2016/05/31

『どんなことがあっても息子の主治医は牧本先生』 小児がん専門委員会議事録を読む その8

様々なメディアで一方的にバッシングされた牧本医師。報道が真実なのか検証していきます。

●2011年8月10日 第7回小児がん専門委員会議事録 厚生労働省 健康局総務課がん対策推進室

牧本敦医師の発言を一部引用 


○議題

1 これまでの小児がん専門委員会における議論についての報告
2 今後の小児がん対策のあり方について(小児がん専門委員会報告書)のまとめの審議
3 その他 

資料3(PDF)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001luyv-att/2r9852000001lv3j.pdf

2016-5-31-1.png


◆  ◆  ◆

(※ 今回は小児がん専門委員会の最後のまとめです。こちらは牧本敦医師を批判しておられる上昌広医師のツイートの『拠点病院』の検索結果です。ご覧のように、上医師は小児がんに限らず、『拠点病院』には批判的な立場です。ただ議事録を読む限り、牧本医師は国がんの限界を認識していらっしゃるようですし、症例数の少ない小児がんの特殊性を考えると、『拠点病院』という発想が一概に悪いものだと思えません。双方の主張をご覧になって、皆さんはどう思いますか?)


http://twilog.org/KamiMasahiro/search?word=拠点病院&ao=a
2016-5-31-2.png


〇牧本委員

2点あるのですけれども、1点は、常々階層化あるいはヒエラルキーという言葉を使ってきているのですけど。地域の診療連携拠点病院が、檜山委員が言われたように、その地域で診る患者さんのいろいろな情報を集めて知っておいて、問題点も把握していくというような機能、つまりコーディネーター的機能とコマンダー的機能を持っているという前提で考えてよろしいのですね。


地域の拠点病院がその地域の小児がん医療に責任を持つことは多分必要だと思うのですね。治療はあくまで疾患の難易度、治療の難易度によって、家の近くで受けたいという場合もあると思うし、その患者さん側のニーズによっていろいろ変わり得ると思うので、一定決めるとしても、多分ガイドライン式に決めるしかなくなると思うのです。ただ、その機能分化をしっかり定義することの方が大事だと思うのですね。それが1点です。


 もう一つは、この資料内に「都道府県」という言葉が出てきますので、その「地域」は何を指すかということは、一度しっかり議論をしていただいた方がいいと思うのですね。というのは、都道府県でやるとすると、結局、そういうコマンダー機能を持つような病院は47要ることになってしまいます。今までの議論を考えますと、恐らくそれよりは数が少ないものであろうと思われるので、都道府県を越えたそのネットワークをどう構築するかとか、その指揮命令系統をどういうふうに構築するかという議論がそこで起こってくるので、「地域」の定義も必要かなと思います。これが2点目です。以上です。


〇牧本委員

難治の定義について、天野委員の言われることが本当にそのとおりだと思うのですけど。恐らく医学的に絶対的な難治がんはなかなか対策は難しいわけで、そこは、また、研究の議論に渡すとして、制度対応が可能な、標準治療がしっかりできる体制をつくれば救える、そういうタイプのがんを治すのがもっとプライオリティーが高い使命だと思うのですね。


決して僕は造血器腫瘍を治すのは簡単だと言っているわけではないのですけど、固形がんで特に手術が難しい部位にできるとか、脳腫瘍や骨軟部肉腫がそうだと思うのですけど、そのような病気にしっかり対応できるチームを持った病院は、今現在もすごく少ないと思うのです。そういうところで困っていらっしゃる患者さんは非常に多いと我々は実感していますので、資料2の3ページ、先ほど檜山委員が説明された最後の方ですけど、臓器別の専門施設が重要になってくるのかなとは思っています。


これは、今、総論的な話になっていますから、余り議論されてないところですけど、例えば造血器腫瘍であれば、恐らく造血幹細胞移植がしっかりできるとか、そちらの方に専門化していく必要があると思うし、脳腫瘍であれば小児の脳外科医がしっかり患者をみていることが必要になると思いますし、肉腫であれば、腫瘍の専門の整形外科医、しかも、若年に対応できる整形外科医が必要ということになってくると思うので、そういう極めて特殊な技能を持った外科医を擁する施設は、全国でもかなり希なのではないかと思われますので、その辺は、現実と将来像の兼ね合いが多少議論されないと、さっきの天野委員の要求に応えられないのかなと思いました。


〇牧本委員

確認みたいな形になるのですが、今日の議論だとちょっと弱いかなと思う部分をちょっと指摘したいのです。原委員長の意見で、拠点病院は、今現在十分患者数を診ていて、経験が豊かな施設を暫定的にという話があったのですけど、そもそもフルスペックとかいう言葉が出てきたのはなぜかというと、そのような病院ですら、例えばアメリカのキャンンサーセンターや小児病院に比べれば、まだ足りないところがいっぱいあるのではないかということから始まったような気がしますので、そこを忘れてはいけないと思うのですね。


単に、今あるリソースを積み上げて、あるいは統廃合をして大きくすれば解決するのではなくて、そこに問題点と7つの要件があるのですけれど、恐らくそこで最も重要なところが?番専門医療の提供体制だと思うのですね。どうしてもいろいろな問題が山積みしていますので、そこでいろいろな議論をしてきたから薄まっている感じがしますけれども、そもそも拠点病院化しないといけないという議論が起こったのは、我々医療者側では少なくとも?がまだそのレベルに達していないのではないかという議論から発したものだと思うので、そこの議論は忘れないで、ずっと行っていただきたいなと思うんです。


〇牧本委員

ちょっと外れるのですけれども、同じ部分なので言いますと、そこの4行ですね。1番の(1)の一番下の4行、さっき見たところですが、そこのところだけがどうしてもクローズアップされるような感じがするのですけど、小児がんと成人がんの違いは、その上の段落も書いてあるので、恐らくその2段落目と3段落目をつなげるような形にして、その理由で特別な対策が必要であると言わないと、まるで、ほかのことはあまり問題はないけれども、先ほど議論したような晩期合併症の問題で特別な対策が必要であるというふうな結論に見えてしまうから、そこを配慮いただいたらと思います。様々な問題がたくさんあって、成人がんとは異なる対策が必要であるというふうな流れにしていただきたいと思います。


〇牧本委員

割と詳細な議論がされているので、その詳細さでいくと、先ほどから議論のある2の(1)の2段落目の1行目です。「また、小児がんに適応のある薬剤は極めて限られており」これは事実ですが、「ドラッグラグ」という言葉をここで使われると、薬事的なドラッグラグはほとんどないのです。薬事法上の小児がんの承認を受けている薬剤は欧米でも少ないのですね。だから、「ドラッグラグ」という言葉をどの意味で使うかが非常に問題になるのですけれども、結局、特に米国は、早期の臨床試験が積極的にされているために、新薬の臨床試験を含めての臨床現場への導入が早いということが現状であって、それの結果、患者さん、特に難治がんの患者さんがその恩恵を受けていることがあるのです。


書き方は非常に難しいのですけど、「ドラッグラグ」という言葉をここに出すと、成人のように行政的に動けばいいのではないかというふうな話になってしまう恐れがあるのですが、最近厚労省主導でやられています「医療上必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会」では解決できない問題をはらんでいるので、ちょっと用語を考えておいた方がいいかなと思います。


〇牧本委員

つまり、「小児がんに適応のある薬剤はきわめて限られており」これは事実なので。例えば「難治がんに対して試験的に新薬を使用できる体制もない」と。実際にはないんです。そういう表現でいいと思うのですけどね。それによって「治療の選択肢が非常に限られる現状にある」ということ、それでいいと思います。「ドラッグラグ」と言うと、ちょっとその言葉が先走ってしまって、一般の方が見たときに、何で成人はドラッグラグが解消されつつあるのに、小児は解消されないのかというところがわかりにくいので。


〇牧本委員

全くそのとおりですけれども、私が国立がん研究センターの職員として、同時に、小児腫瘍科長として思うことは、今の病院体系の中で、仮に我々が拠点をやれと言われた場合に、全く新しい病院を併設するとか、それぐらいのパラダイムシフトを考えなければ、さっき私自身が申し上げたような、例えばアメリカとかに追いつくような拠点病院、胸を張って「これは日本代表です」と言われるような拠点病院にはなり得ないと思っています。


それは同時に、例えばほかの施設が拠点になるということに関しても同様で、今ある病院の体制、今ある自称専門病院の体制では、とてもここにいらっしゃる患者さん代表の方々の必要と考える要件を満たすことはできないと思っています
ので、その点、僕は局長の御意見は非常に賛成します。そういうふうな視点がなければ、何施設になるかわかりませんが、今まで議論してきた拠点病院の方向性を決めたり、モデルとなったりすることは不可能だと思っていますので、是非積極的に考えていくべきだと思います。


〇牧本委員

そもそも議論があって、途中からですけれども、小児がん情報センターの緑枠は診療機能を含まないという前提があったと思うのですね。第何回かちょっと忘れてしまいましたけれども、私が申し上げた発言の中に、病院機能と情報センター機能は一応明確に切り分けることは可能であると申し上げたと思うのです。実際、今でもその意見は変わっていません。勿論、情報センター機能を持つ拠点病院があれば、そこが小児がんセンターになるのは間違いないことですけれども、実際、その予算づけとか、いろいろな流れからしてそのようなことができるのかどうかということが私自身もわからなかったのですが。


もし厚生労働省の考えとして、先ほど局長が言われたような、しっかりした御意見がおありであれば、それは一つの施設の中に診療の拠点プラス情報及び行政の拠点があってしかるべきで、それが健全な形だとは思っています。ただ、それを言い出すと、今まで議論してきたこの図が全く違って、情報センター/小児がんセンターが全く中心に出てきて、その下に今中心にある拠点病院が、統制とまではいかなくても、その指導を受けながら構築していくという図になってしまうと思うので、その辺をどう整理するのかなというのがちょっとあります。


〇牧本委員

情報センターに関してはちょっと誤解があると思うのですけど。今の国立がん研究センターの情報センターは、原委員長の言われた機能を全部含んでいるんです。ただ、実行のステップが国民の満足を得られるレベルまで行ってないだけで、それをしようとしているのです。


あの案が出てきた2003~2004年当時は、あれはNCI構想とまで言われていて、つまり、アメリカの国立がん研究所を模したような、つまり、行政機能を有するセンターをどう構築するかということを目標に予算づけもされたはずなんですね。そこのところが、どうしてもできるところから段階的にやっているために、今すごく目標が見えにくい状況にあると思うんですけど、あれが本来の目標を見失わず、ずっと発達していけば、恐らく成人がんにおいてはNCIと同等の機能を果たすようになるというふうな目標を少なくとも持っていたのですね。


実際、情報センターを我々が誤解しているということは、それはすなわち、まだ達成されてないことの裏返しだと思うのですけれども、単に情報センターは情報を扱うセンターではなくて、そういう行政機能まで全部持ったセンターであると思っています。


〇牧本委員

もし僕がこのポンチ絵を変えろと言われたときに描くのは、下の緑枠が情報センターで診療外のものを多く含んでいますので、赤枠と緑枠を橋渡しするような丸か何かを描いて、それが一応全国唯一の小児がんセンターであるという枠をそこにつくってしまうと思います。もし、今のポンチ絵を利用するのであればですね。つまり、今書いてある緑色の情報センター機能は全部有する形のがん拠点病院が小児がんセンターというふうなことを示すために、がん拠点病院の方まで赤枠か何かで囲ったようなものを1つつくって、それを小児がんセンター全国唯一というふうな形で書けば明確かなと思います。


〇牧本委員

海外というか、私は米国事情しかよくわかりませんけれども、COG(Children’s Oncology Group)というグループの中で、どちらかというとQOLは看護師さん、リサーチ・ナースが主体となっている形ですが、幾つかの研究が立ち上がってやられているのですが、ただ、まだ結果が十分出てきてないのですね。COGとは違いますけれども、最近晩期合併症のデータがどんどん出てきたのを覚えていらっしゃると思うのですが、ああいう形で、恐らく向こう5年間にそういうものがどんどん出てくる状況だと思います。ですから、そういうところを我が国でも進めないといけないということは、気持ちとしてはあるのですけれども。


〇牧本委員

もし、その値を公表していくと問題になる点があると思うのですけれど。ひと昔前に、造血細胞移植学会で移植の成功率をとったときに、難しい手技をしている、あるいは難しい患者さんを受け入れている施設ほど本当はいい施設のはずですが、その成功率が低くなるという現象が見られたのですね。ですから、やり方を非常によく考えてやらないと、例えば再発患者さんと新規発症患者さんの治療をした場合を分けるとかしないと、この数字がひとり歩きして、拠点化が進むに従って数字が悪くなっていくことが起こると思います。ですから、そこは十分考えないといけないと思います。


コメント

非公開コメント

Re: No title

こちらこそ、ありがとうございます。
どうして、閲覧して下さる方が増えているのか、わからなかったのですが・・・
コメントを読んで、胸が一杯になりました。

牧本先生以外の委員の方の発言も、引用したいほど、充実した内容でした。

会議の議事録を拝見して、思いました。

もしかしたら、牧本先生がお辞めにならなかったら、
今頃使えるお薬が増えていたんだろうか?
いろいろ考えて何度も、泣けてきました。

あと、退院後の教育的な支援も、まだまだ不足しているんでしょうか?
知らないことばかりで、びっくりしました。

クローズアップ現代の番組をみた時にもショックのあまり、
二日間ぐらうぼうっとして、医師の友人にメールを書いたんです。

「低身長」は、超低出生体重児にも当てはまりますからね。
見た目でバイトもできない、とは考えていませんでした。

超低出生体重児の場合は、育てるのが大変で、
虐待されて亡くなったお子さんも何人もいて、、、
書いていて、また泣けてきます。。

そういえば、ギャップでレモネードスタンドのキャンペーンがはじまるんですね。
アレックスのレモネードデーが、6月12日なんですね!

http://www.sankei.com/economy/news/160524/prl1605240140-n1.html

でもなんだか、牧本先生のいなくなったレモネードスタンドは、
気の抜けたソーダみたいな気がして、寂しいですね。