2016/06/17

牧本医師と『小児がん患児支援 NPO法人エスビューロー』 インクルーシブ 「仲間はずれにしない」という考え方 その2

●私達がなぜ、新たな治療薬・治療法の開発を目指したのか 小児がんの子供達は、元々の治療法が限られているので選ぶことができない


ところで非公開のコメントには、重要なことが書かれていた。サルコーマをはじめとする大人の稀少がんと、小児がんとの違いだ。


私は小児がんは稀少がんの1つ、ということをつい最近知ったばかり。牧本医師の講演を文字におこしてショックを受けた。小児がんはドラマなどではよくとりあげられるし、「治る」というイメージがあるから考えもしなかった。しかし、小児がんは、大人の稀少がんよりも、さらに厳しい現状があるのだそうだ。


小児がんのお子さんはそもそも「治療法」がほとんど選べないという。


●子どもの患者の『自己決定権』 増子孝徳弁護士のご発言


ここで思い出したのは、厚生労働省の公式サイトに残されている、議事録だった。


『どんなことがあっても息子の主治医は牧本先生』 小児がん専門委員会議事録を読む その1


私が議事録を読んで、小児がんの治療に関わる医師が立派だと思ったのは、子どもの患者の「自己決定権」を真剣に考えているからだった。もちろん、コメントを下さった先生もそのお一人。子どもの権利に対する意識が、私が喧嘩した児童精神科医と決定的に違う。確かに先生のおっしゃる通りだと思った。治療の決断をするのは親であっても、子ども達の「自己決定権」のためにも、せめて、治療法に選択肢を増やしてあげたい。だから「新しい治療薬・治療法の開発を目指そう」だったのだ。


(※第2回小児がん専門委員会議事録から、増子孝徳参考人のご発言を一部引用します。増子氏は、日弁連の人権擁護委員会の医療部会に所属し、人権擁護活動をしていらした弁護士で、尚かつ、お子さんが小児がんの経験者だそうです)


◆  ◆  ◆

2011年2月9日 第2回小児がん専門委員会議事録 厚生労働省 健康局総務課がん対策推進室

○議題
【参考人意見聴取】
1 小児がん緩和ケアのシステムについて
2 医療における子どもの権利等について

【協議事項】
  小児がんの診療体制について


○議事
出席委員:檜山委員長、天野委員、小俣専門委員、原専門委員、堀部専門委員、牧本専門委員、馬上専門委員、森専門委員、多田羅参考人、増子参考人



増子参考人

医療における子供の権利もしくは人権ということで、あえて申し上げなければならないのには一つ理由がございまして。皆さん患者の権利とかあるいは子供の権利というふうに切り分けますと、それぞれきちっとした専門家といいますか、日ごろ活動している方がたくさんいらしていろいろな主張がなされているわけでございます。


しかしながら、これが子供さんであるということになりますとちょっと状況が変わってくると。それはなぜかといいますと、まず患者の権利といいますのはいろいろありますけれども、メインはやはり自己決定権を中心としたものでございます。ところが、子供であるからというようなことが理由となって、説明もいいかげんであったり、ましてやご本人さんの決定を得るというふうなことがなかなかなされないという傾向がございます。


それから、子供ということですと、ご案内のように子どもの権利条約というのがありまして、成長発達権を中心としたもろもろの子供の権利というものが定めされておりますけれども。再三指摘されているように、入院中であるから、あるいは患者なんだから、病気なんだからということでいろいろな制約があるわけでございます。


そういった中で、遊びへの参加ですとか、教育への参加というものが顕著に制限されていると言っていいかと思います。こういったことはしばしば問題として指摘されながらも、これが人権であるという認識にまでなかなか至らないものですから、ついつい後退していくという傾向があろうかと思います。


そこで、この二つをきちんと見据えて、医療を受ける子供、つまり患者でありかつ子供であるという、こういう二重に弱い立場に着目をして、医療における子供の人権もしくは権利という考え方をきちっと認識する必要があるだろうというふうに思っております。



◆  ◆  ◆


●亡くなった方は私達の中で今も生き続けている


改めて議事録を振り返ると、エスビューローの活動は、議事録で議論されていたようなことを、実現するためにあるんだと思う。もう1つ、気づいたことがある。エスビューローの代表者は、お子さんを亡くされた方だそうだ。ということは「亡くなった方のために」はじめたこのblogの趣旨にも通じている。


先日、blogについてある方に質問された。どうして「天国」というタイトルなのか不思議に思ったそうだ。「もともと周産期医療で亡くなった方にはじめた募金活動が原点だから」そう答えた。その後に起きた「アルジェリア人質事件」で父の友人が亡くなったこともある。亡くなった方に「あなたのことを忘れていません」と届くように「天国」という言葉を入れたのだ。


亡くなった方は強いと思う。大切な人を失うという喪失体験は悲しいけれど、いつか生きる原動力に変わるかもしれない。亡くなっても、私達の中で生き続けているんだと思う。

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