2016/09/23

超低出生体重児の退院後の支援と、子どもの自己決定権 その1

●専門家でも、わからないはずなのに・・・


超低出生体重児のフォローアップの不都合な真実について書いたら、多くのアクセスがあった。


超低出生体重児のフォローアップ 「あんまり間にうけなくていい」程度のことが、子どもの将来を決めてしまうかもしれない その1


超低出生体重児の退院後の支援は不思議だ。どのように成長するのか、専門家でもまだよくわからないはずなのに、なぜか「だとされている」程度の根拠で、決められていることが多いからだ。2007年に放送されたNHKの番組でもそのことに触れている。


◇  ◇  ◇
NHK福祉ポータル 超低出生体重児を持つ親たちを支える 2007年06月06日(水)

2016-9-23-1.jpg

「超低出生体重児」。通常赤ちゃんは2800から3200グラムの間で生まれてきますが、1000グラム未満で生まれた小さな赤ちゃんのことをこう呼びます(以前は超未熟児と呼ばれていました)。NICU(新生児集中治療室)に生まれてすぐ入れられます。かつては生まれてきた命が救えるかどうか危ぶまれたのですが、医学の進歩により、ここ10年ほどで超低出生体重児の約8割が助かるようになりました。

しかし、NICUを出ると超低出生体重児の親には大きな苦労が待ち受けています。

思うように進まない成長、いつ病気になるかわからない不安。しかし、一般的な体重の赤ちゃんと違い、超低出生体重児のデータはまだ少なく、医師もこの先どのように成長するか見通しを示す事が出来ません。普通の子どもなら「ささやかなこと」で片付けられることも、「命にかかわること」になるのではと、気の休まるときはありません。

◇ 

超低出生体重児を育てるのがどれぐらい大変かは、コメント欄を読むとよくわかる。看護師をしていたというお母さんの書き込みに「保健センターの保健婦は、まったく頼りになりません」と書いてあるからだ。


2016-9-23-2.jpg
◇  ◇  ◇ 


●話をきいてもらうだけでは、育児の不安は解消されない


この番組をみて、痛烈に感じたのは母親同士で話し合うことの不安だ。私自身、発達検診医のアドバイスは一度も役に立ったことはない。もしも発達の遅れだと思われているものの中に、身体の異常を知らせるサインが隠されていたら?「大丈夫だよ」と言われて通り過ぎてしまうかもしれない。


最近はどこの学校にも「スクールカウンセラー」が配置されているけれど、私はカウンセラーに相談したいと思わない。彼らの仕事は基本的に話を傾聴することだからだ。「私達はヒントを与えるだけ。考えて自分で答えを出せ」という。


だから、学校でトラブルが起きた時の話し合いの時には、「スクールカウンセラーを同席させないで下さい」とお願いしている。私はカウンセラーをすべての学校に配置するのなら、教員を増やしたほうがよほどいいと思う。


●小児がん専門委員会議事録に残る増子孝徳弁護士の言葉 子どもの自己決定権


こういう経験を10年以上してきたから、私は国立がん研究センターで起きた『牧本事件』に興味を持った。


『どんなことがあっても息子の主治医は牧本先生』 小児がん専門委員会議事録を読む その1


調べていく中で、一番印象に残ったのは、子どもの人権についてきちんと議論されていることだった。2011年2月9日第2回小児がん専門委員会の議事録に残されている。増子孝徳弁護士が専門家として、子どもの患者の人権について触れているのだ。増子弁護士はご自身のお子さんが小児がんの経験者で、なおかつ日弁連の人権擁護委員会の医療部会に所属していらっしゃる弁護士だ。日本中を探しても、増子弁護士ほどぴったりの専門家はいらっしゃらないと思う。


小児がんの治療の専門家はスゴいと思った。


私も増子弁護士と同じことを考えてきた。子どもには、子どもの人権があるはずなのに。超低出生体重児の支援では、なぜきちんと議論されなかったのだろう?


◇  ◇  ◇
2011年2月9日 第2回小児がん専門委員会議事録  厚生労働省


増子孝徳弁護士

それから、いわゆる患者の権利としての自己決定権の話を若干させていただきますけれども。自己決定権といいますのは、いわゆるインフォームド・コンセントというものをメインといたしました権利でございます。自分の病状ですとか、医療行為の目的、方法、危険性とか代替的治療法などにつきましてきちんとした正しい説明を受けて、理解した上で自主的に選択、同意、拒否できるという原則ですね。これは当然のことながら、子供さんにも適用されるのだということです。


 しばしば子供は説明しても分からないとか、決定はできない、あるいは親権者である親が決定するのだということでもって、子供さん自身の決定を促さない、ひいては決定しない人には説明する必要がないということでそもそも説明しないというようなことがしばしば起こりがちでございます。これは何も医療者に限ったことではなくて、親の側がそういった姿勢を見せる場合も大変多いかと思うんですね。ここはやはり子供の権利という視点からいたしますと、なかなか受入れがたい現象であろうかと思います。


 ですので、いわゆるコンセント、同意、これができる場合には当然お子さん自身から同意を得る必要がありますし、それができない場合であっても俗にアセントと呼ばれておりますけれども、日本語で言うと賛意となりますが、そういったものを得るべきであろうと。そのコンセントからアセント、そして何もとれないというこの3段階に至る、これは無段階でございまして、その無段階な子供さんの状態に応じて説明、そして意思の尊重ということがなされていく必要があろうかというふうに思います。

◇  ◇  ◇

コメント

非公開コメント