2016/07/27

『牧本事件』 1つだけ足りない活動

牧本事件について、書き続けて約半年。牧本医師の活動を振り返った時に、一番心が動かされたのは、社会活動に力を注いでいらしたことだった。ナショナルセンターの小児腫瘍科長という要職にありながら、NPO法人などの設立などにも関わっていらした。1つ、1つ、丁寧にみていくとよくわかる。どの活動も全力投球していらしたようだ。


●牧本医師の誠実な対応


特に印象に残るのは、こちらのnpo法人 サクセスこども総合基金 SUCCESSの活動だ。


npo法人 サクセスこども総合基金 SUCCESS
(旧・小児がん治療開発サポート)

http://nposuccess.jp

2016-3-16-7.png


SUCCESSは、小児がんの患者さんとご家族のために、主に、3つの活動をしている。1つは、情報発信。2つ目が患者さんを支える活動。相談事業を行うだけでなく、患者さんの意見をとりまとめ、行政などに働きかけてくれる。そして3つ目が、治療の開発の支援だ。


事業内容をみて、羨ましいなぁ、と思わずにいわれなかった。そもそも私がSUCCESSの事業に関心を持ったのは、牧本医師の患者さんのご家族が情報提供して下さったからだった。


その患者さんのお子さんは、はじめは、別の大きな病院にかかっていらしたそうだ。でも、その時は納得できるお話がなかったそうで、SUCCESSの相談を受けることに。


お話を伺って、とても驚いた。SUCCESSが誠実に対応していたことが私にも伝わるからだ。


私も、法務省の人権相談など、いくつかの相談窓口に相談したことがある。でも、SUCCESSのように高度な知識と豊富な経験を持つ専門家が相談に乗り、真摯に対応するなんてことはまずない。その方が私に説明して下ったように牧本医師を信頼しようと思ったのは牧本医師がユーイング肉腫の治療計画と治療変更基準及びプロトコール治療の概要に精通していらしたからだろう。


●未熟児網膜症 失明するかもしれないという恐怖で、椅子から立ち上がれなくなった


思い出すのは、未熟児網膜症の手術だ。


これは国立成育医療研究センターの眼科の主治医が私に書いてくださったもの。超低出生体重児で産まれた息子は、多くの未熟児がそうであるように、未熟児網膜症になってしまった。それも、急激に悪化するタイプで、なかなか改善しなかった。


2014-11-14-1.jpg


手術を受ける前に、説明を受けた時、かなり厳しいことを言われた。失明するかもしれないという恐怖で、フラフラになって椅子から立ち上がれなかった。


なぜなら、その頃は、失明して元気に暮らしている人を、私は知らなかったからだ。病院でもみかけない。一体、どこで、どうやって、暮らしているんだろう?そう考え、目の前が真っ暗になったのだ。


●なぜ、社会に働きかけるのか


牧本医師は、外来で患者さんと接するだけでなく、病棟で入院患者さんのケア、学会に参加したり、その他にNPOなどでの啓発や治験の仕事、電話相談や厚労省の審議会の構成員などもしていらした。


予算を取ったから、という、ただそれだけの理由ではここまでできないだろう。患者さんのご家族がおっしゃるように、小児がんと闘っていらしたんだと思う。


なぜそう思うかというとーーーー


私が牧本医師のブログを読んでびっくりしたのは、こちらの2つの活動を知ったからだ。亡くなったお子さんのためにも活動しているし、休日には、元気に退院していった患者さんと合宿にも出かけていらっしゃるのだ。こうした活動は、『気持ち』がないと、気づかないと思うし、できることじゃないと思う。


◇  ◇  ◇
しゃぼん玉の会 小児がんと闘う牧本敦医師のブログ
http://pedicancer.at.webry.info/201206/article_2.html

2016-7-27-2.png
小児がんの遺族の方々を招待してのしゃぼん玉の会が開かれました。
昨年から小児の心のケアを担当して下さっている精神腫瘍科の大島先生達も協力して下さいました。


◇  ◇  ◇

夏合宿 in 伊豆高原 小児がんと闘う牧本敦医師のブログ
http://pedicancer.at.webry.info/201108/article_5.html

2016-7-27-1.png
合宿に招待したのは、今年医学部へ入学した1年生2名、医学生物統計学者を志す慶應ボーイ2年生1名、夢を「世界一企業の社長」に変更した坪ちゃん2年生、医師1年目の松井君、および、NPO法人に就活中の小畑君の6名です。

テーマは「夢を語る、夢を実現する」で、医学の講義を中心に、夢を考えてもらうためのワークショップを織り交ぜてみました。しゃべるのに忙しすぎて、写真を撮る暇がなかったのが残念です。

◇  ◇  ◇


●1つだけ足りない活動 


こうして見ていくと、1つだけ足りない活動があることに気づく。


そう!「もう1度、小児がんの治療に戻りたい」という牧本医師の希望を叶える活動だ。


私はブログを書き始めて、何度か質問されたことがある。「牧本先生は、あんなに熱心だったのに。どうしてしまったんでしょうか?」


ずっと考えてきたけれど、どうやら私はその答えを見つけたみたいだ。


たぶん、一生懸命働く医師のための活動がなかったから。そうじゃないのかな。

コメント

非公開コメント