2016/07/19

子どものための『臨床試験』 治療法を選ぶことができない子ども達に、選択肢を広げてあげたい その2

平成23年(2011年)に行われた小児がん専門委員会の議事録から、原純一医師(大阪市立総合医療センター副院長)のご発言を引用させていただく。原医師について調べたら、ユーチューブに講演会の動画がアップされていた。原医師は講演の中で、今まさに私が直面している教育の問題にも触れている。いつか文字に起こしてみよう。



2014年8月26日(火)開催
MBS×CNJ Jump Over Cancer 第3回セミナー
「小児がん 子どもの気持ち・親の気持ち~」



私が原医師のご発言に注目したのは、「何にどれくらいかかるのか」について、説明していらしたからだ。議事録を拝見し、私の疑問はますます確信に変わった。


『牧本事件』の根底には、研究費(厚生労働科学研究費補助金)のあり方が、時代の変化に追いついていない、ということがあるんじゃないか。もともと制度が基礎研究を想定してつくられているために、牧本医師が行っていた人と人とをつなぐような研究に、適さなかったのではないだろうかーーーーそんなこと考える。


◇  ◇  ◇
2011年1月11日 第1回小児がん専門委員会議事録 厚生労働省 健康局総務課がん対策推進室 平成23年1月11日

●臨床試験をやっていて一番問題になってくるのは事務局データセンター 膨大な経費がかかる


臨床試験のインフラ整備ということですが、臨床試験をやっていて一番問題になってくるのは事務局データセンター、そういったものに膨大な経費がかかりますが、これについては公的競争的資金ですね、そういうので行っております。しかしながら、非常に不安定なものでありますので、こういったものに関しては公的資金、競争資金ではなくて事業としてお願いできればありがたいというふうに思います。(略)


がん対策の基本となる疫学データですね。登録データがない、あるいは公表されていない、こういうことに関しましても、地域がん登録などと連携をしつつ小児がん登録というのをしっかりやっていかないといけない。それに基づく疫学データ、転帰データを含む疫学データを公表していく必要があるかというふうに思います。(略)


●基礎分野での研究体制が極めて貧弱 


小児がんの特に基礎分野での研究体制が極めて貧弱であります。これは日本の大学には小児がんを専門とする講座が存在しない。これは東南アジア等の発展途上国ですらそういった講座は設けられております。我が国にはそういうものがないということが大きな理由であろうというふうに思います。


◇  

第6回小児がん専門委員会議事録 厚生労働省 健康局総務課がん対策推進室 2011年7月26日


●研究助成 日本は選択肢が限られている


研究助成と研究組織についてですが、日本の場合は競争的資金による大概は3年の研究費というものに頼っているということです。ヨーロッパの方は、2006年以降Basic Scienceに資金提供が行われていると。2007年以降はPediatric RegulationによりEUの主要国すべてが参加するITCCで企業からPIPを受託と。


このPIPはPediatric Investigation Planの略ですが、ヨーロッパでは小児適応をとることにより、パテントの期間が半年間延長される。それをやらない場合、罰則規定もあるという厳しいものがあります。アメリカの場合は、NCIがCOG、PBTC、NANT等に多大な助成を提供していると。ほかにNCI主導で早期開発も行っているということです。


●医師主導治験 小児の場合は戦いをするのに鉄砲の弾からつくっているような状況


それから、医師主導治験の制度があります。要するに、薬が欲しければ自分で承認を受けなさいということなんですが、いわゆる戦いをするのに鉄砲の弾からつくっているような状況なんですけれども、成人と異なって企業治験がほとんど行われない小児領域では、これだけやればいいよという話ではなくて、膨大な種類の薬剤の治験を行わなければならないと。数名の臨床医の個人的な努力(しかも、本来の業務外)のみで到底行えるものではないと。医師主導治験の支援体制、例えば、関係当局との交渉、書類作成、経費補助などの構築が必要であると。


先ほど牧本委員が言ってくれました臨床試験との絡みですけれども、成人の場合ほとんど企業が治験をしてくれますので、足らないところを臨床試験なり、あるいは医師主導治験で補っていけばいいんですが、小児の場合すべて企業治験が全く行われない状況でやらないといけないということで、医師主導治験の治験ではなくて、臨床試験の取扱いが更に重要であるということなんです。


●日本では、適応外薬剤はすべて研究費購入分になるため、分子標的薬のように高価な薬は使えない


ここには書いていないんですが、臨床試験を行うに当たっても日本では適応外薬剤はすべて研究費購入になってしまいますので、最近はやりの分子標的薬なんて余りにも値段が高過ぎて、研究費だけでは患者さん10人分ぐらいで干上がってしまうという事実上不可能な領域です。


あと、適応外の薬をあえて使って、一生懸命保険者に言い訳を書いて通してくださいと出すんですが、それはどういう薬剤の場合にやるかというと値段次第なんです。だから、1か月でせいぜい10万円ぐらいまでのお薬であれば、あれは本当に先方さんの好意だけで決まる話なので、たとえ落とされても損害は小さいと。


ところが、最近のお薬のように1か月当たり50万円とか100万円というような薬を半年間使って、挙げ句の果てに全部切られたら我々は首が飛びかねないという状況にあります。ですから、地方というよりも値段で決まっているというのが実情です。

◇  ◇  ◇


続く



コメント

非公開コメント