなかったら、私はわざわざ婦人科に出かけて検診を受けたいたとは思えない。そういう女性は多いと思う。


たとえパートナーが一人であっても子宮頸がんになる人はいる。そこがあまり知られていないから患者さんは「不特定多数と性交渉を持つ人がなる病」という偏見に苦しめられるという。検診は重要だが100%ではない。だから「検診とワクチンで防ぎましょう」ということなのだ。


子宮頸がん 原因をめぐってこんな大論争ご存じですか 2013年08月18日(日) 週刊現代 賢者の知恵


私は子宮頸がんワクチンがカバーするとされるおおよその年齢に達した。これまでを振り返って、女性の健康を考える時、何が大切なんだろうと考える。私はやっぱり自分を大切に考えてくれる人と巡り会うことじゃないかと思う。異性でも同性でもいいんだけど。もし私に娘がいたら「あなたを大切にしてくれる人を一生懸命見つけ、あなたもその人を大切にしなさい」と教えるんじゃないかな。


そうお嬢さんのいる医師の友人に言ったら「それが理想ですけどね」と言われちゃった・・・つまり子宮頸がんワクチンはそうじゃない人をやっぱり想定しているということなのかもしれない。いずれにしても、「ウエルネス」じゃなくて「撲滅」を目指すからおかしな方向にいってしまったんだろう。


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