2014/01/31

私は死にかけているの!助ける方法があるなら手を差し伸べて!

映画「希望のちから」には治療法のないがんの患者さんの葛藤がえがかれている。その対極にあるのが、息子がお世話になった新生児医療かもしれない。治療法があるから医師も親もあきらめられないともいえる。あの頃の私は「もし治療法がなければここで命をあきらめることも出来るのに!」と何度思ったことだろう。(無料で読めます↓)


ブラックジャックによろしく 3ブラックジャックによろしく 3
(2013/02/28)
佐藤 秀峰

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内容紹介より一部抜粋
「NICU、そこでは正義と現実が命を巡ってせめぎあう。」
そんな中、新生児集中治療室(NICU:別名ベビーER)での研修が始まる。
わずか900gで生まれた双子の未熟児を担当する斉藤が目にしたもの。
それは、不妊治療、未熟児医療、障害、追い詰められていく両親・・・
新生児科医の日常は、医者と両親の苦悩と矛盾の日々だった。



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「希望のちから」
私は死にかけているの!
助ける方法があるなら手を差し伸べて


「希望のちから」が主に取り上げているのは「臨床試験」だ。私達は様々な薬剤で救命されたが、一つの薬を世に送り出すために、こんなに沢山の患者さんの涙があったなんて。だから子宮頸がんワクチンだってさすがに効果がなく「インチキ」ではないはずだ。


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臨床試験はなぜ三段階に分かれている? 薬の研究開発 日本制約工業協会
第一章 研究開発の道筋(2)治験から認可まで より一部抜粋
 

臨床試験は、ヒトを対象として有効性と安全性を調べるもので、くすりの研究開発の最終的な段階にあたります。非臨床試験をクリアし、有効性と安全性をかなり認められたくすりの候補が、実際にヒトに役立つくすりかどうか、その真価を問われることになります。

(1) 第1相試験(フェーズI)
 少数の健常者を対象に、くすりの候補(臨床試験では治験薬といいます)を投与し、主として副作用などの安全性を調べる試験です。

(2) 第2相試験(フェーズ II)
 少数の患者を対象に、同意のうえで、治験薬の有効性と安全性を調べる試験です。長い期間をかけて開発されてきた治験薬が、初めて実際の患者に投与され、効き目があるのか、安全に使用できるのかを試される段階です。

(3) 第3相試験(フェーズ III)
 たくさんの患者を対象として、同意を得たうえで、有効性と安全性を調べる試験です。第2相試験で得られたデータをもとに、実際に病院などで使用されたときの効き目、副作用などを、多くの患者によって確認していきます。



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臨床試験に参加できることになった女性達がおしゃれをする場面は、女性なら誰もが共感するのではないだろうか。がんの患者さんを苦しめるものの一つは、「治療法がない」ことだそうだ。


夫は私と息子のために山のような書類にサインをしたそうだ。使われた薬剤の中には治験のものや未承認薬・適応外薬もあったからだ。使える薬があることは幸せだけど、それを使ったからといって必ずしも期待する効果が得られるとは限らない。臨床試験をすすめていく課程で「望むような数値が得られないから切り捨てる」というような医師のセリフが何度か出てくる。科学には残酷な一面もあるのだ。きっと、周産期医療の発展の影には、何人もの母親の涙があるんだろう。


だからこそ私は、医療が救えなかった命のために手を差し伸べないと、という気持ちになったんだけど・・・。薬がなくて困っている患者さんと薬による被害を訴えている患者さんとの溝を深めたというか、対立構造を生んでしまった気がしてならない。


印象に残った場面
【 臨床試験に参加するのも大変・・・ 】


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「スレイモン先生」

「アポイントを先に」

「3時間もかけてきたの。マウスの抗体実験に参加したコールの母です新薬の臨床試験をなさるそうですね。ぜひ娘も」

「残念ながら条件が合わない」

「そんな。一回の投与で二年も生き延びたのに」

「臨床試験には厳格な適業基準が」

「薬だけ投与して」

「でもFDAが認可しません」

「娘は死にそうなの。あなたなら救えるでしょう」

「ムリです。お気持ちはわかりますが・・・ルールを破れば研究は打ち切りです」

「娘はまだ28歳です。小さな息子が二人。私の宝物なの。スレイモン先生、私から娘を奪わないで!お願いよ。娘を失いたくないの」



【 全員が第2相に進めるわけではない・・・ 】


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「申し訳ないティナ。第2相には進めません」

「先週も改善していると」

「改善はしている。しかし臨床試験を成功させるために比験者には様々な適合基準が。治療の効果が明確に測れる患者だけに絞られます」

「それは私よ。体重も増えたし、痛みもぜんぜんないわ。あなたも知っているでしょう?」

「ええ。しかしこの臨床試験のゴールはハーセプチンの認可です。僕としては治療を続けさせてあげたい。だが科学に必要なのはデータだ。第二相に進むには数値が低すぎます」

「先生お願いよ。私には三人の子どもが。夫もいます。費用はいくらでも払います。誰にも言いません。これまで人にすがったことなどありません。お願いします。命を助けて」

「申し訳ない。あなたにも家族にも」


【 力を持つ患者会 】


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「第三相試験を始めたいが被験者が足りない。どうか力添えを」

「じゃ、私が試験の詳細を書いて300人の患者に送るわ。お礼に私を含む活動家二人を運営に参加させて」

「認めます」

「それから資格のない患者にも薬の人道的使用を」

「そうしたいが・・・」

「絶対条件です。他にも治療法のない患者もいます。有効な新薬があるのに試すこともできないんです。FDAは第三相での人道的使用を認めています」

「薬の絶対量が足りない」

「増産して!」


第1相の結果を患者さんに伝える場面。スレイモン医師が「次はない」と宣告するシーンには心が震える。誰もが「科学は冷たい」と思うだろう。退場させられる患者さんは薬が使えなくなる。「死んでもしかたがない」と言っているに等しい。でも第3層へとすすむと「人道的使用」も認められる。さらにその後、承認されれば世界中の女性達に届けられるかもしれない。


最後は大勢の女性患者が拍手でスレイモン医師を迎えるシーンで終わる。「創薬」とは一人の患者のためでなく、その向こうにいる大勢の患者のため、と気づかせてくれるような気がした。人命を考える時、医師や研究者が「情」に流されることが良いことなのか考えさせられるのだ。


コンパッショネート・ユース Compassionate Use、人道的使用 日本薬学会 薬学用語解説より一部引用

基本的に生命に関わる疾患や身体障害を引き起こすおそれのある疾患を有する患者の救済を目的として、代替療法がない等の限定的状況において未承認薬の使用を認める制度。アメリカ、ヨーロッパ(EU)などではすでに導入されており、日本では現在、実施のための検討が行われている。



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