2016/06/21

『牧本事件』と国の戦略 その1

●『牧本事件』の背景を探る


前回は、小児がんの子ども達の人権について考えた。


患者の人権を考える時に、忘れてはならないのは、医療者の人権だ。私達の人権を考えて欲しいと願うなら、医療者の人権も同じように考えていかないといけない。今回は牧本敦医師の名誉の回復や人権を考える時に、何が必要なのかを考えていく。


私がこれまでしてきたのは『牧本事件』の報道の検証。何が正しくて、何が間違っているのかを、はっきりさせていくこと。今すぐに名誉の回復は難しくても、未来は変えられる。小さな事実をコツコツ積み上げていくことで、きっと、違う未来が待っているはずだ。


はじめに、コメントを下さった先生が臨床試験について書いて下さったので、牧本敦医師が関わったNPO法人や患者会などを調べてみた。前回紹介させていただいた『NPO法人エスビューロー』は小児がんでお子さんを亡くしたお母様がつくった団体。


●『特定非営利活動法人サクセスこども総合基金 SUCCESS』 創設者 秦順一氏は国立成育医療研究センター名誉総長


もう1つ、気になった団体があった。レモネードスタンドで有名な『特定非営利活動法人サクセスこども総合基金 SUCCESS』(※ 情報提供がありました。2015年 『NPO法人 小児がん治療開発サポート SUCCESS』から名称が変更されたそうです)


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特定非営利活動法人サクセスこども総合基金 SUCCESS

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SUCCESSは、若い世代のがんに関して、患者さんとご家族の支援、新しい診断・治療方法の開発などを展開する目的で設立されました。その後、がん以外の難病や、様々な困難と向き合う青少年のサポートの取り組みも進めています。

本法人の特徴は、患者家族、市民、医療関係者、ビジネスパーソン、行政の各界で働いている方が会員や役員となっていることです。異なる専門性をもった人材によって構成されていることで、狭義の「医療」「福祉」を超えて、若い世代を取り巻く多くの問題点を市民に知らせ、支援を包括的に幅広く展開できると考えています。


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こちらの日本財団が提供する公益事業コミュニティサイトCANPANは、NPO法人の事業内容などを検索できる。法人の代表者役員をはじめ、定款事業報告書収支報告書などをみることができる便利なサイトだ。さっそく『特定非営利活動法人サクセスこども総合基金 SUCCESS』を調べる。


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特定非営利活動法人サクセスこども総合基金 SUCCESS CANPAN

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代表者役職 理事長

代表者兼職 公益財団法人実験動物中央研究所所長、国立成育医療研究センター名誉総長、慶応義塾大学名誉教授

代表者氏名 秦順一



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SUCCESSの情報をみて、私が驚いたのは、理事長の秦順一氏の経歴だった。なぜなら、私達がお世話になった病院の名誉総長と書いてあるから。


●法人格取得年月日 2007年7月12日


法人格取得年月日を確かめると2007年7月12日。国立成育医療センターは息子が生まれた2002年、国立大蔵病院と国立小児病院を統合し、国立成育医療センターとして新規設立された。その後、2010年4月に独立行政法人へ移行し、国立成育医療研究センターとなった。


成育は、『国立』と名前がつくくらいだ。もちろん、総長先生や院長先生は、国の政策などに深く関与しているのだろう。秦氏の経歴を拝見すると、病理学がご専門であることがわかる。臨床一筋ではないので、少々意外な感じがした。けれど、一方で、匿名でコメントをよせてくださった先生の言葉が蘇ってくる。


誰だって副作用の強い化学療法などしたくありません。でも、それしか方法がないとしたら、無治療を選ばないのであればそれしかないのです。


設立されたばかりの成育は希望に満ち溢れ光り輝いていた。あの頃国は、新たな治療法や治療薬の開発を真剣に目指そうとしていたのかもしれない。秦先生が総長先生だったということは、そういったメッセージが込められているのかもしれないーーーーーそんなことを考えた。


続く

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